嵯峨野文化通信 第38号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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             〔嵯峨野文化通信〕 第38号
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        日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

   伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
         ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

        京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
              毎月1日・15日(月2回)

                       ★VOL:38(2007/9/1)

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  ○【連】からのお知らせ——————————–「まんじゅうにごじゅう展」
  ○(連載)『正史 爺婆鏡(ジジババカガミ)』———-第四章 〜説三話〜
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』————————第二十幕
  ○やまとのくには言の葉のくに————————–第十三首
○京の伝統行事—————————————-首途八幡宮

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 【連】からのお知らせ
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  8月31日(金)から、日菓の「まんじゅうにごじゅう展」というイベントが開催中
 です。「日菓」とは、和菓子をさまざまな角度から捉え、新しい試みに取り組んでいる
 若い女性二人組です。

  昨年は「ようかんふたひねり展」を開催されましたが、今回は、まんじゅうの魅力に
 焦点を当てた「まんじゅうにごじゅう展」。この機会に、まんじゅうの魅力に触れてみ
 ませんか?

 [日程]8月31日(金)〜9月2日(日)
 [時間]午前11時〜19時(1日・2日は、午後17時まで)
 [場所]Trade Mark Kyoto(京都市中京区鮹薬師通り新町西入る)
 [入場料]500円(お茶とお茶菓子付き)

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                (連載)『正史 爺婆鏡(ジジババカガミ)』第三章
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                    説三話             太田 達

  ”おじゃみ”祖母は魚のことをそう読んでいた。『御湯殿上日記』に出てきそうな女
 房言葉であろうか。調べようと思いつつそのままになっている。昭和三十年代、我家の
 食卓は魚ばかりであった。何かあった時は、”すきやき”となるのだが、家長であるじ
 いさんがまず肉を食べてからしか、私たちは手を付ける事が出来ないという、最後の家
 長制度の時代であった。どうも私たち昭和三十年前後に生まれた人たちは、何につけて
 も損な人生を過ごしてきたという共通の認識をもっている。年長者を尊ぶという道徳心
 にしばられている。学生時代のクラブ活動を例にとると、中学も高校も一年生の時イジ
 メとも思える先輩たちのしごきに耐えつつ、ただひたすら上級生になるのを楽しみがん
 ばったわけであるが、いざそうなると、後には誰もいなかった、となるのである。いさ
 さか愚痴をはさんでしまった。

  「このごろの若いもの」という言葉は、古記録の中にも多々ある。いつの時代もとい
 うことか。祖母納子の、彼女の兄に対する見解も同様である。彼は子爵の跡とりの身で
 ありながら、相当、無茶苦茶な新しもの好きであたらしい。何度も聞かされたエピソー
 ドで、琵琶湖へ遊びに行って、何かにぶつかり、そのままT型フォードを浜大津あたり
 に捨ててきたらしい。浮世離れした祖母納子からみてもこの兄の行動は公序良俗から相
 当かけ離れたものであったようだ。彼女は云わなかったが、兄・員種(かずたね)のは
 じめてのドライブには女性の臭いがするし、その放蕩ぶりは半端ではない。この若き当
 主の資質からか、昭和の恐慌の十五銀行の倒産に萩原家は巻き込まれてゆく。納子の子
 供は四人いる。彼らは、特に私の母は公家というものにまったく興味がなく、よく「華
 族、華族、貧乏家族、六人家族」と口にしていたことを思い出す。

  この恐慌により、萩原家は、吉田にあった長屋門のある四千坪の屋敷を失い、八瀬の
 別業へ隠遁する運命をたどる。
                                    (つづく)

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                          (連載)『ニッポン城郭物語』
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            第二十幕 〜第2次世界大戦と城の話(2)〜
                                   梅原 和久

  前回の続き。第2次世界大戦末期の空襲によって失われた文化遺産は沢山ある(※1)
 中で、もしどれか一つだけ救い出せるとしたら、私は名古屋城を選びたい。それほどま
 でにこの城が失われたのは痛恨の極みだ。何しろ、日本の建築史の中でも、木造建築技
 術のレベルが頂点に達した時期の、しかも幕府が総力を挙げて造った城である。規模・
 格式共に最高峰と言えるこの城は、昭和20年(1945)の5月14日の朝まで、天
 守・小天守はじめ本丸御殿、櫓、門のほとんどが残存していた。もしこの空襲を逃れて
 いたら、日本一の名城という名誉は姫路城よりむしろこちらになっていたかもしれない
 し、世界遺産への登録も確実であったろう。

