有斐斎弘道館は、2009年に取り壊しの危機にあった数寄屋建築です。
保存活動により一時的に取り壊しを逃れておりますが、まだまだ、いつまた危機が訪れるかはわかりません。
新型コロナウイルスの感染拡大の状況をうけ、文化の意味は改めて見直されていると感じる一方で、現実面では非常に苦しいものがあります。
もちろんどの業種の方々も同じかと思いますが、かつて「不要なもの」として取り壊されそうになっていた建物ということを考えれば、今まさに第二の危機にあるといってよいと思います。
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一方で、学びの場としての活動は、ひるむことなく、続けていく意志をますます強くしております。
現在、来館者は受け入れておりませんが、毎日障子を開け放ち、庭の手入れをし続けています。
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かつて荒れ果てていた庭の再生は、1日でも手をゆるめると、元の木阿弥です。
そして、江戸時代の、近代以前の知から学ぶというスタンスから、ある一角は小さな実験農場と化しております。
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つくづく、自然からエネルギーを得て、人は生きているのだということを実感いたします。
これこそが本当の学びなのかもしれません。