嵯峨野文化通信 第95号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 

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              〔嵯峨野文化通信〕 第95号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に

          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

                      ★VOL:95(2010/1/15)

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  ○【連】からのお知らせ ——– 江里康慧氏講演会「平安京の仏像」のご案内
                  伝統文化の復興と継承を考える
ー平安文化「今様」は甦るかー
                  弘道館での先駆け展覧会
                  第一回「洪庵塾に遊ぶ」シンポジウムのご案内!
                  学生デザインコンテスト作品募集
  ○(連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』—— 第十回
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———— 第五十九首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]1月下旬・2月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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 ○江里康慧氏講演会「平安京の仏像」のご案内

  1月30日に、ハイアットリージェンシー京都にて今様謌舞楽会護持会主催の講演会が
 催されます!
  今回は、仏像彫刻を専門になさっている仏師、江里康慧氏に来ていただき「平安京の仏
 像」というテーマで造佛について講演をしていただきます。
  貴重な機会ですので、皆様お誘い合せの上ぜひお越しください!

  日程:1月30日(土)
  時間:16時40分より
  場所:ハイアットリージェンシー京都(京都市東山区三十三間堂廻り644番地2)
  費用:1万円(17時40分からの懇親会費用含む)
  主催:今様謌舞楽会護持会
  
  お申し込みはコチラから
  info@ren-produce.com 

 ○伝統文化の復興と継承を考えるー平安文化「今様」は甦るかー

  前号でもお知らせしました通り、1月23日に、同志社女子大学において今様について
 の講演会が開催されます!
  消え行く伝統文化に対する解決策と、現代に生きる伝統文化をどのように継承してゆく
 のか、という問題を考えていきます。
  お時間がおありの方は、ぜひお越しください!

  日程:1月23日(土)
  時間:13時30分〜16時50分
  場所:同志社女子大学 今出川キャンパス 純正館地下1階S013教室
     (京都市上京区今出川通寺町西入)
  費用:無料(申込不要)

  講演「後白河院の周辺」 朧谷壽(同志社女子大学名誉教授)
  講演「『梁塵秘抄』と今様」 植木朝子(同志社大学教授)
  実演「今様合と白拍子舞」 出演 日本今様謌舞楽会
  パネルディスカッション 「今様は現代に甦るか」
  パネリスト:朧谷壽、植木朝子、石原さつき(日本今様謌舞楽会代表)、太田達(京都
        女子大学非常勤講師)、濱崎加奈子(伝統文化プロデュース【連】代表)、
        杉浜奈菜(同志社大学文学部生)

  ※この事業は京都府地域力再生プロジェクト支援事業交付金による支援を受けて実施し
   ます。

  主催:「今様」企画実行委員会 代表:杉浜(文学部2年)
  共催:同志社大学今出川校地 学生支援課 嵯峨野学藝倶楽部
 
 コチラから配布チラシをご覧いただけます。
  http://imayou.jp/event.html

 お問合せはコチラ
  TEL:090ー3995ー4325
  Eーmail:imayo2010@yahoo.co.jp 

 ○弘道館での先駆け展覧会

  前号でお知らせしましたが、2月に同館で行われる作品展「北尾博史 森の部品ー元土
 御門(モトツチミカド)の森」に先駆け、プレオープンイベントが行われます。
  「北尾博史 森の部品ー元土御門(モトツチミカド)の森」とは、アート作品と京菓子
 のコラボレーション・シリーズの第1弾目で、京菓子と北尾博史の彫刻の展覧会です。 
  ぜひお越し下さい!

  日程:2010年1月24日(日)、25日(月)
  時間:10時〜18時
  場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524ー1)
  費用:無料
  ※会期中呈茶があります。(老松製の菓子と薄茶 1,000円/随時)

 詳しくはコチラ
  弘道館イベントページ:http://kodo-kan.com/event.html

 ○第一回「洪庵塾に遊ぶ」シンポジウムのご案内!

  1月25日に、大阪にて「洪庵塾に遊ぶ」と題したシンポジウムがひらかれます!!
  このシンポジウムは、大阪大学が新たに始めた取り組み「遊びながら学ぶ」ことは、【
 連】の目的に通じるものがあります。
  一体、どんなシンポジウムになるのでしょうか・・?
  【連】スタッフである竹原希光子がパネリストとして参加いたします。
  お時間がおありの方は、ぜひお越しください!

