伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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〔嵯峨野文化通信〕 第77号
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日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?
伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。
京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)
★VOL:77(2009/4/15)
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○【連】からのお知らせ ——————-『京の花街』が出版されました!
ラジオ出演情報!
【連】代表の濱崎が明倫アートに
レビューを書きました!
熊野参詣ツアー
○(連載)『丹後と京都』———————– 第九回
○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——- 第四十二首
○[嵯峨野学藝倶楽部]4月・5月上旬開講講座のお知らせ
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【連】からのお知らせ
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○『京の花街 ひと・わざ・まち』が出版されました!
【連】では、日本の伝統文化の奥深さを実践的に学ぶとともに、その大切さを一人でも
多くの方々に知っていただくための活動をしています。その一環として、[花街文化研究
会]を主宰しています。花街(かがい)は、歴史的にさまざまな文化を生みだしてきまし
た。研究会では、その文化的な側面を明らかにするために、聞き取り調査や文献調査を行
ってきました。その成果の一つとして、このたび、日本評論社から『京の花街 ひと・わ
ざ・まち』を出版する運びとなりました。これは、昨年京都創生シンポジウムとして協力
開催させていただいた「花街文化シンポジウム」の内容を発展的にまとめたものです。花
街について総合的に描いた初めての書として、今後の花街研究の礎になるものと確信して
います。どうぞお手にとっていただければと思います。
お求めは、全国有名書店または、日本評論社(電話 03-3987-8621/FAX03-3987-8590)
まで直接お申込みください。 よろしくお願いいたします!
『京の花街 ひと・わざ・まち』
編集:太田達・平竹耕三
著者:平竹耕三・太田達・濱崎加奈子・井上えり子・上林研二
出版:日本評論社
定価:1,995円(税込)
内容:
[第一部 ひと]
第1章 花街は今
第2章 花街の歴史
第3章 花街の誕生と五花街の成立
[第二部 わざ]
第4章 花街の年中行事
第5章 伝統芸能文化と花街
第6章 花街を支えるモノとわざ
[第三部 まち]
第7章 花街の建築
第8章 花街の町並み保存
第9章 花街はなぜ生きつづけているのか
○ラジオ出演情報!
「京都三条ラジオカフェ」にて4月3日から始まった「ワンダフル・サイエンス」とい
う番組に、【連】代表の濱崎加奈子が出演しております!! テーマは「嗅覚」、香道や
茶道をはじめ、匂いと行動との関連や五感について研究をしている研究者たちが、「匂い」
について、いろいろな角度から考えます。
4月3日に放送された第一回の放送では聴香士にインタビューをされた伊藤精英さん、
塩瀬隆之さんが、「匂いの違い」について話が展開しました。匂い自体の違いから匂いに
対するお国柄、また茶道の中での匂いまで、笑いを交え出演者それぞれの感性をもって話
されました。
多くの人が当たり前に感じている匂いだからこそ、その世界の豊かさや可能性に思いを
馳せてみませんか?
《京都三条ラジオカフェ》※周波:FM797(京都、滋賀一部のみ)
「ワンダフル・サイエンス」
テーマ:「嗅覚」〜においの情報、認知、文化、デザイン、生物、アート〜
放送日:第2回 4月17日(金) 24:00〜24:15
第3回 5月 1日(金) 24:00〜24:15
※第1回は4月3日(金)に放送されました。
出演者:伊藤 精英(公立はこだて未来大学認知科学者)
http://www.fun.ac.jp/staff/staff_arch/itokiyohide.html
塩瀬 隆之(京都大学大学院情報学研究者)
http://www.ableart.org/handbook/7-1.html
濱崎加奈子(伝統文化プロデュース「連Ren」代表)
http://www.ren-produce.com/common/kyoto_shinbun.pdf
ランディ・チャネル(裏千家準教授)
http://www.onozomi.com/kaiwa/randy01.html
パーソナリティ
山本美広(におい演出家)
http://www.bakkie.co.jp/profile/staff_data/yamamoto.html
京都三条ラジオカフェHP
http://radiocafe.jp/index.html
※こちらで一部視聴できます。
Web:http://wonderfulscience.seesaa.net/(放送後に全編Upされます)
○【連】代表の濱崎が明倫art「伝統」レビューを担当します
京都芸術センターが発行している「京都芸術センター通信 明倫art」のレビュー「伝統」
に【連】代表、濱崎加奈子が今月から2年間担当することになりました。執筆は2ヶ月に
1度の予定です。よろしくお願いいたします。
今回(5月号/4月20日発行)は、日本音楽に関する公演について書いています。
最近、日本の伝統的な文化に関心を持つ人が増え始めましたが、実際に関わろうとする
となかなか難しいのではないでしょうか? そんな方のために用意された公演を通して見
えてくる、伝統芸能の危うさや奥深さが語られています。
伝統文化を考えるということは、日本を、そして世界を考えることなのかもしれません。
「京都芸術センター通信 明倫art」は京都芸術センターにて配布されております。ぜひ
ご一読ください。
○熊野参詣ツアー
日本今様謌舞楽会護持会から、熊野参詣ツアーを開催することになりました!
