嵯峨野文化通信 第167号

嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)

                      ■VOL:167(2013/1/17)

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                  ■□■もくじ■□■
 

  ■【連】からのお知らせ ———–日本今様謌舞楽会護持会特別講演会
                       『宮中で愛された御所人形』のご案内
                   弘道館文化講座『新島八重と茶の湯』のご案内
                   有斐斎『初釜』のご案内

  ■(新連載)リレー連載「伝統文化と私たち」————————- 第二回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』——————————-  第七十一回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]1月開講講座のお知らせ

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             □■【連】からのお知らせ■□

 ■日本今様謌舞楽会護持会特別講演会「宮中で愛された御所人形」

 江戸時代、宮中でその品格と愛らしさを賞頑され、四季折々の節句の祝い様々なご慶事
に飾られた人形、御所人形。
 有識御人形司 十二世伊藤久重氏が講師として、御所人形の由来や制作法をはじめ、宮
中御用の御所人形司である伊藤家のこと、また家を継がれた氏の人形に対する思いなどを
お話しになります。

 皆様お誘いあわせの上、ぜひご参加ください。

 日 程:1月27日(日)
 時 間:18時00分より(17時30分受付開始 20時30分閉宴予定)
 場 所:ハイアットリージェンシー京都 (京都市東山区三十三間堂東)
 会 費:1万円(食事代込み)
 申し込み方法:FAX、TEL、メールまたは下記連絡先へ郵送
 お申し込み先:日本今様謌舞楽会護持会特別講演会
        〒616-8355
        京都市右京区嵯峨野新宮町69-9
        FAX/TEL 075-871-3205
        メール info@imayou.jp

■2013年弘道館文化講座のご案内

 前回でも少し紹介させていただきましたが、有斐斎弘道館では新年にふさわしい特別講
座をそろえております。

 先週スタートした本年の大河ドラマ「八重の桜」でおなじみ、新島八重さんは、じつは
茶人でもあられました。
 茶道にとっても激動の、幕末明治の時代を見つめてみませんか?

「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を識る~」

 日 程:1月17日(木)
 テーマ:「新島八重と茶の湯」
 時 間:13時00分~14時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:廣瀬 千紗子(同志社女子大学教授)
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 また、同日には以下の新講座も開講いたしております。
 「茶会はじめ」10時30分より
 「京菓子専門講座」15時より
 「英語で茶道」18時30分より

 いずれも、90分間の楽しい講座となっています。
 参加費等、詳しくはホームページをご覧いただくか、以下メールアドレスまでお問合せ
ください。本年も皆さまのお越しをお待ちしています!

 ホームページ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 メールアドレス
 kouza@kodo-kan.com

■有斐斎『初点式』のご案内

 毎月たくさんの方にお越しいただいております有斐斎 弘道館の月釜。2013年最初
の月釜は『初点式』です。
 現在、12時のお席に少し空きがございます。必ず予約が必要ですので、希望の方はお
早めにお問い合わせください。皆様のお来しをお待ちしております!

  日 時:1月20日(日)
  時 間:12時
  参加費:3,000円
      ※月釜会員の方は不要です。
  場 所:有斐斎 弘道館

  弘道館のHPはコチラ
  http://kodo-kan.com/tea.html

  お申込み、お問い合わせはコチラ
  tea@kodo-kan.com

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       ■□■ 新連載 リレー企画「伝統文化と私たち」 ■□■

 伝統文化プロデュース【連】では、メンバーが伝統文化に対しそれぞれの想いを持っ
て活動を行っています。そこで、毎回ひとりずつ、メンバーにその想いを語ってもらう
べく、連載を企画いたしました!皆の本音や理想、どんな話が飛び出すことでしょう?

            ー第二回 『ゆとり』ー

                                 難波 千晶

 今村さんからリレーのバトンをいただきました、難波です。伝統文化というお題ですが、
私は茶道の切り口からそれを書いてみたいと思います。

 私が生まれたのは昭和が終わるぎりぎりの時代。学校では新指導要領が始まった、世に
言う「ゆとり世代」。
 ずっと、「自由を大切に」「個性を大切に」と言われ続けた。いつかきっとどこかにあ
る素晴らしい未来に向けて、ヒット曲「明日があるさ」や「世界にたった一つだけの花」
を授業で歌わされた。大学での「就活」も、「自分の長所を大切にしてそれに合う仕事を
探しましょう」って。また「個性」の登場。

 そこにあるのは、まず自分という素晴らしい確固たるもの、変わらないものが存在する
という構図。自分に合わせて仕事を探す、というように、あくまで「自分」は、固定的な
のだった。そして素晴らしい理想だけあって、その自分はあくまで「素晴らし」くないと
いけない。よって少しでも素晴らしくない自分は受け入れられないので、ちっともゆとり
じゃなかった(笑)。

