伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄) [嵯峨野文化通信] 第106号
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伝統文化プロデュース【連】は
日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です
嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します
毎月1日・15日(月2回)
■VOL:106(2010/7/3)
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■□■もくじ■□■
■【連】からのお知らせ ———————– 弘道館の乞巧奠
鶴岡八幡宮今様奉納ツアー
弘道館 暁天茶会
■ 『ニッポン城郭物語』———————- 第五十三幕
■ 『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』– 第七回
■ 『ちょっとここらで 一休み』————– 第六回
■ 『北野の芸能と茶屋』———————- 第十回
■ 『やまとのくには言の葉のくに』———— 第七十首
■[嵯峨野学藝倶楽部]7月開講講座のお知らせ
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■ 106号より、嵯峨野文化通信はデザインを一新いたしました! ■
■ これからも、よろしくお願いいたします。編集部一同 ■
□■【連】からのお知らせ■□
□弘道館の乞巧奠
もうすぐ七夕の時期ですね。【連】はこのほど、陶板画家の河原尚子さん、インテリ
アデザイナーの玉井恵里子さんとコラボして、七夕を演出いたします。
もし、織姫と彦星が未来の若者だったら・・?
誰もが知っている物語と違った恋のモノガタリを、素敵な器とお茶で感じてみません
か。
弘道館にてお待ちしています。
弘道館の乞巧奠「拝啓 織姫さま 彦星」
日程:7月15日(木)~25日(日)
時間:平日 15時~21時
土・日・祝 12時~19時(最終日は16時までです)
※24日(土)のみ、18時~21時です。
場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入)
費用:入場無料(ただし、イベント参加、酒宴時間帯は有料)
イベント
「夕暮れ酒宴の会」
夕刻、暮れゆく庭をながめながらsioneの器でお酒を召し上がっていただけます。
sioneは、河原尚子さんが製作している陶磁器ブランドの名称です。
期間:7月15日(木)~17日(土)
時間:17時~22時
費用:1000円(お酒一杯付)
「星逢の茶会」
七夕だけの特別のお茶会です。
期間:7月18日(日)
時間:昼頃から夕暮れまで
席主:太田宗達、河原尚春
費用:1000円(予約は不要です)
イベント特設HPはコチラ
http://www.springshow.jp/kikkouten/index.html
□鶴岡八幡宮今様奉納ツアー
日本今様謌舞楽会護持会主催のツアーの詳細が決まりましたので、お知らせいたします。
今回のツアーでは、源義経の愛妾・静御前が源頼朝の命により、舞を舞ったとされる鶴
岡八幡宮において開催される「ぼんぼり祭り」で今様を奉納いたします!
古都・鎌倉の景色・美味を堪能してみませんか?
日本今様謌舞楽会家元も同行いたします!
日程:8月8日(日)~9日(月)
行程:8日 8時 京都駅新幹線改札口集合、出発(新幹線にて移動)
11時 鶴岡着 昼食・奉納打ち合わせなど
17時 ぼんぼり祭りにて奉納(横浜泊予定)
9日午前中 鎌倉散策
18時 京都駅着 解散
費用:護持会会員 1万5千円(予定)
非会員 1万8千円(予定)
※宿泊費、奉納料込みです。ただし、食事代、交通費は別途となります。
往復の新幹線のチケットは事前にお買い求めください。
定員:30名(先着順となります)
お申込み・お問合せはコチラ
電話・FAX:075-871-3205
メール :imayou@ren-produce.com(担当:岸本)
※7月15日までにお申込みください。代金の振込方法、旅程の詳細につきましては、
お申込み後にお知らせいたします。
□弘道館 暁天茶会
京都では、夏にいろいろなお寺で暁天講座が行われ、ありがたい説法と粥が振舞われ
ます。
弘道館で、お茶と粥をいただきながら夏の朝焼けを楽しみませんか?
