嵯峨野文化通信 第39号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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             〔嵯峨野文化通信〕 第39号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
               毎月1日・15日(月2回)

                       ★VOL:39(2007/9/15)

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  ○【連】からのお知らせ———————–「華道教室」
  ○(連載)『京都タイムトラベル』————-北山界隈(4)
  ○やまとの国は言の葉のくに——————-第十四幕
  ○京の伝統行事——————————-萩まつり

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 【連】からのお知らせ
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  【連】が主催している[嵯峨野学藝倶楽部]に、新しく「華道教室」が開講すること
 になりました。華道と言うと、堅苦しいイメージを思い浮かべる人も多いと思います。
 ですが、花を飾ること、いけることは、自然との関わりから生まれたモノなのです。

  草木と心を分かち合うことで、季節の移り変わりを知り、花をいけるという事を楽し
 んできた私達の祖先。まずは、花に触れることから始めてみませんか? 詳しい内容に
 ついては、下記のアドレスからお問合せください。

 ●お申込み&お問合せ
 sagano@ren-roduce.com

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             (連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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                  北山界隈(4)           太田 達

  今月末、松ヶ崎にある大学の大学院を受験する事になった。半白の齢を過ぎて英和辞
 典を手にすることになるとは。研究社のくたびれた赤い背表紙に加茂川中学校一年三組
 四番とある。小学校のコンサイスは何処へ行ったのやろと考えながら、私は、これらの
 辞典をかばんに入れ北山通りを9年間いったりきたりしていたころの事を思い出した。

  そこには五山の送り火で有名な"妙法"の山がいつもあった。妙法は、正確に言うと松
ケ崎の地番である。松ヶ崎は、「松に覆われた山の出崎」の意である。高野川沿いの"法
 "の一帯は、まさにその景色を今に残しているが、低山のため、前萩町の交差点からよく
 みえない。が、宝ケ池へのアプローチ、狐坂をみおろす"妙"への愛着は強い。この山腹
 には、多くの墓石が並び、夕方から恐ろしくなる場所と感じていたのだが、一昨年、狐
 坂の急坂ヘアピンカーブを回避する為に高架道路がつき、その様相が一変した。小学校
 二年の時、当時の米国の国務長官ラスクが来京し、できたばかりのKICH国際会議場
 へ向う時であっただろうか? 全校児童が北山通り沿いに立って、日の丸と星条旗を手
 に持たされたことをよく覚えている。うちの小学校の本部は確かセントルイスにあった
 からなのだろうか。当時の大統領ジョンソンが、ベトナムに本格介入しだしたころだっ
 た。これだけは鮮明に覚えているのだが、私と私の友人のフジタ君は日の丸をふりなが
 ら大声で「Go home ラスク!」と叫んでいた。妙の字が青空に映えて美しかっ
 た。妙法とは、名前のとおり、南無妙法蓮華経。そう日蓮宗である。松ヶ崎は法華村で
 あった。北山通りの松ヶ崎周辺はかつて戦場であった。『山槐記』によると、このあた
 りは、七箇霊所の一つに数えられていた。要は街道筋にあたっていた事もあり、『太平
 記』に足利軍と新田義貞の軍勢が、松ヶ崎にて合戦した事が出てくる。又、日像上人の
 教化によって徳治二年(1307)村落すべてが法華宗に改宗した。「松ヶ崎題目踊」
 も妙法の送り火もこの時始まったといわれている。山門との戦いはくり返され、有名な
 天文法華の乱ではげしい戦闘があり、『鹿苑日録』に「松ヶ崎落城」と記されている。

  現在、地下鉄・松ヶ崎駅を出ると、北山通りはのどかな田園風景を見せる。妙法の文
 字は五百年前と変わらぬ姿を見せている。そのふもとが、かつてはげしい戦場であった
 事に思いをはせながら、昭和五年にこの地に出来た京都工芸学校(現在の工芸繊維大学)、
 そう、私にとっても三十二年ぶりの戦場、試験会場へ向うこととする。 
                                    (つづく)

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 やまとのくには言の葉のくに
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                   第十四首             田口稔恵

  久方の月の桂も秋は猶もみぢすればや照りまさるらむ
  壬生忠岑(『古今和歌集』巻四 秋歌上)

 (月に生えるという桂の木も、やはり紅葉するので、月の光が一層輝きを増すのだろう
 か。)

  日本では、月で兎が餅をつくように、中国には、月に桂の木が生えているという伝承
 がある。『初学記』の虞喜安天論に「俗伝。月中仙人桂樹」と見える。桂の木は、金木
 犀など諸説あるが不明。同じく中国で、スーパーエリートとしての登竜門であった科挙
 の試験に合格することを「桂の枝を折る」と表現しており、特別な格を備えた木である
 と認識されていたのだろう。月にも生えているということになった。

  月が明るさを増すのは、月の桂が紅葉して照り映えているからだという、技巧的な詠
 みぶりである。作者の壬生忠岑は、三十六歌仙の一人で、『古今和歌集』の撰者。子の
 忠見は、史上最大規模の「天徳内裏歌合」において、番(つが)えられた平兼盛との対
 決に敗れ、傷心のあまり世を去ったと伝えられる。下級貴族だった忠見は、並々ならぬ
 決意で歌合に臨んでいたからだ。父・忠岑が生きたのは、藤原氏でなくとも、歌の才が
 あれば世間から一目置かれていた人々の息吹が感じられた時代の最後かもしれない。

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 京の伝統行事 〜祭に出かけてみませんか?〜
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 ○梨木神社・萩まつり

  およそ500株の萩がこぼれるように咲き誇る梨木神社。紅白の萩の花を青竹に、虫
 かごには鈴虫を入れて神前に奉納されます。来訪者の短冊が吊るされた萩の花を愛でな
 がら、抹茶席や煎茶をいただくことができます。また、舞踊や狂言、琴の演奏など奉納
 行事もおこなわれます。(雨天決行)

  日時:9月22日(土)〜24日(月)
  場所:梨木神社(上京区寺町通広小路上ル染殿町)

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          ◆[嵯峨野学藝倶楽部]9月開講講座のお知らせ ◆
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          詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/から

  ★「京都歴史講座」
    日程:9月16日(日)
    時間:午前11時〜12時30分(90分)
    参加費:1回1,000円
    ▽詳細は、コチラから。
    

  ★「茶道教室(土曜日コース)」
    日程:9月22日(土)
    時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。
    http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/doyoubi/doyoubi.html

  ★「茶道教室(水曜日コース)」
    日程:9月26日(水)
    時間:午後1時〜5時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    <ご要望に応じて、午前中や夜などの時間帯も検討いたします>
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。
    http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/suiyoubi/suiyoubi.html

  ★「茶道教室(土曜日コース)」
    日程:9月29日(土)
    時間:午後1時〜5時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    <ご要望に応じて、午前中や夜などの時間帯も検討いたします>
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。
    http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/suiyoubi/suiyoubi.html    

         お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  9月25日(金)は、旧暦8月15日。この日は、中秋の名月ですね。中国から伝わ
 った風習で、中国では「中秋節」と呼ばれています。日本では、この日と9月13日の
 両日にお月見をする風習があります。

   [次回は、10月1日(月)に配信予定です! 次回もお楽しみに(^▽°)]
        ☆治☆
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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