嵯峨野文化通信 第128号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第128号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
      嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                   ■VOL:128(2011/6/1)

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               ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ———————–「京bizS」に出演します!
                          専門講座が始まります!
                         『花園』へ連載中!
                         「花うつり」のご案内
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』——— 第二十九回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』—————————– 第三十二回
  ■(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——————–第八十九首
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]6月開講講座のお知らせ

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             □■【連】からのお知らせ■□

 ■「京bizS」に出演します!

  【連】代表の濱崎加奈子が、KBS京都の経済情報番組である「京bizS」に出
 演いたします!
  「京bizS」は、京都で輝く中小企業の特集、経済ニュースの解説、京都に縁の
 あるエンタテイメント情報の紹介などの情報を伝える番組で、以前放送されてい
 た「京bizW」がリニューアルされました。
  1時間という長時間番組です。ぜひご覧ください!

  KBS京都「京bizS(キョウビズエス)」

  日程:6月3日(金)<以降、毎週金曜日放送>
  時間:21時25分~22時25分

  番組表はコチラ
  http://www.kbs-kyoto.co.jp/now_on_air/tv.htm?p=2 

  ■専門講座が始まります!

  現在開講中の「京文化教養講座1 信仰からみる京都」を、さらに発展させた
 「京文化教養講座2 茶の湯の文化を識る」と「京菓子専門講座1 基礎編」が
  6月より始まります!
  太田達ほか、「老松」さんや弘道館のスタッフが登場します。
  どちらも濃い内容で、伝統文化を楽しく学ぶことができます。
  特に「京菓子専門講座」では、職人の技を間近で見、専門的な京菓子作りを実
 際に行います!
  他の和菓子教室では体験することができない、本格的な京菓子講座となってお
 りますので、ふるってご参加ください。

  「京菓子専門講座1 基礎編」

  <日程>6月21日(火) [講義]菓子の歴史1 古代~中世
      7月19日(火) [講義]菓子の歴史2 近世~近代
      8月23日(火) [実習]菓子づくり1 こなしの製法をまなぶ
      9月20日(火) [講義]茶会のなかの菓子を考える
     10月18日(火) [演習]菓子のデザインと銘
     11月15日(火) [実習]菓子づくり2 菓子を完成させる
  <時間>15時~16時30分(実習日は30分ほど延長します)
  <場所>有斐斎 弘道館
  <費用>全6回30,000円(材料費込)

  ※「京文化専門講座 茶の湯の文化を識る」は、「京文化教養講座2」の後に
   行い、日にちは毎月同じです。ぜひご一緒に受講ください!

  6月のテーマ:鎌倉時代の茶~施茶と養生~
  時間    :13時~14時30分
  費用    :全6回1万2千円(1回毎2千円、生菓子・抹茶付)

  ※受講いただくにはお申込みが必要です。
   お問合せ・お申込みはコチラ
   電話 :075-441-6662
   メール:info@kodo-kan.com

  ※弘道館HPはコチラ
   http://kodo-kan.com/seminar.html

 ■『花園』へ連載中!

  妙心寺が発行している月刊冊子である『花園』に、【連】メンバーが執筆し
 ています!「祈りの国」という題で【連】メンバーが交代で執筆し、全国各地
 のモノや食に込められた心を、語り連ねます。
  第3回目となる6月号は、「うたことば研究会」の講師であり、本メルマガ
 の連載「やまとのくには言の葉のくに」を執筆してくださっている、田口稔恵
 さんが担当しています!
  毎号読み応えたっぷりの連載を、どうぞお手にとってご覧ください。

  妙心寺HPはコチラ
  http://www.myoshinji.or.jp/book/

  『花園』のお問合せ・ご注文は、花園会館部「頒布課」まで
  TEL:075-467-2990

 ■「花うつり」のご案内

  平安中期~鎌倉期にかけて花開いた芸能のひとつ、「今様(いまよう)」を歌
 い、舞う「白拍子(しらびょうし)」。その装束を身にまとい、花の姿となって
 優雅なひとときを過ごしてみませんか?
  今様・白拍子教室の受講生である、上杉さんが本業の写真家と今様をコラボさ
 せ、素敵な企画をされています!内容は、お化粧をほどこし、装束の着付けを行
 い、本格的な写真撮影もするというものです。
 弘道館の苔むす庭を眺めながら、ゆったりと平安の時代に思いを馳せることが
 できます。

  今様・白拍子体験「花うつり」

 場所:有斐斎弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1)
 費用:1,2000円~
 内容:白拍子、または狩衣の装束着付け体験
    着付け後、プロのカメラマンによる写真撮影
 協力:日本今様謌舞楽会

  「花うつり」HPはコチラ
   http://hanautsuri.petit.cc

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          ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■         

