嵯峨野文化通信 第132号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第132号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
      嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                   ■VOL:132(2011/8/4)

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               ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ———-世京都学公開講座のお知らせ
                   「京都文化絵巻」が開催されます
                  「ちちんぷいぷい」へ出演します
                   今週の「京bizS」に濱崎が出演します!
            『花園』連載のお知らせ
         『婦人画報』掲載のお知らせ
  ■(連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』———– 第三十七回
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』————————— 第六十四幕
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』——- 第三十三回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————— 第三十六回
  ■(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——————第九十二首
  ■祇園祭八坂神社奉納のご報告
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]8月開講講座のお知らせ

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  いつも本メルマガ「嵯峨野文化通信」をお読みいただき、ありがとうござい
ます。
  今回、発行が予定日を大幅に遅れましたことを、お詫びいたします。
  これからも、「嵯峨野文化通信」をよろしくお願いいたします。
                               編集部一同

             □■【連】からのお知らせ■□

 ■近世京都学公開講座のお知らせ

  江戸時代の儒者・皆川淇園の建てた私塾の跡地である、弘道館において、近
世京都学公開講座が行われます!
  近世京都学会と弘道館の共催で、近世京都学会会員の先生方による講演をお
楽しみいただけます。
  ぜひ、ご一緒に近世京都のゆたかな知の世界を探訪しましょう。
  どうぞお気軽にお申込みください。

  第1回近世京都学公開講座
 
 日程 : 9月25日(日)
 時間 :14時~16時
 場所 :有斐斎弘道館(上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1)
 プログラム:講義1 竹中泉美氏(朱雀高校)
            「女流漢詩人江馬細香の誕生 頼山陽の批点から」
        講義2 勝盛典子氏(神戸市立博物館)
            「笹屋と青貝屋 輸出漆器をめぐって」
 参加費:1,000円(要申込、近世京都学会会員は無料)
 定員 :先着40名様まで
 主催 :有斐斎弘道館
 共催 :近世京都学会

 ※参加ご希望の方は、近世京都学公開講座事務局(koudoukan@s-off.com)
  までメールいただくか、075-315-9070までFAXをお願いいた
します。(どちらも、有限会社セクレタリー・オフィス・サービス宛)

 弘道館のHPはコチラ
 http://kodo-kan.com/event.html

 ■「京都文化絵巻」が開催されます

 10月29日(土)から11月6日(日)まで行われる「国民文化祭」のシ
ンボル事業として、京都市では「京都文化絵巻」が開催され、さまざまな伝統
芸能が実演されます!
  また、専門の講師による時代背景や、演者へのインタビューが行われ、その
中で、進行役として、伝統文化プロデュース【連】代表の濱崎加奈子が出演し
ます!
  京都のさまざまな芸能を目にすることができますので、ぜひご参加ください!

 <プログラム>

 「王朝人が愛でた芸能(古代=平安時代)」
 8月27日(土) 19時~20時30分
 下鴨神社 舞殿にて(京都府京都市左京区下鴨泉川町59)
 出演 :平安雅楽会・・・・・・・・神楽(御神楽)、雅楽・舞楽
     大原魚山塾・・・・・・・・聲明(しょうみょう)
     日本今様謌舞楽会・・・・・白拍子・今様
 講師 :朧谷壽(同志社女子大学名誉教授)
 進行役:濱崎加奈子(伝統文化プロデュース【連】代表)
 定員 :300名

 「武士が好んだ芸能(中世=鎌倉時代~室町・戦国時代)」
 9月9日(金) 18時30分~20時30分
 金剛能楽堂にて(京都市上京区烏丸通中立売上ル)
 出演 :金剛流 金剛永謹宗家・・・・・・・・・・・能
     大蔵流 茂山千五郎・七五三・正邦・・・・狂言
     宇治田楽まつり実行委員会・・・・・・・・田楽
 講師 :山路興造(芸能史研究会代表委員、民俗芸能学会代表理事)
 進行役:濱崎加奈子
 定員 :400名

