嵯峨野文化通信 第263号

嵯峨野文化通信第263号
伝統文化プロデュース 【連】メールマガジン   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)_________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第263号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

     嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

              毎月1日・15日(月2回)

                   ■VOL:263(2017/3/1)

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                 ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ーーーーーーTOPIC!!「春の茶事」へのお誘い
                   有斐斎弘道館 講座・茶会等のご案内
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』———–第百三十幕 ※原稿依頼中
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』———–第百五十九回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]2017年3月 開講講座のお知らせ

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              □■【連】からのお知らせ■□

 ◆TOPIC!!
 有斐斎弘道館「春の茶事(正午の茶事)」へのお誘い
 毎年春と秋に実施される弘道館の茶事。春の花が一斉に開きはじめ風情が変わる頃
 桜尽くしの茶事はいかがでしょうか? 和やかなひとときをお楽しみいただけます。
 毎回、趣向をこらした内容となっております。初めての方も大歓迎ですので、ぜひ
 この機会にお茶事デビューしてみませんか?

 「春の茶事(正午の茶事)」実施概要
  日 程:2017年4月1日(土)/2日(日)/3日(月)
      ※2日は満席となっております。
  時 間:11時席入り(正午の茶事)
  費 用:25000円 ※事前のお振込をお願いしております
    
 ◆講座・茶会のご案内
 ■講座 「信仰からみる京都ー若狭ー」
 弘道館の人気講座。今期は京都を語る上でかかすことのできない周辺地域をテーマに
 とりあげています。今回は”若狭”。京都と若狭にはどのような繋がりがあるのでしょ
 う。ご一緒に学びを深めてみませんか?

  日 程:2017年3月11日(土)
  時 間:11時〜12時半(10時半より呈茶あり)
  講 師:太田達(京都精華大学・立命館大学非常勤講師)
  受講料:2000円(テーマにちなんだお菓子と抹茶付)

 ■講座 「茶の湯文化を識る」
 茶の湯の歴史を分かりやすく楽しく学ぶことができる本講座。京文化にとって欠かす
 ことのできない日本文化を代表する茶道。ぜひこの機会にその歴史をマスターしまし
 ましょう。茶道の経験は不問ですのでお気軽にご参加ください。

  日 程:2017年3月21日(火)
  時 間:13時〜14時半(12時半より呈茶あり)
  講 師:太田宗達
  費 用:2000円(テーマにちなんだお菓子と抹茶付)

 *上記各種講座・茶会等のお問い合わせ、お申込みはコチラ
   TEL   :075ー441ー6662
   メール  :kouza@kodo-kan.com
有斐斎弘道館HP: http://kodo-kan.com

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             ■『ニッポン城郭物語』■

                ー第百三十幕ー
                                梅原 和久

   昨年「二条城の価値を活かし未来を創造する会」の動きを何度も報告したが、早
  くも具体的な動きが出てきた。この2月だけで地元京都新聞に、二条城関連の記事
  が5回も取り上げられたほどである(※1)。

   特に、「学びの場、文化・観光資源としての満足度向上策」関連の取組が一気に
  動き出した印象がある。まず、「歴史や施設の案内充実」の一環として、城内で配
  られるパンフレットが一新された。二条城特別顧問のデービッド・アトキンソン氏
  の監修だそうである。建築物や障壁画の解説が充実し、見やすくなった。
   どうせなら現存建築物を網羅してもらいたかったし、天守等の失われた建物がイ
  メージできるような図版があればさらに良かっただろうが、無料配布物としてはか
  なりの情報量となった(※2)。

   また、ニュースにはなっていないが、二の丸御殿内にある説明板も一新された。
  それぞれの部屋の詳細な解説、御殿内の現在地が明記され、より分かりやすくなっ
  た。中でも特筆すべきは、「鴬(うぐいす)張り」の解説である。
   二条城と言えば、御殿を歩いた時に足元から鳴る、鳥の鳴き声のような音。昔か
  ら、ガイドさんが「怪しい人物が忍び込んでもすぐにわかるような仕掛け」と説明
  してきた、あれである。この鴬張りについて、今回の説明では、この音がなる仕組
  みの説明の後に、「建築当初から意図したものではない。」と付記されたのだ。

   歴史や建築の専門家の間では常識だったことだが、あまりにも有名になってしま
  ったためか、これまで正しい説明はほとんどされてこなかった。夢がない話で恐縮
  だが、あれは単に床板と金具の経年劣化のために音が鳴っているのであって、しっ
  かりと固定されている間は、そもそも全く音がしないものなのだ(※3)。

