嵯峨野文化通信 第118号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)     [嵯峨野文化通信] 第118号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
          嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                      ■VOL:118(2011/1/1)

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                ■□■もくじ■□■

  ■新年のご挨拶
  ■新年号特別企画
  ■【連】からのお知らせ —————————- 「京文化を語ろう」新テーマ
                            新年 今様奉納のお知らせ
                            今様体験のお知らせ
                            有斐斎 初点式
                            今様特別講演会のお知らせ
                            京都オープニングウィーク
  ■『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』————- 第二十八回
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』——————— 第五十九幕
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』- 第十九回
  ■(連載)『ちょっとここらで 一休み』————- 第十四回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』——————— 第二十二回
  ■(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———– 第八十一首
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]1月開講講座のお知らせ

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               □■新年のご挨拶■□

                         伝統文化プロデュース【連】代表
                                 濱崎 加奈子

  新年にあたり

  あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
  昨年も新たな出会いとつながり・広がりのあった一年でした。
  新たに【連】の活動の場として加わった「有斐斎 弘道館」では、新年からさまざま
 なアーティストの展覧会やコラボレーション茶会を試みて参りました。3月には弘道館
 ゆかりの儒者皆川淇園に関する研究会を発足し、さらに11月には企画展「花洛の鴻儒
 皆川淇園の文人画」を開催できたことは、新たな京都文化のあり方を模索するスタート
 になるものと信じております。淇園時代の文人の交遊は、現代の文化状況を打破する創
 造的なエネルギーに満ちあふれています。本年はこれにあやかりながら、新たな文化発
 信、文化教育のかたちを模索し、より多くの方々に還元できる実践プログラムとして提
 供して参りたいと思いますので、ぜひ注目ください。

  「花街文化研究会」では新潟・古町の研究会と交流し、近く、座談の内容は冊子とし
 てまとまることになります。
  また、さまざまな講座を開講してきた「嵯峨野学藝倶楽部」は丸5年を迎え、「京都
 歴史講座」については一旦終了させていただくことになりました。中村武生先生、ご多
 忙のなか、ありがとうございました。「嵯峨野学藝倶楽部」は、そもそも、数ある文化
 講座に新たな視野を投じるべく「実験的に」開催してきたもの。今年はその精神の上に、
 一層バージョンアップして新たな展開をはかりたいと考えています。
  その「嵯峨野学藝倶楽部」の中でも、メンバーが続々と増え続ける茶道教室では、自
 主的な勉強会や研修もはじまる予定です。さまざまな形でお茶の可能性が拓かれていく
 予感。本年も楽しくやっていきたいと思います。
  継続的な活動支援を行っている「今様・白拍子」再興プロジェクトに関しては、鶴岡
 八幡宮奉納をはじめ、護持会活動に力を入れてきました。本年は新版冊子『今様』も出
 版され、2月には能楽小鼓宗家の大倉源次郎師を迎え、能楽と今様のつながりについて
 のお話を伺います。長い目でみたときに、今様の実践的研究の糸口となればと考えてい
 ます。
  そのほかにも、本年は、2月に東京にて「京都ウイーク」イベントに参加、5月には
 奈良・多武峰での歴史的な翁奉納イベント等、伝統文化を遊びながら広める【連】の多
 彩な活動がさらに広がりを見せる予定です。

  【連】は、伝統文化の魅力を1人でも多くの方々に知ってもらいたいと感じる人たち
 が集まり、1人1人の自主的な思いと活動によって、社会を動かしていこうとするグル
 ープです。1人1人の小さな思いが、伝統文化を支え、新たな未来を切り拓いていくも
 のと信じています。本年も、より多くの方々のご参加、ご支援のほど、よろしくお願い
 いたします。

  なお、メールマガジンの編集をしていただいている学生さんも、卒業論文を提出され
 て、社会に羽ばたかれます。おめでとう!そして、これまで同様、今後もよろしくお願
 いいたします!

              □■新年号特別企画■□

  あけましておめでとうございます!!
  今号は新年号ということで、連載を執筆いただいている方々よりお言葉をいただこう!
 ということになりました。
  まず、メルマガで今までに多くの連載をしてくださっている太田さんより新年の言葉
 をいただきました!

