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〔嵯峨野文化通信〕 臨時号 2010年4月20日
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日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?
伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。
♪♪♪〔嵯峨野文化通信〕臨時号をお届けします♪♪♪
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┃も┃┃く┃┃じ┃
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○訂正のお詫びと全文掲載——-『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』
○【連】からのお知らせ——– 犬飼千賀子きもの展のお知らせ
稲荷祭と梁塵秘抄稲荷十首
楽しいお茶会、「重五茶会」のご案内
『楊貴妃の晩餐』発売記念展覧会
「太田達のお茶を愉しむ展」が開催されます!
脇山さとみ展「楽しい茶会」
波紋音(はもん)コンサートへの誘い
談山神社、つづみの奉納
京都本おもしろ講座のご案内
○祝・100号記念座談会
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○訂正のお詫びと全文掲載
編集側のミスで校了前の原稿で発行されてしまいました。
原稿を書いてくださった荻田さんには大変ご迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上
げます。
以下に訂正しました原稿を掲載いたしました。
今後は、このようなことがないように編集者一同、しっかりと見直していく所存ですの
で、今後とも「嵯峨野文化通信」をよろしくお願いいたします。
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『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』
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第二回
荻田みどり
『源氏物語』は食記述が少ない。だが、現代の無理なダイエットや拒食症のように、食
べること自体を避けたわけでも、美味しい食べ物がなかったわけでもないだろう。空蝉巻
でも、
いと白うをかしげにつぶつぶと肥えて、そぞろかなる人の、頭つき額つきものあざや
かに、まみ、口つきいと愛敬づき、はなやかなる容貌(かたち)なり。
のように「肥え」ていることをプラスイメージとして用いている。源氏物語絵巻の描く引
目鉤鼻の登場人物たちも卵形のふっくらと肥えた顔つきで、豊満な女性が美しいとされて
いたことが伺える。食べないのに肥えるということはないだろう。
この大絶賛されている「肥え」た人物は、空蝉の義理の娘である軒端荻(のきばのおぎ)
である。源氏は、一度契った空蝉のことが忘れられず、再び空蝉のいる邸を訪れる。そこ
で碁を打つ空蝉と軒端荻を垣間見る。一方の空蝉はといえば、
何にかあらむ上に着て、頭つき細やかに小さき人のものげなき姿ぞしたる、顔などは、
さし向ひたらむ人などにもわざと見ゆまじうもてなしたり。手つき痩せ痩せにて、い
たうひき隠しためり。
地味な格好で、手つきが「痩せ痩せ」なので、しきりに袖を引っ張って隠しているらし
い。痩せていることはマイナスだと捉えている。
しかし、源氏は痩せている女性に惹かれる。空蝉の器量の悪さをあげつらうが、手も顔
も全てを見せない隙のなさ、慎み深さに惹かれるのである。
源氏は他にも病の紫の上や藤壺など「痩せている〈けれど〉美しい」というような、逆
接で痩せた女性を賛美する。花散里も末摘花も痩せている。当時の常識とは変わった感性
の持ち主だったようだ。
さて、垣間見後、源氏は空蝉の寝所に忍び込むが、空蝉は源氏の気配を察知して逃げる。
そして、源氏は誤って軒端荻と契る。
「荻」はいつの時代も間違われやすいのか。かくいう筆者は「上風」の方である。
秋はなほ夕まぐれこそただならね荻(おぎ)の上風萩(はぎ)の下露
(藤原義孝 『義孝集』所収)
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【連】からのお知らせ
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○犬飼千賀子きもの展のお知らせ
5月1日から5日まで、御所西の弘道館において友禅作家・犬飼千賀子さんの作品のき
もの展が開催されます!【連】の活動に協力いただいている犬飼さんは山形県鶴岡のご出
身ですが、友禅技術はさることながら、そのデザイン性において高く評価されています。
ゴールデンウイークの一日、季節を写す着物の世界を、ゆったりと感じてみてはいかが
でしょう?
日程:5月1日(土)〜5日(水)
時間:10時〜17時
場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入)
費用:入場無料
詳しくはコチラ
http://kodo-kan.com/event.html
○稲荷祭と梁塵秘抄稲荷十首
平安時代の芸能「今様」の背景を知る現地見学ツアーの第2回目は伏見稲荷神社へ参りま
す。講師は【連】メンバーで嵯峨野学藝倶楽部の講師である太田達と田口稔恵がつとめ、5
月3日から5月4日にかけて行われる稲荷祭の“葵桂奉懸の儀”を見学いたします。
また、今様稲荷十首をはじめ、稲荷信仰について一緒に考える予定です。
ぜひ、ご一緒しませんか?
