嵯峨野文化通信 第23号

 ☆★☆————伝統文化プロデュース【連】メールマガジン—————-
       〔嵯峨野文化通信〕 第23号 2007年1月15日
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  伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
  ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

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  ○●○ もくじ ○●○

   1.【連】からのお知らせ
   2.京都をめぐる歳時記 〜大寒の章〜
   3.(連載)『新・都鄙の連関』 第12話
   4.(連載)『京都文化警察』 第12章
   5.メンバー紹介

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 §――1.【連】からのお知らせ―――――――――――――――――――――§

  [嵯峨野学藝倶楽部]の「京都歴史講座」の開講時間を変更しました。日曜日の
 午前(11時から12時)になりました。講座の後、午後から実際に、その土地に
 行ってみるのもオススメです! また、ご要望にお応えして座机もご用意いたしま
 した。1回のみの参加もできますので、どうぞ、お気軽にお越しください。

  [講師]中村武生氏
  [開講日]1月21日(日)
  [開講時間]午前11時〜12時(60分)
  [タイトル]「寺町・その後―苦闘の400年(豊臣秀吉の京都・その8)」
  [参加費]1回1,000円

 ★お申込みはコチラから
メール:sagano@ren-produce.com

 §――2.京都をめぐる歳時記 〜 大寒の章〜 ―――――――――――――§

  太陽の黄道上の位置によって1年を24分割し、15日ごとに季節区分名を設け
 たものを「二十四節季」と言います。1月20日〜2月3日は、二十四節季の1つ
 「大寒(だいかん)です。

  「大寒」は<寒の内>の真ん中で、最も寒い時季をあらわします。『暦便覧』で
 は、「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と説明しています。武道では、
 この頃、「寒稽古」や「寒垢離(かんこり)」が行われます。これは、寒さの厳し
 い時季にあえて苦しい稽古をしたり、冷水を被る修行をすることによって心身の鍛
 錬をします。また「寒中に汲んだ水は腐らない」や「寒餅は長もちする」と言われ、
 凍り豆腐、寒天、酒、味噌など寒気を利用した食物が仕込まれる時季でもあります。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜「大寒」の時季を楽しむために〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ○節分(2月2日・3日・4日)

  節分は節(せち)分かれと言い、自然の姿が変わることを大切な節目であり、立
 春・立夏・立秋・立冬の前日をさします。立春の節分は冬から春への変わり目であ
 り、外から邪気悪霊が入ってくるのを防ぐため、庭からくる鬼に大豆を投げつけて
 追い払う「鬼やらい」「豆打ち・豆撒き」が各地で行われます。

  なかでも、花街のうち、祇園甲部・宮川町・先斗町・祇園東は八坂神社で、上七
 軒は北野天満宮において、それぞれに奉納舞と豆まきが行われます。そして、夕方
 からは、さまざまな装いに扮した舞妓さん・芸妓さんたちがお座敷をまわります。
 これを「お化け」と言って、芸妓さんたちが趣向をこらしてグループで「仮装」を
 楽しみます。また、本来舞は井上流だけが認められていますが、節分の日ばかりは
 異なり、他流の踊りも許され、芸妓さんたちは思い切り「男装」したりして、羽目
 をはずします。たとえば、「お染め・久松」「松の廊下」「水戸黄門」など。今で
 は、お客さんもこれに加わり、思い思いの仮装をするようになりました。

 ☆★☆節分の慣わし☆★☆

  炒った豆を、数え年の分だけ食べますね。京都では、豆まきした豆を今年の満年
 齢分数えて半紙に包みます。そして「頭がいたくなりませんように、風邪をひきま
 せんように…」といいながら、自分の頭や身体の他の部分をこすっていきます。こ
 すり終わったら今年の恵方(北北西)を向いて、そのおひねりを頭越しに後ろへぽ
 いっと投げたら厄落としの終了です。最後に全員のおひねりを集めて、近くの神社
 に納めに行きます。

  また、この日に塩鰯を焼き、家中、臭い匂いと煙で一杯にして鬼を追い払います。
 そして、鰯の頭を柊の小枝に吊るし、戸口にぶら下げて魔よけにしましょう。さす
 がに、今では家の中を煙で払うことはなくなりました。

 [場所]壬生寺・吉田神社・千本釈迦堂など
    (祇園甲部・宮川町・先斗町・祇園東・・・八坂神社)
    (上七軒・・・北野天満宮)

 §――3.(連載)『新・都鄙の連関』 第12話――――――――――――――§

             ―五島篇2―    太田 達

  3年前、弘法大師空海の足跡を調べるため福江に渡った。ご存知のように、空海
 は遣唐船に乗り渡唐し、密教の奥義を持ち帰った。この時、空海は他にもいろいろ
 なものを日本に伝えた事になっている。渡唐の折、空海の乗る第三船は難破し、目
 的地の余姚(よよう)より、はるか南に漂着した。その時、彼の天賦の才が生かさ
 れ、同舟の仲間を長安へと導く事が出来た。その時より、名は高まり、スーパース
 ターへの階段をのぼり始める。ゆえに、ありとあらゆるものがスーパースター空海
 を縁起とするようになったと考えてもよいだろう。その内のひとつであるが、煎餅
 の製法を京都嵯峨小倉の里の住人、和泉守大掾和三郎なるものに伝えたとされてい
 る。この真偽のほどが、福江に隠されているのではないかとの調査の旅であった。
 福江には、明星院という空海ゆかりの寺があった。名前からして土佐における空海
 の明星伝説とつながるものがある。