きっと、とても清々しい夏が過ごせるはず。ぜひ、ご参加ください。
日時:8月22日(日)午前6時30分
費用:3,000円 ※要申込・先着順
お申込み・お問合せはコチラ
メール:info@kodo-kan.com
弘道館HPはコチラ
http://kodo-kan.com/event.html
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■『ニッポン城郭物語』■
─第五十三幕─ ~大阪城の話~
梅原 和久
先日、大阪城の国際的な観光地としての魅力を高めるため、天守閣と本丸エリアを歴史
テーマパークとして整備すべきだとの提言を大阪商工会議所が行ったことが報じられた(
※1)。
提言では、城内をいくつかのエリアに分け、天守閣内部は3D映像などを駆使して大坂
の歴史や文化を紹介し、天守閣周辺の本丸エリアでは、芝居小屋や茶店など、昔の街並み
を再現するほか、「駕籠タクシー」を走らせるなど、昔の気分が味わえる空間にする、と
いう(※2)。
大阪商工会議所でツーリズム振興委員長を務める阪神高速道路の田中会長は、記者会見
で「政府の成長戦略にも観光立国が盛り込まれ、流れに乗るべきだ。必要な規制緩和も訴
えていく」と述べている。
ここでいう規制緩和というのは、史跡保存の関係である。大阪城公園の大部分は、国の
特別史跡に指定されており、文化財保護法で新たな施設設置には規制があるのだ。当然な
がら、このようなテーマパーク構想とは全く相容れない。
新しい観光スポットの創出するためには、旧態依然の考えにとらわれることなく、斬新
な発想が必要だ、というのは理解できる。ただ、それを大阪城でしないで欲しいのだ。
さらに、この提言の推進団体の名称が「大阪城を世界に誇る名城にする会(仮称)」と
いうのも何だか気恥ずかしい。
江戸時代初期の、世界最高峰の土木技術の粋を集めた現在の大阪城の遺構を覆い隠すよ
うに時代考証無視のテーマパークを作って、それで「世界に誇る」とは。
まさかこのまま実現されてしまうなんてことはないと信じたいが、大阪だけに少々心配
ではある。
(※1)新聞記事。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100623/biz1006232313031-n1.htm
(※2)提言の全文。
http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/Iken_Youbou/t-osaka100623.pdf
ここでは、他城の例として、往時の建物の忠実な再建を進める熊本城や、本丸御殿の
復元に取り掛かった名古屋城などの例が挙げられているが、全く参考にはならなかっ
たらしい。もし戊辰戦争で焼失する前の、本丸の雄姿が復元できたとすれば、それこ
そ「世界に誇る名城」の面影を取り戻せるかもしれないのだが。
http://bbs16.meiwasuisan.com/bbs/bin/img/history/12510112010258.jpg
■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■
第七回
荻田 みどり
前回、女性の家で男が食事をすることは憚られたということを述べた。しかし、『源氏
物語』には、源氏が明石の君の京での住まいで食事する様子が描かれている。
ここはかかる所なれど、かやうにたちとまりたまふをりをりあれば、
はかなきくだもの、強飯(こはいひ)ばかりはきこしめす時もあり。(薄雲巻)
「ここ」とは、大堰(おおい)川の辺り(桂川の上流域。嵐山周辺)。明石の君が明石
から上京し、住まいした邸である。京とはいえ山里のうら寂しい場所だった。観光客で賑
わう今の嵐山とは全く違う様相だったようだ。
源氏は新年の諸行事が一段落した頃に大堰へ赴く。「かかる所なれど」、ちょっとした
くだものや強飯ぐらいは召し上がる時もある。わざわざ「かかる所なれど」と注記してい
ることからも、通常こういう所では食べないという、前回の『枕草子』と同様の感覚は持
ちながらも、特別に召し上がっていることがわかる。
ここで注目したいのが、明石の君がさし上げたという形でなく、源氏が「きこしめす」
という書き方をしていることである。源氏ほどの上流貴族が主体的に召し上がっていると
いう描写は珍しいことである。
明石の君は、いつも自分の身分の低さ(身のほど)を意識していた。だからこそ、源氏
に囲われ、他の身分の高い女君たちの中で埋もれてしまうことを恐れ、洛中から少し離れ
た大堰(明石入道が所有していた領地)に住むことにした。だが、内大臣という重職に就
く源氏はなかなか遠出することはできない。この場面でも新年の諸行事で忙しい時期を過
ぎてからようやく、といった形である。いつか忘れ去られてしまうのではないか、という
不安感は常に明石の君につきまとっている。その不安感を和らげるのが、食事だった。通
い先で食事をしない関係とは、男女の駆け引きを楽しむいわば「恋人」関係である。緊張
感を求めるこのような関係が食事という日常的な行為を嫌ったためであろう。源氏が自ら
の意志で食事をすることによってくつろいだ態度を示し、共に暮らす「夫婦」という安心
感のある関係を保証したのだった。
■『ちょっとここらで 一休み』■
第六回
戸谷 太一
前回は、一休さんの自殺が未遂に終わり、母のもとに戻ったというところまで話をし
たと思う。
今回は、その後一休さんが探し求めた新たな師匠、華叟宗曇(けそうそうどん)との
出会いについて話したいと思う。
華叟宗曇は播磨国、現在の兵庫県西部の出身であった。大徳寺に参禅して後、近江国
の堅田に禅興庵を建て弟子の教育にあたったとされている。その性格は純粋であり、多
くの人に慕われていたという。
一休さんは、この華叟宗曇の門をたたくことになる。これは、以前から華叟宗曇の噂
を聞いており、心中慕っていただめである。
しかし、華叟宗曇は一休さんに対してはじめはその門を閉ざした。それに対し、一休
さんは門の前で座り込む、という方法で熱意をアピールした。
