嵯峨野文化通信 第269号

嵯峨野文化通信第269号
伝統文化プロデュース 【連】メールマガジン   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)_________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第269号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

     嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

              毎月1日・15日(月2回)

                   ■VOL:269(2017/6/1)

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                ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ーーーーーーTOPIC!!落語「吉坊のゆらり咄」
                    有斐斎弘道館 講座・茶会等のご案内
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』———–第百三十三幕
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』———–第百六十五回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]2017年6月 開講講座のお知らせ

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              □■【連】からのお知らせ■□

 ◆TOPIC!!
 落語「吉坊のゆらり咄」
 ー江戸時代の学問所で楽しむ落語の世界ー
 テーマに沿った落語とトークが楽しい企画。落語や歌舞伎芝居は遠い昔の話ではあ
 りません。現代にも通じる社会問題、今も変わぬ人の生き様、考え方など、語りあ
 いましょう。
 今回の落語は、落語作家 小佐田定雄先生が桂吉坊氏の為に書いた作品「ツメ人情」
 を上演いたします。 

 日 時:2017年7月1日(土)18時半〜20時半
 出 演:桂吉坊氏(落語家)
     木ノ下裕一氏(木ノ下歌舞伎主宰)
 参加費:3500円(テーマにちなんだ菓子・抹茶付)

 ◆茶会・講座等のご案内
 ■勉強会 「九条武子の会」
  大正期から昭和初期に活躍した京都出身の歌人、大正三美人にも数えられる九条
  武子の歌集を読み、九条武子について勉強する会です。

 日 程:2017年6月15日(木)
 時 間:18時半〜20時
 参加費:1000円

 ■茶会「祇園会の茶」
 日 程:2017年7月9日(日)
 時 間:11時または13時席入り
 参加費:3000円
 
  *上記、催しおよび各種講座等のお問い合わせ、お申込みはコチラ
    TEL   :075ー441ー6662
    メール   :kouza@kodo-kan.com
  有斐斎弘道館HP:http://kodo-kan.com

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■『ニッポン城郭物語』■

               -百三十三幕-
                                梅原 和久

  この5月、また城関係の驚くべき書籍が出版された。明治初期、当時全国の城を
 管轄していた陸軍省が、城郭施設や敷地を有効活用するために各自治体に作成させ
 た絵図をまとめたものである(※1)。

  戊辰戦争が終わり、明治政府は国内統治のために、全国に存在する城を整理する
 必要に迫られた。近代兵器の登場によってその役割を終えつつあったとは言え、城
 は要塞である。放置すれば新たな内乱の拠点になりかねない。
  その一方で、国家規模で再編した軍隊を駐屯させる拠点も必要だった。全国の主
 な町の中心に広大な敷地を持つ城は、その有力な候補でもあった。

  そのため陸軍省は、明治5年、全国の75府県に城郭・陣屋・要害・砲台等の絵図
 の提出を命じた。旧幕時代の城の存続と破壊を決定するための根拠となる、極めて
 重要な調査であった。

  国家規模の城郭の一斉調査としては、3代将軍徳川家光が全国の大名に作成を命
 じた「正保城絵図」が有名である。軍事機密のかたまりである城の絵図を、幕府に
 提出させることによって、その絶対的な権威を示したもの。現存する63点はいずれ
 も国の重要文化財に指定されている(※2)。

  今回刊行された『富原文庫蔵 陸軍省城絵図』に収められた124点の絵図は、その
 「正保城絵図」を超える規模で行われたもので、これまでその存在すら知られてい
 なかった。しかも、これまでほとんど史料がなく、縄張りすら不明だった小規模城
 郭の絵図が大量に収められているのである。
  
  京都府内のものだと、綾部陣屋や山家陣屋、更には明治になってから整備された
 園部城など、ほとんど内部構造が判明していなかった城が含まれている。ほかにも
 福知山城天守の指図や舞鶴城や宮津城などの絵図もあり、初めて取り壊し前の最後
 の姿を知ることができるようになった。

  これらの絵図は、どういう経緯か、なんと数年前までフランスにあったらしい。
 平成21年、フランスのマップオークションにこれらの絵図が出展されたものを、城
 郭研究家である富原道晴氏が入手され、百数十年ぶりに日本に戻ってくることにな
 ったのだそう。まだまだ世に出ていないお宝がどこかに眠っていそうだ。

  (※1)『富原文庫蔵 陸軍省城絵図』戎光祥出版、10,584円!
    http://www.ebisukosyo.co.jp/products/detail.php?product_id=335

  (※2)正保城絵図 – 国立公文書館 デジタルアーカイブ
  https://www.digital.archives.go.jp/DAS/pickup/view/category/categoryArchives/0300000000/0305000000_6/00

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             ■『北野の芸能と茶屋』■

                                井上 年和
第165回 (平成29年6月1日 第269号)
明治27年(1894)4月1日
●上七軒歌舞練所  同遊廓には目下芸妓四十名娼妓十二名あり昨今は西陣地商工
の気配宜しき為め同遊廓も中々上景気の由なるが今度同業者協議の上女紅場を拡
張し是迄段通製造場の続きなる裏手の地所も購入し同場に建増し歌舞練所を設く
る事となり弥々来四月二日より着手し同月廿三日中に増築竣効する予定にて開場
式は来る五月三日より三日間に挙行し芸妓の手踊を演ずる筈なるが其建坪総数は
六十坪にして地所及建築諸費用は壹千円の予算なりと云ふ
『日出新聞』
 上七軒で歌舞練(所)場を新設する話が持ち上がった。場所は女紅場との地続きで、
裏手の段通製造所の土地を購入し、建て増ししようとしたようだ。建坪総数60坪、
土地代と建築諸費用は1,000円の予算で計画された。
 大正元年に発行された『京都地籍図』を見ると、女紅場があった社家長屋町671番
地の北側に接続される西柳町の土地は、社家長屋町671番地の地主と同名になって
いる。
歌舞練場は女紅場北側の西柳町に建てられたのだ。

宴会場を計画し、歌舞練場を建設するなど、この頃から上七軒花街は西陣地商工の
力により発展を遂げていくのである。
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            □■嵯峨野学芸倶楽部からのお知らせ■□ 

   詳しくはhttp://www.ren-produce.com/sagano/club/ をご覧ください。

 ■茶道教室
  日 程: 水 曜 日・・・6月7・21・28日
       土 曜 日・・・6月3・24日
       日 曜 日・・・6月18日
  場 所: 三壷庵
       ※見学/体験も、随時受付けています。
 
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                ■□■ひとこと■□■
                     
         祇園白川のほとりに、今年も美しい蛍が舞い始めました。

   [次回は、2017年6月15日(木)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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