嵯峨野文化通信 第83号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 
 
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              〔嵯峨野文化通信〕 第83号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

    ★VOL:83(2009/7/15)

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 ○【連】からのお知らせ —— 平成21年度の下半期講座のご案内
                 新講座のご案内
                 『京の花街 ひと・わざ・まち』執筆者による講演
京菓子教室、今年も開催!
     花街本刊行記念シンポジウム開催!
 ○(連載)『丹後と京都』———————– 第十二回
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——- 第四十八首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]7月中旬~8月上旬開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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 ○平成21年度の下半期講座のご案内

  毎日暑くなってきましたね。この時期は、何もやる気が起きない・・・という方も多い
 と思いますが、こんなときこそ新しいことにチャレンジしてみませんか?
  何と言っても、講座を担当する講師は皆さんエネルギッシュな方ばかり!
 暑さも吹き飛ぶ熱いお話や、暑さを忘れられるほど面白い教室が待っています!!
 同じように伝統文化に関心をお持ちの受講者同士で交流することもできるかも。。
 今年の夏は、日本文化を学んでみませんか?

  各講座の詳細はこちらをご覧ください。
   http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 ○新講座のご案内
 
  「京文化を語ろう」(講師:太田達)の新シリーズがこの7月からはじまりました!!
  今回は「宗教から京都を考える」と題し、宗教と京都の町がどのように関わってきたの
 か、また、宗教が京都の文化や人々にどんな影響を及ぼしてきたのかなど、みなさんと共
 に考えていきます。
  さまざまな宗教が混在する京都、遠いような近いような宗教の世界と京の都の関係を一
 緒に考えてみませんか?

 「京文化を語ろう~宗教から京都を考える~」

  日程: 7月11日「天台・真言」(終了しました)
      8月 8日「浄土宗」
      9月12日「2つの本願寺」
     10月10日「京都の法華」
     11月14日「浄土宗」
     12月12日「キリスト教」(いずれも土曜)

  ♪イベント♪

  太田達先生の講座「京文化を語ろう」では、半期毎に、講座の内容に関連した場所で宴
 会を行っています。
  今回は、京都の周辺地域から京都を考える講座(2009年1月から6月まで開講)に
 ちなみ、近江・瀬田の「あみ船」を楽しむ予定です。近江は、古い時代から京都人の遊び
 場でしたが、とくに明治から昭和初期は、何かと「あみ船」に行っていたようで、祇園祭
 の打上げとしても使われていたようです。
  暑い折ですが、京都人の懐かしい遊びをご一緒に楽しみませんか。

  【日程】2009年8月8日(土)17時~
  【場所】「あみ定」(滋賀県大津市唐橋町23-1)

  詳しくは、下記までお問い合せください。
   info@ren-produce.com

 ○『京の花街 ひと・わざ・まち』執筆者による講演

  7月24日(金)~26日(日)の3日間に渡って、ハイアット リージェンシー京都
 にて、「京都のスタンダードを追求する」をテーマに、京都の暮らしから、歴史、文化な
 ど、さまざまな方面から京都を考えるイベントが行われます。
  その中で、『京の花街 ひと・わざ・まち』の執筆者である、太田達・平竹耕三・井上
 えり子・濱崎加奈子の4名も、花街の文化をお話することになりました。日時は、25日
 (土)17時30分~19時です。ぜひお越しください。

  京都流議定書 ~今こそ京都の価値観を継承していこう!
                      京都スタンダード(価値観)を探求する~
  
  日時:7月24日(金)~26日(日)
     ※『京の花街 ひと・わざ・まち』執筆者による講演
       25日(土)17時30分~19時
  場所:ハイアット リージェンシー京都(七条東山)
  費用:無料
  主催:京都流議定書イベント実行委員会
  共催:京都市/協賛:株式会社ウエダ本社

  イベントの情報はコチラ
  http://www.ueda-h.co.jp/press/kyotostyle2009.pdf

 

 ○京菓子教室、今年も開催!

  京都市郊外の山崎にある雑貨Shop&暮らしの教室「食と暮らしのうるおいサロン
 Relish」から、今年もわらび餅教室の案内が届きました!!
  有職菓子御調進所「老松」主人であり、嵯峨野学藝倶楽部でもおなじみの【連】メン
 バー、太田達が講師を担当いたします。
  暑い夏に、見た目も食感も涼しげなわらび餅をぜひ作ってみませんか?

  日時:7月26日(日)11時~13時
  費用:3000円
  講師:太田 達(京菓子司「老松」主人)
  申し込み:Relishへ直接お申し込みください。
        電話/FAX:075-953-1292
        メール:info@relish-style.com

  詳しくはこちらまで
  http://www.relish-style.com/

 ○花街本刊行記念シンポジウム開催!

  【連】代表の濱崎加奈子と【連】メンバーの太田達も執筆している『京の花街 ひと・
 わざ・まち』の刊行を記念し、「京の花街 ひと・わざ・まち-<歌舞練場>から花街の
 現状と未来を考える-」と題した、第2回花街シンポジウムを開くことになりました!
  シンポジウムは、執筆者が花街に関しての討議を行う第1部と、出版記念祝賀会の第2
 部となっております。第1部では、「地方(じかた)」と呼ばれるお座敷の演奏者の方に
 スポットをあて、お話を伺います。また、先斗町の芸妓・もみ鶴さんにお座敷唄の演奏を
 披露していただきます。
  第2部では、執筆にご協力いただいた上七軒や宮川町などの芸妓さんと舞妓さんにもお
 越しいただく予定です。軽食もご用意しております。
  花街についての理解を深めていただき、これからの花街についても考えていただける貴
 重な機会ですのでぜひご参加ください!