  戦局が悪化し、日本が空襲に晒されるようになった当初、爆撃の目標となったのは主
 に軍需工場であった。しかし、日本では特に悪名高いカーチス・ルメイ少将によって立
 案された焦土化作戦が実行されることになり、日本は大都市から順に無差別爆撃を受け
 始めた。そして5月14日、名古屋は過去最大の空襲に遭うことになる。

  その頃、日本各地では空襲に備え、美術品等の疎開が始まっていた。名古屋城も例外
 ではなく、取り外しがきく板戸などに描かれた本丸御殿の障壁画1,049面が、現在
 の豊田市の寺に運び出されていた。次に避難が考えられたのは、名古屋城のシンボルで
 ある金鯱である。金鯱を屋根の上から下に降ろして土に埋める、という大がかりな作戦
 であった。鯱を降ろすために天守の窓を開け、急造の足場を組み、北側の鯱を降ろしか
 けていたまさにその時、空襲が始まったのである。

  目撃者によると、焼夷弾は「まるで手裏剣のようにザーッと落ちてきた」そうだ。燃
 え上がる黒煙で、朝8時過ぎにも関わらず、周囲はまるで夜のように暗くなったという。
 名古屋城内の建物から火の手が上がり始める。天守が燃え始めたきっかけは、皮肉にも
 金鯱を救うために作られた足場だった。この足場に焼夷弾が引っかかり、更に、開けら
 れていた窓から炎が内部に吹き込んだのである。岩田一朗氏による記録。(※2)
 
  「黒々とした真っ黒な空に、真っ赤な炎が、何十メートルと続いて、天に立ち昇る姿
 は、彼の戦国時代の落城の姿そのもので、三百余年の歴史を秘めた日本の名城が、いま
 空の魔物に吸い上げられるように、天高く炎が舞い上がってゆく。火炎は次第に天守閣
 全体を包み、巨大な真っ赤な火の玉のようになった。その赤い火の玉の中から緑色の炎
 が、魔物のようにメラメラと立ち上がり、銅瓦の緑青の焼ける炎である。空はまだ真っ
 黒な煙で一ぱいである。その中に天守閣の焼け落ちる姿だけが、くっきりと浮かび上が
 っている。映画のセットではない。これはほんものの城、ほんものの火炎である。」

  別の証言。「燃える時ですが、屋根は銅ですから、紫色の炎を出して燃えました。鯱
 の金はカレー粉のような物として残っていました。天守閣の柱は中へ向けて崩れるよう
 になっていましたが、西北の方へ崩れました、燃え尽きるまで3時間くらいかかったと
 思います。燃え跡に残った炭は200俵余りもありました。」(名古屋城副監視長の原
 田尊信氏)

  この日の空襲により、当時国宝指定されていた31の建造物のうち、実に27が炎上
 焼失した。その後、天守は昭和34年(1959)に再建され、復元された金鯱ととも
 に名古屋のシンボルとなった。「カレー粉」のようになった金鯱の残骸は、進駐軍に貴
 金属として接収されたが、昭和42年(1967)、6.6キロの金塊として名古屋市
 に返還され、ミニサイズの金鯱と金の茶釜が作られた。そして、現在、このとき焼失し
 た本丸御殿の復元計画が平成22年(2010)を目標に進められている。幸運にも残
 された障壁画と共に、再びその優美な姿を見ることができる日も近い。(※3)
 
 (※1)戦災で焼失した旧国宝の一覧。
  http://www10.ocn.ne.jp/~kuushuu/kokuhou.html

 (※2)名古屋城叢書10『特別史蹟・名古屋城いまむかし』(1995)より。この
  エピソードを語った岩田一郎氏自身による写真がこちら。言葉もない。
  http://blogs.yahoo.co.jp/area19192003/46161922.html

