嵯峨野文化通信 第21号

☆★☆————伝統文化プロデュース【連】メールマガジン—————-
     〔嵯峨野文化通信〕 第21号 2006年12月15日
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 伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
 ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

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 ○●○ もくじ ○●○

  1.【連】からのお知らせ
  2.京都をめぐる歳時記 〜冬至の章〜
  3.(連載)『新・都鄙の連関』 第11話
  4.(連載)『京都文化警察』 第11章
  5.メンバー紹介

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§――1.【連】からのお知らせ―――――――――――――――――――――§

 来年1月に開講する[嵯峨野学藝倶楽部]の各種講座の日程と内容についてお知
らせします。1回のみの参加も可能です。どうぞ、お気軽にお越しください。今年
に引き続き、来年も[嵯峨野学藝倶楽部]をよろしくお願いいたします。

 【連】が主催する〔嵯峨野学藝倶楽部〕は、日本の伝統文化を気軽に楽しく体験
すると同時に、より深く学ぶことができる場として様々な講座を開講しています。

○「京都歴史講座」

講師:中村武生氏
タイトル:「寺町・その後―苦闘の400年」
日時:1月21日(日)午後1時〜2時(60分)
参加費:1回1,000円

○「うたことばを遊ぼう」

講師:田口稔恵氏
タイトル:「桃山の巻」
日時:1月13日(土)午前10時〜11時(60分)
参加費:1回1,000円

○「サロン文化史〜食の立場から〜」

講師:太田 達氏
タイトル:「桃山の巻」
日時:1月13日(土)午前11時〜12時30分(90分)
参加費:1回2,000円(3回5,000円)

§――2.京都をめぐる歳時記 〜冬至の章〜 ――――――――――――――§

 二十四節季とは、1年を24等分にし、その区切りごとに名前をつけ、現在でも、
季節の節目節目を示す言葉として使われています。12月22日〜1月4日は、そ
のひとつ「冬至(とうじ)」です。

 冬至は、一年中で最も夜の長い日です。この日を境に、日脚が徐々に伸び始める
ことから、古くは、この日を年の始点と考えられていました。『暦便覧』では、「
日南の限りを行て、日の短きの至りなれば也」と説明しています。日本では、この
日に冬至風呂(柚子湯)に入り、小豆粥や冬至南瓜(かぼちゃ)を食べて、無病息
災を祈る行事を各家庭で行います。また、これらを行うと、風邪をひかないとも言
われています。中国北方では餃子を、南方では湯圓(餡の入った団子をゆでたもの)
を食べる習慣があるそうです。

 冬至は「とうじ」と読みます。湯につかって病を治す「湯治(とうじ)」にかけて
いるそうです。更に「柚(ゆず)」も「融通(ゆうずう)が利(き)きますように」とい
う願いが込められています。5月5日に「菖蒲(しょうぶ)湯」に入るのも、「(我
が子が)勝負強くなりますように」という、ゆず湯と同じ「願かけ」なのです。

♪冬至の風習♪

 現在では、季節に関係なく野菜が手に入りますよね。でも、西洋野菜が日本に入
ってくるまで、この時季に取れる野菜は少なく、保存できる野菜も少なかったそう
です。日本かぼちゃは、16世紀中頃、ポルトガル船によってカンボジアからもた
らされました。「かぼちゃ」の名は、このときの伝来先に由来しています。そして、
かぼちゃは江戸時代に庶民にも普及し、江戸時代中期から風邪や中風の予防にかぼ
ちゃを冬至に食べる風習が根付いたといわれています。これは当時、冬場のビタミ
ン類の不足を補うため、かぼちゃしかない時代に始められた風習なのです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜「冬至」の時季を楽しむために〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○八坂神社・鑚火式&をけら詣り