  日時:8月15日(土)
     第一部 14時開演/13時30分開場 *参加無料
     第二部 17時開会/16時30分受付 *費用:8千円
  場所:京都コンサートホール(京都市左京区下鴨半木町1-26)
  出演:もみ鶴(先斗町芸妓)・勝喜代(上七軒芸妓)・美代治(宮川町芸妓)
     上林研二・平竹耕三・井上えり子・太田達・濱崎加奈子 
  
  申込み、お問い合わせはコチラまで
   メール:kagai@ren-produce.com
   FAX:075-864-9700

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                             (連載)『丹後と京都』
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                第十二回 大齋原(おおゆのはら)
        
                                    太田 達

  静岡の木枯らしの森と、熊野の大齋原とで共通していることとは何か。それは、「明る
 さ」である。駿河湾の河口に近い木枯らしの森は、当然「明るい」といっても良い景観で
 ある。しかし、鬱蒼とした熊野の山々の奥深い、雨また雨の隠里に「明るい」とは、最も
 似つかわしくない形容詞であろう。
  が、この大齋原には、いつも陽光の差す日溜まりたる場所のイメージがある。大きな、
 何もさえぎる物のない山々のなかの中州は、熊野山中における太陽の光をうける唯一の場
 所、聖なるコロシアムともいうべき構造になっているのではないか。夜には月、星のあか
 りが河原の白石に反射し、神殿のある半円球の森を照らす。漆黒の新月の暗闇の夜におい
 ても、長時間露光した高感度のフィルム陰画の粒子のごとき灰色の光粒に、その森と大鳥
 居は浮かび上がる。曼荼羅胎蔵界の中心に坐ます宇宙神大日と同化するがごとしとは、こ
 のことか。昼夜、陰陽、神仏、宇宙との合一合体である。台密、東密ともにこの熊野にお
 いて修験と同化する。天台『摩訶止観』の「即空即仮即中」、まさに明、像、鏡の境地。
 これが中州の魅力かもしれない。
  中州の南尻に寝そべって、空を仰ぐ。はてしない天空がある。そして水音、瀬音である。
 伊勢の五十鈴川の禊、キリストに於けるバブチスマの洗足、「粗末なサンダル」と「濡れ
 わらじ」。求道者の足許は、東西問わず貧しくもエロチカルである。
  そう、京都にも、このような聖地があるではないか。今出川の橋から眺める「糾の森」、
 山城国一宮賀茂御祖神社の「只洲の森」である。『金葉集』の和泉式部の話、素足に草鞋
 で賀茂御祖詣でをし、その際緒ずれをし、鼻緒に紙を巻いたところ、神官に「千早ぶる 
 かみをば足に 巻くものか」、謡いかけられた返歌「これをぞ下の 社とはいふ」。洗足
 のエロス、これぞ中州の魅力なのかもしれない。
                                
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                     (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第四十八首                 

                                   田口 稔恵

  八雲立つ 出雲八重垣妻隠みに 八重垣つくる その八重垣を
  (須佐之男命『古事記』)

 (出雲から、幾重にも重なる垣のように雲が立ちのぼる。その雲の中に、妻を籠もらせよ
 う。)

  「史上最初の和歌」として、和歌の道を学ぶ者たちに尊ばれてきた特別な和歌である。
 同じ語句を連ねた、素朴な和歌だが、それゆえに和歌が持つ本来の要素が色濃く窺える。
 男女を結びつける歌垣の要素、言葉の繰り返しによる呪術性、予祝性。「八雲立つ」とい
 う堂々たる詠み起こしなど、荒ぶる神の代名詞・須佐之男命にまことに似つかわしく思わ
 れる。

  八岐大蛇を退治した須佐之男命が、宮をつくるべき地を、出雲の国に求めた。スガとい
 う地まで来たとき、須佐之男命は、清浄な印象を受け、その地に宮をつくる。その際、ス
 ガの地から雲が立ち上り、須佐之男命はこの歌を詠んだ。八岐大蛇から守った櫛稲田姫を
 娶って、その雲の中で契り、男神一柱産んだとされる。
  神話の時代の男女は、雲や草など、自然物に籠もって愛を語らう印象が強い。生きとし
 生けるものすべての生殖の不思議と、豊穣の象徴であろうか。神と人との境目の、力強く
 混沌としたエロティシズムが美しい。

  7月は八坂神社の「祇園御霊会」ー祇園祭である。平安時代に、インドの疫病神であっ
 た牛頭(ごず)天王を祀った八坂神社に疫病の退散を願ったと考えられる。須佐之男命は、
 その荒ぶる神性ゆえに、牛頭天王と同一視され、八坂神社の主祭神となった。 

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 7月中旬~8月上旬開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:7月18日 12時~13時 ※7月4日の振替
       18日 13時~14時 ※7月25日の振替
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ★「うたことば研究会」
  日程:7月18日(土曜)
  時間:10時~11時
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せ下さい。

 ★「京都歴史講座」
  日程:7月19日(日曜)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「精華町の旧蹟」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:7月25日、8月1日、8日(いずれも土曜)
  時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:7月15日、8月5日(いずれも水曜)
  時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています。
 
 ★「京文化を語ろう」
日程:8月8日(土曜)
時間:11時~12時30分(90分)
  講師:太田 達
テーマ:「宗教から京都を考える~浄土宗~」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  すっかり夏になりました。
  京都の夏は蒸し暑くてかないません。
  
  暑くなったら休み、寒くなったら休み、と気候に合わせて休んでいた平安貴族が大変
 うらやましいです。
  今はクーラーが各教室に入っているので、夏でも快適に勉強できるというすばらしい
 時代ですが、それに伴って夏休みがどんどん減っていくので、文明の進歩に複雑な思い
 を感じる毎日です。

                                   (きしもと)

     [次回は、8月1日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
 
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。