嵯峨野文化通信 第154号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第154号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                       ■VOL:154(2012/7/1)

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                  ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ———–河原尚子「I am your YUZEN」新作展覧会の
                                     お知らせ
                    弘道館文化講座のお知らせ
                    たち吉創業260周年イベントのお知らせ
                    「日本謌舞楽会」奉納ツアーのご案内
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』————————– 第七十三幕
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』———- 第五十四回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————– 第五十八回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]7月開講講座のお知らせ

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               □■【連】からのお知らせ■□

 ■河原尚子「I am your YUZEN」新作展覧会のお知らせ

   陶芸家、河原尚子さんの陶磁器ブランド「sione」新作展覧会を弘道館にて開催いた
 します!ミラノサローネでも発表されたこちらの作品、京都ならではの伝統と手仕事に
焦点を当て、「sione」らしい表現方法で展開されます。
   七夕には河原さんによる「夕ざり茶会」が開催されます。まだ若干お席の空きもござ
  いますので、どうぞご参加ください。
 
 期間:7月1日(日)~7月8日(日)
 時間:10時~17時(入場は16時30分まで)
   ※7月7日(土)は10時~12時、17時~21時のみ、
    7月8日(日/最終日)は21時までとなります。
 費用:500円

 「夕ざり茶会」
 日程:7月7日(土)
 時間:17時30分、18時30分、19時30分、20時30分
    ※17時30分のお席は満席となりました。

 「夕ざり茶会」へのお申込みはコチラ
  tea@kodo-kan.com

  弘道館のHPはコチラ
  http://kodo-kan.com/event.html

 ■弘道館文化講座のお知らせ

 「京都文化教養講座1~天皇からみる京都~」

 日 程:7月14日(土)
 テーマ:「後鳥羽帝」
 時 間:11時~12時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 
 連続講座「今様、白拍子、平家物語」

 日 程:7月14日(土)
 テーマ:「頼政の蜂起」
 時 間:14時~15時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:斎藤 興哉(白陵中・高等学校校長)
 参加費:1回2,000円

 「京文化実践基礎講座1〜茶会はじめ〜」

 日 程:7月17日(火)
 テーマ:「茶室についてまなぶ/茶室の入り方、床の間の拝見」
 時 間:10時30分~12時(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:高田 宗真 ほか
 参加費:5回15,000円(生菓子、抹茶付き)

 「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を織る~」

 日 程:7月17日(火)
 テーマ:「遠州」
 時 間:13時~14時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)
 

 「京菓子専門講座〜基礎編〜」

 日 程:7月17日(火)
 テーマ:「講義:祇園会の菓子」
 時 間:15時~16時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:有職菓子御調進所 老松、太田 達、濱崎 加奈子 ほか
 参加費:6回30,000円(材料費込み)

 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 
 お申込み、お問合せはコチラ
 kouza@kodo-kan.com

 ■たち吉創業260周年イベントのお知らせ
 
  陶器ブランドのたち吉創業260年を記念したイベントに老松が参加いたします。
  たち吉が、今注目の作家や京の名品とコラボレーションすることにより「新しい和の暮
 らし」を提案するイベントです。
  お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください!

 日 程:2012年7月7日(土)~13日(金)
 場 所:古今烏丸1Fアトリウム 12時~20時
     (初日13時開場、最終日17時閉場)

 たち吉のHPはコチラ
 http://www.tachikichi.co.jp/

 ■「日本今様謌舞楽会」奉納ツアーのご案内

  鎌倉鶴岡八幡宮のぼんぼり祭り、赤間神宮の大祭にて行われる日本今様謌舞楽会の奉納
 にご参加いただけるツアーです!平安装束を着け舞台に上がっていただけるまたとない機
 会です。
  フランス公演には参加できなかったという方も、ぜひご参加ください!

 鶴岡八幡宮「ぼんぼり祭り」 

 日 程:2012年8月8日(水)
 場 所:鎌倉駅 現地集合
 時 間:11時(今様奉納は15時からです。)
     ※17時頃解散予定
 費 用:護持会会員   8,000円(奉納および衣装貸出し料金)
     非護持会会員 10,000円 
 受付締切:2012年7月20日
     ※昼食をご一緒されない方は、13時に直接鶴岡八幡宮に集合となります。
     ※現地集合現地解散のツアーです。ご宿泊等なさる場合は、各自ご準備下さい。
     ※上記費用に昼食費用は含まれません。

 赤間神宮「赤間神宮大祭」 ※朧谷寿先生による解説ツアー付きです!
 
