嵯峨野文化通信 第150号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第150号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                       ■VOL:150(2012/5/2)

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                  ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ——————-「小さくて深い菓子展」のご案内
                         文化講座のご案内
  ■ (連載)『ニッポン城郭物語』————————- 第七十一幕
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』———- 第五十回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————– 第五十四回
  ■(連載)『やまとのくには言の葉のくに』—————— 第百六首
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]5月開講講座のお知らせ

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               □■【連】からのお知らせ■□

 ■ 「小さくて深い菓子展」のご案内

  前号でもご案内いたしました二十四節季にまつわる菓子展。
  ただいま「穀雨」をテーマに、少しでもたくさんの方に見ていただければと思い、有斐
 斎弘道館の表門前のショーケースにて展示をいたしております!
  お近くへお越しの際はぜひご覧ください。
  もちろん館内にて、抹茶と主菓子もお召し上がりいただけます。

  時 間:10時より16時まで
  場 所:有斐斎 弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524ー1)
  ※節気のお菓子については、ご予約制となります。
  
  弘道館のHPはコチラ
  http://kodo-kan.com/index.html

    
 ■文化講座のお知らせ

 「京都文化教養講座1~天皇からみる京都~」

 日 程:5月12日(土)
 テーマ:「崇徳帝」
 時 間:11時~12時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を織る~」

 日 程:5月15日(火)
 テーマ:「初風炉とは」
 時 間:13時~14時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 連続講座「今様、白拍子、平家物語」

 日 程:5月19日(土)
 テーマ:「小督と嵯峨野」
 時 間:14時~15時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:朧谷 寿(同志社女子大学名誉教授)
 参加費:1回2,000円
 
 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 
 お申込み、お問合せはコチラ
 kouza@kodo-kan.com

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               ■『ニッポン城郭物語』■
                      
             ー第七十一幕ー  ~姫路城の話~

                                   梅原 和久

  ここ2年間は予算の仕事で出勤が続いていたゴールデンウィークだが、今年は何とか休
 めることとなり、今年最初の城めぐりが実現した。行き先は久々の姫路城である。今回の
 主目的は、「天空の白鷺」(※)の訪問だった。

  世界文化遺産である国宝姫路城は現在、平成21年度から5年間の計画で行われている
 「平成の大修理」の真っ最中であり、5層の大天守がすっぽりと工事用の覆い屋で隠れて
 いて、内部の見学ができなくなっている。この大工事による入城者の激減を防ぐために、
 修理の期間中、素屋根の内部から補修の様子を間近で見学できる施設が設けられた。それ
 が「天空の白鷺」である。
  年間平均入城者数が百万人を超える姫路城だが、修理が本格化した平成22年度には、
 45万人台と通常時の半数以下に落ち込んだという。それが、「天空の白鷺」設置後、
「修理中の天守を間近に見ることができるのは今だけ」という希少性のアピールが功を奏し
 たか、昨年度は当初の目標であった60万人を達成したそうだ。

  今回は計画性のない訪城であったために事前予約の手続きをしておらず、当日整理券待
 ちの列に並ぶことになった。しかし気合いを入れて開場と同時に入城したこともあって、
 40分程度並んだだけで天守横に設置されたエレベーターに乗ることができた。石垣の下
 から徐々に見えてくる天守。確かにこのアングルで、この距離で見たことはない。なかな
 かの迫力である。一番上の8階では、天守の屋根部分を前に見ながら鬼瓦や鯱の実物を、
 7階では天守壁面を間近に見ながら漆喰壁の修復作業の解説を見る。こんなマニアックな
 展示だが、休日はものすごい混雑ぶりである。行こうと思われる方は、事前予約をお勧め
 する。

 (※)天空の白鷺の公式ページ。
   http://www.himejijo-syuri.jp/index.html

           ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■      
 
                   第五十回       

                                  荻田 みどり

  先日、京都市の南、綴喜(つづき)郡井手町に行ってきた。山吹が見頃というニュース
 に、心躍らせて。
  井手といえば、歌枕として有名な地である。蛙(かわず)や山吹の名所として、『万葉
 集』から詠まれてきた。
 『源氏物語』真木柱巻の源氏の歌にも「井手」と「山吹」が詠みこまれる。

   思はずに井手のなか道へだつともいはでぞ恋ふる山吹の花

  源氏は夕顔の忘れ形見である玉鬘に養父として接しながらも、慕情をとどめかねていた。
 その葛藤の隙をつかれたのか、鬚黒に横取りされてしまった。
  六条院夏の町の、玉鬘の暮らしていた部屋に渡り、呉竹の垣に咲きかかる山吹を見て、
 玉鬘を思う。「山吹」は、玉鬘をたとえるのにこれまでも用いられてきた花なのだ。その
 時に詠んだ歌である。思いがけなく、井手の中道が私たちの仲を隔ててしまったとしても、
 私は口に出さず心の中で山吹の花―あなたのことを恋しのんでいるのですよ。しかし、源
 氏のその歌を聞く人は誰もいない。
  その後源氏は、かりのこ(鴨の卵)を柑子・橘などのように趣向して、玉鬘のもとへ贈
 る。

