嵯峨野文化通信 第73号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 
 
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              〔嵯峨野文化通信〕 第73号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に

          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

    ★VOL:73(2009/2/15)
 
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 ○【連】からのお知らせ ——————— 伝統みらい研究センター成果報告会
                         楽洛キャンパス講座案内
「花の下茶会」
  ○(連載)『丹後と京都』——————————– 第八回
  ○(寄稿)フランスの建築と日本家屋 ——————– 家=壁?
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』—————- 第三十九首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]2月・3月開講講座のお知らせ
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 ★☆★☆「嵯峨野文化通信」3周年記念☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
                                       
   「嵯峨野文化通信」は今号で3周年を迎えました!!     
   創刊時にはまだ【連】と関わっていなかった私も、メルマガを担当させていただい
  てから10号以上が経ちました。その中で、多くの方々のご協力と出会いを経験しま
  した。                             
   3年間の間には、いったいどれだけの方がメルマガに関わってくださったのだろう
  ・・・。想像するとさすがに3年分の重みがあります。              
   ここまで続けられたのも、読んでくださっている方のお陰です! これからも、皆
  さんに伝統文化の素晴らしさをお伝えできるようがんばっていきますので、よろしく
  お願いいたします!

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 【連】からのお知らせ
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 ○伝統みらい研究センター成果報告会
   
  【連】の濱崎が特任准教授をつとめる、伝統みらい研究センターの成果報告会が、下記
 のとおり開催されます。
  今回の報告会は、茶道とちりめんに関する研究成果についての講演です。
  伝統文化の美学や面白み、そしてその技術や感覚を未来に残すにはどうしたらよいのか?
 伝統文化に対する考えの幅が広がる内容となっています。
  ぜひ、ご講聴ください。

  開催日時: 3月18日(水) 9時50分〜15時
  開催場所: 霞が関ナレッジスクエア (TEL 03−3239−1121)
         東京都千代田区霞が関3−2−1
         霞が関コモンゲート(中央合同庁舎第7号館)
         ショップ&レストラン西館3階
  参 加 費: 無料(事前申込不要)  

 <報告内容>
 10時〜    「茶道における点前の眼球運動解析の意義と展望」
          報告者=井植美奈子(京都工芸繊維大学大学院)   

 10時30分〜 「今だからこそ伝統技術に立ち返り人にやさしいみらいのものづくりへ」
          報告者=久米 雅(伝統みらい研究センター研究員)   

 11時〜    「バイオメカニクスと人間工学の観点から匠の技を考える」
      報告者=吉田康行(伝統みらい研究センター研究員)   

 11時30分〜 「ダイナミックな運動としなやかな運動における巧みな動き」
      報告者=伊坂忠夫(立命館大学理工学部教授)        
          崔  雄(立命館大学衣笠総合研究機構PD研究員)   
          八村広三郎(立命館大学情報理工学部教授)      

 12時〜    「今後の科学技術政策の展望」
          報告者=内丸幸喜(伝統みらい研究センタープロジェクト特別研究員)      

 12時30分〜  人材育成に関するポスターセッション

  ★問い合わせ先:京都工芸繊維大学 伝統みらい研究センター
    <事務担当>  舟槻 千江美 E-mail:mirai04@kit.ac.jp
                   TEL:075−724−7850
    <当日連絡先> 仲井 朝美  E-mail:nakai@kit.ac.jp

  伝統みらい研究センターHP
  http://www.cis.kit.ac.jp/~hhamada/mirai/index.html

 ○楽洛キャンパス講座案内
 
  同志社大学が発信する、歴史・文化体験プログラム「楽洛キャンパス」に、【連】の太
 田達が講師として参加いたします。
  テーマは「花街」! さまざまな文化や芸能を生み出してきた花街の歴史、また今なお、
 街に息づく職人の技の数々。勉強の後には、和菓子作りの体験も用意されています。
  「花街」の魅力を、是非ご堪能ください! 前号にて、詳しいご案内をしております。
 そちらもご覧ください。

 日程:3月11日(水)
 講師:太田達(花街文化研究会会長)
時間:午前11時10分〜

 お申し込みの際には登録料金も必要です。詳しくは下記までお問い合わせ下さい。

 「楽洛キャンパス事務局」
 TEL:075−223−6101
 URL:http://rakurakucampus.jp/

 ○「花の下茶会」

  京都に受け継がれてきた伝統芸能や伝統文化に触れることができるこの催しと同時に、
 お茶会もひらかれることになりました。「嵯峨野学藝倶楽部」の茶道教室講師である西
 村宗靖・太田宗達と教室メンバーがおもてなしいたします!
  詳しくは、前号にてご案内しております。そちらもご覧ください。

 日程:3月20日(金)、21日(土)
 時間:午前11時・午後1時・2時・3時の4席(入替制)
 会場:祇園甲部歌舞練場庭園内茶室
 参加人数:160名(1席20名×4席入替制)
 参加費:2000円(事前申込制)