 「庶民が育んだ芸能(近世・近代=安土桃山時代~江戸時代~明治~)」
 9月23日(金) 14時~16時
 祇園甲部歌舞練場にて(京都市東山区祇園町南側570ー2)
 出演 :京舞井上流 井上八千代家元・・・日本舞踊(舞)
      竹本千歳大夫、鶴澤清志郎・・・・浄瑠璃(素浄瑠璃)
      京都三曲協会・・・・・・・・・・ 三曲(筝、三味線、尺八)
 講師 :久保田敏子(京都市立芸術大学、日本伝統音楽研究センター所長)
 進行役:濱崎加奈子
 定員 :800名

 ※いずれの日にちも、参加料はおひとり1000円です。(高校生以下無料)
 ※お申込みが必要です。
  希望する回ごとに、往復はがきでお申し込みください。   
  1通につき希望回1つ、2名様まで申し込みが可能です。ただし、複数回の
お申込みは可能です。
  往信の裏面に、参加者氏名(ふりがな)、郵便番号、住所、連絡先電話番号、
メールアドレス(お持ちの方のみ)、希望回、高校生以下の方は学校名・学
年を必ずご記入ください。
  返信のあて名面に、申込者(代表者)の郵便番号、住所、氏名を記入し、以
下の住所へお送りください。なお、2名でお申し込みの場合、同伴者の氏名
(ふりがな)・連絡先等も記入してください。

  お送り先はコチラ
  〒602-8570(住所不要)
  京都府 文化環境部 文化芸術室「京都文化絵巻」係

  お問合わせはコチラ
  電話:075-414-4224
  FAX:075-414-5137
  メール:bungei@pref.kyoto.lg.jp

 ■「ちちんぷいぷい」に出演します!

  毎日放送の番組「ちちんぷいぷい」の「ただいま修行中 大吉京平への道」
において、【連】の太田達が出演します!
  アナウンサーの大吉洋平さんが、京都の名店に住み込み、「京都のこころ」
を学ぶという内容の番組です。今回は有職菓子御調進所「老松」で働き、有斐
斎弘道館にてお茶のこころを学びます。
  普段では知ることのできない名店の伝統が垣間みれます。ぜひ、ご覧くださ
い!

  「ちちんぷいぷい」 太田達が出演するPVの日程は下記のとおりです。
  8月5日(金)14時55分~17時45分放送

  HPはコチラ
  http://www.mbs.jp/puipui/

 ■今週の「京bizS」に濱崎が出演します!

  【連】代表の濱崎加奈子が、KBS京都の経済情報番組「京bizS」にて、
今週、コメンテーターとして出演いたします!
  毎月、第1、第5金曜日に出演しており、番組後半の「京都びじねす温故
知新」というコーナーを担当しています。ぜひご覧ください!

  KBS京都「京bizS(キョウビズエス)」

  日程:8月5日(金)
  時間:21時25分~22時25分

  番組表はコチラ
  http://www.kbs-kyoto.co.jp/now_on_air/tv.htm?p=5 

 ■『花園』連載のお知らせ

  妙心寺が発行している月刊のエッセイ集『花園』にて、伝統文化プロデュー
ス【連】のメンバーが交代で連載しています!
  8月は、本メルマガでも「北野の芸能と茶屋」を執筆してくださっている、
井上年和さんが担当です。「雄勝~石に託して~」と題して、宮城県の雄勝町
で採れる石について、書いておられます。
  ぜひ、お手にとってご覧ください!

 妙心寺HPはコチラ
 http://www.myoshinji.or.jp/book/

 『花園』のお問合せ・ご注文は、花園会館部「頒布課」まで
 TEL:075-467-2990

 

  ■『婦人画報』掲載のお知らせ

  先日125号でお知らせしました、5月15、16日に奈良県桜井市多武峰
の談山神社にて行われた翁奉納の内容が8月1日発売の『婦人画報』9月号に
掲載されています。
  【連】代表の濱崎が15日の講演で司会を行った他、【連】が奉納の裏スタ
ッフとして活躍いたしました。ぜひ、ご覧ください!