   かりのこのいと多かるを御覧じて、柑子 橘などやうに紛らはして、わざとならず奉
  れたまふ。

  今や鬚黒夫人となった玉鬘には、慕情を顕わにはできない。養父からの贈り物として、
 わざとらしくならないように気を配る。添える手紙や歌も勿論である。
  しかし、「柑子 橘」の色は山吹の色と同じである。源氏の気持ちが、そうした趣向に
 表れてくる。この贈り物を見た鬚黒は、返事を書きあぐねている玉鬘に代わって筆をとる
 が、「柑子 橘」の趣向には触れない。鬚黒の代筆の返歌に、源氏は彼らしからぬ風流を
 認めるが、さすがに趣向した意味についてはわからなかったのだろう。なぜなら、玉鬘に
 たとえられる山吹は、六条院での彼女を表すものであり、鬚黒には想像できないものだっ
 たからである。
  源氏は、人に見られることを予期しながらも、その中に玉鬘にしかわからぬよう彼女へ
 の思いを周到に込めた。だからこそ、玉鬘は鬚黒のいる前で返事することをためらったの
 である。

  
                ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第五十四回            
                                  井上 年和

 元禄五年(1692)12月26日
  「一、当地女有之茶屋并水茶屋等へ不限昼夜被参事、堅無用候、此義ハ当秋雖申、所
 存依有之如此也、但無拠旦那衆義ニ付、不参して不叶事候者、年預へ具ニ断可有之候、様
 子を承届、是非之返答可有之候、以上、
  元禄五年申十二月廿六日      年寄中
                   評議中」  『北野天満宮史料 宮仕記録(続1)』

  北野社の宮仕達は、女のいる茶屋・水茶屋への出入りを禁じられた。

  元禄元年十二月には、能探という宮仕が毎日の社参を怠り、家に人を呼び寄せて賭博の
 宿とし、また、昼夜限らず茶屋や外の所に出入りして年寄や評議に厳重注意を受けている
 が、どうやら宮仕の中にも放埒な人がいたようだ。

  前回もご紹介させていただいたように、宮仕の身内が茶屋との関係を持つことを良くな
 いと捉える風潮があったようだが、このような放埒な人がいたのでは、禁じられても確か
 に致し方ない感じがする。
  神職に授かる宮仕が、酒と女と賭博に溺れていたのでは、他の宮仕連中に諫められても
 仕方がない。

  この水茶屋への出入禁止令は、元禄九年頃まで毎年のように見られ、再三に亘り注意し
 ても宮仕の水茶屋への出入りは止まらなかったことが伺える。

  水茶屋というのはよっぽど楽しかったのであろうが、宮仕の家と水茶屋とは、北野社界
 隈ではご近所さんで、出入りしていればすぐにばれてしまいそうなのだが、実に堂々とし
 たもので、遊び方も豪快だったのではないだろうかと推測してしまう。

  水茶屋の方も対応には苦慮していたのではないだろうか。誰それが出入りしていると言
 われるだけで店の風聞が変わるのは過去でも現在でも同じであろう。

  今回の記事を教訓に(酒の肴に)、次回はいつ行こうかなと目論む毎日である。

                 
             ■『やまとのくには言の葉のくに』■         
 
                   第百六首   
            
                                  田口 稔恵

   円居(まどゐ)して見れどもあかぬ藤浪のたたまく惜しき今日にもあるかな
   (村上天皇 『新古今和歌集』 巻2)

   (皆で車座になって、見ても見ても飽きない見事な藤の花。風が吹いて浪が立ってい
  るように見える。私も立ち上がって去るのが惜しいように思われる、今日の藤の花のさ
  まよ。)

  「天暦4年3月14日、藤壺にわたらせたまひて、花惜しませたまひけるに」との詞書
 がつく。作者名を記す箇所に「天暦御歌」とあり、村上天皇の御製と分かる。藤壺は後宮
 の一つで正式には飛香舎(ひぎょうしゃ)という名称だが、藤の前栽があったことから藤
 壺と一般に呼ばれた。

  藤が風に吹かれ浪のように見えることからの「藤浪の立つ」、円居という言葉の対義と
 して「立つ」を掛詞としている。「~まく」は上代の「~であろうこと、~ようなこと」
 という婉曲的な意味を持たせる語である。

  天暦4年に藤壺に住んでいたのは、中宮・安子と思われる。それまで、後宮の中で最も
 格が高い殿舎は弘徽殿であったが、安子が藤壺に住んだ最初の皇后となった。弘徽殿、藤
 壺共に、天皇の日常の御所である清涼殿から近く、身分が高く、天皇の寵愛を受けるべき
 立場の女性が住まいした。親王時代の村上天皇は、安子との婚儀を藤壺で執り行っている。
 安子は右大臣藤原師輔の娘で、才色兼備の女性であったと伝えられる。

  後宮は、平安文化を醸成させた舞台として知られるが、この歌においても、春のうらら
 かな日に見事な藤浪を愛でる若く聡明な天皇と、美しく利発な中宮を囲む女房たちの一幅
 の絵のような光景が思い浮かぶ。

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 5月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:5月9、23日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:5月12、19、26日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時ご都合の良い時間にお越しください
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ■「今様・白拍子教室」
  日程:5月12、26日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時~14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■
  
   近頃、ニュースで車による悲しい事故をよく目にします。
   私自身車を運転する身であり、どれも他人事には思えません。
   ひとの命にやり直しは聞かないと、常に心の中にとめているつもりではありますが
   車に乗るときも乗らないときも、より一層気持ちを引き締めたいと思います。

                               (いまむら)
  
      [次回は、5月15日(火)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。