嵯峨野文化通信 第230号

 伝統文化プロデュース 【連】メールマガジン   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)_________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第230号
        (____________________*°。・゜。。・゜。

 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

     嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

              毎月1日・15日(月2回)

                   ■VOL:230(2015/9/2)
   
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                 ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ———- 弘道館講座のご案内
                  展覧会「鈴木智美展」を開催します
                  京菓子デザイン公募のお知らせ
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』——————– 第百十二回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』——————– 第百三十一回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]9月開講講座のお知らせ

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

             □■【連】からのお知らせ■□ 

 ■弘道館講座のご案内

 京文化教養講座1「信仰からみる京都」

 日 程:9月12日(土)
 時 間:11時~12時30分(90分)
 講 師:太田 宗達(立命館大学非常勤講師)
 テーマ:「月見と月の思想」
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 京文化教養講座2「茶の湯の文化を識る」

 日 程:9月24日(木)
 時 間:13時~14時30分(90分)
 講 師:太田 宗達(立命館大学非常勤講師)
 テーマ:「金森宗和」
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 英語で伝統文化「茶道編」~BOOK OF TEAをよむ~

 日 程:9月24日(木)
 時 間:18時30分~20時(90分)
 講 師:田中 朝子(通訳翻訳家)
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 詳しくはコチラ 
 http://kodo-kan.com/seminar.html

 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com

 ■展覧会「鈴木智美展」を開催します

  昨年度の「手のひらの自然ー京菓子と琳派」展においてデザイン大賞を受賞した
 鈴木智美氏能古店を開催します!
  鈴木氏は日本文化を独自の視点で捉え直した作品を制作しており、本年のミラノ
 サローネで好評だった椅子をはじめ、弘道館の日本建築に着想を得て制作した新作
 を展示します。 
  弘道館の佇まいと現代の若い感性のコラボレーションをお楽しみください!

 日 程:9月15日(火)〜9月27日(日)
 時 間:10時〜17時(16時30分最終入館)※最終入館
 場 所:有斐斎弘道館
 入館料:500円
     ※別途500円で茶菓子あり
 
 詳しくはコチラ 
 http://kodo-kan.com/event.html

 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com

 
 ■京菓子デザイン公募のお知らせ
  
  京菓子のデザイン公募を募集します!入選作品は10月に開催する「手のひらの
 自然ー京菓子と琳派」展 2015において展示いたします。また、今年は本会場の
 有斐斎弘道館のほか、特別会場として、京都高島屋での展示も予定しています。
  たくさんのご応募をお待ちしています!

 テーマ:「琳派が描く自然」
     琳派と京菓子に共通する特徴の一つに豊かな自然描写が挙げられます。ど
     ちらも京都、日本の表情豊かな自然を巧みに写し取り、作品化しています
     。琳派の作品に見られる自然描写を新たな感性で京菓子に表現する、その
     ような作品を期待します。

 募集要項:「京菓子デザイン部門」
      デザイン画でご応募いただく部門。入選デザイン画は菓子職人により
      実作し、展示します。
      「茶席菓子実作部門」 
      茶席菓子(いわゆる上生菓子)を実作される方を対象にした部門。
      「工芸菓子実作部門」
      工芸菓子・その他(干菓子も含む)を実作される方を対象にした部門。
 
 応募資格:京菓子デザイン部門:京菓子、琳派に興味のある方。
      茶席菓子・工芸菓子実作部門:自身で茶席菓子・工芸菓子の作品を制作
      できる方。
      ※年齢、国籍、プロ・アマは問わない。

   賞 :大 賞(各部門より1点)
      優秀賞(各部門より数点)
      入 選(各部門より10点程度)
 
 応募締切:2015年9月20日(日)必着

 くわしくはコチラ(「手のひらの自然ー京菓子と琳派」展 2015 HP)
 http://kodo-kan.com/kyogashi/ 

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          
 

■『ニッポン城郭物語』■
                 -百十二幕-
                                梅原 和久

  最近のニュース2題。まず、日本最北の現存天守がある弘前城から。桜で有名な
 弘前城だが、天守のある本丸の東面石垣には以前から膨らみがあり、石垣が崩落す
 る危険性が指摘されていた。上に建物が乗っている石垣を修理するには、上部建物
 を解体するか、移動するしかない。今回の弘前城の場合は、建物をそのまま移動す
 る「曳家」を選択することになった(※1)。古民家等の曳家はよく行われるが、
 城のような巨大な建物の曳家を行う例は、それほどあるわけではない。阪神・淡路
 大震災で被害を受けた明石城の修理の際に、2棟の3層隅櫓が曳家されたことがあ
 る(※2)くらいだろうか。
  ただ、弘前城にとって、天守の曳家を行うのは、実は2度目である。明治時代に
 も同様に石垣の修理を行ったが、その際にも同じような位置に移動しているのだ。
 この時は20年近くかかっているが、今回の工事も10年程度の工事期間が見込ま
 れている。
  この間の観光客の減少を少しでも食い止めようと、市民や観光客が実際に天守の
 曳家を体験できるイベントを行ったり、石垣修理の様子を見ることができる展望デ
 ッキを設けたりするようだ。姫路城の天守修理の見学が人気を博したように、この
 期間の弘前城も、非日常の姿を見ることができるチャンスだとも言えるだろう。
  
