嵯峨野文化通信 第130号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第130号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
      嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                     ■VOL:130(2011/7/1)

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               ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ———————————-文化講座のご案内
                       有斐斎 弘道館の月釜「祇園会の茶」
                                   のご案内
                            『花園』が発行されます
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』——————————– 第六十三幕
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』———— 第三十一回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』——————————– 第三十四回
  ■(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———————–第九十一首
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]7月開講講座のお知らせ

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             □■【連】からのお知らせ■□

  ■文化講座のご案内
   ただいま有斐斎 弘道館では、さまざまな専門講座を行っております。
   どれも濃い内容で、伝統文化を楽しく学ぶことができ、1回のみの参加も随時
  受付けておりますので、どうぞお気軽にお越しください!
 
  「京都文化教養講座1~信仰からみる京都~」

  日程 :7月9日(土)
  テーマ:「牛頭天王と素戔嗚尊」
  時間 :11時~12時30分(90分)
  場所 :有斐斎 弘道館
  参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を織る~」

  日程 :7月19日(火)
  テーマ:「婆娑羅の時代 ~闘茶と喫茶往来~」
  時間 :13時~14時30分(90分)
  場所 :有斐斎 弘道館 
  講師 :矢野 環(同志社大学教授)、太田 達、濱崎加奈子 ほか
  参加費:6回1,2000円(1回毎2,000円/生菓子、抹茶付き)

  ※上記の講座を受講するには申込みが必要です。
   生菓子の準備などがありますので、7月9日の「京都文化教養講座1~信仰
  からみる京都~」の受講を希望される方は、7月4日までに下記アドレスまで
  お申込みください。
  kouza@kodo-kan.com

  講座についての詳細はコチラ
  http://kodo-kan.com/seminar.html

 ■有斐斎 弘道館の月釜「祇園会の茶」のご案内

  有斐斎 弘道館の今月の月釜は、祇園祭巡行の17日に行われます!巡行のあと
 庭園を眺めながら、暑さを忘れて一服いかがですか。
  ご予約なしでも、当日お気軽にお越しいただけるお茶会となっておりますので、
 どうぞお誘い合わせの上、お越しください。

 日程:7月17日(日)
 時間:11時~15時 
 場所:有斐斎 弘道館
 参加費:1,500円(申込不要)

 有斐斎 弘道館HPはコチラ
 http://kodo-kan.com/tea.html
  

 ■『花園』が発行されます

  妙心寺が発行している月刊冊子である『花園』に、現在【連】メンバーが執筆し
 ています!「祈りの国」という題で【連】メンバーが交代で執筆し、全国各地のモ
 ノや食に込められた心を、語り連ねます。
  第4回目となる7月号は、本メルマガの連載「ニッポン城郭物語」を執筆してく
 ださっている、梅原和久さんが担当しています!
  金の鯱についてのお話とのことですが、一体どのようなお話なのでしょう?
  このメルマガの連載とともに、お楽しみください!

  妙心寺HPはコチラ
  http://www.myoshinji.or.jp/book/

  『花園』のお問合せ・ご注文は、花園会館部「頒布課」まで
  TEL:075-467-2990

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              ■『ニッポン城郭物語』■

             ─第六十三幕─  ~江戸城の話~ 

                                梅原 和久

  江戸が再び脚光を浴びている。現代の町並みとの比較ができる古地図本が売れて
 いたり、町歩きをしながら江戸の面影をたどるNHKの番組「ブラタモリ」や、江
 戸を舞台としたドラマがヒットしたりしているのも、その流れを後押ししているよ
 うだ。
  明治の文明開化以降の近代日本を肯定するあまり、以前は「江戸時代は遅れた社
 会」だとか「封建制度の下で民衆が抑圧された暗い時代」といった見方が大勢を占
 めていたが、最近ではそういった固定観念から解放され、当時の教育水準の高さや
 文化の成熟度が広く知られるようになり、リサイクル社会として理想視される向き
 もあるほどだ。