ご参加お待ちしております!
日程:5月3日(月・祝)
時間:8時(京阪稲荷駅集合)
費用:1,500円(護持会会員は500円です。)
主催:日本今様謌舞楽会護持会
※4月26日までにお申し込み下さい。
お申し込みはコチラまで
日本今様謌舞楽会護持会
メール:imayou@ren-produce.com
FAX:075‐864‐9700
○楽しいお茶会、「重五茶会」のご案内
先月4月4日に、【連】メンバーである太田達が行った「雛祭り茶会ー高遊外的流儀に
てー」は、弘道館の場所にちなみ、高遊外をテーマとして行ったお茶会でした。
今回はその「雛祭り茶会」に引き続き、端午の節句の日に「重五の茶ー速水宗達的ー」
が行われます!
場所は弘道館です。この場所は、江戸時代後期の儒学者である皆川淇園(みながわきえ
ん)が創立した学問所である弘道館があった場所の一部であり、今は入り口に皆川淇園学
問所址の石標が立っています。
弘道館を現代に再興することを目指す【連】の活動の一環として行われるお茶会に、皆
さんも足を運んでみませんか?
「重五の茶ー速水宗達的ー」
日程:5月5日(水)
時間:未定
場所:弘道館(上京区上長者町通新町東入)
費用:未定(建物保存のため、ご協力いただいております)
※事前申込みは不要です。
詳しくはコチラ
URL:http://blog.oimatu.shop-pro.jp/
○『楊貴妃の晩餐』発売記念展覧会
【連】の本拠地である三壷庵の扁額を書いてくださった作家 夢枕獏さんの戯曲を元に、
叶松谷さんが器を作り、そこに天野嘉孝さんが絵を塗り込み、活字と陶芸と絵画で構成さ
れた『楊貴妃の晩餐』が、4月26日に角川グループパブリッシングから発売されます。
この本の発売にちなみ、5月12日から18日まで、京都高島屋で展覧会が開催されます。
ぜひお足お運びください!
本についてはコチラから。
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=200911000101
○「太田達のお茶を愉しむ展」が開催されます!
現在発売中の『婦人画報』5月号に【連】スタッフである太田達の特集が掲載されてい
ますが、これにちなみ、東京・銀座の松屋百貨店にて、「現代の数寄者 太田達さんによ
る お茶を愉しむ展」が開催されます。
「お茶はもっと楽しいもの!」と語る太田さんの遊び心あふれる世界を楽しんでいただ
けるよう、太田さんセレクトの茶碗や茶にまつわる品々が並びます。
『婦人画報』5月号も合わせてご覧いただき、太田さんの世界を感じてみませんか?
日程:5月19日(水)〜25日(火)
場所:東京・松屋百貨店(東京都中央区銀座3-6-1)
○脇山さとみ展「楽しい茶会」
有職菓子御調進所「老松」嵐山店でも使用されている脇山さとみさんの器作品を、弘道
館にてゆったりとお楽しみいただける茶会が開催されます!
「老松」さんの若手の菓子作家の方々による、気軽な茶会をほぼ連日の日程で開催しま
す。作品をとても身近に感じることができる展覧会です!
また、脇山さんのギャラリートークも予定されていますので、この貴重な機会に、ぜひ
足をお運びください!
日程:5月20日(木)〜30日(日)
時間:12時〜18時まで(金・土曜日は19時まで)
場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入)
費用:500円(予定)
※ご希望の方は、館内にて「老松」の和菓子・抹茶をいただけます。(別途料金がかか
ります。)
※茶会の日程に関しては、弘道館のHPにて案内がUPされる予定です。
弘道館のHPはコチラ
http://kodo-kan.com/event.html
○波紋音(はもん)コンサートへの誘い
「脇山さとみ展」開催中の5月23日に、弘道館にて永田砂知子さんによる「波紋音コ
ンサート」が行われます!
「波紋音」とは、打楽器奏者である永田さんが奏でる、鉄でできた創作楽器です。
一体、どのような音色の楽器なのでしょうか・・・?
