嵯峨野文化通信 第74号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 
 
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              〔嵯峨野文化通信〕 第74号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に

          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

    ★VOL:74(2009/3/1)
 
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 ○【連】からのお知らせ ———————- 北野天満宮社報に記事が載りました!
                         右京区まちづくりフォーラム
楽洛キャンパス講座案内
「花の下茶会」
  ○(連載)『京都タイムトラベル』————– 第二十五回
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』—————- 第三十七幕
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』—— 第四十首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]3月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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○北野天満宮社報に記事が載りました!

 【連】代表、濱崎加奈子のインタビュー記事が北野天満宮の社報『天満宮』第427号(
 平成21年2月15日発行)に掲載されました!! 5ページ目の「神さまと私」の中で
 紹介されています。下記URLから、ぜひご覧ください。

  北野天満宮社報 第427号
  http://www.kitanotenmangu.or.jp/427.pdf
  北野天満宮HP
  http://www.kitanotenmangu.or.jp/

 ○右京区まちづくりフォーラム

  今年度、私たち【連】が運営する今様・白拍子教室は、右京区役所の「まちづくり支援
 制度」の対象となっていました。そこで、今年度の活動報告を「右京区まちづくりフォー
 ラム」の中で行います。
  このフォーラムでは、他の支援対象団体の活動報告や、都市と農山村との共生・対流の
 まちづくりをテーマにしたパネルディスカッションが行われます。
  
 日時:3月8日(日)13時30分〜16時20分
 受付:午後1時から(事前申し込み不要) 
 定員:150人
 料金:無料
 場所:サンサ右京5階 大会議室(右京区総合庁舎内)

  詳しくはこちらをご覧ください。
  http://www.city.kyoto.lg.jp/ukyo/page/0000056901.html

 ○楽洛キャンパス講座案内
 
  同志社大学が発信する、歴史・文化体験プログラム「楽洛キャンパス」に、【連】の太
 田達が講師として参加いたします。 講座のテーマは「花街」。ざまざまな文化や芸術を
 内包した「花街」の魅力をいろいろな角度から検証して行きます。
  本当の「花街」の世界を覗いてみませんか? 

 日程:3月11日(水)
 講師:太田達(花街文化研究会会長)

 基本講座:「五花街の景観史‐産業としての花街‐」

 時間:11時10分〜12時30分
 料金:3,000円
 場所:同志社大学/今出川キャンパス

 課外講座:「茶の街上七軒を観る‐花街における菓子づくり‐」
 「老松」において和菓子の手作り体験を行います。

 時間:15時30分〜17時
 料金:3,500円(菓子づくり体験費含む)
 場所:上七軒

 ※和菓子づくりは、2名以下であれば中止になります。

 上記以外の講座も開講されています。
 お申し込みの際には登録料金も必要です。詳しくは下記までお問い合わせ下さい。

 「楽洛キャンパス事務局」
 TEL:075−223−6101
 URL:http://rakurakucampus.jp/

 ○「花の下茶会」

  展覧会「伝統を彩るわざ」の開催とともにお茶会がひらかれ、「嵯峨野学藝倶楽部」の
 茶道教室講師である西村宗靖・太田宗達と教室メンバーがおもてなしいたします。
 きっと、他にはない楽しいお茶会を体験していただけるでしょう!! 
  構えず、お気軽にお申し込みください。

 「花の下茶会」

 日時:3月20日(金)、21日(土)
 時間:11時・13時・14時・15時の4席(入替制)
 会場:祇園甲部歌舞練場庭園内茶室
 席主:三壷庵 太田宗達、西村宗靖
 参加人数:160名(1席20名×4席入替制)
 参加費:2,000円(事前申込制)

 申し込み方法:
  平成21年3月10日(火)までに郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、
  催し名、希望時間を京都いつでもコール(京都市市政情報総合案内コールセンター)
  へ電話、FAX、電子メールにて申込み。定員を超えた時点で締め切りとします。

 【京都いつでもコール】
  TEL:075−661−3755
  FAX:075−661−5855
  URL:http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000056031.html

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            (連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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            第二十五回「急がばまわれ瀬田の長橋」           
                                    太田 達

