嵯峨野文化通信 第143号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)____________________________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第143号
       (_________________*°。・゜。。・゜。

 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                   ■VOL:143(2012/1/16)

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                 ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ————有斐斎弘道館月釜「有斐斎初点式」のご案内
「『梁塵秘抄』と今様」講演のお知らせ
「白雪と白梅」展を開催します
  ■執筆者よりひとこと
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』———- 第四十三回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』—————————— 第四十七回
  ■(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——————– 第九十九首
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]1月開講講座のお知らせ

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              □■【連】からのお知らせ■□

  ■ 有斐斎弘道館月釜「有斐斎初点式」のご案内

  2012年最初の月釜に、ぜひお越しください!
  今年も、趣向を凝らしてお待ちしております。
  弘道館月釜会員以外の方もご参加いただけますが、1月は時間予約制となって
 おります。会員以外の方は14時、15時のお席をご用意いたしております。
  日にちが近くなっておりますので、参加ご希望の方は、お早めにお問合せください! 

 日 程:1月22日(日)
 時 間:11時~15時(時間予約制) 
 場 所:有斐斎弘道館
 参加費:3,000円(会員の方は不要)
  
 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/tea.html
  
 申し込み、問合せ先はコチラ
 TEL :075-441-6662
 MAIL:tea@kodo-kan.com
  
 有斐斎弘道館(上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524‐1)
 http://kodo-kan.com/access.html
  
 ただいま、月釜会員募集中ですので気軽にお問合せください。
 年会費:1万円(各回の参加費は不要です)

  ■「『梁塵秘抄』と今様」講演のお知らせ

  来る1月29日に、日本今様謌舞楽会主催の講演が行われます。
  講師は、同志社大学教授の植木朝子先生です。『梁塵秘抄』研究の第一人者である
 植木先生の講演を、ぜひ聴きにきてください!
  講演のあとは、懇親会が行われます。
  締切が迫っておりますので、お早めにお申し込みくださいね。

  日程:1月29日(日)
  時間:17時より(16時30分受付開始)20時30分閉宴予定
  場所:ハイアットリージェンシー京都(京都市東山区三十三間堂東)
  費用:1万円(立食形式の食事付)
  内容:講演「『梁塵秘抄』と今様」
      植木朝子先生(同志社大学文学部教授)

 ※お申込みは、1月18日((水)を締切とさせていただきます。
  お問合せ・お申込みはコチラ
  info@imayou.jp

  日本今様謌舞楽会のHPはコチラ
  http://imayou.jp/

  ■「白雪と白梅」展を開催します

  和菓子にまつわる創作活動をされている「日菓」さんが、2月5日に弘道館にて「白
 雪と白梅」展を開催されます!
  古典の和歌に見られる白雪と白梅の世界を、染めものの巾着と和菓子で表現され
 ます。
  定員がありますので、ご希望の方はお早めにお申し込みください!

  日程:2月5日(日)
  時間:11時、13時、15時(それぞれ1時間程度)
  場所:有斐斎弘道館
  費用:2500円(染めものの巾着は持ち帰りできます)

  お問合せ・お申込みはコチラ
  nikka.pokka@hotmail.co.jp

  日菓のHPはコチラ
  http://nikkakyoto.exblog.jp/

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

                □■執筆者よりひとこと■□

  新しい年を迎えました。
  メルマガ読者の皆さんは、今年の目標を決められましたでしょうか。
  執筆者の皆さんは・・・?
 ということで、メルマガ原稿を執筆してくださっている皆さんに、今年の抱負をお聞き
 してきました!

 ■荻田みどりさん
  昨年から、高校の非常勤講師を始めました。
  昨年よりも学業との両立ができるよう、
  というより、自分の研究をもっと進められるよう、がんばりたいと思います。

 ■井上年和さん
  昨年執筆した2本の花街研究論文は査読無しでしたので、今年は査読有りの論文
 を執筆するようがんばります。

 ■田口稔恵さん
  23年度は、十年ぶりに学生生活を送らせていただき、学びの楽しさを再認識しま
 した。
  しかしながら、十年前とは勝手が違い、集中の持続が衰えているのを痛感します。
 若さというのは素晴らしいですね!
  まずは1月末の論文の提出に向けて頑張ります。

  メルマガ原稿執筆者の皆さん、ありがとうございました!
  皆さん学業に励まれるようですね。これからも、興味深い連載を楽しみにしており
 ます!

          ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■       

                   第四十三回       

                                  荻田 みどり

  前回に引き続き、『枕草子』の「正月一日は」の章段を見ていこう。

  この章段では、前回引用したように、「正月一日は、…」で始まり、七日、八日、十
 五日、官吏の異動が行われる頃、そして三月、四月の行事について描かれ ている。
 今回は、正月十五日の記述について見てみたい。

   十五日、節供(せく)まゐりすゑ、かゆの木ひき隠して、家の御達、女房などのうか
   がふを、打たれじと用意して、常にうしろを心づかひしたるけしきもいとをかしきに、
   いかにしたるにかあらむ、打ちあてたるは、いみじう興ありて、うち笑ひたるは、い
   とはえばえし。

 十五日には、望(もち)の日の粥という七種の穀物の入った粥が供される。この日に
 この粥を食べると、年中の邪気を避けるという中国由来の風習で、宇多天皇の時(
 在位:887年~897年)から行われるようになった。

  貴族の家では、「かゆの木」と言われる、粥を炊いた燃え残りの木を削った杖を隠
 して、女房たちが隙を伺っている。「かゆの木」で子のない女性の腰を打つと男子が
 生まれるという俗信があったためで、他の者は打たれまいと用心し、常に後ろに気を
 配っている。その様子が清少納言にとって「いとをかし」く思われる。注意しているにも
 かかわらずうまく打ち当てた時は、とても面白く、皆で笑っているのは、とても華やか
 だ。

