嵯峨野文化通信 第131号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第131号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
    嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                      毎月1日・15日(月2回)
 
                ■VOL:131(2011/7/15)

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               ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ——————-弘道館のお茶会のご案内
                   「京都文化絵巻」が開催されます
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』— 第三十二回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』———————– 第三十五回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]7月・8月開講講座のお知らせ

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             □■【連】からのお知らせ■□

 ■弘道館のお茶会のご案内

  有斐斎 弘道館の今月のお茶会は、山鉾巡行の17日に行われます!
  祇園祭の中で、有名な辻回しが行われるのはこの日になります。巡行を
 見学し、その後庭園を眺めながら、暑さを忘れて一服いかがですか。
  ご予約なしでも、当日お気軽にお越しいただけるお茶会となっておりま
 すので、どうぞお誘い合わせの上、お越しください。

 日程:7月17日(日)
 時間:11時~15時 
 場所:有斐斎 弘道館
 参加費:1,500円(申込不要)

  また、8月には「暁天茶会」を予定しております!
  朝早く、まだ涼しいうちにいただく朝がゆと薄茶、そして楽しいお話を
 お楽しみください。
  日程:8月21日(日)
  時間:午前8時~10時
  場所:有斐斎 弘道館
  参加費:3,000円(要予約)
 ※予約が必要です。残席わずかですので、お早めにお申し込みください。
  先着順となりますので、定員に達してしまった場合はご容赦ください。

 有斐斎 弘道館HPはコチラ
 http://kodo-kan.com/tea.html

  お問合せ・お申込みはコチラへどうぞ
  電話 :075-441-6662
  メール:info@kodo-kan.com

 ■「京都文化絵巻」が開催されます

  京都府では、今年(平成23年)10月29日(土)から11月6日(
 日)まで行われる「国民文化祭」の開催に合わせ、今年を「京都文化年」
 とし、さまざまな文化事業を催す取り組みをしています。そのシンボル事
 業として、「ほんまもんの文化」を見て、知って、感じる「京都文化絵巻」
 事業を開催します。
  その中で、進行役として、伝統文化プロデュース【連】代表の濱崎加奈
 子が出演します!
  第1回めには「王朝人が愛でた芸能」として、日本今様謌舞楽会のメン
 バーが出演し、今様を舞いうたいます。
  京都のさまざまな芸能を目にすることができますので、ぜひご参加くだ
 さい!

  「王朝人が愛でた芸能(古代=平安時代)」

  日程:8月27日(土)
  時間:19時~20時30分
  場所:下鴨神社 舞殿(京都府京都市左京区下鴨泉川町59)
  出演:平安雅楽会・・・・・・・・・・・神楽(御神楽)、雅楽・舞楽
      大原魚山塾・・・・・・・・・・・・・・聲明(しょうみょう)
      日本今様謌舞楽会・・・・・・・・・・・・・・・白拍子・今様
  講師:朧谷壽(同志社女子大学名誉教授)
  進行役:濱崎加奈子(伝統文化プロデュース【連】代表)
  定員:300名
  参加料:おひとり1,000円(高校生以下無料)

  ※お申込みが必要です。
   往復はがきでお申し込みください。2名様まで申し込みが可能です。 
   往信の裏面に、
    参加者氏名(ふりがな)、郵便番号、住所、連絡先電話番号、メー
    ルアドレス(お持ちの方のみ)、プログラムの日時、高校生以下
    の方は学校名・学年
   を必ず記入ください。
   返信のあて名面に、申込者(代表者)の郵便番号、住所、氏名を記入
   し、以下の住所へお送りください。なお、2名でお申し込みの場合、
   同伴者の氏名(ふりがな)・連絡先等も記入してください。

  お送り先はコチラ
  〒602-8570(住所不要)
   京都府 文化環境部 文化芸術室「京都文化絵巻」係

  お問合わせはコチラ
  電話:075-414-4224
  FAX:075-414-5137
  メール:bungei@pref.kyoto.lg.jp

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          ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■       

                  第三十二回       

                            荻田 みどり

  前回、桐壺更衣の死を嘆く桐壺帝が食欲をなくしていることについて紹
 介した。食欲がないことが3パターンに分けて描かれていることに注目し
 たい。

  (1)ものなどもきこしめさず、
  (2)朝餉(あさがれひ)の気色(けしき)ばかりふれさせたまひて、
  (3)大床子の御膳(だいしやうじのおもの)などは、いとはるかに思
    しめしたれば、陪膳にさぶらふかぎりは、心苦しき御気色を見たて
    まつり嘆く。

