嵯峨野文化通信 第56号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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              〔嵯峨野文化通信〕 第56号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

   伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)

★VOL:56 (2008/6/1)
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  ○【連】からのお知らせ———————————楽町楽屋「ひらめい展」
                              日菓「明かり亭 落語会」
                             「嵯峨野学藝倶楽部」パンフ完成
  ○(連載)『京都タイムトラベル』———————–物吉村(ものよしむら)
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』————–第二十九幕 〜狭間(さま)の話〜
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]6月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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 ○楽町楽家「ひらめい展」
  【連】のスタッフが関わっているイベントのご案内です。
  京町家ネット(NPO法人京町家再生研究会・京町家作事組・京町家友の会・京町家
 情報センター)主催の「楽町楽家」では、住まいとしての町家の良さをいろいろなイベ
 ントを通して体感してもらおうと、これまでも多種多様な催しを企画されてきました。
 2007年度からは新たな取り組みとして、町家空間での「ひらめき」を作品とした
 「ひらめい展」なるアートイベントを催されています。
  その一つに、立命館大学映像学部有志による「ちょっとまちや」プロジェクトがあり
 ます。
  町家初体験の学生たちは、どのようなひらめきを作品にしたのでしょうか。ギャラリ
 ーTerraにて、今日6月1日まで開催中です。お見逃しなく。

 詳しくは「楽町楽家’08」のホームページへどうぞ。
  http://www.kyomachiya.net/rakumachi/new/08event.html#38

 
○日菓「明かり亭 落語会」
 【連】の活動に協力してくださっている日菓さんが、和菓子にまつわる落語会を開催さ
 れます。

 日程:6月25日(水)
 時間:開場18時30分、開演19時
 入場料:1500円(お土産付)
 場所:ギャラリー・モーネンスコンビス
   (堀川通丸太町下ル 駿台予備校横、株式会社エーワンテックビル3階)
 出演:笑福亭瓶成、桂 都んぼ

 参加されたい方は、予約をお願いします。
  詳細は日菓さんのホームページへ
   http://nikkakyoto.exblog.jp/

 
○「嵯峨野学藝倶楽部」の開講日案内パンフレットについて
  7月から行われる講座の予定を記載したパンフレットが出来上がりました。
 ご希望の方、お店などに置いてくださる方は
  【連】sagano@ren-produce.com
 までご一報ください!
 

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             (連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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                物吉村(ものよしむら)        太田 達

  前号で述べた「天狗の酒盛」の行われた愛宕念仏寺は、現在、嵯峨鳥居本深谷、まさ
 に嵯峨野の最深部・化野の奥清滝隧道の手前、鬱蒼と木々が生い茂る愛宕一の鳥居北東
 の山中に位置している。天台宗延暦寺派の寺である。
  先述のとおり、大正14年(1925)までは東山区弓矢町にあった。この町は松原
 大和大路近辺のエリアであり、江戸時代の祇園感神院(八坂神社)の犬神人(つるめそ)
 の居住区と物吉村を含んでいる。犬神人はもともと平安朝官衙の兵部省に属し、弓矢や
 皮沓などの兵器製造に従事していた者たちで、11世紀の中頃、八坂の神人と化し、河
 原に土地を与えられた。この地はかつて前瀬崎(ぜぜがさき)と呼ばれていたことから
 もわかるように、鴨川の河原である。また、松原通は秀吉の時代までは五条通であり、
 弓矢町のあたりは坂下、坂面と呼称されていた。古代、中世的にいうなら、河原と坂は
 令外の世界、異界と異界の交わるところである。

  『京都坊目誌』には「寛文8年(1668)の頃、此の所は、原と非田院に分属する
 癩病患者を休養する私立病院あり岡崎より分離せしが如し」とある。中世、癩者は宗教
 者としての法名をもっていた。光明皇后の説話からも明らかなように、「癩者」は「文
 殊菩薩」の化身とされた。徳川幕府の階級政策において、非人のなかでも最下層に位置
 づけされた彼らこそ「聖」と「賤」の両義を有していたのだ。五節句の折々、彼らは市
 中を勧進し「ものよし」の呼び声で縁起ものの門付をした。覆面姿の異形の様は、懸想
 文売りなどの『職人歌合わせ』に見られる中世商人たちの姿と通じるところがある。
  そして、物吉村の中には長棟堂という浄土宗寺院があり、安倍晴明を祀った晴明社が
 あった。江戸期においては観光名所の観もある。『京都坊目誌』であったか思い出せな
 いが、興味深い記述が残っている。真面目に勧進する「癩者」からピンハネする輩がい
 るし、彼らは似非の非人であるというようなものであろう。まさに現在の役所における
 同和行政の問題となんら変わっていない。

  中学2年の頃、何を思ったのか今でも判らないのであるが、青年の主張コンクールと
 かいうものに出てしまった。当時、鴨川の橋の下に住まいする友達のことから、穢多、
 サンカなどについて「現代の差別と偏見」という演題で「プレジュデイスが、どったら
 こったら」などと述べ、くそ生意気な嫌なガキという感じだったのだが、本人はいたっ
 て真剣であった。しかし、途中でストップがかかった。副題として「汚れなき心をもと
 めて」とつけることで続行できた。参考に使おうとした明治初年の地図も検閲された。
 その事を思うと、今はとても真実が語りやすくなったと思う。しかし、今でも、公の場
 で花街の歴史を語るとき、娼妓のことを取り上げることは難しく感じる。中学生ではな
 いが、汚れなき心の自覚をもって、歴史的事実と正対すべきであろうと願いつつ。

