嵯峨野文化通信 第76号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 
 
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              〔嵯峨野文化通信〕 第76号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に

          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

    ★VOL:76(2009/4/1)
 
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 ┃も┃┃く┃┃じ┃
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 ○【連】からのお知らせ ———————— ラジオ出演!
  ○(連載)『京都タイムトラベル』————— 第二十六回
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』—————– 第三十八幕
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——- 第四十一首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]4月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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 ○ラジオ出演!

  みなさんは、「京都三条ラジオカフェ」というラジオ局をご存知でしょうか? 
  この放送局では番組制作からパーソナリティーまですべて市民が行う、市民が主役の放
 送局です。その三条ラジオカフェで4月3日から始まる「ワンダフル・サイエンス」とい
 う番組の第1回目に、【連】代表の濱崎加奈子が出演することになりました!! テーマ
 は「嗅覚」、香道や茶道をはじめ、匂いと行動との関連や五感について研究をしている研
 究者たちが、「匂い」について考えます。
  多くの人が当たり前に感じている匂いだからこそ、その世界の豊かさや可能性に思いを
 馳せてみませんか? ぜひ、お聴きください。

 「ワンダフル・サイエンス」
  テーマ:「嗅覚」〜においの情報、認知、文化、デザイン、生物、アート〜
  放送日:第1回 4月 3日(金) 24:00〜24:15
      第2回 4月17日(金) 24:00〜24:15
      第3回 5月 1日(金) 24:00〜24:15

  出演者:伊藤 精英(公立はこだて未来大学認知科学者)
       http://www.fun.ac.jp/staff/staff_arch/itokiyohide.html
      塩瀬 隆之(京都大学大学院情報学研究者)
       http://www.ableart.org/handbook/7-1.html
      濱崎加奈子(伝統文化プロデュース「連Ren」代表)
       http://www.ren-produce.com/common/kyoto_shinbun.pdf
      ランディ・チャネル(裏千家準教授)
       http://www.onozomi.com/kaiwa/randy01.html
              
      パーソナリティ
      山本美広(におい演出家)
      http://www.bakkie.co.jp/profile/staff_data/yamamoto.html

  京都三条ラジオカフェHP
   http://radiocafe.jp/index.html

  ※こちらで一部視聴できます。
    周波:FM797(京都、滋賀一部のみ)
    Web:http://wonderfulscience.seesaa.net/(放送後に全編Upされます)

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             (連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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            第二十六回「急がばまわれ瀬田の唐橋」          
                                    太田 達

  「瀬田の唐橋」が古くから存在すること、また、壬申の乱、恵美押勝の変、源平木曾義
 仲の戦い、承久の変、本能寺の変、関ヶ原など、日本の歴史における、天下分け目といえ
 る戦に必ずというほど関わってきた場所であることは、前回述べた。
  琵琶湖と、そこから流れ出る唯一の河川である瀬田川は、京の都と、それに対抗するも
 うひとつの世界、要するに、東夷とのボーダー、都の結界であった。新幹線で帰京する度
 に、瀬田川にある「網定」の看板が、一瞬ではあるが、目にはいると、私はほっとする。
 山科のトンネルのほうが、インパクトがありそうなものであるが、やっぱり、瀬田川なの
 である。その土地の上に積み重ねられた「業」のようなものが、その虚空に満ち満ちてい
 るように感じる。

  東海道52番目の宿場である草津は、東山道の昔より交通の要所である。現在も、国道
 1号線(旧東海道)と国道8号線(旧中山道)、浜街道にも抜けられるし、渋滞時のほん
 とのぬけ道、旧朝鮮人街道や、琵琶湖大橋、近江大橋にも通じている。名神高速道路に、
 京滋道路が合流し、昨年には草津田上ジャンクションから、信楽、甲賀、鈴鹿峠、亀山と
 東名阪自動車道や伊勢自動車道に接続した。江戸時代の旅人も、現代のドライバーも、楽
 に時間の稼げる手段を、望み、また選んだようである。往時、東海道で京へのぼるとき、
 瀬田の唐橋を経由するよりも、草津の南西、琵琶湖の東岸の「矢橋港」から、大津の石場
 港に船で至る、まさにワープともいえるルートが重宝された。