 □太田達
  迎春 
  人生で5度目の卯年、卯の日で云うとおよそ162回目、オリンピックなら、はだし
 のアベベの1960年ローマ大会から北京大会まで13回も観戦してきた。
  このメールマガジンも、118回を迎える。一回目から連載を担当させてもらって何
 回か抜けたことがあったので、アベベとはいかないが、円谷幸吉ぐらいかなと勝手に納
 得しています。昨年から多くの方がお忙しい中連載に加わっていただいて、ほんとに充
 実してきたことにちょっと感激してます。梅原さん、田口さん「10m後方にヒートリ
 ー!」 卯年もがんばりましょう。

 (編集部)118回。考えてみるとものすごく息が長いですよね。「続ける」というこ
      とは、本当に大変だからこそすごいことだと改めて感じます。この素晴らし
      いメルマガを絶やさぬよう、編集部もがんばります!
       さて、新しい年を迎えたわけですが、皆さんはもう今年の目標を決められ
      たでしょうか。メルマガの連載執筆者の方の今年の抱負は・・・?
       編集者が、執筆者の皆さんに聞いてきました!

   ☆★☆「2011年中にしたいと思っていること、
           新しく始めたいと思っていることを教えてください」☆★☆

 □梅原和久
  自分のための時間をとること、でしょうか。
  ここ数年は仕事の忙しさに拍車がかかり、特にこの時期、数ヶ月連続で自宅滞在時間
 が5時間弱。何のために帰ってるんだか。
  城巡りとまで贅沢は言わないまでも、本を読む時間くらい確保したいところです。
  しかし何かショボい目標ですな。。

 □戸谷太一
  まず、2011年にしたいこと、ですが、まずは何と言っても大学院入試合格です!
 この文章を書いている12月25日段階で、卒業論文は未完成(提出は1月7日!)、
 試験勉強は不徹底(英語、苦手です)、必修単位は足りてない(西洋史なんて…!!)
 の三重苦ですが、この文章がメルマガで皆さんの手元に届いている頃には、この内二つ
 のカタがついている・・・はずです。合格したらきっと読者の皆さんに報告します!!
  あと新しく始めたい事ですが、料理をしたいです。美味しいダシをとれる料理人にな
 って、履歴書の趣味の欄に「和食」と書ける様になりたいですね!

 □荻田みどり
  始めたいこと、というか、まずは修士論文出さないと、
 と追い込まれている状況です;;;
 修論提出して、入試受かって、
 4月からD1(ドクターの1回生)を始めたいです;;;

 □井上年和
  審査論文への投稿。毎年の年始めに決意していますが、未だに実行していません。花
 街研究を世に出すべく頑張ります。

 □田口稔恵
  ようやく厄も明けるので、今年は様々な面で勉強しなおしたいと思っています。本業
 はもちろん、忙しさにかまけて怠っていた文楽や能の鑑賞、美術館・博物館巡りなど・
 ・・。自分自身を豊かにし、還元できるようにがんばります。

  執筆者の皆さん、有難うございました!
  皆さん多忙な生活を送っていらっしゃいますね・・・。
  どうか体に気をつけて、これからも面白い、興味深い連載を続けてください!

             □■【連】からのお知らせ■□

 □「京文化を語ろう」新テーマのお知らせ

  昨年は遷都1300年ということで「奈良」をテーマに講座が行われました。
  今年1月からは新しいテーマに変わります!「京文化を語ろう」という大きな枠組み
 の中で、1月は正月について講義が行われます。
  1回のみの受講も受け付けておりますので、お誘い合せの上、ぜひお越しください!

  「京文化を語ろう」1月の講座案内
  日程:1月8日(土)
  時間:11時~12時30分
  テーマ:正月について
  費用:1,000円(茶菓子付)
 ※「[嵯峨野学藝倶楽部]1月開講講座のお知らせ」にも記載がございます。

 □新年 今様奉納のお知らせ

  今年も新年の始めに、八坂神社にて日本伝統芸能団の奉納を行います。
  今様も奉納いたします。拝観は自由にしていただけますので、ぜひお出かけくださ
 い!

