嵯峨野文化通信 第72号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 
 
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              〔嵯峨野文化通信〕 第72号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

    ★VOL:72(2009/2/1)
 
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 ┃も┃┃く┃┃じ┃
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 ○【連】からのお知らせ ———————– 楽洛キャンパス講座案内
梅の季節のお茶会
「花の下茶会」
                       「今様人生三十年史」新聞に掲載
  ○(連載)『京都タイムトラベル』————— 第二十五回
○(連載)『ニッポン城郭物語』—————– 第三十六幕
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——- 第三十八首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]2月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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 ○梅の季節のお茶会

 茶道教室のお菓子や、【連】が行うさまざまな活動に協力してくださっている有職菓子
 御調進所「老松」から、春を感じるお茶会の案内が届きました! まだまだ寒い気候で
 はありますが、梅の咲き始めを感じながらお茶をいただいてみませんか?

 日程:2月22日(日)
 時間:午前10時〜、午後1時〜
 場所:老松嵐山店2階和室(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町20)
 内容:薄茶一服 点心
 費用:3000円

 ※申し込みには予約が必要です。お問い合わせは下記まで。
  嵐山店:TEL:075−881−9033 担当:上元/塩貝
  URL:http://www.oimatu.co.jp

 ○楽洛キャンパス講座案内
 
 同志社大学が発信する、今年で第5回目を迎える歴史・文化体験プログラム「楽洛キャ
 ンパス」に、【連】の太田達が講師として参加いたします。「花街(かがい)」を陰で
 支える職人の技術や今も残る建築物の紹介など、さまざまな角度から花街に迫る講座「
 花街の粋と奥行き」の一日を担当いたします。
 「花街」の魅力に、あなたも触れてみませんか?

 日程:3月11日(水)
 講師:太田達(花街文化研究会会長)

 基本講座:「五花街の景観史‐産業としての花街‐」

  歴史上、さまざまな文化・芸能を生み出してきた花街の成り立ちから現在の五花街成立
  に至るまで、歴史と景観の観点から「花街」を明らかにします。

 時間:午前11時10分〜12時30分
 料金:3,000円
 場所:同志社大学/今出川キャンパス

 課外講座:「茶の街上七軒を観る‐花街における菓子づくり‐」

  五花街の中で最も古い歴史を持つ上七軒をフィールドワークした後、有職菓子御調進所
 「老松」にて和菓子作り体験をします。その後、できたての菓子を抹茶とともに召し上が
  っていただきます。

 時間:午後3時30分〜5時
 料金:3,500円(菓子づくり体験費含む)
 場所:上七軒

 ※和菓子づくりは、2名以下であれば中止になります。

 上記以外の講座も開講されています。
 お申し込みの際には登録料金も必要です。詳しくは下記までお問い合わせ下さい。

 「楽洛キャンパス事務局」
 TEL:075−223−6101
 URL:http://rakurakucampus.jp/

 ○「花の下茶会」

 財団法人京都市芸術文化協会が、京都創生推進フォーラム及び京都市とともに展覧会「伝
 統を彩るわざ」を開催されます。京都に受け継がれてきた伝統芸能や伝統文化に触れるこ
 とができるこの催しと同時に、お茶会もひらかれることになりました。「嵯峨野学藝倶楽
 部」の茶道教室講師である西村宗靖・太田宗達と教室メンバーがおもてなしいたします!
 普段なかなか入ることができない祇園甲部歌舞練場庭園内茶室が会場ですので、ぜひお足
 お運びください!

 「花の下茶会」

 日時:3月20日(金)、21日(土)
 時間:午前11時・午後1時・2時・3時の4席(入替制)
 会場:祇園甲部歌舞練場庭園内茶室
 席主:三壷庵 太田宗達、西村宗靖
 参加人数:160名(1席20名×4席入替制)
 参加費:2000円(事前申込制)

 申し込み方法:平成21年2月1日(日)から申込受付。
  平成21年3月10日(火)までに郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号、
  催し名、希望時間を京都いつでもコール(京都市市政情報総合案内コールセンター)
  へ電話、FAX、電子メールにて申込み。定員を超えた時点で締め切りとします。

 【京都いつでもコール】
  TEL:075−661−3755
  FAX:075−661−5855
  URL:http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/000012821.html

 ○『今様人生三十年史』新聞に掲載

 嵯峨野学藝倶楽部で「今様・白拍子教室」を開講している石原さつきが著した『今様人生
 三十年史』(日本今様謌舞楽会編、定価:2800円+税)が、2月29日付けの京都新
 聞朝刊で掲載されました! この書籍には、平安時代に流行し、その後廃れてしまった今
 様を、現代に再興しようと取り組んできた30年の活動が記録されています。各地の図書
 館に寄贈されていますので、ぜひ手にとってご覧ください!