                                    −了− 

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                          (連載)『ニッポン城郭物語』
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              ―第二十九幕―  〜狭間(さま)の話〜
                                   梅原 和久

  この連載において、脈絡もなく私の気まぐれで登場する「城を楽しむための基礎知識」
 の第4弾は、狭間(さま)について。狭間とは、敵から身を隠しながら矢や鉄砲を放つ
 ための、小さな窓のことである。土塀等に穿(うが)たれた○や△の穴だ、と言えば、
 「あぁ、あれか」と、思い出される方もおられるだろう。狭間は城の防御・攻撃機能の
 中でも代表的なものであり、これの有無が寺院等の建築との大きな違いである。また、
 機能的なものでありながら、狭間が並ぶ姿は意匠としても美しく、これまた城の特徴と
 なっている。まずは狭間の代表選手のご紹介。

  1.矢狭間 :穴の形は縦長の長方形。弓は立ってひくのが基本なので、比較的高い
         位置に多い。

  2.鉄砲狭間:穴の形は丸や三角形。鉄砲は片膝をついて構えるため、矢狭間より
         一段低い場所に配される。

  これらは外から攻撃されにくくするため、そして広角に攻撃ができるようにするため
 に外側の穴は小さく、内側は大きいのが特徴である(この技法を専門用語で「アガキ」
 という)。また、外部から中の様子を窺い知られることのないように、同じ種類の狭間
 を並べない(=同じ高さに穴をあけない)というのも 工夫の一つである。結果として、
 これによって外観から単調さが消え、独特の美が産まれてくるのだ。(※)

  そして、名前に「狭間」は付かないが、もう一つの代表が「石落とし」である。石落
 としは一般的には「石垣を登ってくる敵に、石や熱湯、時には糞尿を落としたりするた
 めのもの」と説明されることが多く、現地の説明板や書籍の多くもこの説を採用してい
 る。しかし、投石による攻撃は確かに強力だが、攻め手としては石落としのないところ
 を登りさえすれば簡単に攻略できることになってしまう。石落としは、建物の直下まで
 接近してきた敵を狙撃するための狭間なのだ。

  3.石落とし :櫓等の建物の角などに設けられた壁面の出っ張り。下向きに鉄砲を
          撃ちかけるためのもの。他の狭間より開口部が大きいため、より広
          い範囲を攻撃できる。

  この他、石垣の石を削って直接作る「石狭間」や、蓋を設けることで外から見えにく
 くした「隠狭間」といったものもあるが、とりあえず上記3つで充分であろう。次に城
 を訪れる際には、狭間の配置の妙や、狭間を覗き込むことで得られる当時の城の守備兵
 の視点などを楽しんでもらいたい。

  ※これは現存している城の話である。復元された城の場合、狭間を装飾としか考えて
   いないのでは?と思われる、とんでもない配置もある。復元設計者の無理解による
   ものとしか言いようがない。例えば、甲府城の復元土塀はこんな感じ。
   http://www.uraken.net/museum/castle/shiro14.html
   狭間の位置は適当だし、外側の穴の方が広いという訳の分からないものもある。
   甲府城は、他の部分では丁寧な復元作業を行ってるだけに惜しい。

                                   (つづく)
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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部]6月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/から

 ★「花街文化講座」
  日程:6月7日(土)
  時間:午前11時〜12時30分(90分)
  内容:「伊勢参りと花街」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※「花街文化講座」は6月で終わります。
  7月からは新講座「京文化を語ろう」になります。

 ★「京文化を語ろう」
  日程:7月12日(土)
  時間:午前11時〜12時30分(90分)
  内容:「土産」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※歴史的な茶店での宴会も予定しています。
  1回のみの参加も、受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:6月14日・21日・28日(いずれも土曜)
  時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越しください)
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:6月4日、18日(いずれも水曜)
  時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越しください)
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「京都歴史講座」
  日程:6月8日(日)
  時間:午前11時〜12時30分(90分)
  内容:「宇治」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。

   7月からはタイトルが変わり、「京都史跡ものがたり〜三宅安兵衛の石碑をたずね
  て」が始まります。

 ★「京都史跡ものがたり〜三宅安兵衛の石碑をたずねて」
  日程:7月20日(日)
  時間:午前11時〜12時30分
  内容:亡父の遺言、京都に石碑を建立す
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:6月14日、28日(いずれも土曜)
  時間:午後1時〜2時(60分)
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。
   源氏物語千年紀にちなんだ勉強会やイベ ントも予定しています。

  ※華道教室も開講しています。
   お問合せください。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  今回はじめてメルマガの編集作業に携わりました。
 苦手なパソコンでの作業に、ボタン一発でデータが全て消えたりして、何度も相棒に
 SOSメールを出し・・・
  本当にパソコンは奥が深いですね。
 でも、日常の生活ではわからない舞台裏を勉強させていただき、楽しんでいます。
 次回からも2人で頑張っていきますので、よろしくお願いします!!(まつだ)

     [次回は、6月15日(日)に配信予定です! 次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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