  「翁」を題に、観阿弥以来二十六世となる観世宗家によっておよそ四百年ぶ
りにこの春”能楽の故郷”奈良・談山神社に奉納された特別な儀式の謎に迫っ
ております。
  
  『婦人画報』HPはコチラ
  http://www.hearst.co.jp/product/fujingaho
  

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            ■『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』■

                    第三十七回
                                太田 達

  7月京都は、祇園祭で盛り上がる、特に今年は宵山、山鉾巡行が連休と重なり、
また早い梅雨明けにより雨に悩まされる事なく、多くの人出で賑わった。17
日の山鉾巡行を以て祭終了の感がある。また、多くの人が、17日で終わった
と思ってられるのではないだろうか?
  祇園祭は、17日の三基の神輿の渡御、24日の還行祭があり、晦日日31
日の疫神祭を以て終了する。この時、八坂神社から、粽が祭関係者に下賜され
る。
  粽には、「蘇民将来」の神符がついている。八坂社の西門をくぐった右手の
疫神社には茅の輪が作られ掲げられる。これは、旧暦の6月の「大祓え」であ
る。
  粽は、元々茅につつまれていたが、その葉のもつ成分による抗菌作用を教え
るものであり、より抗菌性が強く、その葉の形状により巻きやすい笹に移行し
てゆく。
  昭和40年くらい前は、山鉾巡行の時、鉾の上から撒いたものであったが、
現在では、各山鉾において鉾町町内の子供達が「粽要りませんか」と独特の節
回しで販売する。しかし、この粽は中身がない、京の町衆はこれを、各家の玄
関に掲げ蘇民将来の伝説にあやかろうとする。

              ■『ニッポン城郭物語』■

              ─第六十四幕─  ~櫓の話~ 

                              梅原 和久

  これまでの連載でも度々、何の説明もなく登場している櫓。今更ながら今回
は、改めて櫓について簡単にその種類と見方について解説しておこう。

  櫓は、古代から集落の見張り台、所謂「物見」として建てられたのが始まり
である。戦国期に到るまで、防御と見張りのための仮設の建造物だった櫓が、
防弾と防火を配慮した土壁を備え、屋根を瓦で葺いた恒久的な建物になったの
は信長以降の近世城郭の登場から。その形状と用途によって、いくつかの種類
に分けることができる。

  まずは形状。櫓の階数と屋根の数によって呼び名が決められた。五階櫓や三
重櫓といったものがそれである。屋根の数は「重」や「層」で数えた。なお、
一階建の櫓は平櫓と呼ばれた。
  曲輪の端に配置された櫓は隅(すみ)櫓と言った。南櫓、西櫓のように東西
南北も名前に使われたが、最も多いのは丑寅(うしとら:北東)、辰巳(たつ
み:南東)、未申(ひつじさる:南西)、戌亥(いぬい:北西)などの方位を
名に持つものである。他にも、1階と2階が同じ大きさの櫓は重箱櫓、長屋状
の建物は多聞櫓、平面が菱形の櫓は菱櫓と呼ばれた。

  次に用途である。櫓は物資を貯蔵するための倉庫としての役割もあったこと
から、櫓内に収納したものによって名前が決められた。例えば武具櫓、旗櫓、
塩櫓、干飯櫓などなど。変わったところでは人質櫓、銭櫓、茶壺櫓なども実在
した。
  また、櫓の役割による分類として、時を告げるための太鼓櫓や鐘櫓、兵の参
陣を確認するための着到櫓、納涼のための涼櫓、その名の通り月見櫓や花見櫓、
富士山をのぞむ位置に築いた富士見櫓などがあった。

  その他、移築された櫓の出身城を示す伏見櫓・宇土櫓・清洲櫓、人名を付け
た源之進櫓や監物櫓、身も蓋もない単なる記号のイ・ロ・ハの櫓や一番櫓二番
櫓等、大きさも形状も異なる様々な櫓が近世城郭を彩っていた。今後櫓を見る
ときの参考にしていただきたい。

          ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■       

                  第三十三回       

                              荻田 みどり

 
  前回、桐壺更衣の死により、桐壺帝が日常の食事よりも、天皇の公務である
「大床子の御膳」を遠ざけることについて触れた。天皇は食事さえ公的な物に
なりうる。
  ただし、「食欲がない」ということが重要なのである。この場面の直前には、
桐壺更衣をいじめ抜いた弘徽殿女御(こきでんのにょうご)のもとで月の宴が
行われている。

   風の音、虫の音につけて、もののみ悲しう思さるるに、弘徽殿(こきでん)
には、久しく上の御局にも参(ま)う上りたまはず、月のおもしろきに、
夜更(ふ)くるまで遊びをぞしたまふなる。

