嵯峨野文化通信 第184号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)____________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第184号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

     嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

              毎月1日・15日(月2回)

                    ■VOL:184(2013/10/3)

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                  ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ——「京菓子と琳派ー意匠と創造ー」
                              開催しています。
                 実践講座「江戸時代の〈教養〉を考える」の
                                  ご案内
                 弘道館講座のご案内 
                 「BOOK OF TEA」をよんでみませんか。 
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』————————– 第八十八幕
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————– 第八十八回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]10月開講講座のお知らせ

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               □■【連】からのお知らせ■□

 ■「京菓子と琳派ー意匠と創造ー」開催しています。
  有職菓子御調進所 老松の有志による菓子展を弘道館にて開催中です!
  来年で400周年を迎える「琳派」。その琳派の作品をテーマに表現した作品や
 職人さんに伝え続けられている琳派の意匠の木型なども特別に展示しております。
  そして、今回初めて職人以外に、弘道館で開講している「京菓子専門講座」の受
 講生の皆さんも出展をされています。
  会期中限定のお茶菓子もご用意いたしておりますので、お誘い合わせのうえご来
 館ください。お待ちしております。

 日 時:9月28日(土)〜10月6日(日)※水曜休館
 時 間:10時〜17時(最終入館は16時30分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 入館料:500円
 *別途、500円にて呈茶あり(展覧会限定菓子)

 詳しくはコチラ
 http://kodo-kan.com/event.html

 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 

 ■実践講座「江戸時代の〈教養〉を考える」のご案内

  皆さんで一緒に謡を楽しみませんか?
  第一部では井伊直弼の「茶の湯ー全集ー」を読み下し、第二部は「謡」を行いま
 す。謡では能楽師の林宗一郎氏をむかえ、実際に皆で声の出し方から学びますので
 歌は苦手という方や経験は全くないという方も大歓迎です。
  「謡がひとつでもうたえるようになりたいなぁ」から始まった勉強会、ぜひご参
 加お待ちしております。     
 
 日 時:10月13日(日)
 時 間:16時30分〜19時
 場 所:有斐斎弘道館
 内 容:第一部 勉強会「井伊直弼『茶の湯ー全集ー』をよむ
     (リーダー 濱崎加奈子、太田達)
     第二部 実践「お謡をうたってみよう」
     (講師 林宗一郎〈能楽師〉)
 参加費:3,000円(第一部のみ、第二部のみの場合は一部2,000円)
     ※学割あり(2,000円/第一部のみ、第二部のみの場合は1,000円)
 
 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com
    

 ■弘道館文化講座のご案内

 京文化教養講座1「天皇からみる京都」

 日 時:10月12日(土)
 テーマ:「後桜町天皇」
 時 間:11時~12時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:太田 達(京都女子大学非常勤講師)
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 ■京文化教養講座2「茶の湯の文化を識る」

 日 時:10月24日(木)
 テーマ:「名物の中の茶道具」
 時 間:11時~12時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:目方 宗弘(茶道家)
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

 詳しくはコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 
 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com
 

 ■「BOOK OF TEA」をよんでみませんか。

  昨年より始まりました、英語で日本の伝統文化を発信する講座です。
  いままでは、お手前などの実践を英語で行って参りましたが、今回は岡倉天心の
 「BOOK OF TEA」をよみます。
  世界中でよまれている「BOOK OF TEA」、日本では知らない方も多いそうです
 が、翻訳本も多数出版され、さまざまな見解がなされています。
  こちらを皆で考えながら読み解いてみませんか。英語が苦手な方、茶道の経験の
 ない方もぜひお越しください。
  ご参加をお待ちしております!

 「英語で伝統文化 茶道編」

 日 時:11月14日(木)
     12月19日(木)
      1月23日(木)
 時 間:18時30分~20時(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:田中 知子(翻訳通訳者、三壷庵茶道教室)
 参加費:3,000円(生菓子、抹茶付)

 詳しくはコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 
 お問い合わせ、お申込はコチラ
 TEL :075ー441ー6662
 MAIL:kouza@kodo-kan.com
  

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              ■『ニッポン城郭物語』■
                  
                 -第八十八幕-

                                梅原 和久

  前回示した、京都府が独自に増築した建造物を見ていく前に、現在の国宝二の丸
 御殿に残る当時の京都府庁の痕跡を探してみよう。

  もともと役所の建物ではない御殿を無理やり庁舎に仕立てあげたこともあって、
 府庁時代に二の丸御殿は相当損傷したようだ。前々回役所内のルールとして紹介し
 たとおり、庁内は靴履きであったために、床板に夥しい釘の跡が残った(※1)。
  また、御殿の部屋で最もダメージが大きかったのが、蘇鉄の間である。大広間と
 黒書院とをつなぐこの空間には、かつては他の部屋と同じような障壁画があったが
 、府庁時代に相当損傷したらしい。そしてもう一つ、ここには府庁時代の大きな傷
 跡があり、しかもそれは、現在も目にすることができるのだ。
  