この時の一休さんの心中には、一度死んでそして母のもとで改めて生き返った、その
辛さと克服の葛藤に比べれば、こんな責め苦何するものぞ、という様な心持であっただ
ろう。
四、五日たって、たまたま華叟宗曇が村で仏事をする機会があった。その時、はじめ
て一休さんの姿を確認するのだが、華叟宗曇は弟子に対して一休さんに冷や水を浴びせ、
棒でたたいて追い返せと指示した。さらに一休さんの決意を試したのだ。
そして、仏事から帰って、それでも未だ座り続ける一休さんを見て、遂に入門を許可
したのだ。
華叟宗曇の宗風は「華叟毎語云、為師家者、第一気概、第二志アル僧ヲハ可印可之、
雖為意句共到飽参、無道心者不可也」(一部原文改変)とされており、要するに「本気
の人、大歓迎!!」ということであったらしい。一休さんの我慢が、華叟宗曇の心を突
き動かしたのだろう。
その華叟宗曇を一休さんが評した詩でもって、今回は終わりとしたい。
霊山の孫、言外の的伝
密漬の茘支、四十年
児孫に箇の瞎禿の漢有り
頤い得たり、老婆、新婦の禅
(霊山和尚の孫で、言外宗忠の一番弟子。密漬けのライチの様に、40年間人知れず
ねかされてきた。その弟子に私の様な盲目坊主が生まれた。老婆の様に口うるさく、新
婦の様に小心翼々たる私の禅を作り上げたのである。)
■『北野の芸能と茶屋』■
第十回
井上 年和
寛喜元年(1229)6月1日
「(前略)参北野、于時黄昏也、今日依朔弊毎事稠人也、毎月朔弊白拍子等巡役云々、」
(後略)『民経記』
北野社で毎月の朔弊に白拍子(しらびょうし)を役していたようだ。
白拍子のことをこの紙面で解説するのは釈迦に説法であると思うが、少し触れておこう。
「白拍子」とは、古く遡ると巫女による巫女舞が原点であるとも言われており、巫女が
布教の行脚中において舞を披露していく中で、次第に芸能を主とした遊女へと転化してい
き、そのうちに遊女が巫の影響を受けて男装し、男舞に長けた者を一般に白拍子とも言う
ようになった。
白拍子を舞う女性たちは遊女とはいえ、貴族の屋敷に出入りしており、見識の高い人が
多く、平清盛の愛妾となった祇王や仏御前、源義経の愛妾静御前など貴紳に愛された白拍
子も多い。
巫女になりかわり朔弊で舞う白拍子は、神前で献げる芸能に携わる者が、神職から他の
者へと転換していく過程であるとも言えるのである。
■『やまとのくには言の葉のくに』■
第七十首
田口 稔恵
大原や夏野を遠く分けくれば 初蝉とよむ梢ゆすりて
(上田秋成『後毎月集』 孟夏)
(夏の大原の野原をはるばる分けて来ると、今年はじめての蝉の声が、梢をゆらすよう
に響くことだ)
上田秋成は、『雨月物語』の作者として特に有名だが、歌人、俳人、国学者としても活
躍した。『雨月物語』の文章の端々にも、彼の膨大な和漢の才の片鱗が垣間見られる。
このコーナーでもたびたび紹介した、平安時代の歌人・曾禰好忠の『毎月集』という3
60首の歌集に倣い、秋成は『後毎月集』をものした。父母の愛に恵まれなかったといわ
れる秋成には、存命中は世間から偏屈扱いされた好忠に、何か共感するものがあったのか
もしれない。
「大原」「夏野」「初蝉」「梢」というモチーフの選択は、夏の盛りの緑陰の涼しさを
いかにもよく表現しており、なかなかの歌人である。
「とよむ」は「響く」という意で、現在では濁音化し「どよむ」「どよめく」という語
に名残をとどめている。
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□■[嵯峨野学藝倶楽部] 7月開講講座のお知らせ■□
詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。
■「茶道教室(土曜日コース)」
日時:7月3、10、24日(いずれも、土)
時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「京文化を語ろう」
日程:7月10日(土)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:太田 達
テーマ:「平城京と平安京」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
■「今様・白拍子教室」
日程:7月10、24日(いずれも、土)
時間:13時~14時(60分)
講師:石原 さつき
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
■「茶道教室(水曜日コース)」
日程:7月14、28日(いずれも、水)
時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「京都歴史講座」
日程:7月18日(日)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:中村 武生
テーマ:「よみがえる首都京都ー豊臣政権の京都都市改造」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
■「うたことば研究会」
日程:7月24日(土)
時間:10時~11時(60分)
監修:田口 稔恵
※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com
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■□■ひとこと■□■
今回、メルマガの発行が遅れましたことをお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。
また、今号より、デザインを変更いたしました。
いかがでしょうか?旧デザインのように、長く親しんでいただければ幸いです。
(まつだ)
[次回は、7月15日(木)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
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