  日程:1月8日(土)
  時間:13時より
  場所:八坂神社内 能舞台(京都市東山区祇園町北側625番地)
  費用:無料(ご自由にご覧いただけます)

 □今様体験のお知らせ

  今様・白拍子教室で、今様の体験が行われます。今様とは、平安時代後期に流行し
 た、歌謡です。今様・白拍子教室では、狩衣や白拍子の装束を来て、その歌に舞が付
 けられます。ぜひ、体験してみてください。  

 日程:1月9日(日)
 時間:14時~
 場所:有斐斎 弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1)
 費用:1,000円(先着20名程度)

  お問合せ・お申込はコチラ
  imayou@ren-produce.com
 
  日本今様謌舞楽会のHPはコチラ
  http://imayou.jp/

 □有斐斎 初点式

  皆川淇園の時代を考えるお茶会、1月は初点式を行います。
  年の始めに、心落ち着かせる一時を、ぜひ弘道館でお過ごしください。

  日程:1月16日(日)
  時間:11時~15時
  場所:有斐斎 弘道館
  費用:1,000円(申込み不要)

  弘道館HPはコチラ
  http://kodo-kan.com/event.html

 ※上記のお茶会の他にも、4月までのお茶会の日程とテーマが決まっております。
  ぜひ来年の予定にお入れください。

  <皆川淇園の時代を考える茶会>
   2月20日(日)梅香清風
   3月 6日(日)蕪村の春

  <卯花茶事>
   日程:4月15日(金)
   時間:11時席入
   場所:有斐斎 弘道館
   費用:一人2万5千円
   人数:10名までとさせていただきます。お早めにお申込みください。
  ※16日(土)は満席になりました。

  申込先はコチラ
  info@kodo-kan.com

 □今様特別講演会のお知らせ

  日本今様謌舞楽会護持会が主催する、今様特別講演会が行われることになりました。
  今回は能楽大倉流小鼓方十六世宗家 大倉源次郎師にお越しいただき、「能楽と今様、
 白拍子について」という題で講演をしていただきます。また演奏もしていただくことに
 なりました。
  貴重な機会ですので、ぜひお出かけください。

  日程:2月6日(日)
  時間:17時30分受付、18時30分開始
  場所:ハイアットリージェンシー京都(京都市東山区三十三間堂東)
  内容:講演と演奏「能楽と今様、白拍子について」
     講師:大倉源次郎師(能楽大倉流小鼓方十六世宗家)
  費用:1万円(会食費込)

  お申込みはコチラ
  imayou@ren-produce.com

  大倉源次郎師のHPはコチラ
  http://homepage2.nifty.com/hana_web/

 □京都オープニングウィークにて今様披露

  2月8日と9日に、東京の日本橋にて行われる京都市主催の「京都オープニングウィ
 ーク」にて、今様公演を行うことになりました!
  8日は白拍子の舞を行い、9日には、平安時代に関する講演と今様合が行われます。
  東京近辺に在住の方、また当日東京にいらっしゃる方はぜひ足をお運びください!

  ■イベント詳細
   日程:2月8日(火)
   時間:14時~19時
      舞妓の舞披露
      主催者あいさつ
      京都創生トーク「京都の魅力 そして未来へ」(申込不要)
       ゲスト:坂東三津五郎(歌舞伎俳優・日本舞踊坂東流家元)
           渡辺真理(フリーアナウンサー)
           門川大作(京都市長)
      茶席「平安の茶礼~都の春~」(15時30分~19時)
       ※先着100名様、無料ご招待。申込が必要です。 
      今様・白拍子披露

   日程:2月9日(水)
   時間:11時~16時
      茶席「平安の茶礼~都の春~」(11時~16時)
       ※先着100名様、無料ご招待。申込み、受付中。
      特別講座「平安時代から現代を見る~平安貴族の恋のはなし~」(申込不要)  
          「貴族の恋」 朧谷 寿(同志社女子大学名誉教授)
          「王朝の香り」 濱崎加奈子(伝統文化プロデュース連代表)
          「平安時代の食と菓子」 太田 達(有職菓子御調進所「老松」主人)
      今様合(12時~/14時~ 2回講演)
      平安時代体験
        1.時代装束(狩衣または白拍子)の着付
                  (限定20名程度、参加費1,000円)
          ※申込が必要です。また学生は無料でさせていただきます。
        2.今様合に歌人として参加
                  (限定4名、参加費2,000円)
          ※参加者には冊子「今様」のプレゼントがございます。
      
