伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄) [嵯峨野文化通信] 第110号
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伝統文化プロデュース【連】は
日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です
嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します
毎月1日・15日(月2回)
■VOL:110(2010/9/1)
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■□■もくじ■□■
■【連】からのお知らせ ————————「遭遇の茶会」
能装束展のお知らせ
長月の茶への誘い
「京都創生フォーラム」掲載記事
■『ニッポン城郭物語』————————- 第五十五幕
■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』—– 第十一回
■『ちょっとここらで 一休み』—————– 第九回
■『北野の芸能と茶屋』————————- 第十四回
■『やまとのくには言の葉のくに』————— 第七十四首
■[嵯峨野学藝倶楽部]9月開講講座のお知らせ
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□■【連】からのお知らせ■□
□「遭遇の茶会」
7月9日から、セゾン現代美術館にて開催されております「遭遇、カオスにて-伝統・
現代・日本・西洋」展の特別企画としてお茶会が開催されます。
茶会ホストに第16代釜師大西清右衛門さん、千種さつきさんを迎え、展覧会のテーマ
でもあります「カオス」的空間が表現されます。
【連】の浜崎加奈子と太田達が協力しております。お茶席はすでに満席ですが、見学は
可能ですので、お近くにいらした方はぜひお立ち寄り下さい!
なお、「遭遇、カオスにて-伝統・現代・日本・西洋」展の開催期間は7月9日から1
0月3日までです。
日程:9月4日(土)
時間:15時~16時
場所:セゾン現代美術館 展示室内(長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140)
費用:見学無料(入場料は別途かかります)
お問合せはコチラ
セゾン現代美術館
Tel:0267‐46-2020
セゾン現代美術館HP
http://www.smma-sap.or.jp/index.html
□能装束展のお知らせ
9月3日に神戸で行われる能公演に合わせて、阪神間で初の試みとなる「六甲アイラン
ド能面・装束展」が開催されます! 伝統的な装束、面に加え、小鼓胴などの道具類、書
物も展示されます。
展示に【連】も協力しています。ぜひお越しください!
日程:9月3日(金)~12日(日)
時間:10時~18時
場所:神戸ファッション美術館1階エントランス
※アクセス
JR神戸線「住吉駅」、または阪神電車「魚崎駅」から六甲ライナーに乗り換
え、「アイランドセンター」駅下車すぐ。
費用:入場無料
お問合せはコチラ
株式会社ニュースダスト
Tel:078-857-0677
Fax:078-857-8475
六甲アイランドHP
http://www.rokko-island.com/access/
【連】HPはコチラ
http://ren-produce.secret.jp/news.html
□長月の茶への誘い
【連】の太田達が弘道館で行っている「淇園時代」を考える茶会企画シリーズ、9月は
「長月の茶ー田能村竹田的ー」と題したお茶会です。
「長月の茶ー田能村竹田的ー」
日程:9月12日(日)
時間:11時頃より17時頃まで(予定)
場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524‐1)
費用:1,000円 ※申込不要・先着順
※弘道館は江戸時代の儒者、皆川淇園にゆかりのある場所です。
弘道館HPはコチラ
http://kodo-kan.com/event.html
□「京都創生フォーラム」掲載記事
8月27日(金)の京都新聞朝刊(8、9面)に【連】の濱崎加奈子と太田達がパネリ
ストとして参加した「京都創生フォーラム」の記事が掲載されました。
京都のよさを再認識できるだけでなく、世界に誇れる伝統や技術を持ち、美しさも兼ね
備えたその姿が失われようとしている現状について警鐘する内容となっています。
ぜひ、ご一読ください。
京都新聞「京都創生フォーラム」関連記事はコチラ
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20100722000183
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■『ニッポン城郭物語』■
ー第五十五幕ー ~太っ腹な話~
梅原 和久
今回は原稿を書く時間がどうしても取れそうにないので、情報の提供だけ。
