有斐斎弘道館とは

歴史上の弘道館(こうどうかん)について

弘道館の石標「弘道館」は、学問所というほどの意で、江戸時代には全国に見られました。京都・上京に位置するここ弘道館は、江戸中期の京都を代表する儒者・皆川淇園(みながわきえん/1734-1807)が1806年に創設した学問所で、私立大学の先駆とされています。淇園は「開物学」という独自で難解な学問を創始しましたが、詩文や書画にも優れた風流人で、山水画は円山応挙に劣らずと評されたほどでした。門弟3千人とも言われ、多くの文化人と親交を結び、また亀山藩や膳所藩など、地方に賓師として招かれました。弘道館は、この址地辺に建てられた石碑(註)にちなみ、名付けました。また、有斐斎(ゆうひさい)は、淇園の号のひとつです。

(註)弘道館前に、「皆川淇園弘道館址」の標石が建っています。淇園の居宅は『平安人物志』(明和5年〔1768〕刊行)に「中立売室町西入町」とあり、弘道館はその西隣に建てられました。現在の「皆川淇園弘道館址」の標石は大正年間に上長者町通側に建てられたものですが、この標石から北へ細く長くのびる露地の先に弘道館の敷地が広がっており、その位置は中立売通寄りです。

有斐斎弘道館について

淇園屛風有斐斎弘道館は、2009年に皆川淇園の学問所 址の数寄屋建築と庭園が取り壊されそうになったところを、研究者や企業人らの有志により、一時的な保存を成し遂げたものです。最初にはじめたのは、庭の修復です。同時に、皆川淇園とその時代について考える研究者による「淇園連舎」が立ち上がり、現在の有斐斎弘道館の活動の礎となりました。その後、2011年に公益財団法人を立ち上げ、寄付を募ることで、少しずつ土地建物を買い取っていく計画をいたしました。2012年には税額控除団体に認定され、日々、ボランティアにより庭の手入れをするなど、有志による活動が続けられています。
2019年7月7日に再興10周年を迎えることができました。再興10周年記念サイトの公開をしておりますので是非ご覧ください。
有斐斎弘道館 再興10周年記念サイトhttps://kodo-kan.com/lab/

有斐斎弘道館のロゴデザインについて

本サイトに掲載している有斐斎弘道館のロゴの原本となった松浦静山自筆淇園墓碑銘(絹本)を所蔵している松浦史料博物館の理事長松浦章氏に許可をいただいております。
松浦静山の書体を基に、奥田充一氏にデザインいただきました。伸びやかで凛とした有斐斎弘道館の文字を、お楽しみいただけると幸いです。
logo
ロゴデザインの由来について詳細はこちら

有斐斎弘道館の理念

皆川淇園が設立した学問所「弘道館」にならい、現代に必要な、文化芸術による<知>を再生するための、新たな学問・文化サロンとして、茶事や講座をはじめとする、さまざまな事業を行っております。

日本の伝統にこめられた深い知恵と類い稀なる美への精神性を、意識的にくみあげることによって、未来の京都、未来の日本にとって必要な、新しい知恵をつむぎだすための高度育成機関として、多くの方々のご支援、ご協力をお願いいたしております。

公益財団法人有斐斎弘道館の活動

公益財団法人としての活動は、主に以下の4つとなります。

1、育成事業
2、発信事業
3、建造物及び庭園の維持・保存
4、調査・研究事業

1、育成事業

江戸時代の学問所「弘道館」址にちなみ、日本文化を通した人間育成事業を行っています。

●座学/弘道館講座
身の回りにあるモノ・コトからはじまる日本文化への発見。
歴史とのつながりを自身の内に取り戻すための、学びの時間。
有斐斎弘道館では、茶事をはじめとする日本文化に関するさまざまな講座を展開しています。

弘道館講座へ

●実践講座/体験
身体を通した学び。五感を研ぎすませる時間。自己との対話。
茶事、茶会、京菓子づくり、能楽体験、花街文化体験 等。
その他、ご要望に応じて、講座や体験をコーディネイトいたします。
短期集中講座、一日講座、等。集中して身につけたい方、団体での受講をご希望の方に。

茶事/茶会へ  
人材育成/研修へ

2、発信事業

研究結果を発信することにより、また新たな研究活動の種にしていきます。
総合的な知を育み伝えた淇園の学問所にちなみ、社会と研究との循環を試みます。

発信の形も、弘道館ならではの新たなスタイルを常に創造していきます。
展覧会、講演会、また芸術作品として表現することもあります。
また、育成事業にかかわる講座のスタイルも、研究成果を反映させながらつくりあげていくつもりです。
弘道館プロデュースのイベント、企画にぜひご注目ください。