  茶席・平安時代体験のお申込み・お問合せはコチラ
  「京あるき in 東京 2011」事務局
   TEL&FAX 03-3486-8887(平日10時~17時30分)
   メール:info@kyoaruki.jp

  「京あるき in 東京2011」のHPはコチラ
   http://www.kyoaruki.jp/

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            ■『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』■

                    第二十八回

                                    太田 達

  □閑話休題 その四□
  吉野
  さわやかな空気の中での目覚め。いよいよ奉納の日である。桜木神社に到着。村の方が
 数人、我々の平安装束に若干引き気味か。山裾に鎮座される祭神は三神「大穴牟知」「少
 彦名」「天武天皇」である。権現三間造りの朱塗り彩色のご本殿は堂々としている。前庭
 が、蛇行する象川との間に半月状の台地としておよそ300坪位であろうか、広場として
 形成されている。

  本日の舞台は、本殿に向いあう石積みの上の拝殿である。昨夜、それぞれがこの桜木の
 宮、宮滝の地に感じた事を和歌、今様歌にした。中には徹夜で、明け方、野辺から山へ帰
 る鹿の鳴き声を聞きながら創作した人もいた。それほどの想いの歌に自分で舞をつける素
 晴らしさ、楽しさ、神前での法楽とは斯様なものかと想像した。
  演目が進むうちに、集まってくださった十人ほどの村の人たちの空気が変わってきた。
 突然現れた白拍子たちが、目の前で、自分たちの「象谷」の歴史と自然の美しさを讃え歌
 い舞ってくれている。なにかしら、初対面の者同士、また演者と観客の境を超えようとし
 ている。浄瓶にて献茶した茶碗を撤げ、準備してきた10個しかない栗餡のこなし、きん
 とんを桜木の神前に直会をした20余人で分け合い、本当の一碗をまわした。集った皆の
 心が繋がったような気がした。芸能の持つ力、祭り、祀り、奉りの本来の姿とは、このよ
 うなものか。

  「象谷」の集まってくださった観客の皆さんはみな70歳以上のおばあちゃんたちであ
 った。「限界集落」という言葉を、最近よく耳にする。65歳以上の人口が50パーセン
 トを超えている集落のことだ。コンビニのある町から、山にむかって30分車を走らせる
 と、日本列島どこもこのような集落である。もうすでに「廃村」化した集落もやまのよう
 に存在している。吉野川沿いの各谷筋を登ると人口が一桁の村がいくつかある。これらの
 集落はこの「象谷」のように、それぞれが長い歴史と伝承を有している。もういまさら政
 治と行政が何をしたところで、それらを次世代に伝えることは不可能であろう。ただ、今
 回のような、其の土地の歴史、伝承を歌い舞うという「今様」のような、芸能による交流
 (交歓)に可能性を見出したような気がした。

                ■『ニッポン城郭物語』■

              ─第五十九幕─  ~大坂城の話 その2~ 

                                   梅原 和久

  平成22年の大晦日、京都は大雪だった。仕事へ行かないのは何日ぶりだろうか。家の
 片づけを終えて、夜になってから実家に向かう。そう言えば新年号の原稿をまだ書いてな
 い。これまで原稿を落としたことはないが、さすがに今回は無理かもしれない。

  実家に帰って新聞を開く。そこで目に飛び込んできたのがこの記事(※1)。これは書
 かざるを得ないだろう。新聞を開いて最初に見た記事がこれなのだから。「何か持ってる」
 としか思えない偶然である。つい半年前の7月1日号に、大阪城をテーマパークにすると
 いうバカげた構想の紹介をしたが、やはり大阪人もそこまで堕ちていなかったのだ。