 (※3)復元イメージのページ。
  http://www.nagoyajo.naka.nagoya.jp/goten/restorimage.html

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 やまとのくには言の葉のくに
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                   第十三首             田口稔恵

  秋きぬと目にはさやかに見えねども風のをとにぞおどろかれぬる
            (藤原敏行 『古今和歌集』巻四 秋歌上)
 (秋が来た、と目にははっきりとは見えないけれども、風の音ではっと気づいたことだよ)

  詞書に「秋立つ日、よめる」とあり、立秋の日を詠んだ歌であることがわかる。『古今
 和歌集』の配列の決まりに従って、秋の巻頭に置かれた。「をどろく」という語には、本
 来「はっと目を覚ます、気がつく」という意味がある。漢語の「驚」にあたり、唐代の詩
 人・孟浩然の「王昌齢の嶺南に之くを送る」の「洞庭湖去遠近 楓葉早驚秋」などの表現
 を下敷きにしていることがうかがえよう。平安の知識人たちは、現代の我々が想像するよ
 りはるかにタイムラグの少ない状態で、中国から最新の書物を輸入し、そこから得た知識
 を貴族の嗜みとして、身につけていたのである。

  猛暑といわれたこの夏の終わりにさえ、ふと忍び寄る秋の気配は風とともにやってくる。
 鼻腔に入った風が急に涼しくなったり、濃い色の服を纏いたくなったり、山の翠の種類が、
 先週とは明らかに違っていることに気づいたり・・・どれほど科学技術が発達しても、ふ
 とした昨日との違いを五感で感じ取る「日本人のDNA」は、我々の中に未だ脈々と受け
 継がれているようである。

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 京の伝統行事 〜祭に出かけてみませんか?〜
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 ○首途八幡宮例祭

  大内裏の北東に位置するため王城鎮護の神とされ、もとの名を「内野八幡宮」といい
 ます。宇佐八幡宮を勧請したのが始まりと伝えられ、誉田別尊(応神天皇)・比賣大神・
 息長帯姫命(神宮皇后)をまつられています。かつて、この地に金売吉次の屋敷があっ
 たと伝えられ、源義経が奥州平泉に赴くに際し、道中の安全を祈願して出立したといわ
 れています。「首途(かどで)」とは、「出発」の意味で、以来この由緒により「首途
 八幡宮」と呼ばれるようになりました。この故事により、特に旅立ち、旅行の安全の信
 仰を集めています。14日は宵宮、15日に本祭で神幸祭・環幸祭が行われます。

 [日程]9月14日(金)〜15日(土)
 [場所]首途八幡宮(上京区智恵光院通今出川上ル桜井町102−1)
 [URL]http://www.nishijin.net/kadodehachimangu/

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         ◆[嵯峨野学藝倶楽部]9月開講講座のお知らせ ◆
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          詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/から

  ★「今様・白拍子教室」
    日程:9月1日(土)
    時間:午後1時〜2時(60分)
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。
    http://www.ren-produce.com/sagano/imayou/

  ★「茶道教室(土曜日コース)」
    日程:9月8日(土)
    時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。
    http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/doyoubi/doyoubi.html

  ★「茶道教室(水曜日コース)」
    日程:8月12日(水)
    時間:午後1時〜5時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。
    http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/suiyoubi/suiyoubi.html

       お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com
         (※いずれの講座も、事前にお申込みください!)

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  まだまだ暑い日が続いてますが、今日から9月! と書いていて自分でもビックリ
 してますが、辺りを見回してみれば、秋の気配が漂ってるんですよね。秋の七草の女郎
 花(おみなえし)だったり、吾亦紅(われもこう)を見かけると、もう秋なんだなぁ〜
 と実感してしまいます。皆さんは、どんな時に秋の気配を感じますか?

  お知らせで紹介した、日菓さんの「まんじゅうにごじゅう展」。私も行ってきました!
 思わずクスっと笑みがこぼれてしまう楽しいイベントでしたO(^▽^)O ラスト1日
 ですが、お時間のある方は、ぜひ行ってみてくださいね。

   [次回は、9月15日(土)に配信予定です! 次回もお楽しみに(^▽°)]
         ☆治☆
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。