今回は平安時代の人々が通った道を、朧谷寿先生(同志社女子大学名誉教授)に講義し
ていただきながら辿ります。一般のツアーとは一味も二味も違う熊野詣、いったいどのよ
うな旅になるのでしょうか・・? わくわくします!!
日程:2009年5月30日(土)〜6月1日(月)
費用:4万8千円 ※護持会会員さまは4万5千円になります。
お問合せ・お申込み:日本今様謌舞楽会護持会 事務局
電話・FAX 075−871−3205
メール imayou@ren-produce.com
お申込期間:4月13日(月)〜5月8日(金)
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(連載)『丹後と京都』
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第九回「宮津と岩滝」
太田達
丹後の国府は、天の橋立の股のぞきで有名な西国二十八番霊場「成相寺」への上り口の
あたりで、その遺構が発見された。橋立を見おろす丘の中腹にある。ようするに、此所が、
律令の時代から明治の廃藩置県の時まで、千年以上、丹後の中心であり様々な歴史ドラマ
が演じられたところである。和泉式部がヒロインの恋愛ものや、吉田兼好、雪舟など文人、
法師の案内する旅番組など。此所を舞台とした最大の、そして、最も悲惨で凄惨な時代劇
が、丹後国国主一色氏と信長の手先細川親子との戦いである。
一色氏は光秀に味方したが、細川藤孝の娘婿であることで、秀吉に許され帰参できた。
しかし、一色氏の家来の弓木(岩滝町)城主で、砲術家で後に有名になる稲富祐直の元に
落ち着いた丹後守護(守護代ではない、ほんものの名門)の一色義定は、家臣たちととも
に、舅細川幽齋藤孝の宮津城(宮津市)に招かれ、天正10年(1582)9月8日、百
人以上の部下もろとも皆殺しにされた。戦国乱世においてよくあることと片付けられない
大事件である。この日、足利幕府の四職をつとめ、丹後、三河、若狭、伊勢半国の守護大
名名門一色氏が消えた。
ところで、天の橋立で囲まれた湾を阿蘇海と呼び、その池のような湾を取り囲むように
宮津市はある。しかし、宮津市は橋立砂州の根元と頭に分かれており、阿蘇海に面する湾
の弧の一部分を宮津市が挟むようにして岩滝町がある。車を走らせているといつも不自然
に感じる。岩滝町は、町の成立以後、このあいだの平成の大合併まで何処の町村とも合併
しないできたとのこと。もっとも不自然なことは、平成の合併時に地理的、経済的に利便
性の高そうな宮津市と一緒にならず、与謝郡の加悦町、野田川町と合併したことである。
ちゃんとした事由があるのだろうが、私としては、宮津城のジェノサイドに対する弓木城
の一色氏の呪いと恨みなどがありそうな気がする。うん、あると思います。
ところで、上泉伊勢守(学問的には、カミイズミと読むようであるが、剣豪小説的には
コウイズミと読みたい)を、ご存知だろうか? 私たちの親の世代の書棚には、立川文庫
とか、剣豪小説の類が山のようにあった。よく忍び込み、夢中になって読みあさった事が
楽しい思い出である。真田十勇士とか、天保六歌仙、塚原卜伝、宝蔵院、疋田豊後などな
ど。そして、この、上泉伊勢守秀綱なのだが、丹後一色一族の血を汲んでいる。丹後一色
三代義春より発し、関東に地盤を築いた後、武田信玄に滅ぼされるまで続いた。黒沢映画
「七人の侍」にも使われた、僧に変装して山賊から子供を助け出す逸話など、その人格と
陰流の腕を見込まれ、信玄に許されて仕官を乞われるが、堅く辞し京へ上がり、山科言継
や吉田兼右、13代足利義輝に剣術の奥義を指南した。
ここからが、面白い因縁話になっていくと気を持たせつつ次号へ。
―つづく―
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(連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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第四十二首
田口 稔恵
はかくれに散りとどまれる花のみぞ忍びし人にあふ心地する
(西行法師 『山家集』)
(葉の陰に散りとどまった桜を見ると、ひっそりと身を隠した恋する女性に会ったような
思いがする)
「寄残花恋(残花に寄する恋)」という結題で詠まれた歌である。
万葉の時代には実生活の即して詠まれる側面の強かった和歌だが、平安時代には掛詞や
