伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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〔嵯峨野文化通信〕 第86号
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日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?
伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。
京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)
★VOL:86(2009/9/1)
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○【連】からのお知らせ —————————– アートと京菓子の出会い
連載執筆者募集!
○(連載)『餅と饅頭-和漢の境まぎらわす事-』—— 第二回
○(連載)『ニッポン城郭物語』———————- 第四十三幕
○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———— 第五十一首
○【連】活動報告 ———————————– 花街シンポジウム
○[嵯峨野学藝倶楽部]9月開講講座のお知らせ
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【連】からのお知らせ
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○アートと京菓子の出会い
【連】の活動に協力いただいている、有職菓子御調進所「老松」が、近代アート作品を、
伝統的な京菓子で表現する、新たな試みです。
展示をご覧になっていたいた後、別室にて薄茶を一服さしあげます。主菓子もご用意し
てお待ちしております。
場所は、御所西にある江戸中期の儒者・皆川淇園(みながわきえん)の邸宅址です。
江戸中期にさまざまな分野の学者や芸術家が集ったサロンに思いを馳せつつ、現代にお
ける伝統とアートの出会いをお楽しみ下さい。
日程:9月19日(土)~22日(火)
時間:10時~16時
場所:老松アートギャラリー弘道館
(上京区上長者町通新町東入)
アクセス:地下鉄「今出川」下車、徒歩8分
費用:1,000円(薄茶付き)
お問合せ:電話 075-463-3050
メール office@oimatu.co.jp
*本企画は、先日、好評のうちに終了した、先日京都国立近代美術館で開催した池田満寿
夫の菓子展(主催=プラスリラックス、協力=京都国立近代美術館・老松 他、プロデュ
ース=伝統文化プロデュース連)を発展的に展開するものです。
○連載執筆者募集!
[嵯峨野文化通信]では、伝統文化に関する連載を執筆してくださる方を募集していま
す。ご意見等の投稿も歓迎です。伝統文化について、語りあいましょう!
詳しくは、以下までお問合せ下さい。
お問合せは、コチラまで→info@ren-produce.com
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(連載)『餅と饅頭-和漢の境まぎらわす事-』
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第2回 菓子のはじまり
太田 達
「菓子」という字の、草かんむりをとると、「果子」=「くだもの」となる。現在、料
理の最後にでてくる「くだもの」(いちご、ぶどう、メロン、スイカ、みかんなどが多い)
のことを「水菓子」というが、食後の甘味として、季節感を食卓にのせるものでもある。
この水菓子の、コース料理の時間列における位置は、茶事における主菓子と同じ順番に供
される。つまり、茶事が基本となって料理の配列が決められたということで
あり、菓子の登場するところに「くだもの」が位置せられている、ということである。
「水菓子」という言葉は、江戸時代の中頃より、江戸において使われはじめたようで、
天保年間(1830~44)操業のフルーツパーラー・千疋屋の看板は、「水菓子安うり
処」であった。「くだもの」、英語でいえば「フルーツ」であるが、これは、「今を楽し
む」というラテン語が語源である。
本邦では、古代、これを「非時香果(ときじくのかくのこのみ)」といった。芳香を放
つ「くだもの」は、仙人の菓子である「仙菓」として珍重された。甘味と、今でいうとこ
ろのビタミンCをたっぷりと含んだ「くだもの」は、不老不死の妙薬と考えられたのであ
る。
十一代垂仁帝(倭の五王の一人、近鉄奈良線西大寺駅の西方、唐招提寺の隣に巨大な前
方後円墳がその権力の象徴として現代に残る)の時代のことである。権力を持つと、人間
はその望むところ一つであり、垂仁帝は不老不死の仙菓を求めた。配下の田道間守(たじ
まもり)に命じ、神仙の妙薬を求めさせたのである。田道間守は西方を訪ね、妙薬を持ち
帰ったわけであるが、時すでに遅く、垂仁帝はみまかっていた。その墓前に田道間守が捧
げたものが、日本原産の柑橘類の一つ、「橘」であった。本邦においては、これを、菓子
のはじまりとし、田道間守を菓祖神とした。それゆえ、「橘は菓子の長上」という。
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(連載)『ニッポン城郭物語
