伝統文化プロデュース【連】メールマガジン  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)___________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄) [嵯峨野文化通信] 第176号
(___________________*°。・゜。。・゜。
伝統文化プロデュース【連】は
日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です
嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します
毎月1日・15日(月2回)
■VOL:176(2013/6/1)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■□■もくじ■□■
■【連】からのお知らせ ——-教養サロン「帯を知る/帯を楽しむ」のご案内
弘道館文化講座のお知らせ
中田智之氏の講座のご案内
■(連載)リレー連載 『Bouvier at Kodo-kan』———–第十回
■(連載)『ニッポン城郭物語』———– ————— 第八十四幕
■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————— 第八十回
■[嵯峨野学藝倶楽部]6月開講講座のお知らせ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
□■【連】からのお知らせ■□
■教養サロン「帯を知る/帯を楽しむ」のご案内
4回目を迎えるこちらの教養サロン。西陣の老舗帯屋さん約10軒による、夏ら
しい「水」をテーマにした帯が弘道館の広間に並びます。
13時からの座談会では、帯をつくる工程や普段聞けない裏話、質問などを聞く
こともできます!今後の日本の織物について考える機会でもあります。
今回のテーマにちなんで、「水」のお菓子もご用意いたします。
ぜひお誘いあわせのうえ起こしください。
日 時:6月9日(日)
時 間:11時〜16時(展示は随時ご覧いただけます)
※13時よりトークイベントがございます。
場 所:有斐斎弘道館
参加費:2,000円(主菓子、薄茶付き)
※要予約
お問い合わせ、お申込はコチラ
TEL :075-441-6662
MAIL:kouza@kodo-kan.com
■弘道館文化講座のご案内
京文化教養講座1「天皇からみる京都」
日 時:6月15日(土)
テーマ:「後陽成天皇」
時 間:11時〜12時30分(90分)
場 所:有斐斎 弘道館
講 師:太田 達(京都女子大学非常勤講師)
参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)
京文化教養講座2「茶の湯の文化を識る」
日 時:6月20日(木)
テーマ:「井伊直弼」
時 間:13時〜14時30分(90分)
場 所:有斐斎 弘道館
講 師:太田 達(京都女子大学非常勤講師)
参加費:2,000円(生菓子、抹茶付)
「英語で伝統文化 〜茶道編〜」
日 時:6月20日(木)
テーマ:お問い合わせください。
時 間:18時30分〜20時(90分)
場 所:有斐斎 弘道館
講 師:田中 朝子(翻訳通訳者、嵯峨野三壷庵)
参加費:3,000円(生菓子、抹茶付)
お問い合わせ、お申込はコチラ
TEL :075-441-6662
MAIL:kouza@kodo-kan.com
■中田智之氏の講座のご案内
先日、弘道館の月釜にて席主をつとめていただいた楽々荘主人、中田智之氏の特
別講座が決定しました!弘道館で中田氏のお話が聞ける貴重な機会です。
ぜひご参加ください!
「映画における利休論」
茶聖・利休は日本映画のなかでどのようにとりあげられてきたのでしょうか。
千利休が登場する映画・映像をいくつかとりあげ、ご一緒に見ながら語らいませ
んか。新たな利休論をご一緒に拓きましょう。
日 時:9月19日(木)
時 間:14時〜17時
場 所:有斐斎 弘道館
講 師:中田 智之(楽々荘 主人)
参加費:2,000円(呈茶付)
「中田智之の茶の湯の楽しみ」
現代の数寄者・中田智之氏による、本格的な茶事講座です。
茶事の趣向はどのように組み立てるのかについて、数々の茶事をされてきた中田
氏に、実際の道具組をお持ちいただき、解説をしていただく実践的な講座です。
また、近代数寄者の茶とはどんなものだったかを、会記等をひもときながら、ご一
緒に考えていきましょう。
趣向をこらした道具の数々を実際に拝見させていただきながら、濃茶薄茶をお楽
しみいただく、たいへん贅沢な講座です。最終回には、重要文化財・楽々荘にて、
本格的な茶事を楽しみます。
日 時:10月10日(木) 14時〜17時 於:有斐斎弘道館
12月12日(木) 14時〜17時 於:有斐斎弘道館
2月 6日(木) 12時席入 正午茶事 於:田中源太郎翁旧邸
楽々荘(亀岡市)
講 師:中田 智之(楽々荘 主人)
定 員:10名程度
参加費:10万円(3回分/茶事代金を含む)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
伝統文化プロデュース【連】では、メンバーが伝統文化に対しそれぞれの想いを
持って活動を行っています。そこで、毎回ひとりずつ、メンバーにその想いを語っ
てもらうべく連載を企画いたしました。皆の本音や理想、どんな話が飛び出すこと
でしょう?
第十回は、先日京都で開催された国際写真フェスティバル「KYOTOGRAPHIE」
で弘道館の空間プロデュースを担当してくださった、プロダクトデザイン、アート
ディレクションと幅広く活躍されているスイスのデザイナー、フランツ オリバー
さんです!