  この事実は、昭和16年に刊行された『二條離宮障壁畫大観』(帝室博物館編)を
 パラパラとめくっていたときに見つけた。こんな記述があったのだ。
 「現在蘇鉄の間の柱に「京都府」或は「天田郡役所」等の焼印が猥に捺されたるは
 その當時この間に車の検査係が詰めたる名残なりと云う。」
  ほとんど記録が残っていない府庁時代の二条城についての具体的な記述である。
 蘇鉄の間に「車の検査係」があったというのも興味深いが、焼印って?
  これを読んで、すぐに二条城に確認しに行った。昭和15年にあったのなら、今も
 あるかもしれない。そして、見つけたのである(※2)。

  大政奉還の現場でもある大広間一の間を通り過ぎ、次に入るのが蘇鉄の間。ただ
 、ここではまだ分からない。見るべきものは順路と反対側の壁にあるからである。
  黒書院、白書院と回ってきて、もう一度蘇鉄の間に入った時、左手をよく見て欲
 しい。ちょうど真ん中あたりの柱の上の方に黒いシミのようなものが沢山見えるだ
 ろう。近づいてよく見ると、「京都府」と読める。そう、こともあろうに、御殿の
 柱に「京都府」の焼印を押しているのである。しかも何個も。
  そして更にもう一つ、南側の柱にも何か見える。「天田郡役所印」だ。天田郡と
 いうのは、現在の福知山市、平成の大合併までは三和町及び夜久野町があった地域
 である。ここが京都府の領域となったのは、明治9年(1876)の第2次府県統合に
 よって豊岡県が廃止されたとき。この焼印も、その際に作成されたのだろう。

  しかし、いずれの焼き印も押されているのは長押の下、かなり高く目立つ位置で
 ある。机の陰でこっそりと悪戯をした、という雰囲気はない。もちろん、自分たち
 の職場が、後の世に国宝や世界遺産に登録されるなどとは夢にも思っていなかった
 だろうが、それでもたかだか10年ほど前に大政奉還が行われた、歴史的な建造物
 である。現在の感覚では考えられないが、当時の役人にはそんな罪悪感はなかった
 のかもしれない。

 (※1)『藪野椋十日本世界見物』渋川玄耳著 誠文堂(大正6) から引用。
  「廊下の板に夥しい釘の痕が有る、是れでは袴の裾が堪るまいと不審のまま案内
  者に尋ねると、徳川没落後一時爰に政府が有つて其の次に京都府聽が置かれた、
  其頃ドシドシ靴ばきで昇り降をしたものぢやから、靴の痕が板に着いた、其の頃
  はまだ靴も下等な釘だらけの踵で此の様に瑕が出来たのぢやといふ。」

 (※2)蘇鉄の間に残る京都府庁の痕跡
http://umeshiro.web.fc2.com/88.html

              ■ 『北野の芸能と茶屋』■                            
                  
       八十八回
                               井上 年和
  
  寛政年間『寿仲間の定め(その2)』
  「一、旧式旧礼仕来候事、并先規より衆儀判定来り在之候累年ヶ条向々、堅洩申
     間敷候事。
   一、御目印町行燈、毎夜、子之刻迄ともし置可申事。
   一、御来客、互之届ヶ合、不行届キニ不相成様、聢と答行可被致事。」
                          
                            『北野会館所蔵文書』

  最初の1つめは、昔からの決まりやみんなで話し合って決めたことは絶対守ると
 いった意味の一般的な内容である。

  2つめは、営業中であることを示す行燈を、子の刻(夜の11時~1時)まで灯
 しておくという。
  行燈を店の玄関先に置く「置行燈」としているのは、現在の上七軒でも見られる
 (福鶴さんの大市とか)。
  店の軒先に掛け、屋号などを書いて看板としているお茶屋は、他の花街では提灯
 に屋号を書いている所が多い。壁の中に埋め込むタイプもある。行燈や提灯の形状
 は違っていても12時頃になると灯りを消すというのはこの頃から続く風習のよう
 である。

  3つめは、来客があったら互いに届け合い、連絡が行き渡るように徹底するとい
 う内容である。
  電話もなかったから、お互いの連絡を取るのは大変だったであろうが、連絡係を
 走らせたり、何らかの方法で情報を交換していたのであろう。現在の検番のような
 ものがまだなかったと推測される。

  これらの内規は何れも現在の上七軒でも続くもので、近世の規定が現代に引き継
 がれているのである。
  
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        □■[嵯峨野学藝倶楽部] 10月開講講座のお知らせ■□

  詳しくは、 http://www.ren-produce.com/sagano/club/ をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:10月9、30日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:10月5、12、26日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:    5日 9時~12時、15時〜19時
     12、26日15時〜19時
     (ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「今様・白拍子教室」
  日程:10月19日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時~14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

  お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■
 
      だんだん気候も景色も秋らしくなってきましたね。
      弘道館での秋の収穫が毎朝の楽しみです!     
       

 
    [次回は、10月15日(火)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。