 申し込み方法:3月10日(火)までに郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、
  催し名、希望時間を京都いつでもコール(京都市市政情報総合案内コールセンター)
  へ電話、FAX、電子メールにて申込み。定員を超えた時点で締め切りとします。

 【京都いつでもコール】
  TEL:075−661−3755
  FAX:075−661−5855
  URL:http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/000012821.html

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                           (連載)『丹後と京都』
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                  第八回「静の里」
                                    太田 達

  夕日が浦から東へ、海岸沿いの道をゆく。45年前はがたがたの地道であった。今は舗
 装されてはいるが、小さな漁村を抜ける時は軒先すれすれを通り、七曲がり、いや、幾十
 にも曲がり続ける道には、ヘアピン急坂というドライバー泣かせの場所も幾箇所か残って
 いる。その道を尾根筋へと登りきると、急に視界が開ける。日本海一望の景色は、田道間
 守の時代と何ら変わりなしと主張したい。
  幼い記憶に、もうもうとした砂埃、煙幕、車底に砂利を跳ね上げるバチバチという激し
 い音があった。そして、この辺りの記憶というより、半島一周全体がグレイの霧の中であ
 った。当時は、カーエアコンなどという気のきいたものはない。真夏のドライブは地獄で
 あった。

  そうこうしているうちに、車はその村に入った。だいたい日本海がわの漁村は、岬と岬
 のあいだにある。矮小といえども、少しの浜辺と山際へと続くU字形の平地に幾ばくかの
 田畑があるというのが一般的であるものだが、此所は違っている。峻険な垂直ともいえる
 崖に十数軒の家屋がへばりついているのだ。真夏の太陽のもとでも寒村という表現が浮か
 ぶ。そんな在所である。

  集落の名は、「磯」である。そのはずれに「静神社」はある。車道から急な石段を少し
 登ると、雪囲いに覆われたというか、守られた祠がある。そこには、源平戦記の悲劇のヒ
 ロイン「静御前」が祀られている。このことは、世間にはあまり知られていないようだ。
 今様・白拍子教室のメンバーにお話しても、「え、何処?」という人が多い。しかし、昨
 今の観光資源の発掘による「丹後七姫」のコンセプトが生まれて、看板表示等の整備が整
 ってから少し知られるようになったのか、祠の横の絵馬掛けには遠方からの来訪者の足跡
 がある。

  静の母の名は、「磯禅師」または「磯禅尼」との表記がある。この丹後の磯に伝わる静
 の父の名は「善次」。静の幼少時に「磯の善次」が亡くなり、静は母とともに京の都に出
 た。その後の彼女の運命は、ご存知のとおりである。『義経記』や『吾妻鏡』にも記載さ
 れているので、ある程度事実なのであろう。
  文治二年(1186)三月、母磯禅師とともに鎌倉の頼朝のもとへ護送された静は、同
 年四月八日、鶴岡八幡宮で屈辱の白拍子舞を舞わされるその時を向かえたのである。

 「しずやしず しずのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな」

  初夏の陽光の中、静がみつめていたものは冬の景色であろうか。それはきっと、寒風吹
 きすさぶふるさと丹後磯の寒村か、雪の吉野の山中の幻に違いない。 
                                     ―了―

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                        (寄稿)フランスの建築と日本家屋 
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  京都で建築の勉強をされ、現在フランス短期滞在中の三木佑美さんから原稿が寄せられ
 ました! 
  ご本人の体験から、ヨーロッパと日本の建築様式を対比しておられます。日本の中から
 では分からない町並みのあたたかさに、はっとします。

                   家=壁?  
                                   三木 佑美

  北フランスのLilleという町に住んで4ヶ月が過ぎました。ヨーロッパに住むのは初めて
 なので見るもの全てが新鮮で、驚きに満ちています。この北フランスの地はレンガ造の建
 物が多く、町中では赤茶色のレンガをそのまま見せた外壁が道にそって綺麗に並んでいま
 す。家の内は非常に断熱性能が高く、最近では暖炉に変わってお湯を使った全館暖房シス
 テムである家がほとんどです。

  そんなこちらでの生活と寒い冬にようやく慣れてきたところですが、最近住宅街の通り
 を歩きながら思うことがあります。それは、この地の人々にとって「家は壁である」とい
 うことです。道の両側に建ち並ぶ家々は一列にきちんと並び、通りに面した窓にはかなら
 ず鎧戸かシャッターがあります。夜になると全ての家がその扉もしくはシャッターを閉め
 るので、私が帰路につく頃には窓からの明かりも漏れず、音も聞こえず、キッチンが奥に
 あるので夕食も匂いもしません。さらに家の前には自家用車をとめ、場所によってはそれ 
 ぞれの家の前に各自のゴミ箱まで並べています。こうなるとまるでその住宅街は誰も住ん
 でいないかのようにしんとして、人が歩くには物悲しい雰囲気が漂います。

