嵯峨野文化通信 第5号

☆————-伝統文化プロデュース【連】メールマガジン————–
     〔嵯峨野文化通信〕 第5号 2006年4月15日
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 伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意
識について、学び広めていくための活動をしている団体です。

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 ■□■ もくじ ■□■

 1.[嵯峨野学藝倶楽部]開講のご報告
 2.今後の【連】の催し
 3.京都をめぐる歳時記 〜穀雨の章〜
 4.(連載)新・都鄙の連関 第2話
 5.(連載)京都文化警察 第2章
 6.メンバー紹介

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◇――1.[嵯峨野学藝倶楽部]のご報告――――――――――――――――◇

 【連】が主催する、伝統文化を楽しく遊びながら学ぶ講座[嵯峨野学藝倶楽
部]が、4月からスタートしました!
 開講したのは「今様・白拍子教室」「茶道教室」「京都歴史講座」の3講座
です。その内容はというと・・・。

 ☆「今様・白拍子教室」☆・・・遠方からも受講生が来て下さり、今様の歴
史や、日本今様謌舞楽会のアルバムを見ながら家元と話したりと、充実した時
間になりました。次回は、新幹線に乗っていらっしゃる方も参加予定です。
嬉しいことですね。

 ☆「茶道教室」☆・・・高校生や大学院生、ン十年前に稽古をしていたとい
う方まで、さまざまな方が集まって下さいました。先生のお人柄で、あたたか
な空気に包まれた教室になりました。
 また、お茶のなぜ? に答える「茶書を読む」時間では、普段お茶に親しん
でいない方にとっても、茶書を読むことによって、ハッとさせられるような心
の時間を得られたのではないでしょうか。

 ☆「京都歴史講座」☆・・・講師は、京都新聞にも連載され、活躍中の佛教
大学・天理大学非常勤講師の中村武生先生をお迎えしています。
 独特の語り口で語られる内容に「おもしろかった」「分かりやすかった」「
こんな先生だったら、歴史が好きになってたかも」という意見をいただきまし
た。

 1回のみの参加もOKというシステムで開講していますので、少しでも興味
を覚えた方、参加してみませんか?

嵯峨野学藝倶楽部のホームページ
 ●http://www.ren-produce.com/club1.html

★嵯峨野学藝倶楽部に関するお問合せ、お申込みはこちらから★
sagano@ren-produce.com

◇――2.今後【連】の催し――――――――――――――――――――――◇

 [嵯峨野学藝倶楽部]では、「今様・白拍子教室」・「茶道教室」・「京都歴
史講座」に続いて、「京菓子学概論」の講座もいよいよスタート!
 その内容についてお知らせします。

 ちょっと難しそうなタイトルをつけてみましたが、“お菓子大好き!”という
方ならきっと楽しんでいただけると思います。「お菓子は大好きだけど、話は・
・・」という方も、季節の生菓子めあてに(笑)ぜひいらしてください。 
 質問のコーナーもありますので、気軽に参加してみてください。

 第1回:4月22日(土)午後1時〜2時30分
  「京菓子と京都」・・・京菓子から京都の歴史と風土を考えます。
 第2回:5月27日(土)午後1時〜2時30分
  「菓子と信仰」・・・・菓子から思想や信仰の世界を探ります。
 第3回:6月10日(土)午後1時〜2時30分
  「京菓子と文芸」・・・「銘」の文化を紹介します。

 講 師:太田 達氏(「老松」主人/京都女子大学、立命館大学非常勤講師)

 参加費:5,000円(3回) 茶菓子付(実習はありません)
     1回参加の場合は、2,000円になります。

 定 員:各回30名(先着順)

