嵯峨野文化通信 第11号

☆★☆————伝統文化プロデュース【連】メールマガジン—————-
       〔嵯峨野文化通信〕 第11号 2006年7月15日
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 伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
 ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

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 ○●○ もくじ ○●○

  1.【連】からのお知らせ
  2.京都をめぐる歳時記 〜大暑の章〜
  3.(連載)『新・都鄙の連関』 第5話
  4.(連載)『京都文化警察』 第5章
  5.メンバー紹介

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§――1.【連】からのお知らせ―――――――――――――――――――――§

○「第2回 ビアラベルコンテスト」開催のお知らせ

 上七軒の夏の風物詩といえば、上七軒歌舞練場のビアガーデン。その歌舞練場の
レトロな雰囲気ただよう舞台に、全国から応募いただいた40本余りの風情豊かな
ビアラベルを並べ、訪れた方に楽しんでもらうとともに、上七軒や花街の歴史と文
化に思いをはせてもらうイベントを今年も開催します。
 ビアラベルを見に来られた際には、気に入ったラベルに投票していただけると嬉
しいです。(※なお、観覧には、ビアガーデンへの来場が必要になります)

 [日 程]7月18日(月)〜(8月中旬までを予定しています)
 [時 間]午後6時〜10時
 [場 所]上七軒歌舞練場

●上七軒歌舞練場のホームページ
http://www.maiko3.com/

§――2.京都をめぐる歳時記 〜大暑の章〜 ――――――――――――――§

 二十四節気は、1太陽年を日数や太陽の黄道上の視位置によって24等分し、そ
の分割点を含む日に季節を表す名称を付したものです。

 7月23日〜8月7日は、二十四節季の一つ「大暑(たいしょ)」です。夏の土
用が大暑の数日前から始まり、大暑の間中続きます。『暦便覧』には「暑気いたり
つまりたるゆえんなればなり」と記されています。

 日本では梅雨が明け、快晴が続き気温が上がり続ける頃です。学校は夏休みに入
り、空には雲の峰が高々とそびえるようになります。小暑(7月7日〜22日)と
大暑の1ヶ月間が暑中で、暑中見舞いはこの期間内に送ります。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜「大暑」の時季を楽しむために〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○花傘巡行

 花傘巡行は7月の24日に行われます。それまでの後の祭りの山鉾巡行が昭和4
0年を最後に17日の先の祭りと合併されたことにともない、翌41年に創設され
た行事です。

 そもそも山鉾巡行は、神事である17日の神幸祭、24日の還幸祭を民衆の側か
ら盛り上げようという意味合いが強いわけですが、これが、神輿を迎える17日に
はあるのに、これを帰す24日に行われないのは寂しいというので、八坂神社の唱
導で花傘巡行は始まりました。花傘巡行は、山鉾巡行と異なって芸能的色彩が非常
に濃く、巡行する者と観る者との祈りを共にする一体感の感じられる祭です。花傘
10余基を中心に、祇園囃子、祇園太鼓、六斎念仏、子供神輿、武者稚児など総勢
1,000人の行列が京の町を練り歩きます。

 [日時]7月24日(月) 午前10時〜
 [巡行順路]
    ‖
   祇園石段下(八坂神社) → 四条河原町 → 御池通 → 寺町通 → 四条通 →
   東大路通 → 神幸通 → 八坂神社

●八坂神社のホームページ
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/yasaka/

§――3.(連載)『新・都鄙の連関』 第5話―――――――――――――――§

            ―下関篇1―    太田 達

 下関の東亜大学で、映像民俗学の会があった。日帝支配時代の韓国の映像が見ら
れるというので訪ねることにした。
 新下関駅下車。のぞみ、ひかりはあまり停車しない。京都から直接乗り換えなし
に行くには1日2、3本であろうか。山陽新幹線沿線の、それも停車駅があるわけ
なのだから、本来ならばその利便性に感謝しなければならない。にもかかわらず、
とっても不便な、僻地に来たかと思われる。東海道新幹線の開通の1964年。京
都には停車させないという話があったらしいが、もしそうなっていれば、現在の京
都はずいぶん違っていただろう。現在において都鄙の連関を書こうというような生
意気な発想も生まれなかったかもしれない。京都も現在の奈良のようになっていた
かもしれないということだ。良きにしろ悪しきにしろ、である。文化の伝播は、交
通。要は、トランスポーテーションおよびネットワークがいかに大切かであるかを
認識したところで、本題へと入ろう。
 長府の一宮、住吉神社を訪ねた。駅からタクシーを利用した。思ったよりメータ
ーがあがる。京都のタクシー運賃が異常に安いからそう感じるのかもしれない。が、
それだけではない。道は曲がりくねり、アップダウンが多い。低い山が入り組んだ
複雑な地形である。リアス式海岸線のようだ。だが、今は海から遠い山の中にある
住吉社も、その神名のとおり、海神である。古代には海岸線にあったようだ。
主祭神は、表筒男(うわつつのお)・中筒男(なかつつのお)・底筒男(そこつつ
のお)の三神で、綿津見(わたつみ)の神とともに筑紫の日向の橘の小戸(おど)
の海中から生まれた神である。
                                 (つづく)

