伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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〔嵯峨野文化通信〕 第90号
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日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?
伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。
京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)
★VOL:90(2009/11/1)
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○【連】からのお知らせ ————– 嵐山もみじ祭
明倫茶会のご案内
【連】太田達協力の記事が掲載!
「丹後物狂」が新聞に掲載されています!
『Conde Nast Traveler』に掲載されました
○(連載)『餅と饅頭-和漢の境まぎらわす事-』—— 第六回
○(連載)『ニッポン城郭物語』———————- 第四十五幕
○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———— 第五十五首
○[嵯峨野学藝倶楽部]11月開講講座のお知らせ
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【連】からのお知らせ
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○嵐山もみじ祭
【連】が主宰する「今様・白拍子教室」の講師石原さつき先生が代表を務める「日本今
様謌舞楽会(いまよううたぶがくかい)」が、「嵐山もみじ祭」に参加します。
渡月橋上流の大堰川に船が浮かべられ、その船を舞台に、さまざまな芸能が嵐山蔵王権
現に奉納されます。秋の嵐山を、華やかな船が行き交う様は、まるで平安時代の舟遊びの
ようであり、京都らしい雅な風情が楽しめます。
今様歌と白拍子舞も奉納されますので、ぜひお越し下さい!
「嵐山もみじ祭」
日程:11月8日(日)
時間:午前の部 10時30分~
午後の部 13時~
場所:嵐山渡月橋上流
○明倫茶会のご案内
さまざまな分野で活躍される方々が席主を務められる「明倫茶会」。今回の席主は東京
大学大学院総合文化研究科教授の小林康夫氏で、「茶をめぐる京都<幼年時代>」をテー
マに開催されます。小林氏の茶の仲間として、千家十職の大西清右衛門氏、桂窯の檜垣青
子氏、そして【連】の太田達が登場し、茶をめぐる京都の人々の幼年時代を振り返る趣向
です。プロデュースとして【連】の濱崎が協力します。
ぜひ、ご参加下さい!!
「茶をめぐる京都<幼年時代>」
日時:11月28日(土) 20:00~
場所:京都芸術センター
料金:1,000円
申込方法:往復はがきに、催し名・住所・氏名・電話番号を明記の上、京都芸術センターに
郵送下さい。
※京都芸術センター
(〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)
申込締切:11月13日(金)〔消印有効〕
詳しくはコチラをご覧下さい。
http://www.kac.or.jp/traditional/chakai200906.html
○【連】太田達協力の記事が掲載!
『婦人画報』12月号(10月31日発売)の「通の美食手帖」に【連】太田達が協力
しています。ぜひご覧下さい!
婦人画報HPはコチラ
http://www.hfm.co.jp/product/fujingaho/magazine/0912
○「丹後物狂」が新聞に掲載されています!
〔嵯峨野文化通信〕第89号でお知らせしました「丹後物狂」の記事がさまざまな新聞
に掲載されています。この第90号の『餅と饅頭-和漢の境まぎらわす事-』第六回でも、
その内容に触れられていますので、ぜひ、併せてご覧下さい!
京都新聞(2009年10月24日)
http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2009102400129&genre=J1&area=K00
読売新聞(2009年10月25日)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20091025-OYO1T00558.htm
○『Conde Nast Traveler』に掲載されました
さまざまな旅行情報が掲載される米国雑誌『Conde Nast Traveler』10月号において、
【連】代表の濱崎加奈子がコーディネイトを担当した記事が掲載されました!
去年京都を訪れ、日本文化を体験したShoda Narayanさんが、その経験にご自身の考察を
加えて執筆されています。
Narayanさんが濱崎と舞妓さん、置屋のお母さんに行ったインタビューの様子や、実際に
着物を着て京都を歩いた感想、【連】の太田達へのインタビューなど、興味深い内容です!
インターネットからも見ていただくことができますので、ぜひご覧ください!