  日本三古橋というのをご存知であろうか? 京都の小学生は、四学年時に「私たちの京
 都」という副読本で様々な京都の地誌を学ぶ。たしか、渡月橋、観月橋、宇治橋であった
 ような。三条大橋は入っていたのか、記憶はあいまいである。それらは全てコンクリート
 か一部コンクリートなので、風情はあまりないような気がする。特に観月橋は、国道24
 号線と立体二重橋になっているので遠目にも苦しい。唯一、時代的素朴さの残っていた渡
 月橋も、欄干内に妙な石灯柱が設置され、様子が変である。
 
  愚痴はさておき、三古橋に話を戻そう。宇治橋、山崎の橋、瀬田の唐橋をもって三古橋
 とするらしい。宇治橋は、大化二年(646)、山崎橋は、神亀二年(752)に架橋さ
 れたことがはっきりわかっている。瀬田の唐橋は、十二代景行天皇の時代(日本武尊の活
 躍した時代)に、丸木舟を横に幾艘も並べ、藤や葛の蔓でつないだ吊り橋的な橋であった
 記述がある。景行の実在は疑わしいとされているが、景行帝が生きたとされる時代は、ま
 さに、『後漢書東夷伝』の後漢の光武帝が、金印を倭国に印綬した中国暦建武中元元年、
 西暦57年や、倭国大乱の時代である。この大王は、息子の日本武尊が死んだのち、近江
 大津の北域の穴太に都を造り、その地で身罷っている。
  この橋の吊り橋的な形状と、軍事的な匂いが漂っていそうなところからして、景行の実
 在は神話世界と断言しにくいところがある。また、十五代応神の母女帝神功皇后に歯向か
 った忍熊皇子は、瀬田のこの橋のあたりで戦死しその骸は流され、下流の宇治川で発見さ
 れたとしている。

  古代史の関ヶ原(実際関ヶ原の近くでも戦っている)である壬申の乱(671年)にお
 ける、大海人皇子(天武天皇)と大友皇子(弘文天皇)の最終決戦の場所も瀬田の唐橋で
 あった。西岸に陣取った大友側は橋板を一部取り払い防戦したが、大海人に成功し大友軍
 を総崩れさせた。大友皇子も、やはり大津の北域の山前というところで首をくくる。天智
 天皇の大津京の幕引きである。
  この時の瀬田の橋の遺構が発見されている。現在の唐橋の下流80メートルのあたりに
 8、9基の大規模な橋脚の基礎遺構があり、滋賀県歴史博物館に再現展示されている橋の
 幅員は9メートルもある立派なものである。瀬田の唐橋を挟んだ東西の戦いの歴史があま
 りにも面白いので、タイトルの「急がばまわれ」の諺の意味の種明かしは次次号でという
 ことで。
                                   ―つづく―
 
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                          (連載)『ニッポン城郭物語』
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               ―第三十七幕―  〜その後の話〜

                                   梅原 和久

  過去の連載で扱ったことの続報をいくつか。というのも、先日数多い(?)愛読者の方
 にとってはタイムリーなニュースが大きく報じられたからである。
  
  11月1日号で扱った、現在は明治天皇桃山御陵となっている伏見城址が、初めて研究
 者に公開された、というのだ(※1)。宮内庁管理となって以降、基本的には誰も立ち入
 ることができないために、城跡がどういう状況になっているかがほとんど分からない幻の
 城だったのだが、ようやくその一部が明らかになった、ということになる。
  伝えられたところによれば、三代将軍家光による廃城時そのままの状態が残っており、
 石垣の石もほとんどが抜き取られていたという。ただ、短時間の調査ではあったが、二十
 数メートルm四方、高さも6〜7メートルある天守台も確認できたようで、今後さらなる
 公開を期待したい。

