嵯峨野文化通信 第237号

 伝統文化プロデュース 【連】メールマガジン   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)_________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第237号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

     嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

              毎月1日・15日(月2回)

                    ■VOL:237(2016/1/1)
   
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                 ■□■もくじ■□■
  ■新年のご挨拶
  ■【連】からのお知らせ ——- 弘道館講座のご案内
                 「能あそび」2016年のご案内
       「江戸時代の〈教養〉を考える」
                            時間変更のお知らせ
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』——————– 第百十六幕
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』——————– 第百三十八回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]1月開講講座のお知らせ

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              □■ 新年のご挨拶 ■□

 新年あけましておめでとうございます。
 江戸時代の学問所址の「弘道館」が「有斐斎弘道館」として再生への道を歩みはじ
 めて7年目を迎えました。
 昨年は二つの大きな、これまでにない試みをさせていただきました。

 一つは、5月に開催した、550年ぶりの再興となる「糺勧進能」。
 東山文化のなかから育まれた茶・花・香、またそれらをつなぐ連歌や庭などの文化
 的連携のありようは、今なお私たちに大きな影響を与えつづけています。
 弘道館の学問・文化サロンも、この時代の探求を基盤に考えていくべきと思ってお
 ります。その同じ時代に、同じエリアで行われた「勧進」の猿楽(能)興行は、
 将軍足利義政をはじめ、公家や大名が並び居るなか、庶民もともに観劇されました。
 その詳細な記録は、改めて現代にさまざまな示唆を与えてくれます。
 寺院の再興のために「勧進」という形を通して、庶民一人一人がお金を出し合い、
 能という芸能を通して、神仏とつながっていたのです。

 もう一つは、10月から11月にかけて開催した「京菓子と琳派」展です。
 琳派400年を記念して開催された公募展には、全国から多くの方々の参加を得て、
 弘道館らしい、伝統をふまえつつも刺激的な展覧会となりました。
 江戸時代に弘道館をひらいた皆川淇園は自身が芸術家でもあり、また友人関係にも
 芸術家が多く、200年前に思いを馳せる豊かな時間でした。

 古いものを持続させるのが難しい時代。
 家も、車も、道具も、何もかも新しくすることを推奨することで、経済を成り立た
 せようとしています。
 日本人が大切にしてきた、ものを大切にする心、その土地の神々や先人に敬意を
 払いつつ、「居させていただく」「使わせていただく」といった心を、いまいちど
 思い返し、大切にしていくことこそ、必要なのではないでしょうか。

 本年も、有斐斎弘道館は、伝統文化の知恵に耳をかたむけながら、歩みを進めてま
 いります。
 どうぞお力添えのほど、よろしくお願いいたします。

 有斐斎弘道館 代表
 伝統文化プロデュース連 代表
 濱崎加奈子

 *ご案内*
 「糺勧進能」は、1月31日にシンポジウムを開催、また冊子が刊行されます。
 菓子展は、本年も継続して公募展とさせていただきます。
 テーマは「蕪村と若冲」になる予定です。どうぞお楽しみに。

 
             □■【連】からのお知らせ■□ 

 ■弘道館講座のご案内
 
 京文化教養講座1「信仰からみる京都」

 日 程:1月9日(土)
 時 間:11時~12時30分(90分)
 講 師:太田 達(立命館大学非常勤講師)
 テーマ:「総論 周縁から知る京の文化」
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 京文化教養講座2「茶の湯の文化を識る」

 日 程:1月19日(火)
 時 間:13時~14時30分(90分)
 講 師:太田 宗達(立命館大学非常勤講師)
 テーマ:「正月の茶」
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 英語で伝統文化「茶道編」~BOOK OF TEAをよむ~

 日 程:1月19日(木)
 時 間:18時30分~20時(90分)
 講 師:田中 朝子(通訳翻訳家)
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 詳しくはコチラ 
 http://kodo-kan.com/seminar.html

 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com

  
 

 ■「能あそび」2016年のご案内

  江戸時代の京の人々の教養のひとつであった〈能〉の世界について、能を楽しみ
 ながら理解を深めていくべく、講座「能あそび」を展開してまいりました。
  2016年は、能の舞台をこなす上で欠かすことのできない、装束や面など、能
 を支える技術とその伝承について探ってみたいと思います。
  「道明寺」をひとつの焦点とし、進めてまいります。数ある能の曲のなかでも大
 曲であり、見所も満載!そんな見せ場のひとつ「乱拍子」について理解を深めてい
 ただくスペシャルコーナーも。
  また、素謡で「道明寺」をお楽しみいただくなど、多彩に展開いたします。
  どうぞお楽しみに!
 
  1月22日(金)「面を知る」 
         ゲスト:見市泰男氏(能面打)
  3月18日(金)「素謡を楽しむ」 
         ゲスト:有松良一(高安流ワキ方)、茂山逸平(大蔵流狂言方)
  5月20日(金)「謡本を楽しむ」
         ゲスト:檜常正(檜書店)、小辰恭子(檜書店)
  7月22日(金)「装束を知る」 
         ゲスト:佐々木洋次(佐々木能装束 四代)
             筒井謙丞(佐々木能装束)
  9月16日(金)「扇を知る」 
         ゲスト:福井藤次郎(十松屋福井扇 十六代)
  11月18日(金)「拍子を知る」 
         ゲスト:大倉源次郎(大倉流小鼓方十六世宗家)
 
 時 間:18時~20時(18時より呈茶)
 講 師:林宗一郎(観世流能楽師)
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:3,000円(生菓子、抹茶付)

 詳しくはコチラ 
 http://kodo-kan.com/event.html

 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com

 

 ■「江戸時代の〈教養〉を考える」時間変更のお知らせ

  淇園の弘道館にちなみ、江戸時代の教養文化をご一緒に考える実践講座です。
  1月のみ、時間が変更となりますのでご注意ください。
  2月からは通常通りの時間です。ご参加お待ちしております!
 