『Conde Nest Traveler』10月号
「My Life as a Geisha」はコチラからお読みください。
http://www.concierge.com/cntraveler/articles/501593
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(連載)『餅と饅頭-和漢の境まぎらわす事-』
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第六回
太田 達
丹波、丹後を貫通する、由良川の河口(宮津と舞鶴の境となす)は、古代より、明治の
末年まで、人や物が上がり下がりする交易の港として賑わった。小倉山百人一首にも『由
良の門を わたる舟人 梶をたえ 行方を知らぬ 恋の道かな』と読まれた河口の丹後由
良(宮津市)は、森鴎外の『山椒太夫』のモデルになった安寿と厨子王の伝承が残る。
その河口付近、北近畿タンゴ鉄道宮津線の海中を走るとても美しい鉄道橋梁の宮津側に
「山椒太夫」の屋敷跡なるものがあるが、そのあたり一帯、蜜柑畑である。冬になると結
構、雪の深い場所である。そのような場所に温州蜜柑とは、実に驚くべき事なのでは。も
しかすると、蜜柑圃場栽培の北限かもしれない。ちなみに最近では、地球温暖化の影響か、
「早稲種(わせしゅ)」であるが、佐渡島でも栽培されている。
蜜柑は、その名称「温州みかん」の通り、中国浙江省の原産と考えられていたが、近年、
鹿児島県長島(熊本との県境、不知火湾)で、中国から移入された小みかんの変異種の原
木が発見された為、この辺りを原産地とする説が有力視されている。最寒月の平均気温が、
最低でも5℃以上なければ生育できない蜜柑(温州みかん)が、雪のなかで育つ風景を目
の当たりにすれば、此所そのものが「常世國(とこよのくに)」神仙峡であると確信する。
先に述べた海人族の移動ルートからも納得できるであろう。
平成21年10月24日、京都府宮津市の天橋立において『丹後物狂』という能が復曲
され、観世宗家により演じられた。この事は、歴史的なイベントと考えられる。井阿弥の
原作を世阿弥が改作完成させた、天橋立を舞台にした物語である。
世阿弥時代の絶対的な王権の具現者たる足利義満は、至徳3年(1386)に最初の天
橋立への旅行を果たす。その後、「明徳の乱」で有力守護大名山名氏清を誅殺し、丹後国
の守護職を一色氏に任じた後は、明徳4年(1393)5月、愛妾高橋殿を伴い久世戸、
矢穴、小浜という周遊コースを、また、応永2年(1395)には、同じコースを5月と
9月の2回、応永12年(1405)には4月に1回、応永14年(1407)には5月
に1回と、合計6回の橋立ツアーが確認されている。義満にとって、子飼いの一色氏を守
護に据え、6回もこの地を訪れるということは、足利将軍=日本国王義満にとって、特別
な地であることは、間違いのない事実であろう。人によっては、丹後橋立は、「義満の離
宮」であると言いきる。この事を、不老不死の菓子の上陸点という立場から考察を加えて
みたい。
(以下次号)
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(連載)『ニッポン城郭物語』
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─第四十五幕─ ~聚楽第の話 その2~
梅原 和久
前回に引き続き、聚楽第の話。教科書にも必ず登場し、秀吉の栄華を代表する「城」で
あるにも関わらず、いまではその跡地には民家が密集しており、存在を想像することさえ
難しい状況にある。何しろ地上に残る痕跡は、外郭の堀跡と考えられるくぼ地程度なのだ。
天正十四年(1586)、秀吉は、上京の市街地の西のはずれにある内野(うちの)で
普請を始めた。この場所は、かつての平安京大内裏のあったところであり、関白となった
秀吉が自らの権力の正当性を示そうとしたことが伺える。更に、天正十九年(1591)
に甥の秀次が関白になると、自らは伏見に移り、聚楽第を秀次に譲っている。ここは関白
の政庁として位置づけられていたのだ。
しかし、文禄四年(1595)に秀次が謀反の疑いで自害させられると、翌月には破却
されてしまう。『日本西教史』に「一宇も残さず、基礎にいたるまで悉く」とあるように
徹底的な破壊により、数十年後の江戸初期の段階で、すでに跡地もはっきりしなくなって
いた(※)。
初めて聚楽第の痕跡が確認されたのは、なんと平成に入ってから。平成三年(1991)
の、西陣ハローワーク改築に伴う発掘調査がきっかけである。この調査では、深さ8.4
メートル、幅40メートルと推定された東堀だけでなく、金箔瓦が大量に見つかり、国の
重要文化財にも指定された。
聚楽第はこういった最近の研究により、ようやくその推定範囲を地図上に示せるように
なった程度であり、まだまだ謎に満ちている。遺構は必ず地下に埋もれているのだが、京
都市内の真ん中では大規模な調査は望めない。地道な調査の積み上げを期待したい。
(※)聚楽第の建物は、多くが伏見城や、近隣の寺社に移築された。聚楽第からの移築物
と伝えられているものに、西本願寺の飛雲閣や妙覚寺の山門、大徳寺の唐門などがあ
るが、いずれも確実に裏付けられているものはなく、伝承の域を出ていない。
また、聚楽第跡の土は良質の土壁の材料とされた。これを使った土壁は「聚楽壁」
と呼ばれ、主に茶室の壁等として珍重されている。