嵯峨野学藝倶楽部のホームページ
 ●http://www.ren-produce.com/club1.html

★嵯峨野学藝倶楽部に関するお問合せ、お申込みはこちらから★
sagano@ren-produce.com

◇――3.京都をめぐる歳時記 〜穀雨の章〜 ――――――――――――◇

 4月20日〜5月5日は、太陰暦を使用していた時代に、季節を現すための
工夫として考え出された二十四節季のひとつ「穀雨(こくう)」です。

 穀物の上に降る春雨のことを「穀雨」といいます。この頃は、春雨が降る日
が多くなり、昨秋に蒔いた麦などが成長し、田畑を潤して穀物(稲・そば)な
どの種子の成長を助けるので、種まきの好機となります。

 『暦便覧』には、「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記されています。
二十四節季の成立した時代には、稲よりも、麦類の生産のほうに重点がおかれ
ていました。そして、「穀雨」の意味あいも、今日とは少し違っていたと思わ
れます。

 暦の上では、「穀雨」で春は終りになります。次からは「夏」になるわけで
すが、日本ではだいぶ季節がずれますね。なぜ季節がずれるのかというと、二
十四節季は、もともと中国の黄河流域で生まれた季節の呼び名だからだそうで
す。
 つまり、日本とは少し季節がずれたところで生まれた暦なのです。

 また、「穀雨」の終り頃にあたる八十八夜では、茶葉の新芽をつみ取る「茶
摘み」が行われます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜「穀雨」の時季を楽しむために 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

             ☆嵯峨大念仏狂言☆

 京都の三大念仏狂言といえば「壬生狂言」「閣魔堂狂言」「嵯峨狂言」です。
嵯峨狂言の始まりは、円覚上人(えんがくしょうにん)が生別した母に巡り会
いたい一心に始めた無言劇といわれています。

期 間:4月15日(土)〜16日(日)
場 所: 清凉寺(右京区嵯峨釈迦堂)

●清涼寺のホームページ
http://jodo.or.jp/footprint/07/index.html

◇――4.(連載)『新・都鄙の連関』 第2話――――――――――――◇

         ―遠山郷・上村(1)―     太田 達

 「霜月祭」と聞いて何をイメージされるだろうか?
 大学の文化祭、七五三をひっかけた商店街の古典的な売り出し、パチンコ屋
の開店・・・。何となく、「霜月」と聞いて「大感謝祭」と続けてしまいそう
なフレーズが、ついそんなイメージを重ねてしまうのだろうか。

 私がこの祭のことを初めて耳にしたのは、15年ほど前のことであった。そ
の時、この祭があの折口信夫をも虜にした湯立神楽の古い形態を奇跡のように
残したものであるものとは思いもしなかったのは、その呼称のためだったかも
しれない。

 ところで、数年前、奥三河を訪ねた折、20箇所ほど「花祭」という名の祭
今にが伝わっていることを知った。村の伝承館でその概要を知った時、私は衝
撃を受けた。
 「これは何?」である。

 天龍水系の三河・信濃・遠江の山深い境、山また山また山の、まさに別天地。
花祭もまた、折口信夫たちによって再発見されたが、紹介された頃から、「花
狂ひ」という、この祭に取り憑かれた人々が熱心に毎年三信越のこの地域を訪
れたそうである。研究という名目でありながら、それは二の次となり、その不
思議な世界にはまっていった。

 4月8日の「花祭」と錯覚するかのようなこの祭が、実は花山院に因む「花
山祭」の略であり、祭式は両部神道によるもので、神仏習合の祭であり、明治
初年に禁止されたものなのである。が、これほどの山奥である。土地の人々の
信仰心の強さもあってか、法の手も届かず、ここに、まさに奇跡的に残ったの
である。

 三信越の花祭と同じエリアに位置している南信州遠山郷上村の霜月祭も、花
祭と同様、大いに期待できそうである。興味がわく。

 ”天に近く、星に近く、人が自然に愛される場所、天空の里、上村”
 ”天上へ、天上へと昇りつめ、神の恵みを受け続ける里、下栗”
 ”天与の地に人は在る。上村は神村”

 これらは、上村のパンフレットに載る村のキャッチコピーである。「日本の
チロル」とも呼ばれているこの村。南アルプスを水平に望むことのできる急傾
斜地に、人々の暮らしがある。

