嵯峨野文化通信 第166号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第166号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                       ■VOL:166(2013/1/1)

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                  ■□■もくじ■□■

  ■ 新年のご挨拶
  ■【連】からのお知らせ ——–2013年弘道館文化講座のご案内
                  『英語で伝統文化 茶道編』のご案内
                  弘道館『初釜』のお席が増えました!
                  『ネプの超法則!!』に出演します!
                   『花園』連載のお知らせ
  ■(新連載)リレー企画『庭あそび』—————————- 第一回             
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』——————————- 第七十九幕   
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』——————————- 第七十回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]1月開講講座のお知らせ

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                 □■ 新年のご挨拶 ■□

  新年あけましておめでとうございます。
  昨年もまた多くの方々のご縁をいただき、伝統文化の素晴らしさを共に分かちあうこ
 とができました。感謝の気持ちでいっぱいです。
  震災から2年、日本のこれからを問うまつりごとを経て、いま私たち日本人が本当に
 すべきことは何なのだろうかと、日々考え続けています。
  「連」は歴史のつらなり、文化のつらなり、人々のつらなりの復興をめざして、ゆる
 やかネットワークとして結成され、本年10年目を迎えます。3年半前には、江戸時代
 の儒者皆川淇園の学問所址である有斐斎弘道館を守り、学問所として再興するための活
 動をはじめました。弘道館はマンション建設から免れましたが未だに多くの伝統的建造
 物や庭園が、目の前の問題に個人では対処できないという理由で壊され続けています。
 大阪の渡邊邸の解体は衝撃的でしたが、それだけではありません。同様に、多くの無形
 文化財が、知らないうちになくなっています。
 年末押し迫った頃、イタリアからある芸術家かつ技術者のご夫妻が弘道館を訪れてくだ
 さいました。彼らは、文化の母胎である建物が守られない日本の現状に本当に驚いてい
 ました。いま日本では、「お金を生まない」伝統的な文化は「なぜ守らないといけない
 のか」という理由を合理的に説明する必要があるようです。文楽しかり。しかし本当は
 「理由」など必要ないのです。
  本年、有斐斎弘道館は後世に残すべき文化を伝える場として、また新たなスタートを
 切ることになりそうです。一人でも多くの方とつながりあい、ともに活動の輪を広げて
 いくことができましたら幸いです。
  本年もどうぞよろしくお願いいたします。

                 伝統文化プロデュース 連 代表
                      有斐斎 弘道館 館長  濱崎加奈子

                □■【連】からのお知らせ■□
 
 ■2013年弘道館文化講座のご案内 

  新年からの弘道館の文化講座は、新講座も増え、ますます充実した内容で開催します
 。今年もどうぞよろしくお願いいたします!!

 「京都文化教養講座1~天皇からみる京都~」

 日 程:1月12日(土)
 テーマ:「後小松天皇」
 時 間:11時00分~12時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:太田 達(京都女子大学、立命館大学非常勤講師)
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 
 「京文化実践基礎講座1~茶会はじめ~」

 日 程:1月17日(木)〜 5回
 テーマ:「茶室についてまなぶ/茶室の入り方、床の間の拝見」
 時 間:10時30分~12時00分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:高田 宗真 ほか
 参加費:5回15,000円(生菓子、抹茶付き)

 「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を識る~」

 日 程:1月17日(木)
 テーマ:「新島八重と茶の湯」
 時 間:13時00分~14時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:廣瀬 千紗子(同志社女子大学教授)
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)
 

 「京菓子専門講座」

 日 程:1月17日(木)〜 6回
 テーマ:「講義&実習:京菓子の材料について、技法について」
 時 間:15時00分~16時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:太田 達、岩沢 麻美、有職菓子御調進所 老松
 参加費:6回30,000円(材料費込み)
 
 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 
 お申込み、お問合せはコチラ
 kouza@kodo-kan.com
 

 ■『英語で伝統文化 茶道編』のご案内
  
  昨年末すべての会話を英語で行いました『クリスマス茶会』も盛況に終わり、参加者
 の方からもぜひ講座をとのお言葉をいただき、スタートいたします!英語で茶道を体験
 し、日本の伝統文化を世界に発信してみませんか?
  英語の分からない方、茶道の経験のない方も、もちろん大歓迎です!この講座では、
 伝統文化を英語で伝えるにはどうすれば良いのかを実践を通して皆で一緒に考えていき
 たいと思います。ご参加をお待ちいたしております!

 日 時:1月17日(木)
     2月21日(木)
     3月21日(木)
 時 間:18時30分〜20時00分
 参加費:1回 3,000円
 講 師:田中 朝子(翻訳通訳者、三壷庵茶道教室)
 場 所:有斐斎 弘道館

 詳しくはコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html

お申込み、お問い合わせはコチラ
 kouza@kodo-kan.com

 ■弘道館『初釜』のお席が増えました!
  