§――4.(連載)『京都文化警察』 第5章――――――――――――――――§

 7月初旬、【連】の事務局はワールドカップの仕事でドイツ・ベルリンに出張し
た。東西ドイツ統一から17年。まだまだ東西の経済格差は残るが、是正のための
さまざまな努力が重ねられている。
 旧東西ベルリンの街を歩き比べてみると、今でも明らかに違っている。旧西ベル
リンは進駐軍のアメリカそのもの。アメリカの田舎街といった風情。それに対し、
旧東ベルリンは、ドイツの旧中心街。ドイツ人が作った都である。知的な雰囲気と
傷跡も含めた歴史を残す古い街並みは、自然、歩いていても心豊かになるようで楽
しい。事実、観光ツアーの8割は東を回るという。ベルリンの西と東は、アメリカ
とヨーロッパの縮図を見るようだ。経済至上主義の価値観と、文化歴史への誇りと。
まさに、世界の縮図でもあろう。
 さて、旧東ベルリン市街を歩いていたら、突然、[E=mc2]という巨大な文字のオ
ブジェが現れてビックリ。ご存知アインシュタインによる質量とエネルギーの関係
式だ。じつは、同じような巨大オブジェが街中にあわせて6つある。
 サッカーシューズ、薬剤、車、出版、音楽、相対性理論。この6つである。
 1954年にDasslerファミリー(後のアディダス)が発明したサッカーシューズ、
レントゲンをはじめとする医療器機やアスピリンなどの薬剤の開発、アウディ、ベ
ンツ、BMWなどの車、カント、ゲーテ、マルクス、ヘッセなどの偉大な思想家や文学
者と出版技術、バッハ、ベートーベン、ブラームスなどの作曲家と数々の音楽・・
・。これらはすべてドイツで生まれた。そこで、「ドイツはアイデアの国」という
スローガンにより、ワールドカップ期間限定で作られたのが、この巨大なオブジェ
群「Walk of Ideas」だった。街を歩きながら、ドイツの文化と歴史を再認識しても
らう仕掛けだ。いずれも、だれもが知っている名であり、モノであり、そして、ど
れもがプラチナ色の巨大オブジェという統一されたデザイン。設置場所もよく考え
られていて、オブジェのもつ思想に適した場所にある。たとえば、「出版」のオブ
ジェは、幅3mくらいの本が17冊、高さ12mほど積み重なった形をしており、
それぞれの本の背には、トマスマン、シラー、ヘーゲルといった著者名が記されて
いる。彼らを輩出したフンボルト大学の前の広場に設置されているのだが、ここは、
ナチスに反する書物が全て焼かれた場所でもある。今もなお世界に影響を与え続け
る思想家たちの書が、まさに焚書の現場に積み上げられているという、いかにもわ
かりやすい仕掛けになっている。これを見た外国人は、いや、ドイツ人もまた、ド
イツの歴史に対する誠意と文化の深さを一瞬して理解するだろう。
 さて、京都は歴史と文化の都市と、誰もが知りながら、どんな偉大な人物
を生み、どんな技術が世界人類の役に立っているだろうか?
 京都の重要人物を10人挙げよと言われて即座に答えられるだろうか? さあ、
一緒に考えてみよう・・・いやいや、これは宿題ということで。お返事お待ちして
います。                          
                              (京雀+伯林雀)

     ※京都文化警察では、みなさまからの告発を募集しています!
      ☆目撃情報は、こちらまで。→sagano@ren-produce.com☆

§――5.メンバー紹介―――――――――――――――――――――――――§

 【連】のメンバーによる、自己紹介のコーナー。
11人目に登場するのは、木寸上(むらかみ)さんです。

 鼓のイベントをきっかけに、【連】に参加しています。

 参加当時はシステムエンジニアでしたが、【連】を通じて「人と関わることのお
もしろさ」に目覚め、「結婚式やイベントに生演奏の奏者を派遣する」という仕事
を立ち上げました。

 RENの「EN」は、「縁」だと思います。【連】でさまざまな縁をプロデュースする
お手伝いができれば、と思っています。

○O+編集後記+O○*****************************************************

 皆さんは、浴衣をどんな時に着ますか?

 「浴衣」は、平安時代の頃、高貴な人々が入浴の際(当時は蒸し風呂)に着た「
湯帷子(ゆかたびら)」という麻の単(ひとえ)からきているそうです。庶民に浸
透する間に、素材も麻から綿へ。やがて現在の様に風呂が湯船に浸かる習慣になる
と、湯上がりに着る木綿の衣類を「浴衣」と呼ぶようになりました。やがて夏のく
つろぎ着や普段着として定着し、今では夏イベントのおしゃれ着のように楽しむ存
在となっています。また、ゆかたは着装方法の名称でもあり、主に紬や綿の普段着
を、襦袢(半衿)を使わず直接身につける着方を浴衣と言うそうですよ。

 これからも、【連】では様々なイベントの開催予定や、日本の文化・歳時記など
について皆さんに、どんどんお伝えしていきます。

   [次の発行は、8月1日(火)の予定です。次回も、お楽しみに!]
                                  (治)
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。