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─第四十三幕─ ~「名城」の話~
梅原 和久
どうやら、昨今の城ブームというのは本当らしい。例えば、若い女性を中心に戦国武将
マニアが増えている(「歴女」というらしい)ことは、ワイドショーなどにも取り上げら
れているくらいなので知っていたし、昨年一年間の熊本城の入城者数が200万人を超え
たという報道もあった。しかし、それでも城がそんなに一般受けするとも思えなかった。
それは「自分の好きなものがメジャーになって欲しくない」というマニア独特の屈折した
感情のせいなのかもしれないが…。
ただ、昨今の城関係書籍の出版状況は尋常ではない。毎月毎月何らかの新刊が出ている
のだが、その内容は、入門書から専門書まで実に幅広い。その分野も、歴史系は当然とし
て、旅行関係建築関係、果てはデザイン関係と、視点も様々であることに裾野の広がりを
実感する。先日コンビニの書籍コーナーで『日本100名城ガイドブック』という本を見
つけたときには、「ついにここまで来たか」と驚いた。
この本で紹介されている100名城というのは、財団法人日本城郭協会が設立40周年
の記念事業の一環として公募し、歴史や建築の専門家によって平成18年(2006)に
発表されたものである(※1)。対象となったのは、「城」と聞いて一般的にイメージす
る近世城郭だけでなく、中世山城はもちろんのこと平安時代の蝦夷征伐の拠点となった柵
や、弥生時代の環濠集落である吉野ヶ里遺跡まで含まれているのが特徴である。更に、選
定された全国の城を巡る「日本100名城選定記念スタンプラリー」という、これまたマ
ニア心をくすぐるしかけも始まっている。
新たに城に興味を持った人には、こういった「名城のお墨付き」は城を訪れる際の目安
になるのだろう。他にも、よく言われる「三大○○」というくくりも、城には多い。三大
名城なら名古屋・大坂・熊本、三大山城なら岩村・高取・備中松山、三大水城なら高松・
今治・中津といった具合である(※2)。
これらに挙がっている城に行っておけばまず間違いないのだが、例えば天下の名城大坂
城も、「天守に登って中の展示を見た。終わり」というのでは、その名城たる理由を何ら
理解できないだろう。その凄さについては過去の連載(第十三幕)でも触れたが、やはり
ある程度知識がないと充分に楽しめない訳で、結局のところマニアックな世界、というこ
とになるのかもしれない。
(※1)こちらがそのページ。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~nihonjokaku/100meijo.html
(※2)三大○○が集められたページ。これだけ並べてみるとかなりおもしろい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%B8%89%E5%A4%A7%E4%B8%80%E8%A6%A7
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(連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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第五十一首
田口 稔恵
泣き笑ひしてわがピエロ/秋ぢゃ! 秋ぢゃ!と歌ふなり。
O(オー)の形の口をして/秋ぢゃ!秋ぢゃ!と歌ふなり。
月のやうなる白粉の/顔が涙を流すなり。
身すぎ世すぎの是非もなく/おどけたれどもわがピエロ、
秋はしみじみ身に滲みて/真実なみだを流すなり。
「秋のピエロ」(堀口大學『月光とピエロ』)
大學という、印象的な作者の名前は、彼が生まれた時、父親が未だ学生であったこと、
家が東京帝国大学の赤門前であったことに由来すると言われる。
後に外交官として活躍する父の手を離れ、長岡の祖母の元で育った大學は、早熟な少年
となり、父の親友・与謝野鉄幹の新詩社の門に入る。
以前とりあげた佐藤春夫とは、新詩社の同門、慶応予科の級友、そして生涯の親友であ
った。慶応を中退した佐藤が、「私は慶応大学を中退したが、堀口大學を卒業した」とお
どけるほどの仲だったようだ。
母を早く亡くした大學の作品には、胸が苦しくなるほどに哀切で、それでいて美しく、
時に自己愛の匂いがする。
笑っていながら泣いている、それゆえに表情が失われたように見えるピエロ。Oの形の
口で、秋の到来を悲しく歌う。道化ているのは自分だ。身すぎ世すぎのため、顔で笑って
心で泣く。そんな自分を、秋風が冷たく吹きすぎ、いっそう秋の寂しさ、身の切なさが思
い知られる。
また、『月光とピエロ』は清水脩作曲の男声合唱組曲としても有名である。「身すぎ世
すぎ」のために道化を演じる男の傷心は、やはり男声合唱で表現するにふさわしいとしみ
じみ感じさせられる。
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【連】活動報告<花街シンポジウム>
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前回メルマガでお知らせしました、8月15日の「第2回 花街シンポジウム」はおか
げさまで好評を博すことができました。普段なかなか知る事ができない、花街が現在抱え
る問題点について様々な議論が交わされ、とても実りある1日になったのではないかと思
います。
今回は、「第2回 花街シンポジウム」でスタッフとして参加された五島優子さんから
