「有斐斎弘道館での作業を通して」

 今夏、インターンシップの学生さん5名が、2日間びっしりと弘道館の

「清掃、草引き、庭そうじ」に従事してくださいました。

今回はその学生さんから代表して、中村右門さんが、実習で体験したこと、

考えたこと、感じたことを素直に綴ってくださった文章をご紹介します!
掃除’’三昧’’は、彼らに何をもたらしたのでしょうか。

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「有斐斎 弘道館での作業を通して」
           2015年夏期インターンシップ実習生
                   代表   中村 右門

私たちインターン5名は、8月14日(金)と14日(土)の二日間

歴史情緒溢れる場、弘道館でインターシップ実習をさせていただきました。
まず、初めに社長さんから弘道館についての話をお聞きし、江戸中期の京都を

代表する儒学者、皆川淇園が解説した学問所であることがわかりました。

そして、淇園は開物学という独自の学問を創設し、詩文や書画にも優れていた

風流人であり、門弟三千人と言われている偉大な人であること、また、弘道館の

今の土地がマンションになりかけたという事実を聞き、驚きでいっぱいでした。

しかし、有志の方たちの活動により守られていると聞き、歴史的・文化的に

価値のある場が残ることになったことに感銘を受けました。
 私たちインターンシップ実習生5名が、二日間の弘道館での実習を通し、共通して

得たことは大きく分けて三つあります。
 一つ目は、目的意識をしっかりと持ち、考え、行動することの大切さです。
単調な庭掃除だと捉えるのではなく、完成像をイメージ、細部にまで目を凝らし、

取り組むことが重要だということです。この庭を見ることになるお客様という存在を

念頭に置くことで、より丁寧により繊細に作業に取り組めるということです。

そうすることで作業後、充実した気持ちになり、達成感を感じることもできるようになりました。

 二つ目は心遣いの気持ちです。「いつでも、どこでも他人から見られている、

また、思われている」という意識の中で一つ一つの作業に携わると、

自然と自分を律することができ、相手のことを考え、思いやる気持ちがうまれてきます。

その気持ちは、共に作業する仲間へでもあり、何より迎え入れるお客さまに対し、

とても重要なことだということを学びました。
 

三つ目は美的センスです。弘道館という人を豊かにしてくれる空間での作業一つ一つに

センスが問われていました。

庭の空間を多角的に見ることで複数の印象が与えられます。
そのため、庭石や敷石と緑のバランスや境界線を考え、庭の清掃にあたらなければ

なりませんでした。

このような体験は非日常的で、五名それぞれの感受性が少し豊かになりました。

 私は、8月7日(金)、8日(土)、9日(日)の三日間、一人だけ

弘道館で行われている活動に参加しました。

実際に京菓子を自分でつくる「ワークショップ」、「信仰からみる京都」という定例講座、

そして「暁天茶会」です。どれも、とても内容が濃く、自分にとって意味のあるものでした。
 京菓子の「銘」と呼ばれる一つ一つの名前、その意味、そして形や色の奥深さ、

京都の信仰や宗教をひもとき、京都を知りました。

また、茶会を通して、ふるまいや作法を教わり、実践し、体感し、日本人の美学に

触れることもできました。私は、この三日間で今まで体験したことのなかった、

日本固有の文化にしっかりと触れることが出来ました。

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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