 12月28日、八坂神社では、『鑚火式』(さんかしき)が行われます。これは、
大晦日から元旦の朝にかけて授与される、おけら火の火種を起こす神事で、火のつ
き方などで翌年の吉凶を占います。午前5時、前夜から潔斎した頭に烏帽子を被っ
た、狩衣姿の宮司が、檜の杵と臼で擦り合わせて浄火を鑽(き)り出し、「おけら灯
籠」に移します。その火は、本殿内に年中絶やすことなく灯しつづけられています。
そして、大晦日、午後3時より『大祓式』が行われ、午後7時に『除夜祭』が行わ
れ、祭典後、境内3ヶ所の「おけら灯篭」に「おけら火」を移します。「をけら参
り」の名の由来は、灯篭に厄除けとして効果があるとされる朮(おけら)の根茎がく
べられることからきています。参詣者は、このおけら火を竹の繊維でできた吉兆縄
に移し、途中で火が消えないようにくるくると回しながら持ち帰ります。そして、
神棚の灯明につけ元旦の大福茶や雑煮の火種として用い、1年の無病息災を願いま
す。また、燃え残った火縄は「火伏せのお守り」として、台所などにお祀りします。
おけらは火で燃やすと臭いがでるので、昔の人は、それが疫神を追い払うと考えた
ようですが、実際その根は古くから漢方の健胃薬として知られています。山野に生
えるキク科の多年草で、かつては京都市周辺の山麓に広く自生して、大原女が売り
歩いたと言われています。平安時代より、正月の行事に欠かすことのできない屠蘇
散(とそさん)にも主薬として配合されていました。

☆「をけら詣り」に行ってみよう ☆

 12月31日の午後11時ころ〜1月1日の午前5時ころまで、四条通は歩行者
天国になります。四条通は多くの人で埋め尽くされますが、「百聞は一見に如かず」
新しい一年の無病息災をお願いしに、出掛けてみませんか?

[場所]:八坂神社(東山区祇園町北側625番地)

§――3.(連載)『新・都鄙の連関』 第11話―――――――――――――――§

            ―五島篇―    太田 達

 「みみらくの島」ー。この島をご存知ですか。

  ありとだによそにても見む名にし負はば
   われに聞かせよみみらくの島

 『蜻蛉日記』の康保元年(964)、作者の道綱母が頼りにしていた実母を失った
時の歌である。道綱母は承平6年(936)頃生まれ、本朝第一の美人と伝えられた。
時の権力者、藤原兼家に求婚され、右大将道綱を生み育てた。その前文はとても興味
深いものである。一応、自分を価値のないものとしながらも、この作品をまだ誰も試
みていない自伝的作品としており、そこには、すさまじい文学的野心を感じる。また、
自己主張の正当化への意欲は並々ならぬものがある。その面白さはひとまず置いて、
冒頭の「みみらくの島」に戻ろう。「みみらくの島」は、長崎県五島列島の福江島の
北側、三井楽町といわれている。歌の大意は、「亡くなった人の姿が見えるという伝
説の島、みみらくの島がどこにあるかだけでも教えて欲しい。遠くからでも母の姿が
見てみたいものだ」というほどのもの。現在でも五島は秘境である。悪い意味ではな
く、私が小学生時代、五島の風土病としての象足病というものを教えられた記憶があ
る。西の最果てである。十世紀の大宮人の社会では、異界への入口であった。
                                  (つづく)