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(連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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第五十五首
田口 稔恵
傷みても なほも ほほゑむ 芽なれば いとど かわゆし
こころよ こころよ しづまれ しのびて しのびて しのべよ
(田中恭吉 「よるの芽」 短詠三十二)
田中恭吉の名前を知っているとすれば、よほど絵画に精通している人か、萩原朔太郎の
熱烈なファンであろう。わずか23歳で夭折した画家の名を世に知らしめたのは、萩原朔
太郎の第一詩集『月に吠える』である。
1914年、詩と版画の雑誌『月映』が創刊される。静かで洗練された表現世界を明確
に打ち出した『月映』誌上の恭吉の作品を目にした朔太郎が、恭吉の親友を介して『月に
吠える』の挿絵を依頼した。
朔太郎は、自らの求めている心境を、恭吉の作品との出会いにより、一層凝視できた旨
を述べている。詩と画一体となって近代人の心の陰影を表現したこの作品は、高村光太郎
や北原白秋からも絶賛された。
紀州藩の江戸詰藩士の息子として生まれた恭吉は、11歳で母を、15歳で長兄を亡く
している。多感で繊細な少年だった彼もまた、東京美術学校の生徒であった22歳の時に
結核に冒された。
当時の社会背景として、文学と芸術は分かちがたく一つの潮流を共有しており、恭吉は
画とともに多くの韻文や日記も遺している。その双方に、死の宣告に絶望し、もがき、そ
して静謐の境地へと立つに至る、痛ましいまでの魂の彷徨が表出している。
「よるの芽」は、恭吉が亡くなる1915年に書かれた。
「しづまれ」「しのびて しのびて しのべよ 」
静かに、そして激しく繰り返される生命の温もりへの愛着と、死への恐れ。自己への言
い聞かせ。
暗く寂しく、激しい、不思議と澄んだその画境と同じく、心に嵐を飼いながら、誠実な
までにそれを抑制しようとする一近代青年の複雑な陰影に彩られた絶叫が聞こえる。
萩原朔太郎の、田中恭吉を偲ぶ名文は、以下のHPにて読むことができる。
http://www.bekkoame.ne.jp/~poetlabo/AOSORA/tsukini/tanaka.html
なお、愛知県立美術館HPにて、画像検索も可能である。
http://search-art.aac.pref.aichi.jp/p/seisaku.php?AI=ART19970883
(参考文献 田中恭吉展 図録 和歌山県立近代美術館発行)
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◆[嵯峨野学藝倶楽部] 11月開講講座のお知らせ ◆
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詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。
★「茶道教室(水曜日コース)」
日程:11月4日、18日(いずれも、水)
時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
★「茶道教室(土曜日コース)」
日程:11月7日、14日、28日(いずれも、土)
時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています
★「今様・白拍子教室」
日程:11月7日、28日(いずれも、土)
時間:13時~14時(60分)
講師:石原 さつき
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
★「京文化を語ろう」
日程:11月14日(土)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:太田 達
テーマ:「宗教から京都を考える~臨済宗~」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
★「京都歴史講座」
日程:11月22日(日)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:中村 武生
テーマ:「意外と多い商人・学者の邸宅跡の碑」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
★「うたことば研究会」
日程:11月28日(土)
時間:10時~11時(60分)
監修:田口 稔恵
※資料代等が必要です。詳細はお問合せ下さい。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com
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私の住む亀岡は、朝から亀岡名物の深い霧に包まれ、じんわりと滲むような朝が
素敵な時節となりました。
しかし反面、五里霧中とは字の通り、ほんの数メートル先が真っ白という朝もあ
り、それがまるで自分の将来を表しているようで……。なんともやるせない気持ち
になる事もしばしば。(笑)
(きしもと)
[次回は、11月15日(月)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
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