嵯峨野文化通信 第112号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)     [嵯峨野文化通信] 第112号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
          嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                     ■VOL:112(2010/10/1)

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                ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ———————- 今様奉納のご案内
                         北野天満宮 余香祭
                         花洛の鴻儒 皆川淇園の文人画
                         オープンセミナー「伝統と先進の融和」
                         再放送のお知らせ
  ■『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』——- 第二十三回
  ■『ニッポン城郭物語』———————– 第五十六幕
  ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』— 第十三回
  ■『北野の芸能と茶屋』———————– 第十六回
  ■『やまとのくには言の葉のくに』————- 第七十六首
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]10月開講講座のお知らせ

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             □■【連】からのお知らせ■□

 □今様奉納のご案内

  法住寺において今様の奉納が行われます。法住寺は、今様を愛してやまなかった後白河
 上皇が法住寺殿を営んだとされる地です。後白河上皇を偲び、後白河上皇の御宝前におい
 て今様合などが奉納されます。
  見学の方も、出演者と同じ題で今様を詠むことができますので、ぜひ挑戦してください!

  日程:10月10日(日)
  時間:15時より
  場所:法住寺(東山三十三間堂の東前)
  費用:無料
     ※拝観料500円が別途必要です。 
 

 □北野天満宮 余香祭

  天満宮の御祭神、菅原道真は左遷された大宰府の地で「去年の今夜」に始まる「重陽後
 一日」の漢詩を詠みました。これは菅公が右大臣の時、清涼殿の「重陽の宴」で詠んだ漢
 詩の褒美に天皇より着衣を賜ったことを歌った漢詩です。
  この漢詩にちなみ、余香祭が開催されます。
  余香祭では、全国から献詠された和歌の中から選ばれたがものが披露されます。その選
 歌を【連】の濱崎加奈子が行います。ぜひ、お越しください。

  日程:10月29日(金)
  時間:14時より
  場所:北野天満宮本殿
  費用:無料

  北野天満宮のHPはコチラ
  http://www.kitanotenmangu.or.jp/news/13.html

 □花洛の鴻儒 皆川淇園の文人画

  皆川淇園は、江戸時代後期を代表する儒学者であり、難解な「開物学」をいう学問を創
 始した学者でもあります。しかしその反面、淇園は漢詩や書画にもすぐれた風流人でした。
  その淇園は晩年、学問所を創立し、弘道館と名付けました。今回、淇園とゆかり深い弘
 道館で、10月30日からの2週間、淇園が描いた文人画を集め、展覧会を開催します。
  弘道館初の試みです。ぜひ、お越しください。

  日程:10月30日(土)~11月13日(土)
  時間:午前10時~18時(金曜日は、20時まで)
  場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1)
  費用:500円

 ★併せて、関連イベントをご案内します。

 【講演会「皆川淇園と書画サロン」】

   講演「江戸時代の書画会と淇園」
    講師:ロバート キャンベル(東京大学大学院教授) 
    鼎談:ロバート キャンベル
       松田 清(京都大学教授)
       廣瀬 千紗子(同志社女子大学教授)
   日程:10月31日(日)
   時間:14時~16時(13時30分会場)
   場所:京都府公館レセプションホール(上京区烏丸通一条下る龍前町590-1)   
   費用:無料(要申込/先着順)
  ※10月25日(月)までに下記までお申し込みください。
   先着順につき、定員になり次第締め切らせていただきます。 
 

 【篠笛演奏会~淇園に想う】

   出演:篠笛奏者 森田玲
   日程:11月6日(土)
   時間:18時30分~20時
   場所:弘道館
   費用:2,500円(要申込/先着順)

 【呈茶】

  老松製の菓子と煎茶をご用意しております。また、展示会限定の菓子も販売しておりま
 すので、ご覧ください。
 
  日程:期間中随時/申込不要(有料)
  場所:弘道館 

  お申込み・お問合せはコチラ
   Tel:075-463-3050
   Fax:075-463-3051
   メール:info@kodo-kan.com

 □オープンセミナー「伝統と先進の融和」

  10月1日に工業技術センターと繊維技術センターが統合して、新たに京都市産業技術
 研究所が誕生したことを記念し、「京都市産業技術研究所オープンセミナー」が開催され
 ます。その講演のひとつで、【連】濱崎加奈子が講師を務めます。
  ぜひ、ご講聴ください!!