  日程:1月25日(月)
  時間:12時50分〜18時(受付は12時20分開始)
  場所:大阪国際会議場12階 特別会議場・ホワイエ(大阪市北区中之島5-3-51)
  費用:無料(申込不要)
     定員は200名です。

  第一回「洪庵塾に遊ぶ」シンポジウム
  テーマ:「観光学」の全貌を知ろう

  基調講演=「地域活性化の真髄に迫る」
  講師=木村俊昭(農林水産大臣官房政策課企画官)
  シンポジウム=「観光について」
  パネリスト=辻祥光(大阪ユネスコ協会役員・アクトレップ人材派遣会社代表取締役)
        石川浩司(関西空港株式会社経営戦略室調査役)
        田島壽太郎(大阪大学特認研究員)
        竹原希光子(大阪大学大学院生)

  大阪大学コミュニケーションデザイン・センターHPはコチラ
  http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/

  ※お問合せは、HP内の「お問い合わせ」からお問合せください。

 ○学生デザインコンテスト作品募集

  京の街を彩る名産品の数々は、京都の顔です。中身は勿論、名産品を包む「ショッピン
 グバック」にも「京都らしさ」は表れます。
  今回は、そんな「ショッピングバック」のデザインコンテストのお知らせです!
  この企画は、【連】代表の濱崎加奈子がプロデュースに関わっています。
  学生の皆さん、外へ向けて発信する京の名品を包むアイデアを出してみませんか?

  「学生デザインコンテスト」
  募集区分:A.パッケージ B.ショッピングバック
  テーマ:あしたの「京都らしさ」
  応募資格:大学生・大学院生(個人又はチーム)
  応募〆切:2月15日(月)
  応募方法:コンテスト参加登録用紙と応募作品を、期間内に指定する事務局へ郵
       送又は持参。
 
  お問合せはコチラ
   京都名店会(京都市中京区烏丸通夷川上ル 京都商工会議所内)
   TEL:075ー255ー2500
   FAX:075ー256ー4028
   E-Mail:office@kyoto-miyage.gr.jp

  HPはコチラ
   http://www.kyoto-miyage.gr.jp/

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                  (連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』
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                第十回「菓子としての餅」

                                    太田 達
                  
  正月の餅飾りの構造について考えてみよう。八咫鏡を象ったともいわれる大小ふたつの
 丸くて平たい餅を、重ね裏白、葉、昆布、串柿、橙などで飾る。地域によって、また、そ
 れぞれの家の属性により伊勢海老、熨斗鮑(のしあわび)、勝栗、扇など、飾り添え物も
 様々である。
  加賀地方では紅白二種の餅を重ねたり、畿内のいくつかの祭礼などでは三重ねの形式を
 みることができる。日本人にとっての最も重要なハレの日の飾りは、やはり餅なのである。

  菓子屋には、「紋日(もんび)」といって一年のうちでも、特に忙しい日がある。年中
 の行事日である。ちなみに、京都では、菓子屋と餅屋は厳密に区別されている。そこで、
 菓子屋の扱う餅菓子について、考えてみたい。
  本来、裏千家の初釜のためのものが一般化した菓子としての睦月「花びら餅」、如月「
 うぐいす餅」、弥生「桜餅」、端午の「柏餅」、土用の「あんころ餅」、十五夜
 は「月見団子」、霜月炉開きの「亥の子餅」や「善哉餅」などなどである。これらの日は、
 朝早くから工房に蒸気が充ち活気がみなぎる。このような餅菓子のことを、菓子屋では「
 節季物」と呼ぶ。

  21世紀に入り、我々の日常の暮らしの中において、伝統に基づいた「衣、食、住」は、
 急速に形骸化している。普段のくらしの中で「きもの」を身にまとう事どころか、きもの
 姿を目にする機会さえ稀になり、「畳」はフローリングへと替わり、瓦屋根が激減し、空
 調をコントロールされた完全密封の部屋の中では万葉の時代から続く自然とのふれ合いを
 絶ち、季節の「移ろい」を感じることが、都市圏においては困難になった。日本人の季節
 に対する感性が、袷(あわせ)、単衣、絽などの衣替えや、藤むしろ、簾、露地への打ち
 水などとともに失わわれつつある。

