嵯峨野文化通信 第59号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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              〔嵯峨野文化通信〕 第59号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

   伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)

★VOL:59 (2008/7/15)
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 ┃も┃┃く┃┃じ┃
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  ○【連】からのお知らせ————– 今様教室が右京区まちづくり支援事業に
                     今様・白拍子教室で新たな演目制作中
                     8月に菓子教室を開催
                     『ウエッジ』8月号に【連】が掲載
  ○(連載)『京都タイムトラベル』—- 祇園会の会所(茶店−人の集う所)
  ○(新企画)『伝統文化と私』——– 伝統文化と私〜伝統文化との出会い〜
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]7月・8月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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  ○ 今様教室が「右京区まちづくり支援制度」の支援事業に選ばれました!

  嵯峨野学藝倶楽部の今様・白拍子教室が、京都市の「平成20年度 右京区まちづく
り支援制度」の支援対象5事業の1つに選ばれました。教室の趣旨が、右京区の目指す
 「地域コミュニティの活性化につながる事業」であると評価された結果です。
  これに伴い、年度末には事業の成果を公開の場で発表することになっています。今ま
 で教室に参加されたことのない方も、これを目標にして一緒にお稽古してみませんか?
 
  ◆ 右京区まちづくり支援制度の概要はこちらから。
  http://www.city.kyoto.lg.jp/ukyo/page/0000038535.html

 ○ 今様・白拍子教室で新たな演目を制作中!

  現在、今様・白拍子教室では、源氏物語千年紀にちなんだ、新たな演目を制作中です。
 具体的には「夕顔」「花宴」の巻を舞台で上演できる形にしようとしています。
  また、7月26日には、色紙に和歌を書くための、書道の練習を予定しています。伝
 統芸能である「今様」を通して、源氏物語や平安時代の雅びな文化について共に学びま
 せんか?

  ◆ お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

 ○8月に菓子教室を開催!

  8月24日(日)に、京都市郊外の山崎にある雑貨Shop&暮らしの教室「食と暮
 らしのうるおいサロン Relish」において京菓子教室が行われます。講師は嵯峨
 野学藝倶楽部でおなじみの、太田達が担当します。
  第4回目となる今回は、宮崎産の本物のわらび粉を用い、餡を包んだ茶席菓子として
 の「わらび餅」を作ります。ぜひご参加ください!!

 日程:8月24日(日)
  時間:午後2時〜4時(120分)
  料金:3000円
  持ち物 :持ち帰り用容器、エプロン
  申し込み:Relishへ直接お申し込みください。
  TEL/FAX:075−953−1292
  E-mail :info@relish-style.com
 
  ◆詳しくはこちらをどうぞ! 
   http://www.ren-produce.com/event/080824_relish/

 
 ○ 新幹線『ウエッジ』8月号に【連】が掲載されます!

  『ウエッジ』は、新幹線グリーン車に搭載される月刊車内誌です。7月20日発売に
 なる8月号に、【連】が取り上げられます。「日本をつなぐ〜生きた伝統に触れ古人の
 知恵を感じる〜」の項をご覧下さい。グリーン車に乗らなくても、駅の売店でも購入で
 きます。

  ◆8月号の目次はこちら。 
   https://www.wedge.co.jp/d_1.html

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             (連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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            祇園会の会所  (茶店−人の集う所) 
                                   太田 達

  七月に入ると、四条通界隈は、どこにいても祇園囃子が聞こえ(昼間はテープなのだ
 が)、八坂の神紋が街をかざる。京都新聞も「山の籤とり」に始まり、連日これまた毎
 年同じ祭事を日を追って報道する。十日過ぎには鉾立てがはじまる。山鉾への乗り降り
 は当屋会所となる町家の二階から出入りする。今はマンションやビルになった会所もあ
 るが、一応三十二基それぞれに会所は存在している。

  が、下京区松原通柳馬場の中之町において、山鉾を持たない会所が存在する。かつて
 は、「前」の祇園祭、前とは聞き慣れないかもしれないが、旧暦時代には、六月七日と
 十四日に山鉾が巡行し、神輿も渡御していたのだ。私の子供時代も、七月十七日と二十
 四日の二回に分けて巡行していたように思う。確か東京オリンピックの次の年までであ
 っただろうか? この事を指して前祭り、後祭りと云う。