  日程:10月31日(日)
  時間:午前10時~17時
  場所:京都市産業技術研究所
    (京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館南棟)
  費用:無料

  【オープンセミナー】 
 
  午前10時30分~11時30分
  「伝統文化とその未来-伝統の知恵を生かす-」 
    講師:濱崎 加奈子(伝統文化プロデュース【連】)
 
  午前11時40分~12時00分
  「西陣織と京友禅を用いた炭素繊維バッグ」
   講師:浜中 裕(京都市産業技術研究所 研究部長)

  午前12時10分~12時30分
   「天然醸造飲料『白い銀明水』」
    講師:山本 佳宏(京都市産業技術研究所 主席研究員)

  お申込みはコチラ
  ※なお、お申込期間は10月6日(水)~10月27日(水)です。
   京都いつでもコール
   Tel:075-661-3755
   Fax:075-661-5855
   パソコン: http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000012821.html

  詳しくはコチラ
   京都市情報館HP
   http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000088817.html 
   

 □再放送のお知らせ

  平成11年9月に放映された、「愛の貧乏脱出大作戦」(みのもんたさん出演番組)に
 て「老松」に修業に来られた古賀乃屋さんの回が、10月4日19時より再度テレビで放
 映されることになりました。
  番組には「老松」主人で、【連】でも活動している太田達が出演いたします。
  過去の番組で好評だった回を再放送するそうです。
  ぜひご覧ください!!
  
  「老松」ブログはコチラ
  http://blog.oimatu.shop-pro.jp/?eid=549243

 
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            ■『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』■

                    第二十三回

                                    太田 達

  「金花糖(きんかとう)」という菓子について少しふれてみたい。
  これこそ、伝統菓子部門の「朱鷺」でないかと考えている。
  現在、その製造店が確認できるのは、金沢と新潟に一軒ずつである。日本全国津々浦々
 隈無く調べたわけではないので、漏れていればお許しいただきたい。「金花糖」自体、ど
 の程度、認知されているのであろうか? 菓子屋である私が「金花糖」を認識したのは、
 菓子屋に就職しておよそ一年が経った頃、ひな祭りの準備のときであった。

  ご存知の通り、菓子屋は、季節を大切にする。特に京都の上菓子屋は、二十四節気ごと、
 年五十二週間とすると、およそ二週間ごとにその店頭の様子が変化する。五、六種類を常
 に用意している茶席用の主菓子は、二、三日のサイクルで差し替える。形はおなじでも色
 目が微妙に、四季、いや、二十四節気の変化を映している。それとは別に、菓子屋の醍醐
 味ともいうべき門日がある。例えば、「粽」「柏餅」の端午の節句、夏越しの「水無月」、
 中秋の名月「月見団子」などである。
  ちなみに、彼岸の「おはぎ」、夏の土用の「あんころ餅」、十一月の「お火焚饅頭」は、
 上菓子屋の仕事ではない。「朝生屋さん(=生菓子屋)」のテリトリーにある。逆に、十
 一月の開炉の「亥の子餅」「織部上用」は、本来、上菓子屋の仕事である。昨今、その境
 界がよくわからなくなっている。

  菓子屋は、単なるビジネスではないと、私は考える。およそ三十年前は、一軒の上菓子
 屋のテリトリーに、生菓子屋が二、三軒あることで、そのとってもミクロなマーケットは
 維持されていたと考えられる。京都における菓子のビジネスは、儲けることを目的にして
 はいけないと思う。京都は、且つての平安京における洛陽坊の一坊を基とした、ミクロな
 コミュニティーの集合体ととらえ、その中の、ハレの日の儀礼、贈答という人と人との関
 係の潤滑剤として、菓子屋が存在していると考えれば、わかりやすい。

  話が、それてしまった。三十年前のひな祭りの菓子屋の店頭に戻ろう。
  「こなし製」の「引千切り」、「菜種きんとん」「西王母」の主菓子とともに、手のひ
 らくらいの手つきの竹籠に入った干菓子の詰め合わせが、陳列ケースの上に置かれていた。
 「有平糖」の蝶や土筆、「落雁」の貝づくし、「生砂糖」ののり巻き、「州浜」の早わら
 びなど、色とりどりの菓子の中心に、一番大きく配置されていたのが、「金花糖」の鯛で
 ある。乳白色の鯛には、うす桃色の着色がされている。
  次号、「金花糖」について詳説したい。

