弘道館 再興10周年に寄せて

有斐斎弘道館は、2019年(令和元年)7月7日に再興10年のときを迎えました。

2009年、江戸時代の学問所址にして幕末から明治大正期にかけて再建された数寄の庭と建物が、まさに取り壊されそうになっていました。そこから東奔西走して多くの方々にお心をかけていただき、一時保存が達成されました。このときの経緯については、昨年取材いただいた記事をご覧いただきましたら幸いです

京都の数寄屋建築を保存した有斐斎弘道館。江戸時代の学問所址から日本文化の発信を LIFULL HOME’S PRESS

この10年、本当に多くの方々に助けられてきました。
庭の再生のために日々手をいれ続けてくれているサポーターのみなさん、講座やイベントに足を運んでくださった方々、役員や講師として尽力くださってきた先生方、運営や広報、また寄付をいただいた方々など、本当に数えきれない方々の思いをもってして、ここまでこぎつけてきました。この10年は、まさしく「弘道館」再興への道のりでしたが、区切りの年を迎え、この先の10年は「有斐斎弘道館」が現代において本当に必要な学問所として改めてスタートし、真に保存を達成する10年と考えております。

この節目となる機会に、10年の中で、さまざまなかたちで歩みを共にし、支えて下さった方々に、改めてお話を伺い、そしてそれを皆さんにお伝えする場として、このサイトを立ち上げました。

保存を開始した当時から今まで、無我夢中で駆け抜けて参りました。そして10年前とは社会を取り巻く状況も大きく変わりました。そんな今だからこそ、弘道館の再興がもつ意味は何なのか。それを改めて見つめ直す機会にしたいと考えました。

そこで「10周年記念インタビュー」として、第一線で活躍される様々な分野の方々、そして弘道館再興に何らかのかたちで関わって頂いている仲間でもある方々に「敢えて客観的に見た有斐斎弘道館」を、それぞれの視点からお話いただきました。

「いま、なぜ有斐斎弘道館なのか?」
「有斐斎弘道館が向かう先は?」

この問いは、
「いま、なぜ日本文化が大切なのか?」
「日本が向かう先は?」

という問いと根を同じくしていると考えています。

「日本文化について、何かできることはないだろうか?」というようなことを感じたり考えたりしている方、ぜひともご一緒に活動いたしましょう。小さな一歩が、大きな力になることを信じて。

公益財団法人 有斐斎弘道館 館長・代表理事
濱崎加奈子

プロフィール>濱崎加奈子(はまさきかなこ)
京都大学文学部(美学美術史学)卒業。東京大学大学院(表象文化論)博士課程修了。学術博士。公益財団法人有斐斎弘道館の代表理事であり、伝統文化プロデュース連を主宰。また、専修大学文学部准教授、北野天満宮和歌撰者、京都観光おもてなし大使など、多方面で活動。