                   第二十九回       

                                荻田 みどり

  そろそろ梅雨入りし始めた地方もあり、浮かない空の続く日となりそうである。
 暦の上では6月は晩夏、30日の夏越(なごし)の祓では罪や穢れを祓い、秋へと
 季節は変わっていく。今の7月頃のことで、水無月の名の通り、晴れの日も多かっ
 ただろう。
  今回は、『蜻蛉日記』に見える6月の記事を紹介しよう。天禄元年(970)6
 月20余日に、唐崎祓いに行く記事が見える。
  唐崎とは滋賀県大津市の琵琶湖の西浜にある崎である。作者である藤原道綱母は、
 夫兼家の訪問が途絶えがちになり、鬱々とした日々を送っている。そのような気分
 を紛らわすために、避暑と気晴らししがてら、お祓いをしたいと思って京から唐崎
 へ向かう。
  道中見た人々の様子や風景が克明に描かれる。お祓いも目的ではあるが、どちら
 かというとピクニック気分であろう。その空気の中で食べるお弁当はかなり楽しい
 ものだったようだ。

   石どもにおしかかりて、水やりたる樋(ひ)の上に折敷(をしき)ども据ゑて、
   もの食ひて、手づから水飯などするここち、いと立ち憂きまであれど、

  石などに寄りかかって、懸樋(水を遠くへ送り流すための管)の上に折敷などを
 据えて、食事をし、自分の手で水飯などをこしらえて食べる心持ちは、本当に立ち
 去るのがいやに 思われるほどであるという。道中の食事については2、3度描か
 れている。
  また、

   かかるところにてはものなど思ふ人もあらじかしと思へども、

  と日頃の悩みを忘れてしまうことのできる解放感を感じている。
  貴族が「手づから」食事の準備をするのは本来ならもってのほかだが、作者は夫
 との関係を忘れられる外の世界、外での行動に新鮮な興味を示し書き記しているの
 である。
  主要目的である唐崎祓いの記録は早々に切り上げ、往き帰りの道々に見える光景
 に筆を費やしていることからも、作者にとってはこの道中の方が心の悩みを祓う力
 があったようだ。

               ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第三十二回              

                                 井上 年和
 
  延徳元年(1489)12月26日

   「一、今夜当北辻子乱舞在之、能俊所○(与欠)、相尋可致注進由申付也、東
 山殿様御他界処、」狼藉前代未聞次第也、不可不誠者也、」『北野社家日記』

  室町将軍足利義政が他界したので北辻子で乱舞が行われた。「当北辻子」とは現
 在の上七軒通りであろうか。北野社にとっては前代未聞で狼藉を隠しきれないよう
 だが、義政も皆が悲しみの余り踊ってくれて、極楽往生できたのではないだろうか。

  乱舞とは定まった曲や振りのない歌舞のことで、宮中での遊宴で行う散楽が起源
 のようである。散楽とは、『為房卿記』永保元年(1081)にも、五節童女御覧
 の際に、「朗詠、今様、神楽、神楽歌、妙舞、散楽、様々雑芸」としてその名が見
 られるように院政時代を通じて行われた舞踊である。後に一部が猿楽という名で舞
 曲化された。

  散楽は時代と共に内容が変質し、やがて乱舞という言葉に置き換えられることに
 なったという。
 
  他の芸能のように鑑賞の対象となるものではなく、むしろ自らの愉楽として行わ
 れたものであったようだ。

  建仁元年(1201)11月の豊明節会では、「乱舞如恒、」とあるように、こ
 の頃になると恒例の曲が現れてきて、まず主上の出御のときには兼定・長兼がそれ
 にあたり、その他の曲もなくあまり興を惹かぬものになったので、主上入御ののち
 に再び乱舞を行って、兼定・長兼が再び舞い、その後で辻祭の物真似をし、獅子・
 尻舞・王ノ舞など様々な舞を出したという。

  応永二十三年(1416)『看聞御記』では、「晴有一獻。是御所様御腹賀酒。
 宮中男女沙汰也。且前庭梅花賞翫旁得其便。終夜大飲及乱舞」とあって、大酒を飲
 んで朝まで踊ることを、言葉通り乱舞と言っていたようだ。

  定型にはまらない乱舞は、時代とともに宮中だけではなく、武士の間でも盛んに
 行われるようになる。

  時代はかなり後に飛ぶが、天正十七年(1589)11月4日にも「一、今日能
 運入く惣宮仕へ内ニ而ふるまい也、らつふ有也、」『北野社家日記』とあって、北
 野で乱舞が行われたことがわかるし、絵画資料において北野での乱舞が確認できる
 のは、出光美術館蔵の『洛中洛外図』や池田本で、経王堂前で武士が扇を振り回し
 ながら踊っているのが見え、堺市博物館蔵の『洛中洛外図』でも、町人が集まって
 踊っているのが見える。
  これは風流踊りであろうか。