  もう一つ。「城の売却」というショッキングなニュースがワイドショーでも話題となっ
 た豊前中津城のその後。あれだけの大騒動となったにも関わらず、その後とんと音沙汰が
 ない。代わりに話題となったのは、城の売却を発表した旧藩主奥平家の内部問題である。
 一昨年7月、「せっかく市の期待に応えて天守閣を建てたのに『歴史的建造物ではない』
 と軽視されてきた。もう手放す以外にない。城内の宝物はすべて持ち出す」として中津城
 売却を発表した19代当主に対して、養子縁組偽装無効の申し立てが17代当主のいとこ
 から出された、というのだ(※2)。
  そもそも、この19代が奥平姓を名乗り始めたのは、中津城を所有する中津勧業株式会
 社の代表取締役であった1995年、17代当主のいとこを養母とする養子縁組届を中津
 市に提出してからである。養母とされた17代のいとこは6年後、家族が戸籍謄本を取り
 寄せた際に養子縁組変更に気付いたという。19代が売却を発表したことを知り、「自分
 の了解なく勝手に養子縁組をされた」として縁組の無効を訴えた、というのが事の次第。
 結局、19代側が調停に応じないまま、昨年5月に「不成立」となったのだが、中津城の
 今後も宙に浮いたまま。さて、どうなることやら。
  
 (※1)報道された記事。
    http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009022000185&genre=M2&area=K00
  思えば20数年前、既に城マニアの中学生だった頃に、立入禁止の柵を越えて本丸跡の
 藪に分け入ったことがある。メルマガで扱ったのは偶然なのだが、ようやく公開された、
 ということが本当に感慨深い。ちなみに11月1日号はこちら。
    http://archive.mag2.com/0000185716/20081102002000000.html
     
 (※2)平成のお家騒動を報じた記事。
    http://kiji.i-bunbun.com/read/read.cgi?1195484400=119552037122105=1

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                   (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第四十首     
                                   田口 稔恵

  君がため春の野に出でて若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ
  (光孝天皇 古今和歌集春上)

 (あなたのためにまだ春浅い野に出て若菜を摘む、私の衣の袖に雪が降り続いています。)
 
  春まだ浅い野辺の若緑に白い雪の色彩のコントラストが美しい。詞書に「仁和の帝、親
 王におはしましける時に、人に若菜賜ひける御歌」とあり、年若く美しい皇子が、手ずか
 ら若菜を摘む姿が想像される。
  しかし、実はこの光孝天皇は、即位が55歳と遅い。本来、皇位とは無縁の立場と思わ
 れた親王は、藤原家の思惑や天皇家の事情が絡んで、急にスポットライトが当たることと
 なった。
  しかし、謙虚で穏やか、思いやりのある性格の上、聡明で美しい、と形容される(『日
 本三代実録』)人物だったからこその人選だったとも言えよう。自らの手で親王の立場に
 在る者が若菜を摘むだろうか、という懐疑の念も、この天皇ならば、と思わせる力がある。
 いつの時代も、混乱期にはスペシャリストよりもマルチな人間が生き残るのだ。

 若菜を摘むという行為には、まだ冬の名残がある早春に、若菜の生命力をもらって繁栄を
 祈るという意味がある。雄略天皇の「籠(こ)もよ美籠(みこ)持ち・・・」の歌に象徴
 されるように、若々しい命と、生殖による弥栄の意味合いもあったであろう。
  そう考えると、光孝天皇の歌には、日の本の長たる天皇、あるいは若い女性への想いが
 通底するように読むことができそうである。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 3月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:3月7、21日(いずれも土曜)
  時間:13時〜14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
  性別・年齢・経験は問いません。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:3月7、14、28日(いずれも土曜)
  時間:15時〜20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:3月11、25日(いずれも水曜)
  時間:13時〜18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています。

 ★「京文化を語ろう」
日程:3月14日(土)
時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:太田 達
テーマ:「近江」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)

 ★「京都歴史講座」
  日程:3月22日(日)
  時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「酬恩庵一休寺と田辺の古墳群など」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。
 
 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  つい先日まで和歌山県に行っていました。
 初めて見るみかん畑に、南国にあるような葉をした木・・・京都からバスで何時間という
 距離なのに、がらっと様子が変わって面白かったです。その土地にしかない雰囲気や風景
 を、もっと見てみたいと思いました。
  まだまだ寒いですが、冬ももう少しで終わりますね。春になったら、またいろいろと出
 かけてみたいと思います!
                                   (まつだ)

     [次回は、3月15日(日)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
 
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。