 次回、その、上村・下栗の里に伝わる霜月祭を紹介しよう。
                               (つづく)

◇――5.『京都文化警察』 第2章―――――――――――――――――◇

 「食育」という言葉がよく目につく。
 この4月、京都に新しく私立小学校が2校開校した。その給食が話題になっ
ていることをご存知の方も多いかと思う。給食の同立戦ともいうべき、その内
容は、それぞれ、学校給食の調理を、宝ヶ池と大津の両プリンスホテルに委託
したということである。特に目くじらを立てるわけではないが、やっぱり変。
変である。

 そのうえ、50年の歴史を誇る有名私立小学校では、吉兆やたん熊の料理を、
それぞれ1日だけではあるが、体験学習として食べられるそうである。
 一言いいたい。
 「自分で稼いだ金で食べろ」
 それが教育ではないのか。

 一昔前の話かもしれないが、いや、二昔前になるのだろうか。給食といえば、
不味いものと相場が決まっていた。不味い給食を居残って食べたイヤな思い出
のある方もいるだろう。それが、自分のお金で外食するようになった時の驚き。
その味。嬉しさ。初めて食べる鮨のネタ,フランス料理,スイーツ・・・。そ
こには、食のレベルアップとでもいおうか、自分の中の「食の歴史」がある。

 給食といえば、調理をしてくださる「給食のおばさん」の思い出も捨てがた
い。
 白衣を着たちょっと小肥りのおばさんが顔を火照らせながら、あかぎれした
手でスープを、ごはんを、食器を、さしだしてくれる。「パン、まだ残ってる
?」とお替わりを要求する男の子もいて、6年間の温かな思い出の一角を担っ
ている。

 そもそも、学校給食が毎日お誕生日のようなごちそうのイメージを抱かせる
がごとき現象が起きるのは、日本人の食卓に「ハレ」と「ケ」の区別がなくな
ってきたことの反映であろうか。

 それでも・・・。
 小学生の頃からスプーンやフォークを使ったマナーを習う必要が本当にある
のだろうか?
 ホテルの食事を毎日食べさせる必要があるのだろうか?

 そもそも、「食」の「育」とは何か? 美味しい食べ物を食べさせること?
マナーを教えること?
 究極、それは、「食」の歴史を知り、「食」を自分で選択する力を身につけ
ることではないだろうか?

 世の中なんでも生き残り。商い優先、利益追求志向がどんどん強くなってい
る。
 「食育」という名の下に、実はその実態は、ブランド志向の母親のニーズへ
の対応というのが、本当のところではないだろうか。

 今いちど、「孟母三遷」の故事を思い出すべきであろう。
                            (京雀+京城雀)

◇――6.メンバー紹介―――――――――――――――――――――――◇

 【連】のメンバーによる、自己紹介のコーナー。
5人目に登場するのは、sakiさんです。

 私は、伝統文化のことをこれから学ぼうとしているひよっこです。
インターネットで茶道のことを検索したら、【連】のページに辿り着き、【連】
を知るきっかけとなりました。
 私は「日本の文化は生活の中からなくなりつつある」と前々から不安に思っ
ていたので、【連】に入らせていただきました。

 日本が生活の中に文化を取り入れていた時代に戻ることができるとよいなと
思いながら、【連】を通じて、伝統文化に触れています。

○O+編集後記+O○**************************************************

 【連】の日本文化を知る講座、[嵯峨野学藝倶楽部]が、いよいよ4月から
スタートしました!

 知っているつもりでも、意外と知らない日本の文化。楽しみながら学べる[
嵯峨野学藝倶楽部]に参加してみませんか?

 これからも、日本の文化に関する身近な話題や、京都の歳時記などについて、
皆さんにどんどんお知らせしていきます。

  [次の発行は、5月1日(月)の予定です。次回も、お楽しみに!]
                                 (治)

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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