シンポジウムの報告をしてもらいます。
人とのつながりと温かさ
五島優子
8月15日という、お盆のまっただ中にも関わらず、大勢の方々が「第2回 花街シン
ポジウム」にお越しいただけました。ありがとうございました。
わたしは、事前の案内発送・チラシ配りのお手伝い、そして当日スタッフとして参加さ
せていただきました。どこまでお役に立てたのかは果てしなく疑問の残るところではあり
ますが…。今回の準備からイベント当日を通して、人とのつながりとその温かさをとても
感じることができました。
案内発送に初めて関わったとき、まずその量に驚きました。「こんなにも?!」と思っ
たその数、数千部。1通1通、案内と「来てもらえたら嬉しいなぁ」という想いを込めて、
数日がかりで大量の郵便を送りました。その結果、多くの方が封筒を片手に来場していた
だき、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。チラシは、自分のアルバイト先や知り
合いなどに配りました。ここでは、舞妓さんにはなんとなく興味があっても、花街という
名前すら知らない人も多く、これが世の中の現状なのだなぁと感じさせられました。それ
でも、自分の知っている限りの知識を伝えて、花街というものを覚えてもらえるよう心掛
けました。イベント当日は、多くのスタッフのみなさんに出会いました。バタバタしなが
らも各自ができることを探して動いて助け合う。年齢や立場を問わず、協力しあって1つ
のものを作り上げるという経験はとても心温まるものでした。
イベント後、お客様の表情を見ていると、どの方も笑顔で、知らない方からも「良かっ
たよ~」「楽しかったわ~」といった言葉をいただけたこともとても嬉しかったです。
花街は、「人と人とのコミュニケーションの上に成り立っている」という言葉を聞いた
ことがあります。マンション暮らしでは、隣の人さえ知らないというような(現にわたし
もですが…)人間関係が希薄になっているとされる現代に、人とのつながりやその温かさ
を感じることができれば、1人1人の心もまたあったかくなり、毎日を豊かな気持ちで過
ごすことができるのではないかなぁ、そうなれたら嬉しいなぁと思っています。そのキッ
カケに今回のイベントがなっていたとすれば、さらに嬉しく思います。ありきたりな言葉
にはなりますが、このイベントに関わった方々、誰1人が欠けてもこの1日は成り立たな
かったと思います。本当にありがとうございました。
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◆[嵯峨野学藝倶楽部] 9月開講講座のお知らせ ◆
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詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。
★「今様・白拍子教室」
日程:9月5日、26日(いずれも、土)
時間:13時~14時(60分)
講師:石原 さつき
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
★「茶道教室(土曜日コース)」
日程:9月5日、12日、26日(いずれも、土)
時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています
★「茶道教室(水曜日コース)」
日程:9月9日、30日(いずれも、水)
時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
★「京文化を語ろう」
日程:9月12日(土)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:太田 達
テーマ:「宗教から京都を考える~2つの本願寺~」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
★「京都歴史講座」
日程:9月20日(日)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:中村 武生
テーマ:「京都市教育会と建碑事業」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
★「うたことば研究会」
日程:9月26日(土)
時間:10時~11時(60分)
監修:田口 稔恵
※資料代等が必要です。詳細はお問合せ下さい。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com
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すっかり秋の風になりました。ただいま鈴虫の音をBGMに作業をしております。
昨晩、うちでは夕顔が花を咲かせました。夕顔は私の祖母の大好きな花です。
夕闇にぼんやりと白く浮き上がる夕顔の花はなんだか恐ろしいほど美しく、すこし
つめたい印象を受けました。
夕顔はたった一晩だけ花開くはかない花ですが、その少しの時間を、凛と力強く精
一杯咲いているようで…、祖母がこの花を好きな気持ちがわかりました。
(きしもと)
[次回は、9月15日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
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