  まず、(1)「もの」などを食べられない、とは食物全般を指す。基本
 的に、桐壺帝は食欲を失っている。
  次に、(2)「朝餉」は朝餉の間で食べる内々の食事である。(1)の
 表現に反し、内々の食事であれば少しばかり箸をつけるという。
  最後に(3)「大床子の御膳」は、天皇がとる正式な食事である。これ
 については、召し上がらないとかそれ以前に、とてもはるか遠くのものに
 思う。
  天皇の職務でもある儀礼的な食事には箸をつけ、プライベートの食事は
 しないというのが普通であるように思われるが、桐壺帝は逆なのである。
 桐壺帝は天皇としての立場さえ放棄したくなるほどの悲嘆に包まれている。
  古川美千代氏は、「純粋な精神的拒食として捉えるのではなく、悲哀表
 現を伴った、意図的かつ積極的な職務放棄の実行と考えるべき」と述べる。
  自分が天皇でなければ、桐壺更衣は他の女御更衣にいじめられることも
 なく、早逝することもなかったかもしれない。もっと長く同じ時間を過ご
 せたかもしれない。たとえ死すとも、死の間際まで付き添い最期を看取っ
 てやれたかもしれない。
  そんな思いが桐壺帝の中にうずまいて、天皇としての自分を投げ出した
 くなる。この衝動の手始めが、「大床子の御膳」を遠ざけることであった
 のだろう。

  (参考文献)古川美千代「拒食する桐壺帝―「桐壺」巻を中心に―」(
        『物語文学論究』12号、2007年3月)

               ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第三十五回              

                             井上 年和

   天文十四年(1545)10月8日
   「戊戌天晴、(中略)広橋父子、藤黄門父子、予、中御門、薄、若王子
   令同道、万部経へ参詣、先北野社に参詣、路地にて牧雲斎参会、同道
   万部経聴聞、以外群集、市屋共不知数有之、様々勧進難尽筆舌、」
                             『言継卿記』

  山科言継が北野経王堂での万部経会に参詣した。思いの他人が多く群集
 しており、それを目当てにした臨時の小屋掛けも数多くあり、様々な芸能
 や催しが行われていたことを記している。

  万部経会は明徳二年(1391)12月の内野合戦での戦死者が、亡者
 となって凄惨を極めた戦場を苦悶しつつ彷徨っているという噂を耳にした
 義満が、一周忌に内野で修したのが始まりである。

  応永年間になると、万部経会の仮屋は北野の右近馬場に設置され、応永
 八年(1401)に経王堂が建立された。万部経絵は通常10月の10日
 間と決められており、また、千部経会も時折執行され、これは3月に集中
 していた。

  第20回(平成22年12月1日 第116号)では、永享十年(143
 8)3月27日に、『看聞日記』の作者である伏見宮貞成親王が酒宴を開
 き、また、第23回(平成23年1月15日 第119号)では、天正十一
 年(1583)8月12日に『言経卿記』の作者である山科言経が、千部
 経を聞いた後に曲馬乗りの見物をしたことを紹介させていただいた。

  経王堂での万部経会、千部経会での描出は他にも様々な記録に見いださ
 れるが、絵画資料としては永禄年間頃の景観年代を示すとされる『洛中洛
 外図(上杉家本)』では、「北野きやうだう」と示される堂内に、所狭し
 と僧侶が着座し、縁側や境内に参詣人が腰掛けたり、佇んだりしている光
 景が描かれている。北側では幔幕を張って酒宴が行われているが、少人数
 で伏見宮貞成親王ほどの盛大さはないようだ。

  しかし、洛中洛外図で描かれているということは、万部経会が当時の画
 家にとって、北野社を代表するような表現方法であったのであろう。

  室町将軍の北野社参籠による田楽や猿楽等の大々的な興行がなくなり、
 万部経会、千部経会も僧侶が削減されるなど、幕府からの補助は減ってい
 ったが、天神講等の他の行事も年中コンスタントに行われ、それらに併せ
 た出店や芸能は一向に衰えず、むしろ庶民の芸能が勢いを増していくので
 ある。

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   □■[嵯峨野学藝倶楽部] 7月・8月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:7月16日(土)、31日(日)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※31日は、日曜日となります。日にちが変更となっておりますので、
   お気をつけください。
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:7月27日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

■「今様・白拍子教室」
  日程:8月13日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13日・・・13時~14時(合同稽古)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ※「うたことば研究会」は、7月はお休みです。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■

  梅雨も明けて、夏らしい日が続きますね。
  今年の祇園祭の山鉾巡行は、17日の日曜日。京都への旅行を検討して
 いらっしゃる方も、多いのではないでしょうか。
  この日は弘道館にて、お茶会を開催いたしますので、ぜひお立ち寄りく
 ださい。

                              (まつだ)

  [次回は、7月15日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。