  煎餅の由来についてであるが、この空海の煎餅は亀甲煎餅と伝えられており、そ
 の材料は小麦粉である。五島及び肥後には、牛ふんを肥料とする小麦の増産方法に
 空海が関与したという言い伝えがあった。京都小倉の里の煎餅も、小麦粉を材料と
 する。そのあたりとの関わりを、みつけることができた。新羅との関係悪化ののち、
 遣唐使のルートは朝鮮半島にそってではなく福江島みみらくの湾で風待をし、一気
 に東シナ海を渡り切るというとても危険な手段をとった。まさに、みみらくの港は
 生死の境。今の私たちにとって五島のみみらくと京都は、それほど関係がないよう
 であるが、新しい文化を移入する、当時の若い学生たちの命がけの心が、千キロ近
 い距離を結びつけたのかもしれない。『蜻蛉日記』の作者が、彼女の母を五島に求
 めたのもそのゆえであろうか。『蜻蛉日記』に、なぜ現代の京都の人たちによって、
 あまり馴染みのない五島列島が記述されているのか。その理由がわかったような気
 がした。
                                    (了)

 §――4.(連載)『京都文化警察』 第12章―――――――――――――――§

  ※今回は、メルマガ読者の方から投稿いただいた原稿を掲載させていただきます。
 目撃情報、ありがとうございました!
                                  岡 秀一

  東大路通りから東に延びる清水坂と五条坂が交差する地点から、北へと上がる急
 な石段のある坂道を産寧坂といいます。産寧坂は大同3年(808)に完成したため、
 三年坂、また、もと清水坂楼門南にあった泰産寺(子安塔)の参道であったことから、
 産寧坂とも書きます。同じように二年坂は、大同2年(807)に完成し、高台寺へ
 と伸びています。

  清水の産寧坂・二年坂。京料理屋さんや、小物のお土産屋さんなどのお店が続い
 ているので、いつも観光客でいっぱいです。京都一番の観光地といえるかもしれな
 い場所ですが、電柱が立ち並び電線は蜘蛛の巣状態です。(平成18年12月現在)

  岐阜県の高山などの小京都といわれる地方都市のほうが、無電中化の努力をして、
 観光客を「おもてなし」している様に思えます。行政の観光への努力も、地方のほ
 うが高い状態ですね。京都は努力しないでも観光客が来てくれるので、地元の商店
 も行政に声を挙げる事をしないで済ましているのでしょう。こんな事では、いずれ
 奈良のようになるかもわかりません(※1)。早く電柱を撤去し電線の地中化ない
 し、裏配線を実施するべきでしょう。このままの風景を放置する事は、京都人の感
 性を疑われる事になりそうです。

(※1)奈良県は、地中に埋まっている電線の割合が全国最下位。つまり、全国で一
 番少ないそうです。同県土木部は「明日香村や斑鳩町など、歴史的な遺跡や寺のあ
 る地域を優先しているので、数字に表れないのでは。厳しい財政事情から進めにく
 い面もありますが」とコメントされています。

 ※※※原稿掲載にあたり※※※

  原稿を掲載するにあたり、了承を頂き補足を加えさせていただいております。
 また、投稿いただいた原稿には写真も添付されておりましたが、メルマガには掲載
 することができません。【連】のホームページ(〔嵯峨野文化通信・バックナンバ
 ーのコーナー〕)に、写真付で掲載しておりますので、そちらからご覧ください。

 ●〔嵯峨野文化通信〕のURL
 http://www.ren-produce.com/sagano/merumaga/

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      みなさま、如何でしょうか? ご意見お待ちしております。

     ※京都文化警察では、みなさまからの告発を募集しています!
      ☆目撃情報は、こちらまで。→sagano@ren-produce.com☆

 §――5.メンバー紹介―――――――――――――――――――――――――§

  【連】のメンバーによる、自己紹介のコーナー。
 23人目に登場するのは、河村尚子さんです。

  はじめまして。もうかれこれ何年前になるんでしょうか? 『新・都鄙の連関』
 を書かれている太田さんに「都鄙の連関」と題した連載のご執筆を某雑誌でお願い
 し、その担当をさせて頂いたのは…。そのご縁で【連】の催しにちょくちょく顔を
 出させて頂き、職業柄あれこれ細かいことをほじくり出して、煙たがられてるのか、
 喜ばれてるのかは些か疑問でもありますが、私なりに楽しく関わらせて頂いていま
 す。近頃はなかなか顔を出せず残念ですが、ずっと大切に思っていますので、どう
 ぞ見捨てないで下さいね。

 ○O+編集後記+O○*****************************************************

  お正月の花と言えば、別名「元日草」「朔日草(ついたちそう)」と呼ばれる福
 寿草です。鮮やかな黄金色の花を咲かせてくれる福寿草は、南天の実とセットで飾
 り付けや寄せ植えなどにされているのを見かけますが、それは「難を転じて福とな
 す」という語呂合わせなんだそうです。福寿には(幸福と長寿)の意味があるんで
 すよ。

  ♪ ちなみに、福寿草にはたくさんの別名があります。旧暦のお正月(2月頃)
 に咲き出すことから、新年を祝う花として人々はかかえきれない思いをたくしてい
 たのかもしれませんね。♪

  これからも、【連】では様々なイベントの開催予定や、日本の文化・歳時記など
 について皆さんに、どんどんお伝えしていきます。

    [次の発行は、2月1日(木)の予定です。次回も、お楽しみに!]
                                   (治)
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。