  「江戸時代の再評価」の一環として、江戸城にも注目が集まっている。言わずと
 しれた現在の皇居、かつての将軍の居城である。先日、江戸城を特集した雑誌が2
 種類本屋に並んでいるのを見て驚いたが、改めて皇居を「江戸城跡」として
 再認識する機運が高まってきているのだろう。
  維新後の激動や関東大震災、戦災などにより、さすがに将軍が在城したころの威
 容は徐々に失われていったものの、実は今でも10棟以上の櫓や門が現存している
 ことはあまり知られていない。天守焼失後の代用として、長らく江戸城の顔であっ
 た富士見櫓、有名な二重橋の奥にある伏見櫓、他にも番所や江戸城を象徴する多く
 の巨大枡形門などなど。都心のオアシスである皇居は、当時の日本最高の技術を結
 集しただけあって城跡としても実に見所が多いのだ。

  そんな江戸城で、近年天守再建を目指す運動が活発化している。徳川家康が入城
 する以前の長禄元年(1457)、最初に江戸城を築いた太田道灌の子孫である太
 田資暁氏が会長を務めるNPO法人「江戸城再建を目指す会」(※)がその活動の
 中心組織である。
  再建を目指すのは、三代将軍家光が築いた寛永期天守。最も資料が豊富で、かな
 り正確に再現することが可能ではあるが、何せ史上最大の天守である。18階建て
 のビルに相当する高さの木造建築が皇居内にそびえることになるのだ。確かに実現
 すれば、新たな東京のランドマークとなることは確実である。
  公費の投入に限度がある中で、費用をどうやって捻出するのか、という大問題が
 あるが、この会はその点相当楽観的で、「長い目で見れば観光客が落とす費用は莫
 大なものとなり十分に採算は取れる」としている。ただ、その根拠が、「大阪を訪
 れる外国人観光客が一番訪れる観光地は大阪城」というのはかなり心許ない。
  大量の木材の調達方法や天皇家のプライバシーの問題など、財源以外にも課題は
 山ほどあり、実現可能性は低いが、夢のある試みであることは確かだろう。

 (※)「江戸城再建を目指す会」の公式サイト。復元図もここで見ることができる。
   http://npo-edojo.org/top.html

          ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■       

                  第三十一回       

                                荻田 みどり

  今回は、『源氏物語』に戻って、『源氏物語』中最初に描かれる食べ物について
 見てみたい。

  最初に描かれるのは、桐壺巻。その主体は、桐壺帝である。
  最愛の桐壺更衣(源氏の母)の死により、桐壺帝は悲嘆にくれる。桐壺更衣のす
 ばらしさは、どんな絵師にも表すことはできまい。風の音や虫の音を聞くにつけて
 も、悲しみが勝るばかりである。政務も怠りがちである。その上に、食欲のない様
 子がことさら詳しく描かれる。

   ものなどもきこしめさず、朝餉(あさがれひ)の気色(けしき)ばかりふれさ
 せたまひて、大床子の御膳(だいしやうじのおもの)などは、いとはるかに思しめ
 したれば、陪膳にさぶらふかぎりは、心苦しき御気色を見たてまつり嘆く。

  物なども食べず、朝餉の間で食べる内々の食事は少しだけ手を触れなさって、大
 床子の御膳などの正式な食事はまったく縁遠いものに思う。日常の食事も、天皇と
 しての儀式的な食事も全て擲つほどの哀しみに、給仕に奉仕する人々もこの様子を
 見て嘆息する。
  ただし、周りの者は桐壺帝の哀しみに同情するのではない。唐の玄宗皇帝が楊貴
 妃にうつつを抜かして国を滅ぼしてしまった例を引き合いに出し、桐壺更衣のこと
 になると、道理も無視して、死後も政務を疎かにするようになる桐壺帝に危機感を
 感じているのである。
  桐壺帝の心に寄り添う者は、ここにはいない。食欲がないことさえ許されない。
  その孤独な中で、月日だけが過ぎていくのである。(つづく)

               ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第三十四回              

                                 井上 年和

   大永四年(1524)10月5日
   「一、北野境内社務領之内巷所并見世茶屋毎月公事銭、同於芝臨時之法事在之
時、諸売買役等之事、為竹内門跡給恩之地、当知行之旨、弥可致全知行之由所被
仰下也、仍而執達如件、

