嵯峨野分化通信 第171号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第171号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

     嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

            毎月1日・15日(月2回)

                  ■VOL:171(2013/3/15)
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               ■□■もくじ■□■
 
 ■【連】からのお知らせ —–弘道館文化講座のお知らせ 
               人間国宝・一巴太夫の常磐津講座が開催されます
               教養サロン「帯を知る/帯を楽しむ」のご案内
               「祇園会の茶」のご案内
 ■(連載)リレー連載『伝統文化、お茶の時間』—————–第六回
 ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』——-第六十六回
 ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————– 第七十五回
 ■[嵯峨野学藝倶楽部]3月開講講座のお知らせ

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           □■【連】からのお知らせ■□

 ■弘道館文化講座のご案内

 春一番、花粉、桜の開花予報………少し肌寒さを残しつつも季節はすっかり春で
すね。毎回好評をいただいている弘道館の連続文化講座も、早くも中盤にさしかか
ってきました。
まだまだ新規受講受付中です。暖かい陽気の下、何か新しいことをスタートした
い!!という方、是非お待ち致しております。

京都文化教養講座2「茶の湯の文化を識る」

 日 程:3月21日(木)
 テーマ:「松平不昧」
 時 間:13時00分~14時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
講 師:太田 達(京都女子大学非常勤講師)
 参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)

英語で伝統文化 茶道編「英語で茶道」

 日 程:3月21日(木)
 時 間:18時30分〜20時00分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:田中 朝子(翻訳通訳者、三壷庵茶道教室)
 参加費:3,000円(生菓子、抹茶付)

 
 ■人間国宝・一巴太夫の常磐津講座が開催されます

明治時代につくられた大江能楽堂にて、常磐津一巴太夫の常磐津講座が開催され
ます!
   何も知らない方にも分かりやすく解説していただけるトークショー形式となって
おります。そして、進行役を【連】代表の濱崎加奈子が努めます!
   常磐津がお好きな方はもちろん、何も知らないけれど興味はある・・という方も
この機会に人間国宝・一巴太夫の圧倒的美声と響きをお楽しみください。
  しめくくりは、京都ゆかりの名曲「将門」です!

 日 程:4月21日(日)
 時 間:14時30分〜16時(開場14時)
 場 所:大江能楽堂
     (京都市中京区押小路通柳馬場東入る南側)
 参加費:(会員)3,150円 ※NHK文化センター会員
     (一般)3,465円
     (学生)1,575円
 

 申込み、問い合わせはコチラ(NHK文化センターHP)
 http://www.nhk-cul.co.jp/school/kyoto/

 尚、弘道館では特別価格で購入いただけます!
問い合わせはコチラ
弘道館(TEL):075―441―6662

 ■教養サロン「帯を知る/帯を楽しむ」のお知らせ
 
ご好評をいただいております、こちらの教養サロン。
毎回、季節に応じたテーマの帯とお話が盛りだくさんです。帯屋さんならではの
裏話が聞けて面白い!といった声も戴いています。

今回は、梅雨に向けてということで、テーマは「水」。
「水」と聞いて皆さんはどんな帯を想像しますか?
  
 ぜひお楽しみに!

 教養サロン「帯を知る/帯を楽しむ」
 日 程:6月9日(日)
 時 間:11時~16時
    ※上記のうちお好きな時間にお越しください。自由にご覧いただけます。
    ※13時にトークを予定しております。
 場 所:有斐斎 弘道館
 参加費:2,000円(茶菓子つき)
  

 教養サロン「帯を知る/帯を楽しむ」
 日 程:6月9日(日)
 時 間:
 場 所:有斐斎 弘道館
 参加費:2,000円(茶菓子つき)※要予約 

 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/ 

 お申込み、お問合せはコチラ
 tea@kodo-kan.com 
 

 
■「祇園会の茶」のご案内

 春が終わり、梅雨が過ぎると、すぐに夏の訪れですね。
 夏の風物詩と言えば、祇園祭。
 「ち、ちょっと、気が早いではないか!あの夏の暑さは勘弁ー。」という声が聞
 こえてきそうですが……
 そんな時こそ、庭園を眺めながら一服いかがですか。きっとお茶会の中で、暑さ
 を忘れられるはず。

 「祇園会の茶」
 日 程:7月14日(日)
 時 間:11時、12時、13時
 場 所:有斐斎 弘道館
 参加費:2,000円  ※要予約 
 
 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/ 

 お申込み、お問合せはコチラ
 tea@kodo-kan.com 
 

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 ■□■ 新連載 リレー企画 ■□■

 伝統文化プロデュース【連】では、メンバーが伝統文化に対しそれぞれの想いを
持って活動を行っています。そこで、毎回ひとりずつ、メンバーにその想いを語っ
てもらうべく連載を企画いたしました!皆の本音や理想、どんな話が飛び出すこと
でしょう?
 今回は、ネパールの生活文化について研究を行いながら、大学講師をされている
鈴木映吏子さんにお話しを伺いました!

