京菓子デザインを考えるヒント(第14回)

~第14回「色絵石垣文角皿」をもとに(実作)~

京菓子展「手のひらの自然」では、展示する京菓子のデザインを年齢、国籍、プロ・アマ問わず、幅広く募集しています。昨年は「琳派」というテーマに沿った376点の意欲的な作品が集まりました。
当ブログでは、本年の応募者の参考になればとの思いから、2015年の入賞作品と講評などをあらためて紹介(順不同)しています。
今回、取り上げるのは茶席菓子実作部門で大賞となった作品「角彩」です。

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【銘】角彩(素材/練り切り製)
【入選者名】福島幸治

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<コンセプト>
琳派の特徴の一つともいえる装飾性を活かすべく、鮮やかでモダンな色使いをそのまま再現。また、モチーフの角皿の「角」の部分を切り取った市松模様でさらに四角く成型し、いっそう現代風に仕上げた。
<先生方の講評>
新しい息吹を感じた作品。
今回のテーマである「琳派」は日本のデザインの始まりと言われる。対象物をデフォルメ、形や色のパターン化など、作品にリズムをつくりだす技などもここから始まっている。その視点で見た時に、この作品はあたかもモンドリアンの絵を見るようであった。そこに、京菓子デザインとして今までにない新しさ、斬新さを感じた。さらに、京菓子としてもしっかりと作られている。
伝統を引き継ぐ人には、攻めの姿勢が必要だ。「温故知新」という言葉がぴったりくる作品であろう。銘については再考の余地があると思われる。更なる研鑽を期待したい。

【参考作品】尾形乾山「色絵石垣文角皿(いろえいしがきもんかくざら)」(京都国立博物館 蔵)

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今年のテーマは「蕪村と若冲」です。みなさんも新しい京菓子のデザインに挑戦してみませんか? 締め切りはいよいよ明日、9月10日(土)。必着です!
※デザイン部門の募集もあります

「手のひらの自然―蕪村と若冲」展2016
公式HP : http://kodo-kan.com/kyogashi/

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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