『Bouvier at Kodo-kan』
Oliver Franz
私は今回の京都グラフィーで、弘道館という特別な場所でニコラ・ブーヴィエ展
の空間デザインをするという機会をいただきました。
弘道館は、まるで時が止まったかと思うような空間の中で伝統と文化を伝え続け
ている場所です。
私は日本の職人の技術や、木材や和紙、竹、絹のような素材に興味を持ったこと
がきっかけで日本に来ました。
日本に来て2、3年は家電のデザイナーとして働きながら、日本のビジネスや伝
統文化にについて学びました。その後フリーのデザイナーになり、今回のKYOTO
GRAPHIEでは、西洋と東洋の職人としての知識、また、日本文化、伝統的な建築、
デザイン、写真のすべての要素を融合させ、これまでに得た知識を最大限に生かす
ことができました。それと同時に、造詣の深い方々との出会いもありました。
京都グラフィーの準備は、スケジュール的にもタイトであり、自分にとって大切
な仕事であるという自負と、また、個人的自我からも、実に張り詰めたものでした。
しかし、打ち合わせや、作品の設置準備等のため弘道館にやってきて路地を通り、
暖簾をくぐると、それら全てのストレスが一瞬にして和らぎました。建物、庭のバ
ランスと、その美しさに癒され、残りのプレッシャーが軽減され、集中することが
できました。
今回の展示では、ブーヴィエの写真の味、弘道館の建築、その空間、庭とディス
プレイをいかに生かせるか、そのバランスを考えて行いました。
日本の伝統工芸は、素晴らしいディテールを備えており、それはブーヴィエの賞
賛するところでもありました。なので、私もそのレベルに見合うディテールでこの
展示の空間デザインを行いたかったのです。
使用したディスプレイはこの展示のために製作したものでしたが、仕上げの段階
で、ずっと昔からあるような趣があり古く見えるように加工を施し、空間の邪魔と
ならないようにしました。
今、ブーヴィエ展は終わりましたが、弘道館の壁のからブーヴィエの魂を感じ、
弘道館の精神と共に人々の心に響き続け、この展示が弘道館の歴史の一つとして残
ってくれればいいなと思っています。
I had the opportunity to make the exhibition design for the Nic
olas Bouvier exhibitn for Kyotographie in this special location,
the Kodokan – a place where time feels
froze but tradition and culture leave on.
It was a very special and intense experience since I could use
and merge the kno
wledge I gained in the field of furniture craftsmanship, Japane
se culture, including traditional architecture, design and phot
ography from the East and the West. And of course meeting inter
esting personalities.
This was quite a millstone as for what I initially come to Japa
n – Working with craftsmen, touching/using nice materials like
wood; washi; bamboo; silk…
The preparation of the festival was extremely tense because of
the tight schedule we had too keep and the responsibility layin
g in this kind of work – and personal ego. However, when going
to the Kodokan, to take measurement, have meetings, settings,
etc., … as upon approaching the Kodokan walking on the long
narrow path the tension was dropping with each step.
Upon passing under the noren, the beauty and balance of the gar
den and the building erases what was left of the pressure allow
ing to concentrate and focus on the moment.
I tried to create an atmosphere that would balance well the ess
ence of the pictures, the way they are displayed with the arch
tecture and the surrounding garden. I also had treated with att
ention the details with as much care as I saw them treated in
Japanese craftsmanship – knowing that N. Bouvier would have app
reciated them highly too.
Even though all displays have been created for this exhibition,
I treated the stands and displays in a way (wabi-sabi) so that
they appear have been there already for a long time – as for no
t disturbing the space.
The exhibition is over now, but as much as it is possible to fe
el the vibrance of history in the walls of the Kodokan, I hope
that a little part of Bouvier's exhibition will also remains.