  毎月たくさんの方にお越しいただいております有斐斎 弘道館の月釜。2013年最
 初の月釜は『初釜』です。
  ご好評につき、12時のお席を増席しました!まだ空きがございますので、お誘いあ
 わせの上、ご参加ください!
  
  日 時:1月20日(日)
  時 間:12時
  参加費:3,000円
      ※月釜会員の方は不要です。
  場 所:有斐斎 弘道館

  弘道館のHPはコチラ
  http://kodo-kan.com/tea.html

  お申込み、お問い合わせはコチラ
  tea@kodo-kan.com

■『ネプの超法則!!』に出演します!

  【連】の太田達が、TBSの『ネプの超法則!!』新春スペシャルに出演します!
  京都スペシャルとして、京都のさまざまな名所が紹介されるそうです。そのなかで弘
 道館において太田達がゲスト出演します。ネプチューンとのコラボレーションがとても
 面白く、充実した内容となっております。どうぞお楽しみに!  

  TBS『ネプの超法則!!』

  日 程:1月12日(土)
  時 間:19時00分〜

  番組HPはコチラ
  http://www.tbs.co.jp/nepuchou/

 ■『花園』連載のお知らせ

  妙心寺が発行している月刊のエッセイ集『花園』において、伝統文化プロデュース
 【連】のメンバーが交代で連載しています!

  妙心寺HPはコチラ
  http://www.myoshinji.or.jp/book/

  『花園』のお問合せ・ご注文は、花園会館部「頒布課」まで
  TEL:075-467-2990

 

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               ■□■ 新連載 リレー企画 ■□■

  伝統文化プロデュース【連】では、メンバーが伝統文化に対しそれぞれの想いを持っ
 て活動を行っています。そこで、毎回ひとりずつ、メンバーにその想いを語ってもらう
 べく、連載を企画いたしました!皆の本音や理想、どんな話が飛び出すことでしょう?

                ー第一回 『 庭あそび』ー
                        
                       今村 友紀(有斐斎 弘道館スタッフ)

  明けましておめでとうございます。昨年の3月から、私が弘道館の庭に関わるように
 なって10ヶ月ほど経ちました。
  最初は何も分からず落ち葉を拾っていましたが、こんなにも四季を意識しながら生活
 をするのは初めてだと気づきました。昔のひとにとっては当たり前だったのでしょうが
 、今の街中で蝉の声を聞くことさえ少なくなったように思います。
  弘道館へ来館される方も、庭を眺めながらゆっくり過ごされる方が多く、皆求めてい
 るものは同じなんだろうなと感じます。 

  私が始めて弘道館に来たのが2年くらい前になりますが、そのときに撮った写真を先
 日発見しまして。そこには全く違う景色があり、日々姿が変わることは実感していまし
 たが、人の心のこもった庭はこんなにも変化するんだということに驚きました。館主は
 それをまだ途中段階だと言う。なら、この庭はどのように変化していくのだろう。館主
 の作庭の様にいつも驚き、関心しきりですが、この庭に携われていることを本当に有り
 難く思います。
  庭の掃除をしていると景色ひとつひとつが構図に見え、その空間をいかに生かすか。
 学生時代に学んだデッサンを思い起こしてみたり。まだ全体を見る余裕はないのだけれ
 ど、今年は少しずつでも庭と向き合っていきたいです。
  茶席の路地として、来館される方の癒しの庭として、庭を学ぶと共に私も成長してい
 ければと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
      
                
               ■『ニッポン城郭物語』■ 

        ー第七十九幕ー
                        
                                  梅原 和久

  新年あけましておめでとうございます。メルマガ創刊以来毎月1日号に連載してきた
 この連載も7年目に突入しました。これまで城に関する与太話を、徒然なく綴ってきま
 したが、ここのところはお気づきのとおり近代の二条城に焦点を絞って書いています。