   更に、大政奉還から150年目の今年、その舞台となった大広間に置かれる武士
  の等身大人形もリニューアルされることになっている。大政奉還と言えば、教科書
  にも載っているあの場面。最後の将軍慶喜が大広間一の間に着座し、二の間で平伏
  している各藩の代表者に大政奉還を宣言している、あの絵である。だが、残念なが
  らこれまた史実ではない。

   慶応3年(1867)10月13日、10万石以上の40藩の代表者を二条城大
  広間に集めたのは事実だが、彼らに説明し、意見を聞いたのは老中板倉勝静。そも
  そも徳川将軍は人前にそう簡単に姿を見せない。ただ、この時が異例だったのはそ
  の後である。
   特に意見があると申し出た数名に対して、慶喜が直接会見することになったので
  ある。
   薩摩の小松帯刀や土佐の後藤象二郎ら、幕末史の有名人が、初めて将軍にお目見
  えしたこの場面。大名ですら顔を見ることさえできない将軍に、大名の家来である
  彼らが直接会うなど、それ以前ではとても考えられない大事件である。後藤などは
  滝のような大汗を流したまま、ほとんど何も言えなかったという。

   せっかくの大政奉還150年、この名場面の再現ができれば臨場感も抜群だった
  だろうが、残念ながら市の予算の都合で、実現できないようだ。この人形の展示リ
  ニューアルについては、実は私も関わっており、京都市から意見を求められていた。
  白書院に配置された女性人形を撤去すべき、という意見は聴いてもらえたのだが、
  残念ながら肝心の大広間の場面見直しは難しいようで。残念! 

  (※1)二条城隅櫓をアートの空間に イベント準備で清掃
   http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20170225000132
     二条城、観光シフト加速 早朝実施や公開拡大へ
   http://kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20170226000053

  (※2)二条城の日本語版パンフレット 京都市がリニューアル
   http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20170205000114

  (※3)ただ、この記載は城内の説明板のみ。上のパンフレットや、ガイドの説明
     は従来のまま。
     京流おもてなしの深化…京都で市認定英語ガイドツアー
   http://www.sankei.com/west/news/170207/wst1702070031-n1.html

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             ■『北野の芸能と茶屋』■

   第159回 (平成29年3月1日 第263号)
   昭和12年(1937)3月
   最近筆者の見聞した上七軒総ての状況 全廓一丸となって大発展(その6)
   今年も亦去年の様に廓内で盆踊りを催さんとの計画がある、芸妓も踊ればお客も
  踊る、飛入りも出来る無論櫓の上で三味、太鼓の囃子が入る、はづんでくると二重
  三重輪を作って、手拍子カケ聲、随分賑やか、揃ひの手拭、揃ひの浴衣、一寸他の
  廓では見られぬ風景、上七軒の名物盆踊り、今年も是非実行の様子
                           『技芸倶楽部15巻3号』

   今度は盆踊りの話題である。上七軒の盆踊りについては本稿第12回(平成22
  年8月1日第108号)でも触れたが、宝永6年(1709)頃から開催されるよ
  うになったと推測されるが、いつまで続いたかは定かでない。

   この記事では昭和11年(1936)に復活したと読み取れるが、宝永以来、こ
  の頃の人の記憶に残るくらいの近世終わり頃から明治、大正くらいまでは続いてい
  たのではないだろうか。

   近年では平成21年(2009)に復活したが、芸妓もお客も入り乱れ、二重三
  重に輪を作って掛け声を掛けながら揃いの手拭い、浴衣で賑やかに踊る光景は今も
  同じで、300年の時を越えて継承されているのである。

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            □■嵯峨野学芸倶楽部からのお知らせ■□ 

   詳しくはhttp://www.ren-produce.com/sagano/club/ をご覧ください。

 ■茶道教室
  日 程:水曜日コース・・・3月8・22・29日
      土曜日コース・・・3月4日
       日 曜 日・・・3月26日
       祝 ・ 月・・・3月20日
  場 所:嵯峨野三壷庵
      ※見学/体験も、随時受付けています。
 
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                  ■□■ひとこと■□■
  
  冬の寒さも和らぎ、穏やかな春の訪れを感じられる頃となってまいりました。
  弘道館で、暖かな陽射しを感じながら行う茶会(茶事)はいかがですか?

  [次回は、2017年3月15日(水)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。