  話を戻そう。その前祭りの日に、この中之町会所がハレの舞台となる。この町に伝わ
 る『當町内附録』に、面白い記述があるので、長くなるが引用してみよう。
  「例年 六月七日、長刀鉾松原通西に向かへば町内一統街上に立ならび神酒神供を持
 出、鉾到るを待請る、彼町の人々も一統に列正し當町内に到りて頂戴之互に嘉儀休息す
 右起源は往古當町内のもの疫疾にて多臥す、其時頓宮を造牛頭天王を祭神楽を奏信心い
 たし候處、疫疾悉平癒す、是偏に天王之御神徳なりと感徳し、夫より例年六月七日神供
 を備置長刀鉾は祭礼之魁なれば彼町の人々頂戴之なり 錺もの 曵茶を水にて立る(茶
 碗信楽焼を用る)三宝に御鏡餅(一重)同御神酒(土器二枚)同粽(左右に置)一里塚
 松の根をあらめにて巻車海老をつける又楊梅、杏子、梅瓜三菓を左右に備置、但し男松
 女松用る」

  実は十年程前、息子が長刀鉾稚児役を拝命した時、途絶えていたこの神事をお願いし
 て再興してもらった。この会所は松原通に面した古く逼塞したような散髪屋さんの奥座
 敷であり、その一里塚は奥庭にあった。その前に、雌雄の松を籠に入れ、平の荒布の筋
 を縦に巻き付け、海老が飾ってあるその前両側に紋付の町役が居並び、長刀鉾稚児が太
 平舞を舞う。その後、中之町の長老の一人が、大きな土瓶に手を突っ込み、茶筅を振る。
 そして、長刀鉾の関係者に楊梅を模した「こなし」が振る舞われ、水立ての薄茶が配ら
 れた。昭和初期までは、本物の、朝瓜、杏子、楊梅が供されていたらしい。この茶立て
 法は、十五世紀のそれを彷彿させ、瓜は八坂祇園社の神紋として近世のあいだ、祇園会
 の食文化の中心をなしたものである(現在では、逆に神紋に似ているがゆえタブー視さ
 れている)。杏子の意味は不明。楊梅については、その形状のブツブツと濃紅色が、疱
 瘡の症状を連想させるため「悪には、悪で制する」と云う事で用いられたのでないかと
 想像できる。証拠として、愛知県にある、天王祭で有名な津島天王社の門前菓「あがた
 」は、空海が疱瘡平癒の祈祷に楊梅を使った事に由来し、楊梅を擬したものといわれて
 いる。非常に興味深い情報がこの短時間の祭儀の中に含まれている。

  この事を語り出せばとても長くなるので、この松原中之町一里塚神事再興のエピソー
 ドにふれて筆を置きたい。じつは近年、莫大な費用がかかる為、長刀鉾稚児のなり手が
 なく、神事を簡素化し、本筋ではない事は取り止めようとする傾向にあった。当時、長
 刀鉾保存会の会長は、神事取り止めの立場で、中之町神事再興に猛反対であった。しか
 し、囃子方の役員や八坂社の真弓宮司さん、中之町の役員は皆再興を望んでおられたよ
 うで、皆ラフな私服で塚に参るだけ、と云う事で会長の許可を取り付け、いよいよ神事
 当日を迎えた。するとどうだろう、打ち合わせした訳でもないのに、会長以外全員、正
 装で、町内の方も『當町内附録』の通りに準備され、催行された。皆大満足で誇らしげ
 な顔をしていた。しかし、そこには大恥をかかされた会長の怖い顔があった。そして、
 私との間には大きな痼りが残った。
  数年後、山科アスニーのゴールドエイジセミナーで「神饌」について講演をさせて頂
 く機会を得、無事に終わって降壇した時、声を掛けられた。振り返ると、その会長さん
 であった。この時には全ての役職を引退されており、「元」会長であった。そして、こ
 う言われた。「あの時、私も嬉しかった」と。すべてのわだかまりが消えた。私も、深
 く頭を下げた。
  先日、元会長さんの訃報を耳にした。これからも、祇園囃子を耳にするたびに元会長
 さんの最後の笑顔が脳裏に浮かぶであろう。 合掌 
                                    −了−

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                          (新企画)『伝統文化と私』
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  今号から、『伝統文化と私』と題して、私たちの身近なものから伝統文化に迫ってい
 こうと思います。専門的な知識からだけでなく、日常的な感覚からアプローチしていく。
 どんな文化が見えてくるのでしょうか。第1シリーズは、「伝統文化との出会い」と題
 して、伝統文化に触れるようになったきっかけを書いてみることにしました。
  まずは編集者である私からスタートします!