  このようなことから家は彼らにとって内と外を隔て、身を守るための壁であるのだと実
 感します。もちろん、これは隣国と陸続きであるヨーロッパの歴史からきているのでしょ
 う。現在はEUになり、国家間を行き来することは非常に簡単になっていますが、それで
 も車で30分走ると国境をまたぐ、という感覚は日本人には理解しがたいものです。
  
  こちらのドアが全て内開きである理由も防御のため。進入されないように、日本の城門
 のようにドアの内側から閂(かんぬき)をすれば簡単に身を守ることができるからでしょ
 う。島国である日本は、このような心配をする必要はありません。知識の上では分かって
 いても、今回初めてこのことを実感することができました。そして、その感覚をもって改
 めて日本の特に京町家を見つめると、家の性質がまるで異なることが分かります。

  京町家の軒は低く抑えられ、屋根は丸く起り(※1)、表には格子、家によってはバッ
 タリ床几(※2)まで備えているところもあります。柱は繊細に見せるように細く加工さ
 れ、玄関には暖簾をつり、水打ちをし、家の中から路へと風も通り抜けるので、家と路の
 境界があいまいで決して家が壁であるという印象は受けません。寧ろ、家が透けているよ
 うな印象です。そんな日本の路は、歩くほどに家からもれる光、音、匂いが変化します。
 これは私にとってはすごく楽しい体験ですし、物悲しい人の気配のない路とは程遠い、人  
 間味あふれるものです。

  そして改めて、毎年上七軒で行われる都ライトイベントを思うと、これは京都の町家の
 特徴を肌で感じることの出来るイベントであり、それはまた京都の人々に対してだけでな
 く、この壁の内側に住まう人々にとっても興味深いものであるに違いないと感じました。

 ※1 起り(むくり):屋根形状うち、反り(そり)とは逆の局面形状。
 ※2 バッタリ床几(ばったりしょうぎ):町家の表に備え付けられたベンチのような台。

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                   (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第三十九首     
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  あまり言葉のかけたさに あれ見さいなう空行く雲の速さよ
  (閑吟集)

  あまりに言葉をかけたいばかりに、かえって言葉が出てこない。やっと言葉が出たと思
 ったら、「ほら、ご覧なさい。空を流れる雲の速いこと!」・・・どうでもいい話になっ
 てしまった。
  『閑吟集』は1518年の秋に成立した。一般に、16世紀初頭に歌われた小歌を収集
 し、編纂したものと言われている。音曲の面から、中世に栄えた諸芸能と同じく、他の芸
 能との交流や、貴賤をまたいだ伝播が想定されるが、ここでは「ことば」に注目したい。

  和歌に慣れた人間は、その自由度の高さに驚かされるリズミカルな調子。前半は地の文
 で後半は会話文である。動詞の語幹に「さい」が接続した形は、室町末期以降の用法で、
 軽い敬意を表すとされる。「あれ見さいなう」などは、説経などの散文作品にも多く見受
 けられる定型的な言い回しである。女性の台詞として登場することが多く、この歌も女性
 が、思い切って想いを寄せる男性に話しかけようとする内容ではないかと推定されるのだ。

  女性が女性としての慎ましさや恥じらいを持っていた時代が長ければこそ、「戦後女性
 と靴下が強くなった」という言葉がまことしやかにささやかれ、バレンタインには女性か
 らチョコレートを渡しつつ一世一代の告白をする、という行事がもてはやされたのである。
 「逆チョコ」が評判になる現代、男性のほうこそが「あまり言葉のかけたさに・・・」と
 嘆いているのかもしれない。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 2月・3月上旬開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:2月21日(土曜)
  時間:午後1時〜2時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
  性別・年齢・経験は問いません。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:2月21日、28日(いずれも土曜)
  時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:2月25日(水曜)
  時間:午後1時〜6時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:2月21日、28日(いずれも土曜)
  時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています

 ★「京文化を語ろう」
日程:3月14日(土曜)
時間:午前11時〜12時30分)
  講師:太田 達
テーマ:「近江」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。

 ★「京都歴史講座」
  日程:3月22日(日曜)
  時間:午前11時〜12時30分
  講師:中村 武生
  テーマ:「酬恩庵一休寺と田辺の古墳群など」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。
 
 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  春です。花粉の季節です。花粉症でお困りのみなさん、苦しんでいらっしゃいませんか?
 私は大変です。あったかくなってきたな〜と思っていたら、目がかゆくなり、のどがイガ
 イガし出し、終いには鼻水がずるずると…(泣)
 
  みなさんもがんばってください!! 応援しています!
                                   (きしもと)
                                  
     [次回は、3月1日(日)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
 
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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