  現在の大阪城は、豊臣秀吉が築いた大坂城を徳川家が完全に地中に埋めてしまい、新た
 築きなおしたものであることは、さすがに周知の事実だろう。今回の記事は、その豊臣期
 の石垣を、大阪市が平成23年度から発掘調査する、というのだ。

  これまでも、2度にわたって調査が行われ、豊臣秀吉が築いた大坂城の石垣が発掘され
 たことがあるが、いずれも研究者に公開されただけで、一般の目にはほとんど触れること
 がなかった。

  今回は、歴史遺産を再整備することによって観光客を増やし、経済を活性化させようと
 いう大阪市の狙いを受けての調査であり、かなり期待できる。調査後は地下通路を作って
 展示も行われる予定だそうだ。掘れば出てくるのは確実なので、楽しみに待ちたい。

  プチ情報。1月からのNHK教育テレビ「趣味悠々」は「にっぽんの名城」を取り上げ
 るらしい(※2)。城人気は今年も続きそうだ。

 (※1)その記事。新聞では1面に掲載されていた。
   http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201012310005.html

 (※2)コピーの一行目、「世は、まさに城ブーム」というのがいい。しかし本当なのか?
   http://www.nhk.or.jp/shumi/wagoku/index.html

          ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■         

                   第十九回       

                                  荻田 みどり

  あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

  さて、今回はお正月ということで、『源氏物語』に登場する正月の行事を見てみたい。
  初音巻冒頭は、

   年たちかへる朝(あした)の空のけしき、なごりなく曇らぬうららかげさには、数な
   らぬ垣根の内だに、雪間の草若やかに色づきはじめ、いつしかとけしきだつ霞に、木
   の芽もうちけぶり、おのづから人の心ものびらかにぞ見ゆるかし。

 と、新春の六条院の情景を描き出す。去年の雪の名残もなく曇りもないうららかな元旦の
 空である。雪の消え間からのぞいた草は若やかに色づき始め、待ちかねたような霞の兆し、
 木の芽も霞んで見える、自然と人の心ものびやかに見えるような、新年にあたり人々の期
 待が現されている。
  正月に行われるのが、「歯固めの祝」である。年齢を意味する歯を固める意から、長寿
 を祈る儀式である。平安期の儀式書である『西宮記』によると、正月元日、内膳司が天皇
 に大根、瓜(うり)、串刺、押鮎、焼鳥等を据えて献上している。また、『源氏物語』の
 注釈書である『花鳥余情』には、「高坏六本に折敷を据ゆ。一のたいに餅大根橘を盛るな
 り」と書かれる。この行事をもとに、初釜でよく用いられるお菓子「花びら餅」ができた
 わけだが、初音巻には「餅」が見えるだけである。

   歯固めの祝して、餅鏡をさへ取り寄せて、千年の蔭にしるき、年の内の祝ごとどもし
   て、そぼれあへるに、

  歯固めの祝をして、餅鏡(鏡餅)までも取り寄せて、歯固めの祝のときに誦される「千
 年の蔭」の歌に明らかな、この一年の祝い言などをしてはしゃいでいる。「千年の蔭」と
 は、「古今和歌集」の素性の「万代(よろづよ)をまつにぞ君は祝ひつる千年の蔭に住ま
 むと思へば」を引いたものである。「まつ」に「待つ」と「松」、「祝ひつる」には「鶴」
 が掛けられている。
  新年を祝うおめでたい空気一色である。

  (参考文献)山中裕「平安時代の年中行事」(山中裕・鈴木一雄編『平安時代の儀礼
        と歳時』至文堂 1994年2月)

             ■『ちょっとここらで 一休み』■           

                   第十四回

                                   戸谷 太一

  人々浮かれる正月の、堺の街に繰り出した、杖にましますしゃれこうべ、かたかたなら
 すは純一休

  一休さんは、派手な事をやって人々の歓心を買うのが好きだった。時には、赤い木刀を
 持って、世の多くの坊主は人を殺す事も活かす事も出来ないくせに、見かけだけ派手なこ
 の木刀と一緒だ!とうそぶいてみたりして。

  今年は、正月に堺の奴らを驚かしてやろう、そんな事を考えながら、一休さんは杖とド
 クロを用意した。

  杖のてっぺんにドクロを乗せて、かたかたならしながら街を闊歩する。

  「ご用心!ご用心!!」

  一休さんの声を聞きつけ、人が、どどっ、とかけつける。すかさず、一休さん

  「門松は冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」

  わっ!おもろい事言う坊さんやなぁ、もっとやれ!