 話を本題の伝統文化に移してみる。
 茶道の世界では、たくさんの「想像」が不可欠だ。
 何種類とあるお道具にはそれぞれ銘が付いていて、その銘をヒントにすると、魔法のラ
ンプみたく、作り手がどんな世界や想いを込めたのか絵画のように思い浮かべることがで
きる。自分が客になったとき、何千何万とあるお道具の組み合わせの中で、亭主が、何故
この茶会でそれらの道具を選んだか?また逆に自分が亭主になったとき、どう道具を組み
合わせたらお客が喜ぶだろうか?これを考えることも大きな「想像」の楽しみだ。

 そこにはまず「自分」は無い。自分ではなく、目の前の道具、作者や亭主、お客といっ
た他者に思いを馳せる。目の前にあるけど、見えない世界。あくまで想像の世界。もちろ
んお道具を鑑賞するのは易しくない。一目見て、一言説明を聞いただけでは分からないも
のの方が多い。だけど、鑑賞しようとする、理解しようとする心の方向性に、きっと意義
が有る。何百年と昔の世界に心だけでもタイムスリップする想像の世界。それが伝統文化
の醍醐味だと思う。

 自分目線ではなく他者目線。これは、今まで私が受けてきた教育と正反対のベクトルだ。
自分というものを中心に置いて、合うもの合わないものを取捨選択。そんな王様みたいな
態度ではきっと生きてはいけない。社会にはニーズがあって仕事がある。他者があって自
分がある。周りを見失うことなく、脱皮する蛇のように、ときには自分を変えていかなけ
ればならない。

 相手を見ようとする、分かろうとする心。他者への想像、思いやり。おもいやり、たっ
た5文字で書くと至極簡単で当たり前な言葉だが、きっと日本人が誇れる大切な心。近年
の自己・個性編重の風向きで、それが少し失われつつあるんじゃないか。

 だけど、そのおもいやりは、自分を大切に見つめてこそ生まれる心かもしれない。いつ
かではなく今という現実と自分を真っ直ぐ受け入れ、そこでできた心の余裕から他者への
思いを馳せることができたとき、そこに真の「ゆとり」が待ってる気がする。
 私はそのゆとりを探して、今日もお稽古へ。

               ■『北野の芸能と茶屋』■

                   第七十一回

                                  井上 年和

  宝永八年(1711)3月25日
「一、同夜五十嵐市郎兵衛常能方へ入来故右之書付之噂致し則見せ申候処ニ、市郎兵衛内
意ニ云、茶屋水茶屋女あけと有之処何とも合点不参候、嶋原の遊女より外ニ茶屋女あけ候
事如何敷候、(後略)」『北野天満宮史料宮仕記録』

 第62回平成24年9月1日 第158号)で紹介させていただいた北野社宮仕である能育の放埒
息子、紹育が親父の金を盗み、茶屋でさんざん遊び呆けて食い逃げし、公儀に連れ出され
、学童に放り込まれたことを書かせていただいた。

 その続きを見てみよう。親の能育は息子が預かりの身となっているにも関わらず、勝手
に紹育と面会して預人を困らせたり、また、七軒茶屋や馬喰町の町人なども能育宅に侘び
を入れに来たりしている。きっと息子と知っていながら遊ばせたことを申し訳なく思って
いたのであろう。なんてスポイルされた息子だったのだろう。この甘やかせ方は現代より
もひどいのではないだろうか。

 紹育の預かり人は北野宮仕年預の能範、評議の能貨、常能となっていたが、このような
状況を見かねた五十嵐市郎兵衛という人物は、紹育が嶋原以外ので茶屋で女ををあげて遊
んだことに対して預人の一人である常能に憤慨した気持ちを伝えている。

 どうせ遊ぶなら近所の方が良いのではないかと思ってしまうが、当時は公許の遊郭であ
る嶋原以外での女遊びは禁じられていたのである。

 どうもこの当時の茶屋遊びは、規制も厳しかった分、守らない人も多く、現代よりも随
分と放蕩な遊び方が多かったようである

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 1月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:1月9、23、30日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:1月12、19、26日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:12日 10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
     19、26日 10時~12時30分、15時~19時
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「今様・白拍子教室」
  日程:1月19、26日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時~14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

  お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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                 ■□■ひとこと■□■

 新年も明けてはや半月。
 皆様はどんな年末年始をお過ごしになられましたか?
 私はなぜか…源氏物語にはまりました。一緒に語ってくれる人募集中です!(笑

                                (なんば)

      [次回は、2月1日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。