  昨年の夏、ひょんなことから京都府立総合資料館所蔵の京都行政文書を見る機会があ
 り、今更ながらこんな宝の山が身近に眠っていることに気づきました。実際、これらの
 文書は国指定の重要文化財なのですが。
  この資料館のすごいところは、閲覧希望の簡単な書類さえ書けば、これら本物の文書
 に直接触れることができ、更にわずか500円の手数料でデジカメによる複写まで可能
 だというところです。
  試しに、二条城関連の論文の中によく引用されている資料館蔵の文書を閲覧請求して
 みてびっくり。これまでどの文献を見ても分からなかった京都府庁時代の二条城に関す
 る文書や図面が沢山あったのです。
  もちろん、これらの文書が作成されたのはあくまで行政目的なので、城の研究をしよ
 うとするとかゆいところに手が届かず、もどかしく思うことはあります。おまけに明治
 初期の文書なので、古文書解読も必要。明治は江戸時代と地続きであることを実感しま
 す。しかし、大学卒業以来久々のこの作業がまた楽しい。どの文献にも書いていない記
 事を見つけてはほくそ笑むという、かなりマニアックな世界に突入してしまっています
 。更には当時の絵図を集めてみたり、明治初年に京都を訪れた外国人旅行者の記録を読
 んでみたりと、調査する範囲は広がるばかり。
  今後の連載では、これら私の最近の成果を少しずつご紹介したいと思います。対象も
 テーマもギュッと絞り込んだディープな世界になりますが、今年もお付き合いのほど、
 よろしくお願いします。
  
  とはいえ、年末に飛び込んできたこのニュースに触れない訳にはいかないので簡単に
 紹介だけ。京都府警西陣待機宿舎建設工事に伴う発掘調査で、秀吉の聚楽第の石垣が、
 32mにわたって出土したのです。石垣は大手門があったとされる東側に行くほど大き
 な石が使われており、東の石は、西のおおよそ2倍の大きさ。徹底的に破壊されたため
 、遺構は全くないと思われていた聚楽第ですが、地下にはまだ痕跡があることが分かっ
 た大発見でした。12月24日のクリスマスイブに現地説明会があり、私も当然見学に
 行きましたが、翌日の新聞によると、小雪まじりの寒い日だったにもかかわらず見学者
 は2,300人だった(※)そうです。城マニア、おそるべし。

 (※)現地説明会を伝える新聞記事。
 http://digital.asahi.com/area/kyoto/articles/OSK201212240111.html?
 ref=comkiji_redirect  

                ■『北野の芸能と茶屋』■  
  
                    第七十回               
                                  
                                  井上 年和
   
  天明元年(1781)5月
  「下之森東町ニ妓院演劇場ヲ設ク」 『京都府地誌』

  下之森東町(現在のエンゼルハウス南側 北野こんぶ辺り)に妓院演劇場が建てられ
 たようだ。歌舞練場の前身と考えて良さそうだ。ここは、第45回(平成24年1月1
 日 第142号)でも紹介させて頂いたように、南側 は元禄十五年 (1701)に勧進
 能のための仮設大劇場が建てられていた場所である。

  祇園でも『祇園町町之会所家并踊場見分絵図』(延享五年三月 1748)に描かれ
 ているように、舞妓、芸妓が踊る歌舞練場は江戸時代から存在したのだ。この絵図では
 間口二間、奥行八間の「町中会所」の規模が記載されている。町中会所が踊場を兼ねて
 いたのだ。東には空地を挟み茶屋の平面図が記載されている。場所は現在の祇園ホテル
 の少し西側辺りと思われる。

  妓院演劇場の間取りや構造等がわかる史料はないが、寛政十一年(1799)に刊行され
 た『都林泉名勝図会』に描かれている下河原宴席の様子をみてみると、畳敷の広い座敷
 に結界を設け、「女伶(まひと)」が大勢の観客に舞を披露している。妓院演劇場も歌
 舞練場の前身とは言え、現在のように舞台と客席桟敷席が設けられていたとは限らず、
 畳敷の大広間であった可能性もあるのだ。

  同じく『都林泉名勝図会』の多福庵弥阿弥をみてみると、やはり大広間の中央で舞が
 披露されていて、それを取り囲むように男共が料理を食べ、酒を飲みながら鑑賞してい
 る。女3人と禿頭の男1人が三味線を弾き、女1人が琴を弾いている。料理の給仕をする
 女が3名いて、内2人が年輩、1人はをどり手と同じ着物を着ている。

  この様に、お座敷遊びでは現在の茶屋が皆そうであるように、板敷の踊り場と対面し
 て鑑賞するのではなく、踊り手と輪になって、時には一緒になって踊り、謡うのが通例
 であったようだ。
  
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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 1月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:1月9、23、30日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください) 
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:1月12、19、26日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:12日 10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
     19、26日 10時〜12時30分、15時〜19時
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ■「今様・白拍子教室」
  日程:1月19、26日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時〜14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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                 ■□■ひとこと■□■
  
   昨年末に大掃除をしていると、一年の反省や今年の目標などが自然と頭に
   浮かんできて、不思議ととても楽しい気持ちになりました。
   今年は、何事にも余裕をもって過ごせるよう努めたいと思います。
                                  (いまむら)
  
      [次回は、1月15日(火)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。