  『豊国祭礼図』では、豊国神社蔵、徳川美術館蔵とも猿楽、田楽、乱舞、風流踊
 りが描かれ、当時のすさまじいエネルギーと喧噪を伝える。南蛮人のソンブレロ、
 烏天狗などの仮装を伴った踊に秩序だったものはない。手と足が勝手に動き出し、
 熱狂のリズムを作り上げているようだ。笛や鼓、太鼓を鳴らしながら円弧を描き踊
 る様は、盆踊りや阿波踊りを彷彿とさせる。

  この様に宮中で生まれた芸能は、武士、そして庶民にまで波及していくのである。

            ■『やまとのくには言の葉のくに』■          

                   第八十九首                 
 
                                  田口 稔恵

   ともしするする火串を妻と思へばやあひみて鹿の身をば代ふらむ
   (賀茂重保  『千載和歌集』 巻3 夏)
  (照射(ともし)の火を妻と思うから、灯と目を合わせてしまった鹿は、恋のかわ
   りに命を失うのだろうか。)

  「照射」は夏の夜の、山中の木陰で鹿をおびき寄せて仕留める狩法で使用する明か
 りのことである。五月闇と照射の明暗のコントラストがモチーフの根底にあるのだろ
 う。照射では、鹿の目が明かりに反射したところを狙って仕留める。鹿が照射におび
 き寄せられるその不思議を、「照射の火を雌鹿だと思うから」だと理由をつけ、妻を
 恋しく思うからこそ、我が身を犠牲にするのだと考えたところが趣向であろう。
 
  古来、鹿の妻恋は有名で多くの歌に詠まれてきた。主に秋、雄鹿が雌鹿を恋うて悲
 しげに泣くことから、独り寝のつらさや、思うに任せぬ恋に悩む切ない男心の象徴と
 して好まれたモチーフなのだが、それを夏にも援用したわけである。
  この歌は、「人の男も、鹿と同じように恋に我が身を滅ぼすのだ」という意味を含
 むという解釈もなされている。しかし、この歌は「照射」の題で詠まれた七首のうち
 の一つで、前六首の狩人の視点に立った内容から一転し、鹿を哀れむ内容で締めくく
 られている。むしろ、その妻を恋う鹿の心を利用して命を奪ったことに対する慚愧の
 念が、この歌の核といえるのではないか。
 
  作者の賀茂重保は、名の表す通り、別雷社神主。俊恵法師と親交を結んだ歌林苑の
 一員で、その経済的支援者でもあったという。『千載和歌集』編者の藤原俊成は、当
 時の歌壇の重鎮として押しも押されもせぬ存在で、御子左という和歌の一流の祖とな
 った。俊恵法師は六条派の歌人で、俊成と和歌論を交わしたり、門弟の鴨長明に、こ
 っそり俊成の代表作に対する批判も聞かせている。しかし、その論調は感情的なもの
 でなく、理と、俊成への敬意を尽くした「批評」である。この、リベラルで、歌道そ
 のものを追求する人々が並び立っていた歌壇の雰囲気こそが、次代の『新古今和歌集
 』を呼ぶ素地だったのかもしれない。

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 6月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:6月1、8、22日(いずれも、水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「今様・白拍子教室」
  日程:6月11、25日(いずれも、土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:11日 13時~14時(60分)
     25日 10時~14時
        (個人レッスンです。詳しい時間は要相談となります)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:6月12日(日)、18日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※今回は調整のため、臨時で日曜日に開いております。ご注意ください。
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「京都文化教養講座1~信仰からみる京都~」
  日程:6月18日(土)
  場所:有斐斎 弘道館
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:太田 達
  テーマ:「禊と祓」
  参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。
  ※要申込 メール:kouza@kodo-kan.com

 ■「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を織る~」
  日程:6月21日(火)
  場所:有斐斎 弘道館
  時間:13時~14時30分(90分)
  講師:矢野 環(同志社大学教授)、太田 達、濱崎加奈子 ほか
  テーマ:「鎌倉時代の茶 ~施茶と養生~」
  参加費:6回1,2000円(1回毎2,000円/生菓子、抹茶付き)
  ※要申込 メール:kouza@kodo-kan.com 
 
 ■「うたことば研究会」
  日程:6月25日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:15時~16時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■

 梅雨入りしたそうで、髪の毛は湿気まみれです。
  じめじめした雰囲気を吹き飛ばすようなさわやかな気持ちで日々過ごそうと思います。

                                   (いまむら)

     [次回は、6月15日(日)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。