                ■『ニッポン城郭物語』■

              ー第五十六幕ー  ~岩国城の話~

                                   梅原 和久

  これだけ城のことを書いていながら、ここのところ時間が取れず、1年以上城巡りがで
 きなかった。こんなにブランクが空いたのは城に興味を持ち始めた小学生の頃以来初めて
 のことである。先日、少し時間が取れたので、数年ぶりに岩国城へ行ってきた。

  ただ、現地滞在時間がわずかだったので、最近修理された錦帯橋や、周辺の武家屋敷、
 江戸時代の政庁であった陣屋跡等はあっさりと通り過ぎ、ロープウェイで城山へ。観光客
 の流れとは無関係に復元天守もスルーして向かったのは「北の丸周辺散歩道」である。 
  今回の目的は、新たに整備されたこの散歩道を歩くことだった。と言っても、勿論ただ
 のハイキングコースではない。

  岩国城は、関が原合戦後にこの地に移された吉川広家が築いた城である。しかし、完成
 からわずか7年後の元和元年(1615)、幕府の一国一城令により破却されてしまう。
 従って、現在錦帯橋から見える天守は当然ながら昭和の復元モノだし、そもそも麓からの
 見栄えを重視して建設されたために、本来の天守台から約30メートルも位置を動かして
 いる。つまり、残念ながら山上の城跡はあまり見るべきものがなかったのだ。つい数年前
 までは。

  実は、公園として整備された岩国城復元天守の奥には、城が破却された際の痕跡が残る
 曲輪がある。ただ完全に未整備の斜面であり、かつては見学すること自体が困難だった。
  そこでちょうど2年前、岩国城築城400年を記念して岩国市が整備したのが、この「
 北の丸周辺散歩道」なのである。

この散歩道、整備されたとは言え気軽にお散歩できるような道ではなく、足元を見てい
 なければ足を踏み外してしまいそうな山道ではある。ただ、ここで見ることができる石垣
 は、400年前の姿をそのまま残しているだけでなく、破却の激しさも偲ぶことができる
 非常に貴重なものである。巨大な空堀の底に、かつて石垣を構成していた石がゴロゴロ転
 がっているのだ。
  天守から見る眺めは言うまでもなく素晴らしいが、せっかく岩国城に行くならこの散歩
 道も是非訪れていただきたい。

 (※)散歩道公開の様子を撮影した動画。3分15秒辺りから見た方が雰囲気は分かる。
  http://www.youtube.com/watch?v=A1SkGZ7tXfU
   ちなみに、私が訪れたときは他に誰一人歩いていなかった。ロープウェイにはあれだ
   け人がいたのに…

          ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■         

                   第十三回       

                                  荻田 みどり

  文を持ってきた使者がたいそうもてなされる描写は、『源氏物語』中、幾度も描かれる。
 今回は、そんな文使いへの饗応についてご紹介する。
  前回の鈴虫巻では、「御使に盃賜ひて、禄いと二なし。」と、酒をふるまい、禄(引出
 物)はまたとないほどのものであったと描かれる。
  無理にまで飲ませるのは、若菜上巻の朱雀院から紫の上宛の文を持ってきた文使いに対
 して。

   御使にも、女房して、土器(かはらけ)さし出でさせたまひて、強ひさせたまふ。

  朱雀院は、源氏に降嫁した女三の宮のことを大目に見て世話をしてやってほしいと、切
 々とつづっている。紫の上にとって女三の宮は、突如現れ、源氏の正室の地位に就いた、
 いわば目の上のたんこぶである。しかし、紫の上はこの文に心打たれ、煩悶する気持ちを
 押し籠め、朱雀院の求めに対し、謹んでお引き受けする旨の返事をする。朱雀院相手に使
 者を立てて文を送るのは憚られることであるけれども、これでもか、というほど酒を勧め、
 禄を授け、送り出す。文使いへのもてなしは、文の相手への気持ちに相応する。
  歓待は時に行き過ぎて、分別をなくしてしまう文使いもいる。宿木巻の、匂宮が六の君
 に宛てた後朝(きぬぎぬ)の文。これを届けた文使いは、六の君の父夕霧によって歓待さ
 れ、匂宮邸に戻って来る。