  一休さん、してやったり。

  かっぽら、かっぽら

  とーん、とん

  一休さんからの「あけましておめでとうございます」のメッセージは、ちょっと変わっ
 ている。

  というわけで、今年も、「ちょっとここらで、一休み」よろしくお願いします!!

               ■『北野の芸能と茶屋』■             

                   第二十二回                 

                                   井上 年和

   応永二十年(1413)7月10日~16日

   「北野勧進猿楽事。多賀豊後守令見物以下事。
    古文書載来十日ヨリ。於北野七日間観世太夫□能ヲセラレ畢。望之人ハ貴賤ヲ論
    ゼズ。老若ヲイハズ見物有ベシ。猶以喧嘩口論御停止之処也。仍如件。
                          応永二十年七月 日  豊後守」
                                     『後鑑』

  『後鑑』(のちかがみ)は江戸幕府に仕えた儒学者成島良譲(号筑山・『徳川実紀』編纂
 者成島司直の養子)、等によって著された歴史書で、天保八年(1837)から16年か
 けて執筆され嘉永六年(1853)に完成した。

  この中に北野社で催された猿楽のことが書かれている。同様の記事が『看聞日記』(伏
 見宮貞成親王の日記)にもみられるので、『後鑑』は後世に書かれた歴史書であるにして
 も、この記事に関しては信頼性は高そうだ。原史料が今日失われているものでも後鑑に書
 かれている可能性があって一通り目を通しておかなくてはならない。

  そんなことは別にして、猿楽は中国大陸から散楽と呼ばれる芸能が移入されたのがはじ
 まりと考えられており、この散楽が含む雑芸のうち、物真似などの滑稽芸を中心に発展し
 ていったのが猿楽と言われている。室町時代に観阿弥・世阿弥によって確立された。

  この北野の勧進猿楽は、望みの者には貴賤老若を問わず見物してもよいと足利義持が達
 しており、付近一帯が近郊遊覧の地として、庶民に北野社への親しみを感じさせる機会と
 なったのだ。

  後にお国が歌舞伎を演じ、能などの芝居が盛んに行われるようになった北野は、既にこ
 の頃から芸能の聖地として、広く世間に認識されていたのである。

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 1月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「京文化を語ろう」
  日程:1月8日(土)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:太田 達
  テーマ:「正月について」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:1月8日、15日、22日(いずれも、土)
  時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
  ※11日の稽古が25日に変更になっております。ご注意ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:1月12日、26日(いずれも、水)
  時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「今様・白拍子教室」
  日程:1月15日、19日(いずれも、土)
  時間:13時~14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」
  日程:1月29日(土)
  時間:10時~11時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。

 
 ■「京都歴史講座」は平成22年で一旦お休みとなります。教室の新たな形を模索中です
  ので、ご期待ください!
  「京都歴史講座」を受講してくださった皆さん、有難うございました。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■

  編集部2名も、2011年中にしたいと思っていること、新しく始めたいと思っている
 ことを考えてみました!

  今年は3月で大学を卒業し、社会人になります。ですので、まずは生活をきちっと組み
 立てることです。また卒業に伴い、下宿先が変わるのできれいな部屋を作りたいです。今
 年こそ女の子らしい部屋作りを・・・
  あと部活をやめてから病弱になってしまったので、体力作りに励みたいなと思います♪
                          
                                    (まつだ)

  新年あけましておめでとうございます。
  昨年は、とにかく人に迷惑をかけてしまい、多くの人の思いやりに触れ、多くの人に助
 けられているのだと実感した年でした。ご迷惑をおかけした皆さん、本当にすみませんで
 した。そして、ありがとうございました!!
  今年の目標は、「人のことを考えて行動する」です。・・・当たり前のことなんですけ
 どね(^^; 
  ことしも、本メルマガ共々、よろしくお願いいたします。

                                   (きしもと)

     [次回は、1月15日(土)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。