「KYOTOGRAPHIE」HP
http://kyotographie.jp/
フランツ オリバーさんのデザインアトリエ「silent」HP
http://www.atelier-silent.com/
■『ニッポン城郭物語』■
-第八十四幕-
梅原 和久
明治初期、京都府庁だった頃の二条城にあった望火櫓。今回は、この望火櫓の使
われ方と、その終焉について見てみよう。
明治9年(1876)5月に定められた「消防規則章程」にこんな記載がある。
「府庁望火櫓ハ火ノ起ルヲ望ムトキハ早鐘ヲ撞出スベシ
但御所並府庁勧業場及ヒ泉涌寺般舟院近傍ナルトキハ両鐘ヲ撞ク」
火事を発見した場合は半鐘を打ち鳴らす、ということだが、2行目が興味深い。
重点地域とそれ以外とでは、対応を明確に分けているのだ。御所と府庁(二条城)は
言うに及ばず、河原町二条にあった勧業場は府の最重要施設、そして東山の泉涌寺
と西陣の般舟院は、菊の紋章使用が認められていた皇室の香華院(菩提寺)である。
これらの近くで発生した火事の場合だけは、非常事態だということで、警鐘楼の
左右に吊された撞木を使って、両側からゴンゴン突くことになっていた。
江戸時代からそうなのだが、基本的に、お上による火消しは民間の火事には対応
しなかった。唯一出動するのが、御所や二条城、その周辺の所司代や奉行所付近で
発生した火事のみ。その構図は明治になっても変わっていない。江戸の昔から、京
の町を火事から守ったのは、町衆による町火消であった。
しかし、高い建物がないからとはいえ、二条城からこれらの火事が見えると想定
されていたということ自体が驚きである。現在では、直線距離が1キロ程度である
御所でさえ全く見えない。
実際のところ、この望火櫓がどの程度役に立ったのかは分からない。第八十一幕
で示したように、この頃には各小学校ごとに望火櫓が建設されており、それぞれが
地域の防火活動の一翼を担っていたからである。ただ、望火櫓自体は、府庁が二条
城から移転する明治18年(1885)まで存在したことは確かである。
府庁が二条城から現在の地に移転したのは明治18年6月。その翌月の京都府行
政文書の中に、望火櫓に関する最後の記述がある。
「望火櫓壱棟並避雷針 附属品 代金拾円五十銭」
離宮となった二条城にとって、役所機能である望火櫓は無用の長物、むしろ景観
を損なうものであった。附属品と共にわずか10円50銭で売り払われ、その姿を
消すことになったのである。
(※)望火櫓に関する情報を集めてみた。文中に出てくる警鐘楼は、望火櫓が取り払
われた後も、京都府庁と共に移築されたようだ。現在地に移った後の記録写真に
その姿が残されている。
http://umeshiro.web.fc2.com/boukarou.html
■ 『北野の芸能と茶屋』■
八十回
井上 年和
元文二年(1737)
『洛陽勝覽』その6
「金山天王寺 此内に豆腐茶屋有。釣者出会宿也。呼者もあり。一座銀壱両、雑
用外にかヽる。
是は御所方の御すへ女郎を北野へ御参詣の御帰を、この茶屋にて御なくさめ申事也
。」
金山天王寺は現在の上七軒通東端の北側(現在のクリーニングピープルや春山医
院あたり)に位置したようで、用明天皇(586)の御宇に、聖徳太子によって大阪・
四天王寺、三重県伊勢の天王寺、東京谷中の天王寺と共に全国四ヶ所に建立された
天王寺の一つである。
安永九年(1780)の『都名所図絵』では、「金山天王寺ハ北野社東の門通にあり
天台宗にして本尊如意輪観音ハ聖徳太子の作なり。洛陽観音巡の其一ヶ所。開基は
聖徳太子にて則自作の像を安置する。太子堂の額ハ釈迦如来轉毫光所上宮太子浄跡
中心と書して小松院の宸翰なり」と紹介されており、現在廬山寺にある霊場本尊如
意輪観音は元金山天王寺の本尊である。また、金山天王寺の南側には紅梅殿が建っ
ており『都名所図絵』にも「紅梅殿は天王寺の前にあり、祭る所菅神の愛し給ふ飛
梅の霊神なり。」とある。
さて、この金山天王寺の境内には豆腐茶屋があって、「釣者出会宿」であったと
いう。また、一座は銀一両と、内野、下之森、上七軒と比べてべらぼうに高い。ま
た、「雑用」が別にかかるという。明らかに他の茶屋と営業内容が違うようだ。御
所に住む貴族達が北野社への参詣の帰りに立ち寄ったのであろうか。
永禄五年(1562)から慶長二年(1597)まで35年間日本で生活したルイス・フロイ
スの『日欧文化比較』には、「日本では比丘尼の僧院はほとんど淫売婦の街になっ
ている」と記されている。金山天王寺は比丘尼の僧院ではないと思うが、中近世に
は寺の境内で公然と春が売られていたようで、中之森の願成就寺もそうであったよ
うに、北野社近辺でも例外ではなかったのである。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
□■[嵯峨野学藝倶楽部] 6月開講講座のお知らせ■□
詳しくは、 http://www.ren-produce.com/sagano/club/ をご覧ください。
■「茶道教室(水曜日コース)」
日程:6月5、19日(水)
場所:嵯峨野三壷庵
時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「茶道教室(土曜日コース)」
日時:6月1、8、22日(土)
場所:嵯峨野三壷庵
時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「今様・白拍子教室」
日程:6月15、29日(土)
場所:嵯峨野三壷庵
時間:15日 13時〜14時
29日 14時〜15時
講師:石原 さつき
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
■「うたことば研究会」
ただいま休講中です。
再開日が決定次第お知らせいたします。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■□■ひとこと■□■
ついに梅雨入りしました。
祇園祭には雨がふり、祭が終わると梅雨が明けて、夏がくる。
梅雨は嫌ですが、そんな恒例の流れが毎年楽しみです。
[次回は、6月15日(土)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