先日、大型スーパーの建設予定地で見つかった、かつて徳川家康が鷹狩りの際などに利
用したとされる、府中御殿(東京都府中市)の跡地を府中市が買い取り、保存する方針を
固めた、との報道があった(※)。
全国各地で行われている工事前の発掘調査などで同様の発見があったとしても、地権者
との折り合いが付かないまま破壊される、ということが繰り返されてきたが、今回ばかり
は特別である。府中市では今後遺跡の活用法について市民から意見を募り、遺跡の魅力を
生かした街づくりを進める、としているが、このご時世に約27億8千万円もかけて発掘
調査地(約7千800平方メートル)全体を購入するとは、「よっ、太っ腹!」と声をか
けずにはいられない。
(※)このニュースの記事。なお、この場所からは、奈良時代に当時の武蔵国を治めてい
た国司の館とみられる跡も見つかっている。
http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000001008270002
■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■
第十一回「源氏が食べる―平安文学に描かれる食―」
荻田 みどり
玉鬘と比較される関係として描かれた近江の君。今回は彼女にスポットを当てたい。
近江の君は、内大臣が夢占いの助言によって外腹の子を探し出し引き取ったいわば御落
胤である。親しみ深く、愛敬があって、髪はきちんとしているが、田舎じみて卑しい下人
の中で育ったので、無教養でものの言いようを知らない。五節の君という若女房と双六を
打ち、「小賽、小賽(小目が出るように)」と祈る声はとても早口である。同じような時
期に源氏に引き取られた玉鬘が、世間での評判がよいのに比べて、近江の君は、納涼の魚
や酒や水飯のおかずになるような退屈しのぎの話題として語り始められる。これまで見て
きたように、食事とは日常のものであり、内大臣の娘の登場の仕方としては下世話である。
このような近江の君であるからして、『伊勢物語』の高安の女のようにはしたなく食事
する場面があるのではと思われるのだが、意外なことに食べる描写は見られない。
ただ、食に関する記述は落とされることはない。父内大臣に勧められ、姉の弘徽殿女御
に会いに行くため、まず手紙を送る。角ばり、ひょろひょろとした書きぶりで、むやみに
気取っている。各地の地名を何の関連もなく読み込んだ和歌は、弘徽殿女御やその女房た
ちから嘲笑の的となる。その手紙は樋洗童(ひすましわらは。便器の掃除などをする下仕
えの童女)に使わせる。
女御の御方の台盤所に寄りて、「これまゐらせたまへ」と言ふ。下仕見知りて、「北の
対にさぶらふ童なりけり」とて、御文取り入る。
樋洗童は、女御の御方の台盤所、つまり食物を調理する台所に行って、手紙の取り次ぎ
を頼む。全くの筋違いである。この文は、樋洗童のことを見知っていた下仕え女が文を受
け取り、女房を通して弘徽殿女御のもとに届くのだが、食事をする場面でなく、その前段
階の食事を準備する部屋を通過するところに、近江の君への容赦ない皮肉が込められてい
る。
そもそも「食べる」ということは、口を動かすことである。近江の君の早口が事あるご
とにピックアップされ、また彼女が夏の気だるい宴の話題となるのも、口に関することで
ある。上流階級の女性は扇で口を隠し、見せない。食事する場面を露骨に描くことを忌避
するのは、そういった口を隠す所作と通じるところがあるのではないだろうか。
■『ちょっとここらで 一休み』■
第九回
戸谷 太一
前回は、養叟宗頤(ようそうそうい)と一休宗純の関係について簡単に触れた。これか
らも、この養叟宗頤は度々この連載に登場すると思う。それにしても、そろそろ一休さん
は20歳を過ぎ、遂に筆者の年齢を追い越してしまった。一休さんは88歳まで長生きす
るが、ネタが早々に尽きてしまうのではないか、と今から既に不安だ。徒然なるままに一
休さんの伝記に向かい、ひしとそう思う今日この頃です。
一休さんが入門したのは、22歳の時。一休さんの生涯を知るための最も確かな資料で
ある、お弟子さんの編集した一休さんの伝記『一休和尚年譜』23歳の記録には、一休さ
んが弟子入りした華叟宗曇(けそうそうどん)の禅興庵での厳しい生活が描かれている。
他の弟子たちがどうだったのかは分からないが、どうやら一休さんは禅興庵の中に住むこ
とが許されなかった様である。近くの漁師の小屋を借りて、明け方になるまで毎晩座禅に
励んだとされており、禅興庵の中に寝床を与えられず、粗末な小屋で夜ごと修業に努めた
様子が伺える。
漁師は一休さんの修行の様子に心打たれ、密かに食べ物を恵んでいたらしいが、その妻
が大変な「ドケチ」であったらしく、その様子を見て、一休さんの近くで鍋の底をガンガ
ンと叩いて修行の邪魔をしたと言われている。
禅興庵の中に在っては、先輩からのいじめ。外に出ても、安息の場所の無い生活。その
様な状況で、やはり一休さんの心の支えは師の華叟宗曇であっただろう。しかし、華叟宗
曇もその厳しさで世間に知られた人である。一休さんが、薬草を刻んでいる時に誤って手