 日 程:10月6日(土)〜7日(日)
 場 所:下関駅 現地集合
 時 間:13時
 費 用:15,000円〜20,000円(宿泊費、移動費、食費)
     別途5,000円(奉納および衣装貸出し料金)
     ※奉納へのご参加の可否は自由です。
     ※宿泊場所はこちらで用意いたします。
 主要見学場所:
 ・赤間神宮<前身は阿弥陀寺-安徳天皇の霊を祀る>
 ・七盛塚-平家一門の墓◇耳なし芳一堂>
 ・阿弥陀寺陵
 ・壇の浦古戦場-火の山公園展望台、御裳川公園から眺める
 ・平家一杯の水
 ・彦島<引島>-平家の拠点
 ・満珠・干珠-源氏の拠点
   
 ※鶴岡八幡宮、赤間神宮ともに、現地集合、現地解散となります。
 ※上記の費用に現地までの移動費は含まれません。
※お申し込みの際は、お名前、ご住所、ご連絡先(TEL、e-mail)、ご昼食参加の有無
 (鶴岡八幡宮)をご明記ください。

  問い合わせ、申し込みはコチラ 
  imayotour@yahoo.co.jp
  
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                 ■『ニッポン城郭物語』■
                                      
              ー第七十三幕ー  ~旧二条城の話~
                                   梅原 和久

  6月28日、職場のすぐ近くで、また大きな発見があった。織田信長が室町幕府最後の
 将軍足利義昭のために築いた旧二条城(徳川幕府が築いた世界遺産の二条城と区別するた
 め、こちらは一般的に「旧二条城」と称している)の内堀跡が発掘されたのだ(※1)。

  この城については、過去にも一度触れたことがある(※2)が、京都市内の近世城址の
 多くがそうであるように、地上の遺構が皆無である。かろうじて、過去の発掘調査で出土
 した石垣の一部が京都御所内と二条城内の2箇所に移設されているだけである。

  ただ、場所は特定されているので、掘れば確実に遺構が出土する。如何せんその機会が
 少ないために、いまだに幻の城となっているだけなのである。
  旧二条城の遺構が前回発掘されたのは、昭和50年(1975)の地下鉄烏丸線建設工
 事。その際に、大量の石仏や供養碑などを転用した石垣や、堀の一部が検出されている。
 また、この時に外堀と内堀の二重構造であったことや、城の南限と北限も判明していた。

  今回の発掘は、マンションの建設に伴うもの。発掘面積はわずか260平方メートルだ
 が、検出された堀跡は、内堀の西端付近にあたる部分で、深さ約2メートル、幅4.5か
 ら6.5メートルの規模だという。この発掘による最大の成果は、内堀の東西の範囲を推
 定することができるようになったことだろう。旧二条城の内堀は、東西200メートル、
 南北が160メートルという規模であったことが分かったのである。

  このように、現在地上には何もないように見えても、地下に貴重な文化遺産が眠ってい
 ることは日本中どこにでもある。しかも場所が特定されていれば尚更である。そこでこの
 話題。橋下市長が乗り気だという「大阪城でモトクロス」(※3)。大阪を売り出すイベ
 ントなら何でも、という発想は分かりやすいが。
  エレベータのある再建大阪城などに価値はない、文化庁も固いことを言わず許可すべき
 という意見もあるようだが、大坂城の本当の価値は天守にある訳ではない。世界に誇るべ
 きなのは、全国一と言える壮大な規模の石垣であり、そして現在でも地下に眠ったまま、
 幻の城となっている秀吉が築いた大坂城跡そのものなのである。

 (※1)このニュースを映像とともに。
   http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120629/k10013196211000.html

 (※2)転用石材の話の中で、旧二条城が登場する。
   http://archive.mag2.com/0000185716/20070401230000000.html

 (※3)候補地である大阪城西の丸庭園は、秀吉の死後、実質的に政権を掌握した家康が、
   自らの権力を誇示するかのように、もう一つの天守を秀吉の天守のすぐそばに築いた
   ことで有名な場所である。もちろん、過去に発掘されたことはなく、その詳細は現在
   に至るまで不明。
   http://mainichi.jp/area/news/20120602ddf001010004000c.html

           ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■      
 
                   第五十四回       
                                  荻田 みどり

  もうすぐ七夕。『源氏物語』には今でいうイケメンたちが多く登場し、宮中で働く女房
 たちを虜にするが、田舎人の目から見ると、もし彼が慰めをかけてくれるなら、一年に一
 度でも嬉しいと思うほどである。今回はそんなイケメンの中でも光源氏の孫にあたる匂宮
 の話。