§――4.(連載)『京都文化警察』 第11章――――――――――――――――§

            ゴミと街路樹 ―京都市黄色問題―

○この秋、京都中の街角は黄色く色づいた。何かといえば、ゴミ袋の話である。10
月から京都市ではゴミ袋が有料化となった。全国の先例に見習ったというが、果たし
てその功罪はいかに。市の説明によれば、ゴミ袋有料化によってゴミの量を減らすこ
とになり、環境問題にもよし、財政も潤うという、いいことづくめの方策という。だ
が、一体これで環境問題への解決になるのだろうか。確かに、財政は、30リットル
のゴミ袋が1枚45円という税収入によって潤うはずだ。また、ゴミ袋有料化によっ
て減ったゴミの分、他県からのゴミも自慢のクリーン施設で処理できる。ということ
で、二重に収入が得られるという。そう、京都市のクリーン施設は、分別せずとも何
もかも燃やせるという自慢の施設だ。当然、巨額の税を投入してきた。そもそも、税
金を使って作った施設を使って市民に還元せず、さらにゴミ袋有料化によって負担を
増やそうとするとは。いや、それでも一歩譲って環境問題への配慮がようやく始まっ
たということにしたにしろ、有料化施行後、はたしてゴミ問題は改善されたのかとい
うと、そうではないだろう。みなさんお気づきのように、ゴミの回収が遅くなってま
せんか。今まで朝8時に回収されていたゴミが午後になっても残っているところが多
いのにお気づきではないだろうか。ゴミが昼を過ぎても道路脇にある町! 有料にな
ったとたんに回収が遅くなったとは。一般の経済論理からすれば逆も逆ではないか。
環境課の職員の不祥事を出すまでもなく、市民は怒りを爆発させなければならない。

 ちなみに、本題からはずれるが、他府県から来た人が京都に来て驚くのは、ゴミが
町内毎にまとまって出されていない地域が多いこと。1軒毎に一つずつゴミ袋が軒先
に出されているという路地も少なくない。ほんの3メートル毎にゴミが並んでいる・
・・異様な光景だ。ゴミの出しかた一つから、その街の文化がわかるというもの。と
もかくも、黄色い有料ゴミ袋が街中に長時間放置されているのだけは許せない。景観
条例もよいが、その前にやるべきことがあるのでは。

○ゴミの話の次は、街路樹の話。新丸太町通りを双ヶ丘から愛宕に向かっての直線通
り。銀杏の街路樹が等間隔に並び、京都的とは言えないのだが、それはそれで秋の美
しさを予感させてくれる。五月の若葉、真夏の木陰、そして、11月を迎え、いよい
よ黄色く色づきはじめ、その美しさまであと2週間かな、と思った時のことである。
「うっ・・・葉がない。枯れ葉の世界!」何とそこには、京都市指定の造園業者のト
ラック。「何をするんだ!」 そういうことが、市内でままある。葉が散った後では
回収が大変なんだろうか。ギンナンがくさいんだろうか・・・。京都市は、だしか、
門掃き運動を奨励していたのではなかっただろうか。とにかく、税金の無駄使いとし
か思えない。みなさんも共に怒ってください。
                                  (京雀)
     ※京都文化警察では、みなさまからの告発を募集しています!
      ☆目撃情報は、こちらまで。→sagano@ren-produce.com☆

§――5.メンバー紹介―――――――――――――――――――――――――§

 【連】のメンバーによる、自己紹介のコーナー。
21人目に登場するのは、tawawaさんです。

 私が【連】に出会ったのは、大学四年の春です。建築系の大学に通っていて、友
達と京都の都市の成り立ちについて調査していて、古地図を探して濱崎さんに連絡
をとったのが最初のはずが、いつのまにかイベントのお手伝いや上七軒歌舞練場の
測量にもお邪魔して、今では、始まりってなんだったっけなぁ。という感じです。

 今年は新社会人としての生活で、【連】の活動には全然参加できていないので、
今後もっともっと、色々なイベントの場に行きたいと思います。

○O+編集後記+O○*****************************************************

 2006年、今年最後の〔嵯峨野文化通信〕となりましたo(^○^)o 今年1
年間お世話になりました。今年の2月末に創刊号を発刊以来、臨時号を含めると今
号で21号のメールマガジンになります。ここまでやって来られたのも、皆様のお
陰と心から感謝いたしております。来年も〔嵯峨野文化通信〕をよろしくお願いし
ます。

 2007年の干支は「猪(いのしし)」ですね。猪の肉は、万病を防ぐと言われ、
無病息災の象徴とされているそうです。皆さまにとって最高の1年となりますよう、
お祈りしております(*’-^)-☆

 これからも、【連】では様々なイベントの開催予定や、日本の文化・歳時記など
について皆さんに、どんどんお伝えしていきます。
   [次の発行は、1月1日(月)の予定です。次回も、お楽しみに!]
                                  (治)
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。