  おしとやかにすましたイメージのある平安貴族や女性たちも、この日ばかりは身分
 も関係なく無礼講である。引用部の後にも、打とうとする者、打たれまいとする者の駆
 け引きと、打たれた者や周りの様子が事細かに記されている。女房に腰を打たれた
 姫君は特に驚くこともなく、少し顔を赤らめ座っているが、泣いたり腹を立てたり、人を
 呪ったりする人もいる。

  打たれた者は痛いだろうが、行事が多く慌ただしい正月の中旬に、かしこまった気
 分を発散できるよい機会なのかもしれない。その人々の活き活きとした様子が、清少
 納言の目には華々しく「をかし」と感じられる。粥を食べて内から邪気を払うだけでな
 く、粥を炊いた木で打つことで、外からも邪気が逃げていくような俗信である。

  
               ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第四十七回            
                                   井上 年和 
  
  明暦元年(1655)8月11日
  「十一日、(略)北野松梅院屋敷之杉倒、七間茶屋之内三間破却也。」『隔メイ記』

  松梅院の杉の木が倒れて七軒茶屋の内三間(軒)が潰された。七軒茶屋にとっては
 災難である。死傷者が出たかどうかも記されていないが、この後も七軒茶屋は文献
 や絵図史料にも登場するので、きちんと修復されたのであろう。
  杉の木が倒れただけで3軒も潰れたのだから、余程大きな木が生えていたのであ
 ろう。寛永十四年(1637)の『洛中絵図』では、七軒茶屋は北側が松梅院に接してい
 るので、北側3軒が潰された可能性が高い。
  この七軒茶屋は西側間口が14間、南側が15間である。すべて西側を正面とすると
 1軒当たりの間口が平均2間となり、約6間(12メートル)に及ぶ木が南側に倒れたこ
 とになる。

  宝暦七年(1757)の『北野天満宮地図』では、七軒茶屋は5軒が西面し、その南側
 に残りの2軒が南面して描かれている。この配置だと、西側茶屋の総間口をy1とし、
 南側茶屋の奥行きをy2とすると、y1+y2=14間で、南側茶屋の総間口が15間と
 なり、1軒平均7.5間となる。

  享和二年(1802)『北野天満宮九百年御忌万燈之図』では、5軒の東側に3軒の
 茶屋が並んでいるように描かれている。この配置だと、西側茶屋の総間口が14間
 で、1軒当たりの間口は平均2.8間となり、西側茶屋の奥行きをx1、南側茶屋の総
 間口をx2とすると、x1+x2=15間となる。

  大正元年(1912)の『京都地籍図』を見てみると、七軒茶屋の内、西向の5軒があっ
 た場所は北野社領で、西向の地番が5つ並んでおり、現在は大きな銀杏の木が生え
 ている駐車場である。その東側は細長い地番が隣接し、更に東に南向の地番が2軒
 並んでいる。細長い地番は元「あまかわ」前の細道である。

  やはり5軒は西向きであるのは確認できるが、残りの2軒はその南に接続していた
 のか、東側なのかはわからない。

  結局、七軒茶屋の配置や規模すら謎だらけで、五軒茶屋からの発展など追いよう
 がなく、潰された三軒は、今回の考察を行った私にとって、潰され甲斐がなかったと
 言えるだろう。

 
             ■『やまとのくには言の葉のくに』■          

                   第九十九首               
                                   田口 稔恵

   春の浪の入江にまよふ初草のはつかに見えし人ぞ恋しき
   (新勅撰集 恋2 藤原家隆)

  (春の波が打ち寄せる入江にまぎれてちらっと見える、萌え出でたばかりの草。そ
 の草のように、ほんのちょっと見ただけのあなたが、こんなに恋しいのだ。)

  現代よりも年間平均気温が平均3℃低かったとされる平安時代、暖をとるツールも
 限られており、冬の寒さを楽しむ術は身につけているとはいいながら、春の到来は我
 々の想像もおよばぬほど心待ちにされたものだろう。
  雪の白さを割って姿を見せる青々とした草は、春の訪れを知らせるとともに、生命
 の象徴であった。

  春のはじめに萌え出る草ー「初草」は、若い女性を保護者的な立場から和歌に詠む
 場合に使用される例が見られる。『源氏物語』では、一向にあどけなさの抜けない若
 紫に対し、祖母である尼が「初草」と表現している。

  家隆の和歌では、「はつくさの」の音を活かして「はつかに」を導き出している。同時
 に、上の句全体が「はつかに」を導き出す序詞の役割も果たしている。
  平安時代は、噂で聞いた相手に恋に落ちることもある。まして、ひと目でも相手を見
 てしまったのならば、男女が顔を合わせることのほとんどない時代、目にした相手へ
 の募る思いはいやまさるに違いない。
  愛を深めるのは、相手との対話を多く持つことであろうが、恋を育てるのは想像力
 なのかもしれない。
 
         
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 1月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:1月25日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:1月28(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~12時、15時~19時のご都合の良い時間にお越しください
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
■「今様・白拍子教室」
  日程:1月28日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時~14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

■「うたことば研究会」
  日程:1月28日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:15時~16時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

               ■□■ひとこと■□■

  最近、はちみつと生姜とレモン汁とお湯を混ぜてつくる、はちみつレモンをよく作りま
 す。風邪気味で、咳が出る時もこれを飲むと少し楽になります。
  咳の出る風邪が流行っているようですので、皆さんもお気を付けくださいね。

                                (まつだ)

     [次回は、2月1日(水)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。