  この「石場」とは、唯一その残跡とも言うべき石造りの常夜灯から推測すると、今の琵
 琶湖ホテルと大津パルコの間の湖岸にある、大津城を模した建物「大津文化館」の南側あ
 たりであろう。矢橋は最近できたものであるが、多くの人を集め、周辺道路の混雑、特に
 近江大橋の渋滞が社会問題化している AEON MALL草津の北側に、今も廃港として存在して
 いる。港跡の西には、下水処理施設としての人工島で、スポーツ施設公園としての機能を
 備えた「矢橋帰帆島」がある。そう、近江八景の「矢橋帰帆図」からの命名である。しか
 し、便利には危険がつきものであった。水難事故である。「比叡おろし」という予測しえ
 ない突風が、突然湖上に吹き降りる。帰帆図の帆船などひとたまりもなかっただろう。四
 校漕艇部の悲劇や、平成になっても「比良八講」による遭難事件の悲劇が繰り返されてい
 る。

  唐突であるが、「安楽庵策伝」という人物をご存知であろうか。落語の祖とも云われ、
 また茶人として有名な江戸時代初期の浄土宗の僧侶である。茶人大名金森宗和は、彼の甥
 にあたる。彼の著わした『醒睡笑』に、室町時代の連歌宗匠である柴屋軒宗長の歌として
 「もののふの 矢橋の船は 速けれど 急がば回れ 瀬田の長橋」がある。実は、これが、
 「急がば回れ」の諺の由来である。今なら、有料なのに渋滞ぎみの「近江大橋」を避け、
 遠まわりだがそれとなく流れている無料の「瀬田の唐橋」であろうか。

                                     ―了―

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                           (連載)『ニッポン城郭物語』
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              ―第三十八幕―  〜堀川の話〜

                                   梅原 和久

  京都市のほぼ中心に位置する堀川は、もとは平安京造営時の資材を運搬するための運河
 として開削された。その水は、貴族の邸宅の庭に引くためにも用いられたというが、近世
 以降でも農業用水や伝統工芸品として有名な京友禅の「友禅流し」(川に浸すことで染料
 を定着させるための糊を流すもの)などに利用されてきた。しかし、戦後の浸水対策や下
 水道整備に伴って、そのほとんどが暗渠となり、川床もコンクリートで固められたために
 、長い間いわゆる「水のない川」になっていた。
  その堀川に清流をよみがえらせるべく、京都市が10年来取り組んできた「堀川水辺環
 境整備事業」がいよいよ完了し、この3月29日から通水が開始されることになった。

  なぜこの連載でこの話題?と思われるかもしれないが、勿論城の話とつながりがある。
 というのも、二条城が築城された際に、現在堀川通りが走っている城の大手前は広い馬場
 とされた(※1)だけでなく、堀川沿いには石垣が築かれて、城の東の備えとして整備さ
 れたからである。(※2)
  この時に築かれた堀川添いの石垣は現在も残っているのだが、世界遺産でもある二条城
 の一部との認識はほとんどされておらず、顧みる人もいない。今回は、堀川の清流復活で
 公園化されることを記念して、この石垣の見所をご紹介しよう。

  二条城に面した堀川には、東西両側に石垣がある。ただ、東側の石垣はどこにでも見ら
 れる現代のもの。二条城側となる西側のものだけが、当時の石垣である。その石垣を注意
 深く見てみると、○や◇が彫り込まれているのが見つかるだろう。この記号を「刻印」と
 いう。
  二条城は徳川幕府が大名に命じて築城させた、いわゆる「天下普請」の城だが、このよ
 うな城では各大名が石垣工事の現場を割り当てられていた。大名がそれぞれ運搬してきた
 石材の所有を示すために、藩や家柄を示す記号として刻みつけたのが、刻印である。
  堀川沿いの石垣には、この刻印石が沢山見つかるが、もう一つ有名なものがある。それ
 が、二条通より少し北の辺りにある一つの石に刻まれた、「是ヨリ北紀州」という銘文な
 のだ。
  これは、石垣工事の現場(丁場〔ちょうば〕と言う)の境を示すもので、「ここから北
 は紀州浅野家の担当である」と宣言している訳である。刻印のある石は、江戸城や名古屋
 城など、全国に沢山発見されているが、こういった丁場割りを示す銘文の例は、大坂城な
 ど僅かしかない。案内板等があるわけではない上に、膨大な数の石の中の一つに彫り込ま
 れた字を探すのは並大抵なことではないかもしれないが、訪れる際には是非探してみても
 らいたい。