  次は、名古屋城。以前から河村市長がブチ上げている「天守の木造再建」につい
 て、ついに調査費の予算案が議会に提出された、というニュース。
  名古屋城天守は、昭和まで残っていたこともあって、完全な形で再建できるだけ
 の資料が大量に残っているとはいえ、あの史上最大級の天守を、しかも市民からの
 多額の寄付を受けて建てられた現在のコンクリート天守を破壊した上で木造再建す
 る、というのは相当ハードルが高いと思われる。
  ただ、仮にこの予算が認められると、実現に向けた大きな一歩となる。名古屋の
 9月市議会は要注目である。

 (※1)このページでは「曳屋」という漢字を使用している。  
  http://www.hirosakipark.jp/ishigaki.html
 (※2)明石城の修復を担当した企業のページ。地震被害の跡が痛々しい。  
  http://imasegumi.co.jp/CL02/detail.php?no=003
 (※3)名古屋城木造化へ調査費 市、初の予算案提出へ
  http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015082490144726.html

             ■『北野の芸能と茶屋』■
                  
               -第百三十一回-
                                井上 年和

  大正十五年(1926)7月 「上七軒の巻(その1)」

 「上七軒遊廓の沿革
  上七軒遊廓の沿革は史実に因ると文安元年(1444)室町武営の頃、北野社の
 社殿が焼失したので時の足利将軍は所司代細川勝元に命じて社殿を造営させたが其
 際社殿造営の残木を用ひて附近の松原に七軒の茶店を建築し参詣人の休憩所に充て
 たので人呼んで七軒茶屋と称へた。其後豊臣秀頼公社殿の修造あるや参詣人頗る多
 く随って七軒茶屋も繁盛したので茶菓のみでは物足らず遂に酒肴に亞ぐに絃歌を以
 てし茶立女、茶汲女、所謂公許せられない遊女の数増加しこヽに遊廓の濫觴を作っ
 たのである。」
                          『技芸倶楽部4巻7号』
 
  技芸倶楽部では、各花街の沿革が掲載されている。上七軒についても誰がどの様
 にして調べたのかは判らないが、おおよそ今伝えられている沿革と同じような内容
 が記述されている。

 ただし、細かいところで上七軒歌舞会のホームページ(以下HP)で記載されている
 内容と相違があって照合してみると、文安元年(1444)に北野社の社殿が焼失
 し、七軒の茶店を建築したのは、技芸倶楽部では「附近の松原」となっているが、
 HPでは「東門前の松原」となっている。七軒茶屋は、近世の絵図史料では、北野社
 東門前に位置しているので、HPの方が研究の成果が反映されていると言えるが、中
 世から七軒茶屋が建っていたかは、確実な史料が見当たらないため、改めて検証す
 る必要がある。

  次には豊臣秀頼公が社殿を造営した時、つまり慶長12年(1607)年頃に茶
 立女、茶汲女等の遊女が増加したとある。
  しかし、「言経卿記」には慶長3年(1598)に「北野社へ参詣、茶屋にて盃
 酌」とあって、慶長の造営より20年前から既に北野社門前の茶屋で酒肴が振る舞
 われていたことが判るし、北野社東門前で開催された「やや子をどり」(出雲の阿
 国の歌舞伎)の状況を描いていると思われる洛中洛外図(サントリー美術館蔵)で
 は、東門前に遊女が散見され、慶長初期には遊女が北野社東門前に出現していたと
 考えられるのである。

 そして、これによって上七軒が「遊廓の濫觴(らんしょう)・・・起源」となっていった
 のかはこれまた非常に解釈に疑問が残り、根拠のない沿革は、再検討の必要が多分
 にあると考えられるのである。
  

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

        □■[嵯峨野学藝倶楽部] 9月開講講座のお知らせ■□

   詳しくはhttp://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日 コース)」
  日 程:9月2、16、23、30日(水)
  時 間:9時~14時(ご都合の良い時間にお越しください)
      23日のみ9時〜18時
  講 師:西村 宗靖・太田 宗達
  場 所:嵯峨野三壷庵
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日 コース)」
  日 程:9月6、20日(土)
  時 間:9時~18時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講 師:西村 宗靖・太田 宗達
  場 所:嵯峨野三壷庵
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ■「今様・白拍子教室」
  日 程:お問い合わせください。
  場 所:嵯峨野三壷庵
  時 間:13時~14時30分
  講 師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。
  今様のお問い合わせ、お申し込み、見学はコチラまで→info@imayou.jp
   URL:http://www.ren-produce.com/sagano/club/

  お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

  URL:http://www.ren-produce.com/sagano/club/

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

                ■□■ひとこと■□■
    
      まだまだ残暑は残りますが、だいぶ涼しくなり鈴虫の音色が
      秋を予感させまね。芸術の秋、京菓子展の公募お待ちしております!
   
   

     [次回は、9月15日(土)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。