気品あふれる「波紋音」の音色を聞きに、ぜひ弘道館にお越しください!
日程:5月23日(日)
時間:19時頃(予定)
場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入)
費用:2000円
主催:弘道館
※時間などの詳細は決まり次第、弘道館のHPに掲載されます。
弘道館HPはコチラ
http://kodo-kan.com/event.html
○談山神社、小鼓の奉納
前号に引き続き、小鼓の奉納のご案内です!
平安遷都1300年を記念し、小鼓の里である奈良県・談山神社にて「つづみの里ー多
武峰(とおのみね)に響く四流のしらべー」が開催されます。
大倉流小鼓宗家の大倉源次郎さんはじめ小鼓4流の方々が奉納をされるという、またと
ない機会となります。また、豪華顔ぶれによる座談会も行われます。
【連】が実質的にスタートしたきっかけでもある記念すべきイベント「華麗なる小鼓筒
蒔絵の世界ー生田コレクション展ー」でとりあげた「生田コレクション」の所蔵者で小鼓
研究家の生田秀昭さんも登場します。展覧会後の小鼓のゆくえなど、貴重な話が伺えるか
もしれません。
ぜひお出かけください!
「つづみの里ー多武峰に響く四流のしらべー」
日程:5月4日(火)
時間:10時 現地集合
場所:多武峰・談山神社(奈良県桜井市)
費用:5,200円(入山料・昼食代・座談会聴講料込)
※現地集合・解散です。
詳しくはコチラから
http://www.nohkyogen.jp/10/tanzan10/index.html
お申し込み・お問い合せはコチラまで
【株式会社 セクターエイティエイト】
電話:06ー6353ー8988
○京都本おもしろ講座のご案内
前号でもお知らせしましたように、京都商工会議所主催の「京都本おもしろ講座」が4
月21日からスタートします。京都本といえば、近年のブームのように思われがちですが、
実は江戸時代から大はやり!しかも京都以外の人より京都人のほうが買って読むという状
況も、現在と変わらなかったようです。そんな「京都本」の現在を深く知る講座がはじま
ります。
学割もありますので、編集や京都のブランド力などに興味のある学生さんは、どんどん
ご参加下さい!
詳しくは以下よりご覧ください。
URL:http://www.kyo.or.jp/jinzai/2010/04/1_10.html
お申し込み・お問合せはコチラまで
【京都商工会議所 人材開発センター】
e-mail:jinzai@kyo.or.jp
FAX: 075ー222ー2612
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祝・100号記念座談会
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■座談会第二回■
「【連】の本拠地、『三壷庵』の始まり」
前回の100号記念号では、【連】成立当初のお話をお聞きしました。
第二回となる今回は、嵯峨野学藝倶楽部の開催地である「三壷庵」の名前の由来や「嵯
峨野学藝倶楽部」を始めたきっかけを語っていただきます!!
ー【連】の活動は主に嵯峨野の「三壷庵」で行っていますが、この名前には何か由来があ
るのでしょうか?
(濱崎 *以下濱)「三壷庵」には、最初名前の候補が二つあったんですよね。古典にお
詳しい田口さんに考えていただいたのですが・・・
(田口 *以下田)はい。でも、三壷庵の名前ではなくて、庵にかける扁額の字を夢枕獏
さん書いていただくことになり、「何と書いていただこうか」ということで、案をお
出ししたのが最初でした。
(太田 *以下太)今三壷庵にある扁額、夢枕獏さんの直書きの字やで。
ーそうだったんですか!?