  ただ、この現代、ファーストフードやファミリーレストランなどに一元化されたように
 見えるが、にも関わらず、「食」においては、いまだ正月にほぼどの家においても雑煮を
 食べる。元旦においては家族単位での行動が多く、古代より連綿と続く部族単位での食の
 特異性が守られている。例えば、餅の形状や、だし汁は味噌かすましかなど、またメイン
 の食材についても、その部族社会の食の基盤となる海老芋、イクラ、小豆などで祝ってい
 るのである。このように、日本人は、餅が大好きなのである。では、何故、餅をこれほど
 好むのであろうか。この点について次回より考えていきたい。

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                     (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第五十九首

                                   田口 稔恵

 君が行き けながくなりぬ 山たづね 迎へか行かむ 待ちにか待たむ
 (あなたの行幸は日数が長くなりました。山を尋ねてお迎えに行こうかしら、それともお
 待ちしようかしら。)

 かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根し枕(ま)きて死なましものを
 (こんなにも恋焦がれていないで、高い山の岩を枕にして、死んでしまったらよかったの
 に。)

 在りつつも君をば待たむ 打ち靡く吾が黒髪に霜の置くまで
 (ずっとあなたをお待ちしておりましょう。年をとって、この黒髪に霜がおいたように、
 白髪になるまでも。)

 (磐姫皇后 『万葉集』巻2)

  昨年末の紅白歌合戦を見ていて、「こんな渋い歌が・・・」と驚いたのが、小林幸子の
 「万葉恋歌 ああ、君待つと」であった。今年、平城遷都1300年にちなんだ作品に違
 いない。歌詞は『万葉集』から恋の歌をほぼそのまま引いてあるのだが、その引用歌のチ
 ョイスに、これまた驚かされた。5つの引用歌の中で、3首までもが、仁徳天皇の皇后、
 磐姫の歌であったのだ。(これが上記の3首である。)

  『万葉集』といえば、史上最大の歌数と、幅広い身分の人々の歌を入集させたことで知
 られる。魅力的な恋の歌は、枚挙にいとまがない。
  「千の風になって」を世に問い、一大ムーブメントを巻き起こした新井満をして、3首
 もの歌を選ばしめた、磐姫とはいかなる人物か。

  磐姫は、豪族・葛城氏の出で、武内宿禰の孫に当たる。仁徳天皇の皇后となり、息子4
 人を天皇として世に送り出し、女性として誰もが羨む人生を送った。それなのに、彼女が
 熊野へ遊びに出かけた際、夫が八田皇女を宮中に入れたことに激怒し、居を移してその地
 で没してしまったのだ。皇后の後釜には、八田皇女が入っ てしまった。

  心ではこんなに夫を愛し、根は素直で可愛い女なのに、面と向かうと意固地になり、プ
 ライドが邪魔して甘えられない・・・そんな、よくある女の業を、皇后という立場ゆえに
 よりいっそう持て余す。学生の頃の私は、「気の毒に・・・こういう女性の魅力って、往
 々にして男性には受け入れられにくいものだもんな・・・ 」と考えていた。

  そう思ってからはや10年。世に「ツンデレ」なる言葉も浸透し、男性諸君にも、鉄仮
 面の下の乙女心が読み取れる時代が到来したようだ。むしろ、男性のほうが「草食化」が
 進んでいるらしいから、細かな心の機微を読んでくれるかもしれない。
  ともあれ、皇后という地位に安住せず、生涯「恋する不器用な女」であった磐姫という
 女性、1700年後の我々にも愛される要素は充分といえよう。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 1・2月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「京文化を語ろう」
  日程:1月16日(土)
  時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:太田 達
  テーマ:「宗教から京都を考える〜八坂〜」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:1月16日、2月6日、13日、20日(いずれも、土)
  時間:15時〜20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:1月16日、2月13日、27日(いずれも、土)
  時間:13時〜14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ★「京都歴史講座」
  日程:1月17日(日)
  時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「再び幕末碑が建ったー「明治百年」と京都市観光課の建碑」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:1月27日、2月10日、24日(いずれも、水)
  時間:13時〜18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「うたことば研究会」
  日程:2月27日(土)
  時間:10時〜11時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せ下さい。
   1月16日の勉強会は、9日に振り替えました。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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  年が明けました。
  今年は元旦から雪がちらつく、寒い1年の始まりでしたね。
  それでも神社に参拝した人の数は去年とほぼ同じだったとか。

  暗いニュースが多く、お財布の中も寒い昨今ですが、こんな時でも日常の習慣は
 変わらず続いていくんだなぁ、とそんなことを思いました。

                                (まつだ)

     [次回は、2月1日(月)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。