        ー 第六回 『お茶の時間』 ー
                            鈴木 映吏子
                       (三壷庵茶道教室、大学講師)

                      
 「チヤ カヌバヨー?」

ネパールでは挨拶がわりに「お茶のみましたか?」と聞きあう。ネパールの首都カ
トマンズに一年間留学していた間にも、ずいぶんお茶をごちそうになった。

 ネパールでは、茶葉を水とミルクで煮だし、砂糖をたっぷりいれたお茶(チヤ)
を一日になんども飲む。朝起きると、一番に部屋を掃き清め、神様にプジャ(祈り
の儀式)をしてから、熱いチヤを一杯、あとは食事の合間に何度でもお茶の時間を
楽しむ。留学したてで言葉が分からないときにも、小さなグラスに満たされた熱々
のチヤを飲むと、ほっこりした気分になれた。道を歩いていると呼び止められ、二
言三言言葉を交わすと、「お茶のむ?」といって振舞ってくれるので、なかなか目
的地に着けない、ということもしょっちゅうだった。チヤ屋さんは早朝から満員、
新聞を回し読みして情報交換するおじさんたちに混ざって、私もそこでネパール語
を教えてもらったりした。

 帰国後、お茶のお稽古をはじめてから、1年が経った。最初は分からないことだ
らけであたふたしていたが、次第に、茶室のしつらえ、お菓子、茶碗などから、季
節の移ろいを五感で感じることができるようになってきた。もちろん、美味しいお
茶を飲みながらする楽しいおしゃべりも大好きだ。季節の行事や美味しいものの話
は尽きない。日本とネパール、「ちょっとお茶のみませんか?」の時間が大切な時
間であり、人と人の出会いの場であることに変わりはない。ネパールではごちそう
になってばかりだったけれど、出会いの場でありくつろぎの場であるお茶の時間を
今度は自分自身でつくりあげてみたいなあと、密かに楽しみにしている。

       ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■

              第六十六回

                             荻田 みどり

 前回まで、薫が筍にむしゃぶりついている姿を源氏が複雑な面持ちで見ていると
いう場面を見てきた。では、この筍はどこから現れたのだろう。
筍は春の風物詩ではあるけれど、それは朱雀院から贈られたものだった。朱雀院
は源氏の異母兄で、女三の宮の父である。女三の宮を源氏に降嫁させることを決め
た張本人であるのだ。
前回までの場面から遡ること約10年。朱雀院はとても大事にしていた女三の宮
の将来を苦慮していた。母が亡くなり、後見役となれる人もおらず、その子を守れ
るのは自分だけ。そこで様々な候補者の中から、選んだ結婚相手が源氏であった。
源氏は39歳。対する女三の宮はまだ13、4歳。父と娘、平安時代なら祖父と孫
くらいの年の差がある。それでも源氏に決めたのは、源氏には正妻がおらず、女三
の宮の後見役としても期待されたからだ(紫の上は正妻とは世間的には認められて
いない)。しかし、これが悲劇の始まりでもあった。
娘の女三の宮は、源氏とは別の男性(柏木)と密通し、薫を産むことになる。柏
木は、候補者の一人でもあったのだが、身分が低いことがネックになって、選に漏
れてしまった。以前から女三の宮との結婚を渇望していた柏木の気持ちは膨れ上が
るばかりである。言うなれば、朱雀院の選択がこのような結果を招いたのである。
そのような朱雀院は、今は出家して山寺に籠っている。しかし娘への愛着は変わ
らず、同じく出家した身の女三の宮に、ささやかなことでも便りを送っている。

