嵯峨野文化通信 第261号

嵯峨野文化通信第261号
伝統文化プロデュース 【連】メールマガジン   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)_________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第261号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

     嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

              毎月1日・15日(月2回)

                   ■VOL:261(2017/2/1)

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                 ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ーーーーーーTOPIC!!「大倉源次郎 能談義」開催決定
                    有斐斎弘道館 講座・茶会等のご案内
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』———–第百二十九幕
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』———–※ 今回は休載です

  ■[嵯峨野学藝倶楽部]2017年2月 開講講座のお知らせ

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              □■【連】からのお知らせ■□

◆TOPIC!!
「大倉源次郎 能談義」開催決定
 〜有斐斎弘道館・伝統文化の未来を語り、本に綴じる講座〜
 
 江戸時代の学問所址・有斐斎弘道館では、江戸時代の教養文化としての「能楽」に
 ついてじっくりと考え、また広めていく場として本講座を開催いたします。
 大倉源次郎先生は、ご自身が能楽小鼓方としてご活躍の一方で、談山能やフランス
 公演など、数多くの能楽企画公演に取り組んでこられました。
 本年、還暦を迎えられるにあたり、これまでの演能の記録を振り返りながら、能楽
 の過去・現在・未来について、ご一緒に考えたいと思います。
 なお、4回分のお話は、伝統文化の「現在」を伝える記録として本にまとめ、次世
 代に残したいと考えております。ぜひ、ご協力くださいますようお願い致します。

「大倉源次郎 能談義」開催概要
 日 程:2017年4月27日、5月11日、6月1日、6月22日
     ※いずれも木曜日
 時 間:18時半〜20時(予定)
 出 演:大倉源次郎(大倉小鼓方十六世宗家)
 資料費:30000円(全4回分)
     ※参加費は、本(記録冊子)作成のための基金とさせていただきます
     ※4回通してご参加いただけます
     ※本にご氏名を掲載させていただきます(匿名可)
     ※本が完成しましたら、2冊進呈いたします
     ※平成29年秋の刊行を目標としております
 
◆講座・茶会のご案内
 ■講座 「信仰からみる京都」
  京都を識るうえでかかすことのできない周辺地域を語るシリーズ第2弾。
  前回の「丹波・亀岡」についで、今回は「滋賀県」を取り上げます。
  日 程:2017年2月11日(土)
  時 間:11時〜12時半(10時半より呈茶あり)
  講 師:太田達(京都精華大学・立命館大学非常勤講師)
  受講料:2000円(テーマにちなんだお菓子と抹茶付)

 ■特別企画「茶の湯文化を識る」
  今回はゲスト講師として、桐浴邦夫氏を招き、「茶の湯の建築(仮題)」をテー
  マに取り上げます。建築を識
  日 程:2017年2月14日(火)
  時 間:13時〜14時半(12時半より呈茶あり)
  講 師:桐浴邦夫(建築史家、京都建築専門学校)、太田宗達
  受講料:2000円(テーマにちなんだお菓子と抹茶付)

 *上記各種講座・茶会等のお問い合わせ、お申込みはコチラ
   TEL   :075ー441ー6662
   メール  :kouza@kodo-kan.com
有斐斎弘道館HP: http://kodo-kan.com

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              ■『ニッポン城郭物語』■

                ー第百二十九幕ー
                                梅原 和久

随分間が空いたが、昨年8月・9月の1日号で取り上げた豊国神社の国宝唐門に
 ついての続報。

  寛永3年(1626)に行われた後水尾天皇の行幸後、二条城内の行幸関係の建物は
 順次仙洞御所などに移築された。行幸御殿の入口に東面して建っていた唐門は、翌
 寛永4年(1627)8月、行幸の実現に尽力した以心崇伝が住持をつとめ、折しも大
 改築が行われていた南禅寺塔頭の金地院に移されることになった(※1)。

  以来248年間、この唐門は金地院にあったのだが、明治維新により大きな転機を
 迎えることになる。

  武家諸法度や禁中並公家諸法度、伴天連追放令など、幕府の基本法案の起草制定
 に携わったほか、有名な方広寺の鐘銘事件にも関与するなど、家康・秀忠・家光の
 三代に宰相として仕えた崇伝ゆかりの金地院は、江戸時代を通じて徳川家から重用
 され、10万石の格式を持ち、その住持は寺大名とも呼ばれたほどであった。
 
  明治維新によって徳川家という絶対の支柱を失った上に、明治4年(1871)に出
 された社寺上知令により、南禅寺は江戸期の境内が約3分の1に、25あった塔頭も
 12に減らされてしまう。かろうじて残った金地院も、寺院の維持にも窮する状態に
 陥った。 
  二条城から拝領した由緒ある唐門も破損腐朽して修復の見込みも立たなくなり、
 ついには金20円で売りに出されることになったのである。

  それを救ったのが、京都府職員の明石博高(ひろあきら)であった。

  明石は京都の近代化に中心的な役割を果たした人物の一人で、京都府参事、後に
 知事となる槇村正直や京都府顧問の山本覚馬のすすめで明治3年(1870)に京都府
 に出仕。京都に舎密局(せいみきょく=理化学講習所)の開設を進言し、府の勧業
 課長となるなど、京都府において新規産業の創出や医療・福祉・厚生事業に深く携
 わった。

  彼は売りに出された唐門を22円50銭で買い取り、一時仮小屋に収容。ちょうどそ
 の頃、豊国神社の再興の話が持ち上がったことから、明治8年(1875)8月、知事
 槇村に唐門の寄進を願い出る。ただ、その時の京都府の答えは、そんな豪壮な門を
 建てる予算がない(!)という理由で不可。明石はそれなら、と建築費用まで負担
 することで、この移築が実現することになったのである(※2)。

  明治8年12月、豊国神社の社殿の位置が方広寺大仏殿跡に決定し、明治11年(18
 78)2月、唐門が社頭に再建され、同年9月には本殿とともに落成した。

  我々がいま豊国神社の国宝唐門を見ることができるのは、明石の熱い想いのおか
 げなのである。

 (※1)『徳川実紀』8月7日の条に「二條城の唐門を金地院崇伝にたまはり。
    南禅寺に引移さしめらる」とある。

 (※2)前回作成した情報ページ。豊国神社唐門や関係文書を紹介した。
http://umeshiro.web.fc2.com/karamon.html

 参考文献:『明治文化と明石博高翁』田中緑江著(明石博高翁顕彰会、昭和17年)

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             ■『北野の芸能と茶屋』■

  ※申し訳ございませんが、事情により今回は休載となります。
                          次回、どうぞお楽しみに。

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             □■嵯峨野学芸倶楽部からのお知らせ■□ 

   詳しくはhttp://www.ren-produce.com/sagano/club/ をご覧ください。

 ■茶道教室
  日 程:水曜日コース・・・2月8、15、22日
      土曜日コース・・・2月4、25日
       日 曜 日・・・2月19日
  場 所:嵯峨野三壷庵
      ※見学/体験も、随時受付けています。
 
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                ■□■ひとこと■□■

    弘道館のお庭の蕾が開き始めました。まだまだ寒さ厳しい毎日ですが
      春がもうすぐそこまで来ていると思うと、わくわくしますね。
  
  [次回は、2017年2月15日(水)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。