 (※1)終戦直後、この馬場跡は米軍の飛行場となり、米軍機が離発着していたという。
    この写真はそれ以前のもので、現在の喧噪が嘘のような、ひっそり閑とした風情。
http://www.pref.kyoto.jp/archives/shiryo1/fs50on/e15012.html  

 (※2)堀川に水が流れていた頃の写真。手前に見える石垣が今回の主題のもの。
   http://bbs16.meiwasuisan.com/bbs/history/img/12181141010269.jpg
   http://www.pref.kyoto.jp/archives/shiryo1/fs50on/e15013.html

                                  
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                      (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第四十一首                  
                                   田口 稔恵

  たらちねの親のまもりとあひ添ふる心ばかりはせきなとどめそ
  小野千古(おののちふる)の母 (古今和歌集 巻八 離別歌)
 
 (親が、我が子を守るためにつき添わせる、この親心だけは、塞き止めないでおくれ、関
 所よ。)

  「たらちね」は「親」や「母」にかかる枕詞で、「垂乳根」が語源とされる。「せき」
 は「塞く(ふさいで閉ざす)」と「関所」を掛け、「な・・・そ」の形で動詞「とどむ」
 の連用形を挟み、禁止の意味を表す。
  詞書に「小野千古が陸奥介にまかりける時に、母の、よめる」とあり、歌の中の親とは、
 枕詞の語源通り母を指すことが分かるのだ。
 
  『伊勢物語』の東下りの段で、「男」と呼ばれる在原業平と思わしき男は、隅田川を越
 える時、いよいよ引き返せないとの想いがつのり、渡し舟に乗るのを躊躇する。現在の関
 東地方でさえ、都から見れば歌枕としての想像の旅しか経験のない未知の国であった。
  千古の母は、書の神とされる小野道風の妻、あるいは娘とも言われ、業平とは100年
 ほどの隔絶である。その時代、東の国よりもさらに奥にある陸奥に息子を送り出す母の思
 いは、いかばかりであったか。江戸時代においてさえ、旅は客死の危険と隣合わせであっ
 た。
  夜行列車、集団就職、手作りの弁当、工面して持たせた金銭・・・団塊の世代の方々に
 は、つい数十年前までの風景が重なるのではないだろうか。ケイタイの所持や、日本中の
 ほぼどこでも一日で帰省できる交通網が当たり前になり、子供の数は減り、親の愛は粘着
 質で神経質になった。
  我が子を遠くに送り出す親の、切実で控えめな、それでいて背中を押してやる愛に、ど
 こかノスタルジーを抱く。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 4月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:4月4日、25日(いずれも土曜)
  時間:13時〜14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
  性別・年齢・経験は問いません。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:4月8日、22日(いずれも水曜)
  時間:13時〜18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:4月11日、18日、25日(いずれも土曜)
    ※4月4日の稽古は、4月25日に変更になりました。
  時間:15時〜20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
    ※4月11日、18日のみ13時〜20時です。
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています

 ★「京文化を語ろう」
日程:4月11日(土)
時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:太田 達
テーマ:「大坂からみる京都」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。

 ★「京都歴史講座」
  日程:4月19日(日)
  時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「伏見・淀の旧蹟」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、受付けています。
 
 ★「うたことば研究会」
  日程:4月25日(土)
  時間:午後2時〜3時30分(90分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  高瀬川沿いを自転車で走っていたら、川沿いに咲いている桜がライトアップされていま
 した。しばし見入ってしまいました…。やはり桜は4月に咲いてほしいですね。

  今日から新年度、新しい場所で頑張ろうとしていらっしゃる方も多いのではないでしょ
 うか。実は私もその一人。気持ち新たに頑張ります!
                               (まつだ)

     [次回は、4月15日(水)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
 
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。