 京都新聞掲載記事HP
 http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2009012900098&genre=M1&area=K1H

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                         (連載)『京都タイムトラベル』
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                第二十五回 「三条橋」     
                                    太田 達

  今週、静岡放送さんの茶華道講座というところで、茶店と茶道における菓子の関係につ
 いてお話させて頂く。うーん、難しい演題である、誰が考えたんやろ。実は、犯人は、本
 人なのである。こういう講演会のタイトルは、一年くらいまえに提出する。そのとき気に
 なる事柄を、日にちがあるので何も考えずに言ってしまっている。一週間前位になると主
 催者側から、確認の通知が来る。そして少しやばいと思いつつ時が過ぎ、二、三日前にな
 り大慌てと相成る次第である。

  今回の内容は、茶店の菓子と茶道の菓子という菓子の両極にあるようなものであるが、
 私が両方の仕事に長年携わってきた「勘」から、切っても切れない「何か」を感じるとい
 うだけの所からスタートしなければならない。「〜餅」とか「〜饅頭」という菓子の名前
 「銘」は、茶店の菓子そのものなのだが、実は「〜餅」「〜饅頭」という銘は、茶会の菓
 子銘として結構存在しており、私見なのだがこれらの銘の菓子達は、重要な茶会で出され
 る事が多い。何か有るはずだと、今、にらめっこしているのが、寛政九年(1797)刊
 行の『伊勢参宮名所図絵』である。編者の秋里籬島という人はすごい人で、『都名所図絵』
 に始まり『大和』『住吉』『和泉』『摂津』『東海道』『都林泉』『河内』と、名所図絵
 を刊行し江戸末期における、この手の出版ブームの火付け役であった。
  私も小学生高学年のころ、父親に『都名所図絵』を、譲り受け、それを手に京都の名所
 巡りをした事が、今こういう事に興味をもった原点になった気がする。絵図が多いので、
 子供にもわかりやすく、名所の絵だけではなく歴史、文学、伝説が絵図で描かれていたり、
 登場人物の表情やその風俗が活き活きとして面白い。それぞれ描かれた社寺を訪れ、そこ
 に朱印をもらって楽しかった。でも、いつも、「これにほんとに朱印していいのか」と神
 職やお坊さんに訝しがられた。これもいい思い出である。で、その『伊勢参宮名所図絵』
 の最初に登場する絵図が「三条橋」なのである。現在の三条大橋西詰め北側「スターバッ
 クスコーヒー」の辺りから、南東を俯瞰している。

  橋の上は、27人の人物が描かれている。供を連れ伊勢へと出発しようとしている裕福
 そうな女性たち、これも伊勢への途中であろう、自ら行李と蓑をかついだ百姓風の夫婦づ
 れ、また伊勢から戻った様子のダブルカップルの四人組、あと芝居にでも行くのであろう
 か、イスラムの女性のように被衣を被った若い女性の三人組、儒者らしき裃姿、弓を持っ
 た供連れの武士など、まさに、雑多な往来の騒音が聞こえてきそうである。橋の真ん中で
 東南を指差す男が二人。その先には、東山の名所社寺が一面に遠望される大パノラマであ
 る。三条橋は、絶景のビューポイントであったのだ。
                                     −了−
 
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                          (連載)『ニッポン城郭物語』
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              ―第三十六幕― 〜安土城をつくる話〜  
                                   梅原 和久

  城マニアの究極の夢として、「自分で城を築きたい」というのがある、らしい。自宅を
 城風に改造した人、巨大な模型を作った人。私にはそっち系の野望は全くないが、趣味が
 高じて作っちゃいました、という人は世界各地に存在する(※1)。

  そこまでやるだけの財力はなく、また家族の同意を得る期待も持てない人にとって興味
深いものが、この1月から発売された。本屋で目にされた方もおられるかもしれないが、
 デアゴスティーニの『週間 安土城をつくる』である。
  このシリーズは、毎週発売される同名雑誌の付録のパーツを組み立てることで、全部集
 めれば大型の模型が完成する、というもの。これまで、ドールハウスや蒸気機関車を作る
 ものなどが発売されたが、最近では『太陽系をつくる』(!)というものまであるようだ。

  ともかく、安土城を90分の1スケールで、外観だけでなく内装や柱の一本一本まで詳
 細に再現するというものである(※2)。「どこに置くのかな」という素朴な疑問はさて
 おき、驚くのは、完成するには全110号をそろえる必要があること。毎週少しずつ組み
 立てて、完成まで約2年。1号の単価は1,490円だが、全部集めれば約16万円。こ
 んな私でさえ「よし、買おう」とはなかなか思えないのに、これを実際に発売するという
 ことは、ある程度採算見込みがある、という訳で。城マニア恐るべし、というところか。