を傷付けてしまった。それを見て「子壮大手指軟弱如此乎(おまえは、見かけは立派だが、
その手は何と弱いことよ。)」と言ったとされている。その言葉を聞き、恐ろしくなり、
一休さんは手が震えた。
しかし、華叟宗曇、ただ厳しいだけではない。その一休さんの様子を見て、ふと微笑み
かけ一休さんのこわばった心をほぐす心遣いを忘れることは無かった。
今回、漢詩は無しです、ごめんなさい。
何かよい漢詩をご存知の方、お教えいただけると嬉しいです。
■『北野の芸能と茶屋』■
第十四回
井上 年和
寛喜三年(1231)6月17日
「(前略)於北野右近馬場有競馬事云々、(後略)」『民経記』
北野の右近馬場で競馬があったようだ。日記の続きを読むと、この日は隙間が無くなる
ほど貴賤が群集していたが、騎手が落馬したため、久清さんが立腹して早く帰り、競馬が
中止となるなどハプニングだらけであった。
この年は飢饉であったため、餓死者が多く、帰りの道路は死骸に満ち、河原には隙無く
折り重なっていたようで、「飢饉中の競馬は神慮に叶わざるか」と嘆息をもらしている。
この時代では貴賤問わず誰もが楽しみ、恒例のように粛々と行われていた神事も、実は
庶民の犠牲の上に成り立っていたでのである。
■『やまとのくには言の葉のくに』■
第七十四首
田口 稔恵
滝落ちて群青世界とどろけり
(水原秋桜子『帰心』)
続く猛暑に、一滴の清涼を。
作者の水原秋桜子は、初め短歌に心酔し、窪田空穂に師事し、独自の叙情性を育てた。
関東大震災後は俳句に転じ、高浜虚子の指導を受けて、俳句誌「ホトトギス」の昭和初
期を彩る「四S」の一人として有名になる。
やがて、虚子の客観写生から離れ、俳句の叙情の回復を図った。
また無季俳句が容認されてからも有季定型を固守したことで知られ、叙情性の重視、伝
統の墨守に、秋桜子が和歌から出発した痕跡が見られる。
この句の「滝」は、落差日本一の那智の滝である。滝の水が133メートルの高さから
落ち、その瞬間に群青色の世界が出現する。
那智の滝は、普段は水量が少なく、群青というよりはむしろ透明である。
しかし、その下に待ち構える滝壺は蒼く冥く、表面の静けさとは打って変わって底が渦
巻き、この世ならぬ世界につながっているかのようだ。
「群青世界」とは、まさに、秋桜子の叙情性がもたらした表現だろう。
滝が落ち、岩肌にぶつかりながら滝壺に接触する一瞬を的確に切り抜いた手法に、医師
でもあった秋桜子の視点の的確さを感じる。
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□■[嵯峨野学藝倶楽部] 9月開講講座のお知らせ■□
詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。
■「今様・白拍子教室」
日程:9月4日、18日(いずれも、土)
時間:13時~14時(60分)
講師:石原 さつき
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
■「茶道教室(土曜日コース)」
日時:9月4日、11日、18日(いずれも、土)
時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「茶道教室(水曜日コース)」
日程:9月8日、29日(いずれも、水)
時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「京文化を語ろう~遷都1300年記念・京都のなかの奈良」
日程:9月11日(土)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:太田 達
テーマ:「吉野・黄金のゆめ」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
■「うたことば研究会」
日程:9月18日(土)
時間:10時~11時(60分)
監修:田口 稔恵
※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。
■「京都歴史講座」
日程:9月19日(日)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:中村 武生
テーマ:「豊臣期大坂・伏見の惣構堀」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com
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■□■ひとこと■□■
毎日暑い日が続きますね。
実家のパソコンは2階の廊下にあるのですが,最近は暑くて起動しない時があります。
しっかり団扇で扇いであげると,たまに起動します…。
もう9月,早く秋らしい気温になってほしいですね。
(まつだ)
[次回は、9月15日(水)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
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