           大永四年十月五日           右衛門尉、散位
                                目代 重増」
                       ( 『北野天満宮史料古文書』)

  北野社領の巷所や見世茶屋の毎月の公事銭の徴収や、臨時の法事の時に竹内門跡
 (曼殊院門跡)給恩の土地である北野社領の「芝」での商売について記されている
 。

  「見世茶屋」とは、第5回(平成22年4月15日 第101号)でも紹介させ
 ていただいたように、16世紀初頭頃に巷所が開発されて建てられた常設の茶屋で
 あって、北野を訪れた人たちに茶のみならず、酒も供していたと考えられる。

  芝での臨時法事時の商売とは、現在でも行われている北野の縁日のことなどを指
 すのであろう。「芝」とは『北野天満宮史料 目代記録』寛永九年(1632)
 7月に「一、渋谷紀伊守経堂小芝ニテ能ノ事、」とあるように中之森や下之森の広
 場のことで、近世には水茶屋が建ち並び、芝居や大道芸が盛んに興行されるように
 なるのである。

  『満済准后日記』で応永頃の記録を見ると、25日には室町将軍も参籠において
 、「天神構舞楽」を度々見ているし、公家の鷲尾隆康により書かれた『二水記』に
 は大永六年(1526)9月25日に「早旦向師卿亭、和漢會如恆、今日依為聖廟
 縁日有百韵、入夜参外様番了、」とあって、毎月25日に催される北野の縁日「天神
 さん」はこの頃には既に恒例となっていたのだ。

  しかし、天神信仰等の人気により、参拝者を対象とした見世茶屋や露店の増加に
 対応しきれていないところをみると、これらの発展はこの頃から顕著になっていっ
 たのではないかと思われるのである。

            ■『やまとのくには言の葉のくに』■          

                   第九十一首               
  
                                 田口 稔恵

   君をおきてあだし心をわが持たば末の松山浪も越えなむ
              (詠み人知らず 『古今和歌集』東歌)

  (あなたをさしおいて浮気心を私が持つようなことが万が一にもあったならば、
  あの末の松山を浪が越えるという、ありえない出来事がおこるでしょう。けれど
 、そんなことは起こりえない。私はあなただけを心から愛していますから。)

  「末の松山」は陸奥の歌枕。現在の多賀城市の宝国寺の背後の松を擬えるのが一
 般的だそうだ。多くの都人が、生涯目にすることがなかったであろう名所は、東歌
 として人口に膾炙したこの歌によって、変わらぬ愛を誓う心の象徴として浸透した。
  百人一首にも採られた清原元輔の「契りきなかたみに袖を絞りつつ末の松山浪越
 さじとは」もこれを踏まえた表現をとる。
 
  起こりえないことを想定して、ものごとの確かさを逆説的に表現するからこそ、
 読み手に強い印象を与える。それは、相手に訴えかける強さを計算した上での想定
 だ。
  安易に使用された「想定外」という言葉が、このたびの震災では強く非難された。
  平和や安穏を、努力なくして保たれている恩恵として浴しがちな現代の私たちは、
 男女関係も、人の生死も、自然に委ねられた極めて不安定なものであり、だからこ
 そ無事に生きる現在が「有難い=めったにない」という状態であるのだと常に意識
 せざるを得なかった、いにしえの日本人の心に思いを馳せる必要があるのではない
 かと思う。

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 7月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:7月13、27日(いずれも、水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:7月2、16、30日(いずれも、土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
■「今様・白拍子教室」
  日程:7月9、23日(いずれも、土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:9日・・・13時~14時(合同稽古)
     23日・・・10時~14時
     (個人稽古です。詳しい時間は要相談となります)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

■「うたことば研究会」
  日程:7月23日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:15時~16時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■

 今年も祇園祭の季節になりましたね。
 毎年、必ず宵山には雨が降り、祭と共に梅雨も去っていきました。
 でも今年は梅雨が早いので、祇園祭には終わっているのかも・・?

 今いちばんの楽しみです。
                              (いまむら)

     [次回は、7月15日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。