御寺のかたはら近き林にぬき出でたる筍(たかうな)、そのわたりに掘れる
野老などの、山里につけてはあはれなれば奉れたまふとて、

この時にも山里住まいの心に染みるものだといって、筍と野老(やまいも科の蔓
草)を贈ってきた。源氏と薫の関係を築いた元凶ともいえる朱雀院の贈った筍が、
源氏と薫との関係を露呈させる種となるのである。

          ■ 『北野の芸能と茶屋』■                              
              
                七十五回
                       
          井上 年和

元文二年(1737)
『洛陽勝覽』その1
「内野新地、上は長者町より下ル出水迄、東は千本より西北野前まで。町数多。段
々家建申候故、一々難知。能茶屋は、一座三匁五分
其外は一座壱匁弐分、但六十四文、二かいなり。」

 今回からは博望子によって書かれた見聞記である『洛陽勝覽』を6回に亘り紹介
しよう。「博望子」は江戸時代の「食いしん坊」で、日本全国の美味、珍味を一人
で楽しむのに飽きたらず、博望子なるペンネームで『料理山海郷』、『料理珍味集』
の二書を著し、美味佳肴を開陳し、現代に残してくれている。『洛陽勝覽』は彼の
その様子や値段などが詳細に書かれている。
まずは内野新地の区域が書かれており、上は長者町(上長者町)から下は出水ま
でで、東は千本通西は北野(七本松通か)となっており、これは現在の五番町、六
番町あたりに相当する。
町数が多く、段々と家が建ってきているという。
能茶屋は一座三匁五分と上七軒と同じ値段で、恐らく遊びの内容も同じであった
だろう。
その他の一座壱匁弐分の茶屋は経営内容が不明であるが、値段が1/3位という所
をみると、安スナックのようなイメージである。
内野新地の変遷については、聚楽第が亡くなった後は畑地や空地になっていたが
宝永六年(1709)の『新版増補京都図』を見ると既に「内野新地」が描かれて
おり、既にこの頃から「新地」として開発されていたようである。
また、京都府立総合資料館の『聚楽内野除地検分絵図』や『聚楽内野畑地作場渡
絵図』を見ると、近代には五番町遊廓街あたりの土地が、宝永六年(1709)か
ら正徳二年(1712)にかけて売買されており、この頃から開発されたと考えら
れる。

『京都府下遊廓由緒』によると、享保年間(1716~1735)に三番町、四番
町、七番町への煮売家株の免許があり、また、寛政二年(1790)には五番町が
遊女商売を許され、安政六年(1860)にも年限を持って遊女屋と茶屋が渡世す
ることを許可されたことが記されている。
慶応三年(1867)の『四方のはな』には内の五番町の『千代屋』という店に
46名の芸子と11名の遊女がいたことが記されている。

また、明治11年(1878)の『都の花競』では四番町と五番町を併せて芸妓
15名、舞妓1名、儀太夫1名、娼妓7名となっており、大正十五年(1916)
に芸妓本意の東部と娼妓本意の西部に分離され、東部では貸座敷35軒、芸妓61
人、儀太夫3人、西部では貸座敷119軒、芸妓1人、娼妓653人を抱え、京都
では五条橋下に次ぐ大歓楽街へと発展している。

しかし、上七賢に距離が近いことから東部は次第に数を減らし、西部も昭和三十
三年(1958)に赤線が廃止になると消滅した。

博望子が通り過ぎて筆をおこした頃には、まだまだ発展途上であった内野新地は
約250年の間に大発展を遂げ、水上勉の小説の舞台となるなど庶民に愛された町
となっていたが、時代の波に淘汰され、今や数件の遊郭跡が当時の面影をとどめる
だけの普通の住宅街へと変容したのだ。

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     □■[嵯峨野学藝倶楽部] 3月開講講座のお知らせ■□

詳しくは、 http://www.ren-produce.com/sagano/club/ をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」

  日程:3月6、13日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:3月2、23、30日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:23、30日 10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
         2日 10時~13時、15時~19時
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「今様・白拍子教室」
  日程:3月2、16日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時~14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
  お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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         ■□■ひとこと■□■

私は個人的に、桜より梅の花が好きです。とはいえこの時期、人と会うと必ず桜
の話題を率先してします。「何やねんお前。」と桜さんに怒られそうです。
確かお花見時期のせわしない日本人の様子を言った歌が昔あったような……

皆さまのお気に入りの桜スポットはどこですか?
                              (なんば)
 
     [次回は、4月1日(月)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。