 日 程:1月9日(土) 
 時 間:14時~16時39分
 内 容:14時 実践「謡をうたってみよう」(第二部)
         林宗一郎(観世流能楽師)
     15時 茶書をよむ(第一部)
         濱崎加奈子、太田宗達
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:3,000円(一部、二部のみのご参加は、一部2,000円)

 詳しくはコチラ 
 http://kodo-kan.com/seminar.html

 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com

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            ■『ニッポン城郭物語』■

                 ー百十六幕ー
                                梅原 和久

  新年あけましておめでとうございます。このメルマガ創刊以来の連載もいよいよ
 10年目に突入します。この間、結婚し、子どもも2人産まれ、その子も既に小学
 生。時の経つのは本当に早いものです。仕事面では相変わらずの長時間労働で、子
 育てと相まって時間が取れない状況が続いています。この連載は何とか続けていま
 すが、一番時間をかけてやっていきたいのは明治期の二条城の研究。京都府立総合
 資料館で明治期の簿冊を見て以来、ある程度は深めたものの、それ以降はほとんど
 開店休業中です。

  また、昨年3月には、二条城管理事務所に提案書を持っていき、色々議論する機
 会を得るという新たな展開もありましたが、その後はほとんど足を運べずこれも中
 途半端な状態に。
 
  このまま今年もまた例年のように過ごしてしまうと、仕事は何も進まないので、
 今年は必ず何か成果物を残そうと思います。論文の形にするのか、ガイドのような
 ものにするのか、決めてはいませんが何らかの形で。新年ですのでそれくらいの目
 標を持って今年も頑張ろうと思います。今年もよろしくお願いします。

  

     ■『北野の芸能と茶屋』■
                  
                -第百三十八回-
                                井上 年和
  大正十五年(1926)7月
  「上七軒の芸妓 野上金太郎(その3)
 夫から一二年の後、多某といふ貸座敷=裏の離座敷に傘の様な天井のあった家=此
 家の主人公は中々の皮肉屋、お茶屋の亭主とは思われぬ性質で、始終何かにつけ憤
 慨して居つた。私は或友人に誘はれ同家に数回遊興した事があると同時にその亭主
 の憤慨談も屡々聴かされた。

  前回に続き野上金太郎さんの記事である。それから12年後とあるので、明治2
 9年(1896)の12年後=明治41年(1908)頃のことであるという。

  多某(なにがし)という貸座敷とあるが、今では多(おおの)というのは福鶴さ
 んのことでお茶屋「大市」と何か関係あるのであろうか。

  明治45年(1912)の『京都電話番号簿』には「多某」という貸座敷名は見
 当たらないので、金太郎さんの思い違いか、京都電話番号簿にも記載されていない
 お茶屋があったのかも知れない。
  奥座敷に傘の様な天井があるかどうかは、大市さんの奥座敷にお邪魔したことが
 ないので判らないが、現在も建物が残る「杉浦」というお茶屋には傘の様な天井を
 持つ奥座敷があり、この様に意匠を凝らしたお茶屋は何件かあったのかもしれない。

  さて、ここの亭主は中々の皮肉屋で、何かにつけて憤慨して居たらしい。客を客
 とも思わぬ躰があるのはどの商売でも同じであるが、金太郎さんも度々遊興してい
 ることを勘案すると、そんなに悪い気がしなかったのかも知れない。

  この様に客の前でも、よそよそしい接客をせず、本性をさらけ出して客を親身に
 させて逆に教育して取り込んでしまうのも上七軒の古くからのやり方かも知れない
 のである。
  
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        □■[嵯峨野学藝倶楽部] 1月開講講座のお知らせ■□

   詳しくはhttp://www.ren-produce.com/sagano/club/ をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日 コース)」
  日 程:1月13日(水)、21日(木)、27日(水)
  時 間:9時~14時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講 師:西村 宗靖・太田 宗達
  場 所:嵯峨野三壷庵
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土、日曜日 コース)」
  日 程:1月11日(祝、月)、16日(土)、23日(土)
  時 間:9時~18時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講 師:西村 宗靖・太田 宗達
  場 所:嵯峨野三壷庵
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ■「今様・白拍子教室」
  日 程:お問い合わせください。
  場 所:嵯峨野三壷庵
  時 間:13時~14時30分
  講 師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。
  今様のお問い合わせ、お申し込み、見学はコチラまで→info@imayou.jp
   URL:http://www.ren-produce.com/sagano/club/

  お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

  URL:http://www.ren-produce.com/sagano/club/

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                ■□■ひとこと■□■
   
    あたたかい気候のまま、クリスマスも過ぎ、年明けを迎えました。
    寒さは辛いですが、暖かい冬もなんだか辛いですね。
    本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
   

     [次回は、1月15日(木)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。