  東屋巻で、長年東国の田舎で暮らしてきた浮舟の母が匂宮を垣間見ている。見目麗しい
 上、身分も高く、自分の夫など足元にも及ばない。夫の連れ子の式部丞で蔵人を兼ねてい
 る子が宮中からの使者としてやってきたものの、近付くことさえできかねている。これま
 で夫や継子くらいの人しか周りにいなかった浮舟の母には衝撃的である。これまで、娘浮
 舟の結婚相手を探す際、あまりにも身分の高い人との結婚は、娘がつらい目を見るだけだ
 ろうと思っていた。が、匂宮を見て浮舟の母は考えを改める。

   「この御ありさま 容貌(かたち)を見れば、七夕ばかりにても、かやうに見たてまつ
 り通はむは、いといみじかるべきわざかな」

  匂宮の姿形を見れば、七夕のように一年に一度のようなはかない逢瀬であっても、通って
 きてくださるならすばらしいことだろう、と考える。それほどのインパクトだったのだ。

  その匂宮を浮舟の母の目が追い続ける。匂宮はその目に気付くことなく、妻の中の君に隔
 てなく接するよき夫、子煩悩なよき父というプライベートな姿を見せ続ける。

                ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第五十八回            
                                   井上 年和

 元禄十三年(1700)4月29日
 「一、茶立女之儀、茶屋一軒ニ壱人宛木綿衣類を差せ可指置候事、前々申付候処、此
日猥大勢抱置、絹類之衣類之衣裳ヲも着用致候よし相聞候、不届之候、前々之通急度可
相守之候、向後放埒成仕形於有之者、其身ハ不及申、年寄五人組迄可為越度事、」  
                         『北野天満宮史料 目代記録』

 茶立女に対する触である。茶屋1軒に付き木綿の衣類を着てよいのは1人までで、守
らないと年寄や5人組にまで制裁が及ぶという。

 日本では身分制度の維持を図る観点から服装規定が度々定められたが、古代、中世に
おいては、其の対称は貴族、官人であった。
 しかし、近世に入って江戸幕府が発令した贅沢を禁じる法令・命令は、士農工商を問
わなかった。

 寛永5年(1628)には農民に布・木綿の制限をし、下級武士に対しては紬・絹まで
とされ贅沢な装飾は禁じられた。その後も寛永19年(1642)には襟や帯に絹を用いる

を禁じられ、脇百姓の男女ともに布・木綿に制限され、紬が許された層でもその長さが
制限された。翌年の「土民仕置覚」では紫や紅梅色を用いる事が禁じられている。農民
に対してはその後も寛文7年(1667)、天明8年(1788年)、天保13年(1
842年)に繰り返し同様の命令が出されている。

 武士や町人に対しても寛文3年(1663)には「女中衣類直段之定」が定められ、当
時の上皇や御台所の衣装代にまで制約をかける等、徹底的な緊縮策を計った。その後も
天和3年(1683)、貞享3年(1686)、元禄2年(1689)には呉服屋に販売制
限を設けたり、正徳3年(1713)には「女中衣類直段之定」を再発令、享保3年(1
718)には「町触」の公布にあわせ町人の下着まで贅沢な振る舞いがないか監視し、
延享2年(1745)には贅沢な衣装を着ていればその場で没収する指示が出ており、
また、天保の改革においても厳しい奢侈禁止令が実施されている。

 しかし、このような指示が度々出されたにも関わらず、命令が遵守されたのは直後の
みで、時間が経つにつれて違反するものが相次いだ。更に、上の身分の者が奉公などの
褒賞として下の者に下賜された衣装を実際に着用した場合には、儒教における「忠」の
観念から黙認せざるを得なかったために、規制が形骸化する根拠を幕府自身が作る事に
なってしまった例もあった。

 今日のようにきらびやかな衣装をまとった芸舞妓を見られるようになったのも、様々
な変遷を経ているのである。

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 7月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:7月4、18日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:7月1、21、28日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:1、21日10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
     28日のみ 9時〜12時、15時〜19時
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ■「今様・白拍子教室」
  日程:7月14、28日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:14日10時〜11時
     28日13時〜14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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                 ■□■ひとこと■□■
  もうすぐ夏ですね。
  皆さんは水無月を食べられたでしょうか。
  私も先日、夏に向けて無病息災を願いつついただきました。
  日焼け対策をしつつ!気分は梅雨を過ぎて夏へ向かっています。 

                                   (いまむら)
  
      [次回は、7月15日(日)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。