序詞のような技巧の流行に、遊戯的な側面も加わり、鎌倉初期に詠題は極度に高度化した。
いきおい恋の詠まれ方も多様となり、形式化が進む中でもこのような秀作を遺す結果とな
った。
散り残った桜にスポットが当たることは少ない。むしろ潔く散る桜こそが桜たるゆえん
として愛でられてきたことは言うまでもない。桜は散ってこそ桜なのである。
この歌では、散り残った桜が葉の陰でひっそりと息づく様を、訳あってか身を隠した女
性に喩えている。浮舟や小督の悲恋を重ねてみる人もいるだろう。花としては盛りを過ぎ
た表現とも相俟って、分別ある、大人の女性の悲哀と色香を感じる。
「武士道といふは、死ぬことと見つけたり」ーこの一節で、武士道のテクストとしてあま
りにも有名な「葉隠」は、その名をこの歌からとったという説がある。著者である山本常
朝は、三条西実教から古今伝授を受けており、当時としては和歌の正統(と思われていた
秘伝のようなもの)を学んだといえるから、あながち嘘とも言えないだろう。
ただし、面白いことに、常朝は西行のことを「隠者を気取った卑怯者」とののしってい
る。それは、武士出身でありながら出家し、旅と歌に生きた姿勢に共感できなかったため
と思われる。
しかし、この歌そのものは、主君の陰となり、時には「潔く散る」という武士の面目さ
え捨てて生き延び、本懐を遂げる必要のあった武士の精神を、図らずも映し出した歌とい
えるかもしれない。
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◆[嵯峨野学藝倶楽部] 4月・5月上旬開講講座のお知らせ ◆
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詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。
★「茶道教室(土曜日コース)」
日程:4月18日、25日、5月9日(いずれも土曜)
※5月16日の稽古は、5月9日に変更になりました。
時間:15時〜20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、受付けています
★「茶道教室(水曜日コース)」
日程:4月22日、5月13日(いずれも水曜)
時間:13時〜18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、受付けています。
★「京都歴史講座」
日程:4月19日(日)
時間:11時〜12時30分(90分)
講師:中村 武生
テーマ:「伏見・淀の旧蹟」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、受付けています。
★「今様・白拍子教室」
日程:4月25日(土曜)
時間:13時〜14時(60分)
講師:石原 さつき
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
★「うたことば研究会」
日程:4月25日(土)
時間:午後2時〜3時30分(90分)
監修:田口 稔恵
※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。
★「京文化を語ろう」
日程:5月9日(土)
時間:11時〜12時30分(90分)
講師:太田 達
テーマ:「大和からみる京都」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、受付けています。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com
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桜の季節ももう終わってしまいますね。桜吹雪の中で立ち尽くし、散りゆくさくらに
想いを馳せる今日この頃です。
というとかなり脚色がありますが。笑
でも、ふと立ち止まってみるのはけっこう楽しいものです。教室移動の合間など、目の
前を予測不可能な動きで舞う花びらに心躍せたり、実ったさくらんぼのかわいさに癒さ
れたり、「桜が散る」というのは切なさだけではないのだな、と感じております。
(きしもと)
[次回は、5月1日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
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