  季節はしみじみとした秋である。桐壺帝は風の音や虫の音につけて、訳もな
く物悲しく思うのに、弘徽殿女御は月が美しいと、夜が更けるまで管絃の遊び
をなさっている。
  心がしめつけられる自然の音を掻き消すような楽の音が、桐壺帝には面白く
なく、不愉快に思われる。弘徽殿女御にとっては、いつまでも桐壺更衣の死を
嘆き悲しんでいる帝に対しての当て付けだろう。自身は身分も高く、東宮を産
んだ母であるという自負がある。それにもかかわらず、死してもなお帝の心を
惑わせ続ける桐壺更衣が憎らしいのである。
  管絃の遊びには勿論食事もついてくるだろう。音に食に、こうした弘徽殿女
御の様子を聞き、桐壺帝は余計に食欲を削がれる。帝としての自分を投げ出し
たくなるのは前回述べた通りである。
  弘徽殿女御の賑やかさが耳に入ることによって、桐壺帝はより心を閉じ、食
事をも遠ざけたくなるのだろう。

  
               ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第三十六回              

                               井上 年和

   永禄十年(1568)3月29日
   「葉室令同道、北野之千部経へ参詣。自去廿一日有之。次、手くヽ(傀儡)
初而見物之。驚目者也。」
                               『言継卿記』

  北野の千部経に併せ、傀儡(くぐつ)が来ていたようだ。

  傀儡とは日本の中・近世に、人形芝居を見せるなどして諸国を旅した漂泊の芸
能者集団で、平安後期に書かれた大江匡房による『傀儡記』では「傀儡者。無定
居。無当家。穹廬氈帳。遂水草以移徒。頗類北狄之俗。男則皆使弓馬。以狩猟為
事。或雙釼弄七九。或舞木人闘桃梗。能生人之態。殆近魚龍蔓蜒之戯。變沙石為
金銭。化草木為鳥獣。能■人自。女則為愁眉啼。粧折腰歩齲歯咲。施朱傅粉。倡
哥淫樂。以求妖媚。(後略)」とあるように、定まった家が無く、穹廬氈帳(き
ゅうろせんちょう 蒙古のパオのようなもの)を住居とし、水草を逐って移動し、
北狄(ほくてき 北方の遊牧民)の暮らしに似て、男は弓馬を使って狩猟を行う
かたわら、奇術・幻術を行い、「木人」(人形)を舞わし、女は化粧をして今様
などを謡い、客を引く特異な風俗の民であったと伝えられる。

  しかし、早くにこの両者は分離したようで、女の長者によって率いられた傀儡
は、今様・朗詠を謡って旅情をなぐさめ、酒席・宴席に侍るなど、水辺の遊女と
ほとんど変わらぬ営業形態であった。

  傀儡が貴族・武士と交わした話柄は、紀行や軍記に多くとどめられ、枚挙にい
とまがない。
 青墓・墨俣宿では、後白河法皇今様を伝えた傀儡が多く、青墓の長者大炊(お
おい)は源氏の棟梁為義・義朝父子と深い関係にあり、平治の乱で義朝一行が敗
走する際には大きな助力を与えている。

  一方、寛正二年(1461)10月10日には、足利義政が北野経堂での盡経
聴聞の帰途、通路の清掃に当たった西京散所の者が、仮屋でアヤツリ物をしてい
たのを見物していたらしいが、これも傀儡と推測されている。

  また、『鹿苑日録』によると、慶長十五年(1610)には金閣寺の住職であ
る西笑和尚も抃踊や小人嶋とともに傀儡を見物している。

  享保十五年(1730)の『絵本御伽品鏡』では、傀儡師として箱の上で動物
の人形を操っている姿が描かれており、「どのような操しややら古は東の野上今
西の宮」とあって、近世にはすでに傀儡といえば傀儡女ではなく、傀儡師を指し
ていたようだ。

  山科言継が初めてみて驚いた傀儡も操り人形であろうが、北野の千部読経にあ
わせその他にも様々な出し物が開催されていたのである。

 
             ■『やまとのくには言の葉のくに』■          

                   第九十二首               
  
                                田口 稔恵

    夏衣たちわかるべき今宵こそひとへにをしき思ひそひぬれ
                       (村上天皇『拾遺和歌集』別離)