  そこまでの根気も財力もない、という人には、もう一つニュースがある。今年の直木賞
 を受賞した作家山本兼一原作の映画『火天の城』の公開である(※3)。これは、安土城
 を築いた大工の棟梁である岡部又右衛門の半生を描いた作品で、チャンバラが出てこない
 という一風変わった時代劇である。安土城をつくる過程を映像で再現したこの映画、オー
 プンセットにはなんと約5億円を投入しているそうで、これまでにない迫力ある映像を見
 ることができそうだ。今年9月の公開が待ち遠しい。
  
 (※1)各地の選挙で名前を目にする有名人。この人の家は当然ながら城である。
    http://otokonohoukago.mond.jp/page073.html
  また、自宅の庭に姫路城を作った人もいる。現在失われた部分まで精巧に作られている。
    http://iseshima.keizai.biz/headline/160/
  南米パラグアイにある前原城。
    http://www.geocities.co.jp/HeartLand/3853/castillo.html

 (※2)オフィシャルページ。http://www.de-club.net/azc/

 (※3)映画の紹介ページ。 http://cinematoday.jp/page/N0015775

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                   (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第三十八首     
                                   田口 稔恵

 たとえば霧や/あらゆる階段の跫音のなかから、/遺言執行人が、ぼんやりと姿を現す。
 /――これがすべての始まりである。

 遠い昨日……/ぼくらは暗い酒場の椅子のうえで、/ゆがんだ顔をもてあましたり/手紙
 の封筒を裏返すようなことがあった。/「実際は、影も、形もない?」/――死にそこな
 ってみれば、たしかにそのとおりであった。

 Mよ、昨日のひややかな青空が/剃刀の刃にいつまでも残っているね。/だがぼくは、何
 時何処で/きみを見失ったのか忘れてしまったよ。/短かかった黄金時代――/活字の置
 き換えや神様ごっこ――/「それがぼくたちの古い処方箋だった」と呟いて……

 いつも季節は秋だった、昨日も今日も、/「淋しさの中に落葉がふる」/その声は人影へ、
 そして街へ、/黒い鉛の道を歩みつづけてきたのだった。

 埋葬の日は、言葉もなく/立ち会う者もなかった/憤激も、悲哀も、不平の柔弱な椅子も
 なかった。/空にむかって眼をあげ/きみはただ重たい靴のなかに足を つっこんで静かに
 横たわったのだ。/「さよなら、太陽も海も信ずるに足りない」/Mよ、地下に眠るMよ、
 /きみの胸の傷口は今でもまだ痛むか。
                             (「死んだ男」鮎川信夫)

  紙幅を割いて、あえて詩を取りあげた。都合上、スラッシュで本来の段落を表したこと
 をお断りする。
  「死んだ男」は、森川義信。作者・鮎川信夫の詩友であり、25歳でビルマに戦病死し
 た。戦争の影を背負いながら、濃密な黄金の青春を共に歩んだ、志を同じくする友。
  森川は戦病死し、スマトラに従軍した鮎川は、発病のため内地に帰還して一命をとりと
 めた。死が二人を分かった。運命の不条理を嘆くことさえ許されない時代の、見送る者も
 いない戦地での死を、作者はもはや己の心の中で想い、弔うしか術はない。
 二人の青春時代の符号を重ね、「男」が紛れもない自分の親友であることを明示する
  前半に対し、「Mよ」とイニシャルで呼びかけ、汎化を行う後半において、死の持つ普
 遍性がすべての読み手に預けられる。
  ビルマの地に眠る森川は、ある者にとってはシベリアの、またある者にとっては満州の
 −だが、何者にも代え難い「M」であるのだ。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 2月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:2月4日、25日(いずれも水曜)
  時間:午後1時〜6時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:2月7日、21日、28日(いずれも土曜)
  時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:2月7日、21日(いずれも土曜)
  時間:午後1時〜2時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
  性別・年齢・経験は問いません。

 ★「京文化を語ろう」
日程:2月14日(土)
時間:午前11時〜12時30分(90分)
  講師:太田 達
テーマ:「若狭」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)

 ★「京都歴史講座」
  日程:2月15日(日)
  時間:午前11時〜12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「石清水八幡宮」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。
 
 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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 最近、目覚まし時計が3つ必要になっており危ないなと思っていたのですが、つい先日3
 つ目を止めて寝ている自分がいました・・。気づいたのが用事のある時間の30分前。ぎ
 りぎりセーフでした!
 目覚まし時計の配置場所を変えるべきだろうかと思案中です。
                                    (まつだ)

     [次回は、2月15日(日)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
 
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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