(濱)そうなんです。陰陽師のムック本を作ったのがきっかけで、ご縁がありました。私
が京都で伝統文化にかかわる活動をするというので、応援をしてくださっていて。そ
のころ、夢枕さんが書の展覧会をされたことがあり、その字を見て依頼しました。京
の都ができる以前の秦氏の地にあって、京文化を考える上で、彼に書いていただくの
はぴったりだなあと。
ただ、未だに落款を押してもらってないんですよね(笑) こないだ来はったとき
も、「忘れたわ〜」って。
(田)式神(※1)飛ばして取りに行ってやる! って感じですね。
(濱)怖いです田口さん(笑)まあ、それで扁額の文字に二つ候補をだしていただいて。
(田)一つは私が提案したものです。「三壷の雲を浮かぶ」という一節が『和漢朗詠集』
にありまして、私はそちらが嵯峨野学藝倶楽部の理念を表しているかな、と思ったの
です。
もう一つご提案していましたのは、「花中植善根(花中に善根を植う)」という一
節で、こちらが【連】の理念に沿っていてぴったりじゃないかと太田さんが仰って。
色んな人が活動する、その根っこの部分を自分達が植えるんだ、良いことをしたから
聖なる蓮の花は生まれてきたんだ、というような意味ですね。この「花」は、泥の中
に咲く蓮の花を指しています。
(濱)それで、太田さんが賛成された方が採用されたのでしたね。
(田)それで、「花中植善根」のほうを扁額に書いていただいたのですが、落選した方を
「あの、建物の名前を「三壷庵」にするのってどうでしょうか」と提案しました。(笑)
落選した出来の悪い子でしたが、こちらの方が名前をよく呼んでもらえたので、結
局は果報者だったという・・。
(濱)「花中に善根を植う」は「蓮」のことをあらわしていますが、【連】に草かんむり
つけたら「蓮」で、さんずいをつけたら「漣」になるって言ってくださいましたね。
(田)【連】という響きも綺麗ですし、「漣」もどんどん輪が広がっていくイメージ。連
なるっていうのはすごく良い言葉やなあって思いました。
(梅原 *以下梅)何年も経った今でも、良い言葉やと思うわ。理念がよくあらわれてい
る。
(太)話は戻るけど、「三壷庵」が出来て学藝倶楽部が始まるまで、【連】として継続し
た活動はなかったんよね。それで、何かしようということになって、「桜を愛した大
宮人」(※2)という、桜の思想を菓子で表現する展覧会をやって。展示台として、
ガラスを買ったり、枕木を買ったり。あの頃、ホームセンターの行き来ばっかりして
た気がする。(笑)
それから「三壷庵」ができて、学藝倶楽部をやることになって。上質なもの、見て
ておもしろいもの、そして楽しいものをやろう、ということで、始まった。
(濱))「学藝倶楽部」という名称は太田さんのこだわりですが、なかでも「藝」は絶対
旧字って言われたんでしたね。(笑)
ーなるほど。では「三壷庵」と学藝倶楽部は連動していたのですね。メルマガもこの頃始
まったのですか?
(太)メルマガ、僕わからんねん。しくみが理解出来ないから。
ー太田さんはパソコン関係が不得意でしたね。(笑)
(田)学藝倶楽部は私が園部に赴任してすぐくらいの時だと思います。(※3)通勤の電
車の中から、三壷庵が見えるかな、と思ったことを覚えてます。学藝倶楽部は200
5年あたりだと思うので、メルマガはその後ですね。
(梅)まあ、100号ってことは4年くらいしか経ってないわけやけど。メルマガは、京
都での【連】の活動に参加していただけない人にも我々の理念を広げるために作った
んやけど、それ以上に太田さんの書いたものを残したい、というのもあったよねぇ。
(濱)そうそう。いつもなぜか原稿が残ってないので、ためていきたいという思いもあり
ました。
(梅)で、三壷庵での学藝倶楽部は、継続してできる【連】の事業として始めた。それま
では単発のイベントばかりやったので。
(太)でもお金がないから、身内で講師をせなあかんわけ。僕が大学で教えたりしてたか
ら、僕と、田口さんで和歌の講義したりね。あと今、歴史講座してくれてはる中村さ
んを梅原さんが連れてきてくれたりして。
(濱)そんな風にして多くの方と連なり、学藝倶楽部が4年も続いています。多くの方々
に楽しんでいただいているのは素晴らしいことですね!
※1「式神」は、式神は、陰陽師が使う鬼神で、夢枕獏さんの小説『陰陽師』にも登場
します。
※2「桜を愛した大宮人」の展覧会についてはコチラ
http://www.ren-produce.com/atelier/event/200504_sakura/index.html
※3 田口さんは現在、高校教諭をされています。この頃、新しく園部にある学校に赴任
されました。
〔嵯峨野文化通信〕100号を記念して始まった座談会。座談会の全貌については、今
後メルマガ臨時号にて順次掲載していきます。
次回は、「伝統文化プロデュース」という言葉についてのお話を中心にお聞きします!
♪次回もお楽しみに♪
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♪♪次回メルマガ102号は、5月1日(日)に配信予定です!♪♪
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