                  
                伝統文化との出会い
                                   松田 菜月

  親に「おまえは昔から日本文化と関係のあるものが好きだった」と言われたことがあ
 る。考えてみても、いつ頃から伝統文化に興味を持ったのか、また、なにがきっかけで
 あったのか、思い出せない。気がついたら好きになっていたというのが事実である。た
 だ、その「好き」は、なんとなく日本ぽいものが好きといったものであり、しっかりと
 自覚したのは中学から高校の頃だった。

  私は中高一貫校に通っていたので、中学3年から古典の授業が始まった。その時に私
 は古典の授業が大好きになり、そこに描かれている装束や年中行事について、とても興
 味をもった。平安時代の女房装束が長袴だったということが理解できず、なぜ切袴では
 ないのか、どうやって歩くのかと考え込んだり、『国語便覧』に載っている「装束の着
 方」のページを眺めて、裳とはどのようにつけるのだろうと悩んだり、想像したりした。
  そのうちに自分で着てみたくなった。祖父が近くの神社の氏子総代をしていたので、
 「そこで正月だけでもアルバイトをさせてもらえないか」と親に相談し、私はやる気で
 いっぱいだったのだが、私の通っている高校がアルバイトが禁止だったのと、祖父が亡
 くなってしまったのが重なって、残念ながらその話は実現せずに終わった。

  大学受験は公立の大学の推薦を断って京都の大学1本にしぼった。担任の先生は、少
 し変わった生徒だと思っていたようである。その頃、私は伝統文化が自分の育った町に
 も息づいていることを知らなかった。地元の神社も正月に参拝に行くだけだったし、自
 分の町どころか、全国各地に少数ながら芸妓さんがいて、組合があったりすることもま
 ったく知らなかった。今思えば、行こうと思えばいくらでも神社仏閣を訪れることがで
 きたのに、もったいないことだったと思う。
  結果的に、京都に来て様々な建築物や伝統文化に触れて、地元にも伝統文化があるこ
 とがわかった。装束も、今様教室で着させていただき、長袴での歩き方や(意外と歩く
 ことができるのに驚いた)、狩衣の着方を教わった。そんな様々な伝統文化に触れるこ
 とができ、とても幸せである。今やりたいことは、地元の伝統文化を見つけて歩くこと
 である。一生伝統文化に関わっていきたいと密かに心の中で思っている。
                                  −了−

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部]7月・8月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/から

 ★「京都史跡ものがたり〜三宅安兵衛の石碑をたずねて」
  日程:7月20日(日)
  時間:午前11時〜12時30分(90分)
  テーマ:「亡父の遺言、京都に石碑を建立す」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。

 ★「うたことば研究会」
  日程:7月26日(土)
  時間:午後2時〜3時30分(90分)
  参加費:今様・白拍子教室受講生は無料
      一般 500円(資料代)
  ※月1回、今様・白拍子教室の後に開催しています。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:7月23日・8月6日、20日(いずれも水曜)
  時間:午後1時〜6時(ご都合の良い時間にお越しください)
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:7月26日・8月2日、9日、23日(いずれも土曜)
  時間:午後1時〜6時(ご都合の良い時間にお越しください)
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:7月26日・8月2日、30日(いずれも土曜)
  時間:午後1時〜2時(60分)
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。
   源氏物語千年紀にちなんだ勉強会やイベントも予定しています。
 
 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  祇園祭真っ最中ですね。去年は浴衣を着て祭りを見に行くことが出来なかったので、今
 年こそは、と思って実家から浴衣を送ってもらいました。
  それにしても京都は普段から着物を着た人を多く見かけます。そして、それが全く不自
 然でないんですよね。和服好きな私としては、目が輝きます!
  でもその前に、大学生なので授業のレポートを片付けないと・・・。
                                   (まつだ)

     [次回は、8月1日(金)に配信予定です! 次回もお楽しみに。

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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