特別催しへ

3、維持・保存

有斐斎弘道館の活動は、建造物の保存からはじまりました。
この保存活動を通して、私たちは多くの学びと気づきを得てきました。
社会と文化の関係を今後どのように構築していくべきか。技術や材料をどのように保持・継承していくのか、等。

文化が育まれた「場」があること、その「空間」から学ぶことの大きさ。先人が培ってきた知恵が絡み合うようにして湛えられている建造物ならびに庭園を維持することは、私たち日本人の使命であると考えています。

弘道館では、この有機的につながりあった建造物と庭園のすべての空間を用いながら、育成事業/発信事業を展開することにより、空間の使われ方や、この「場」を通して新たに育まれる知、また感性に訴える効果、教育的心理的な効果などについて、研究を行ってまいります。

調査研究へ

4、調査・研究事業

皆川淇園の事績や、淇園の友好関係、また淇園の時代の文化的な状況について調査・研究をしていきます。
また、皆川淇園とその関係の方々の屏風や掛け軸などの調査・保存活動を行います。
寄贈をお考えの方はお知らせください。
また、研究活動については、近世京都学会と連携して進めております。

館長からのご挨拶

有斐斎弘道館は、皆川淇園の学問所址に建てられた数寄屋建築と庭園です。学問所「址」ですから、当時の建物ではありません。しかも、取り壊しをまぬがれた建物には、皆川淇園に関するものは、ただの一つもありませんでした。唯一、皆川淇園がここに居たのだということを知らせてくれたのは、大正時代にたてられた石標です。上長者町通に面した狭い路地の前に立つ、小さな石標。むろんこの石標は、正しくは中立売通にこそあるべきだと思いますが、残念ながら現在の有斐斎弘道館の敷地から中立売通に抜けることはできません。

時代は移り変わり、敷地の様相も変わり、居住者も入れ替わり、今や、皆川淇園のことを知る人も少なくなっています。それでもなお、この地にいて、江戸時代中後期へと思いを馳せれば、全国から3千人の門弟が集ったといわれる、学問所「弘道館」のおもかげが、思いうかぶような気がいたします。

なぜなら、講座を開き、茶会を開けば、じつに全国から、数多くの方々が集ってきてくださるからです。こうしていま、有斐斎弘道館は、新たな学問・文化サロンとして、大きく再生を果たそうとしています。

千年の歴史ある京都の、もっとも大きな役割は、日本のあらゆる時代の歴史と文化を、五感で感じられる場であることだと思います。そしてまさにその場において紡がれてきた文化芸術を深く理解し、次の時代へと引き継いでいくことだと思います。

有斐斎弘道館が、その一つの具体的な事例となり、また数々の伝統的な建物や庭、文化が未来へとつながっていくための、きっかけとなればと願っています。
なにとぞ、皆さま方のお力添えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。

有斐斎弘道館館長・濱崎加奈子有斐斎弘道館 館長
濱崎加奈子
【略歴】
京都大学文学部(美学美術史学)卒業。東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)博士課程修了、学術博士。
2001年伝統文化がコミュニティに果たす役割を考える「伝統の知恵ネットワーク」を結成。2003年伝統文化に込められた知恵と美意識から学び・遊び・広める「伝統文化プロデュース連」を設立。これまで、日本の伝統文化の継承にかかわる、さまざまな問題解決に携わってきた。また、茶会や展覧会、アートイベントなど、その土地の歴史と空間性を生かすとともに、受け継がれてきた伝統的な文化にこめられた美意識をひもとくことによる、学術とアートの融合によるコーディネイトを数多く行ってきた。2009年より、有斐斎弘道館の保存活動に携わり、現在、公益財団法人有斐斎弘道館代表理事 兼 館長。京都工芸繊維大学特任准教授、京都女子大学・京都精華大学非常勤講師、同志社大学特別講師などを経て、現在、専修大学文学部准教授。「香道の美学」「伝統文化プロデュース論」をテーマに研究を続けている。また、北野天満宮和歌撰者の他、京都市の基本構想策定委員など数々の行政審議委員を歴任。京都観光おもてなし大使。
【著書・メディアなど】
著書に、『ふろしき』(ピエインターナショナル)、『京菓子と琳派』(淡交社)、共著に『京の花街 ひと・わざ・まち』(日本評論社)、テレビ出演に、KBS京都ビジネス情報番組「京Biz’S」(レギュラーコメンテーター)等がある。

有斐斎弘道館の見学について

有斐斎弘道館では、予約制にてご見学を承っています。

翌月分の予約を前月1日から受付開始しております。
(例:11月の予約は10月1日から開始)
休館日や事業等の都合がございますので、見学日の3日前までにご予約ください。

料金につきましては、お問い合わせください。
ご予約:075-441-6662/info@kodo-kan.com

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