 (薄い夏の衣を裁断して分けるように、あなたと別れねばならない今夜は、ただ
もう名残惜しい思いだけが感じられるのだ。)

  「夏衣」という語から、明けやすい夏の夜の逢瀬を詠んだものと判る。幸せの
絶頂であるはずの逢瀬の最中に、その後の別れの哀しさを想像しているのだろう
か。
  「たちわかる」は「裁ち分かる」「 立ち別る」の、「ひとへに」は「偏に」
「単衣に」の掛詞となっている。
  「単衣に」は「夏衣」の縁語でもあって、掛詞としての訳は持たない。
  訳に反映されなくともイメージの重層性を生む。このような「見えないお洒落」
が日本人は古来より大好きだ。

  村上天皇は、『古今和歌集』の編纂を命じた醍醐天皇の皇子で、第62代天皇。
藤原忠平亡き後、摂関を置かず親政を敷き、後に「天暦の治」と称えられた。

  古より、為政者は政治そのものへの専門性に匹敵するほどの多方面への学問と
技芸を修めることが求められた。
  総合的に人格を陶冶するには、それが必要だったからだ。

  すべての現象と、それに関する知慧は伏流水のごとく繋がり、大河を形成する。
  速さや合理性だけを追求する人間には治めきれない幅と深さのある
 国なのだということを自覚して、自治体や国を治めていただきたいものだ。

 
            □■ 祇園祭八坂神社奉納のご報告 ■□

  7月15日に、八坂神社にて日本今様謌舞楽会が奉納を行いました。
  今様・白拍子教室のメンバーも出演し、舞を納めた際の感想を生徒である上杉
遥さんが書いてくださいましたので、ご紹介いたします!

            日本今様謌舞楽会の祇園祭八坂神社奉納

  先日7月15日、宵々山の日の午後3時より八坂神社にて日本伝統芸能団の奉
納がありました。
  梅雨明けの早かった今年は、祇園祭の頃には真夏日でとても暑かったのですが
たくさんのお客様にお越しくださいました。
  日本今様謌舞楽会は一番初めで「梁塵秘抄」「祇園祭」の2曲を奉納させてい
ただきました。
  まずは奉納される他の芸能の方々と共に舞台に上がり、お家元がこの団体の代
 表としてご挨拶をされ、続いて参加者およびお客様も揃って「君が代」を斉唱い
たしました。
  国歌を歌うというのは、学校の行事のときに何となく歌っていた以来でしたが
日本という国を愛し、誇らしく思う今日この頃、皆で揃って歌うというのが単純
に喜ばしいことだと感じました。
  続いて私共日本今様謌舞楽会の奉納です。
  今様を歌う方がお家元の他に4名、楽器を担当される方が3名、舞を舞う者3
名の構成です。
  私は舞を舞わせていただきました。
  今までの舞台では先輩のあとについて舞っていたのですが、今回初めて責任の
重い位置を任せていただくことになり思いのほか緊張しておりました。
  しかし清々しいお天気も相まって舞っているうちにとても晴れやかで楽しい気
持ちに満ちてきておりました。
  あとで撮っておいたビデオを見ましたがなかなか3人揃ってきれいに舞えてお
り、三壺庵での稽古のときも当日の直前までお互い良く確認し合って励んだ甲斐
がありました。
  これも3人で何度も合わせるようにお家元が稽古してくださったり、今回は楽
器をされてました先輩方が的確なアドバイスをくださったおかげと深く感謝いた
しております。
個人的な反省点はいろいろとありますが、それは今後の課題といたします。
  これからもまた皆様とともに楽しく舞台を作り上げていきたいと、いっそう思
うようになりました。

 上杉遥

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 8月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:8月6日(土)28日(日)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:8月17、31日(いずれも、水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

■「今様・白拍子教室」
  日程:8月13、27日(いずれも、土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~14時
     (個人稽古です。詳しい時間は要相談となります)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

■「うたことば研究会」
  日程:8月27日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:15時~16時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■

 節電で扇風機を愛用するようになって、自然風の気持ちよさに気づきました
 地球や人間にとってのecoを改めて考えさせられます

                              (いまむら)

     [次回は、8月15日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。