   かしこに奉れたまへる御使、いたく酔ひすぎにければ、すこし憚るべきことども忘れ
   て、けざやかにこの南面に参れり。

  夕霧のふるまい酒にひどく酔いすぎ、遠慮すべきところを忘れ、おおっぴらに参上する。
 匂宮と既に結婚し、匂宮邸に住まいしている中の君の目に付く場所に、である。
  匂宮と昨晩を共にした六の君からの返事(実際には母君の代筆であったが)を見せつけ
 るなど、配慮が欠けていると、匂宮もきまり悪く感じている。夕霧にとっては待望の娘の
 結婚であり、その気持ちが後朝の文を持ってきた使者へのふるまい酒として表れたのだろ
 う。文使いもその気持ちを汲みつつも、酒は飲んでも飲まれるな、というところだろうか。

               ■『北野の芸能と茶屋』■             

                   第十六回                 

                                   井上 年和

  天暦二年(948)8月1日 『天神記』

   「八月の御祭も村上の御時にこそ始りし、公家の御沙汰なり、大蔵省のつとめなり、
   神威厳重なり、儀式希代なり(後略)」

  遣唐使のために天神地祇を北野に祠ったのが承和三年(836)『続日本後記』、雷公
 を北野に祭ったのは延喜四年(904)『四宮記』、菅原道真の祠が北野に建てられたの
 は天暦元年(947)『天神記』となっているが、その次の年から北野祭りが創られてい
 る。

  これにより北野社での芸能が本格的に展開されるようになる。連歌、競馬、相撲、神楽
 等々、宮廷貴族が参列する行事が神社の境内で行われるようになったのである。都合によ
 り日程が変更された年もあったが、例年8月4日に行われ、明治維新まで続いた。

  祇園社、吉田社、賀茂社、松尾社、石清水等々、他の神社でも祭りに併せこれらの芸能
 は開催されてきた。

  各社の創建は、祇園社が斉明天皇二年(656)、僧・円如が播磨国広峯の牛頭天王の
 分霊を遷したのが貞観十八年(876)、吉田社が貞観元年(859)、賀茂別雷神社が
 天武天皇七年(678)、賀茂御祖神社が崇神天皇七年頃(紀元前90年頃)、松尾社が
 大宝元年(701)、石清水八幡宮が貞観二年(860)となっている。

  祭りについて見てみると、祇園祭(祇園御霊会)の創始は貞観十一年(869)、賀茂
 社では、文武天皇二年(698)3月21日に賀茂祭の日の騎射を禁じられた記事があり、
 祭りの創建はこれより古そうである。

  いずれの神社でも祭りに併せ芸能が催されており、その都度貴賤が群集し、境内でにぎ
 わいが演出されているし、中世には茶屋が存在し、遊女や白拍子、傀儡等も当然出現して
 いたことであろう。つまり、花街が発生する要因はどの神社も持ち合わせていたと考えて
 もよいのである。

  では、何故上七軒だけが神社との関わりの強い花街として現在も残っているのであろう
 か。

  この問題を解明していくのもこの連載を続けていく楽しみであるのだ。

            ■『やまとのくには言の葉のくに』■          

                  第七十六首                 

                                   田口 稔恵

 音にのみきくのしら露夜はおきて昼は思ひにあへず消ぬべし
 (『古今和歌集』巻十一 恋一 素性法師)

 (噂だけにあの人のことを聞き、夜は物思いで眠れず、昼は恋する気持ちに命が消えてし
 まいそうです。あの名高い菊の白露が夜は置いて昼には消えてしまうのと同じように。)

  『古今和歌集』の恋一の部は、「逢わずして慕う恋」の構成である。中でもはじめの七
 首は、「音に聞く恋」をテーマとする。

  現代の我々には意外の感もあるが、男性が夜のみ女性のもとへ通う形態の恋においては、
 噂に聞いただけで相手に恋い焦がれたり、一度見たきりの人に激しく恋したりすることは
 ままあったようである。(「源氏物語」においても、噂しか聞いたことのない末摘花に焦
 がれる源氏が、実際に逢ってびっくり、というシーンも描かれる。)恋のスパイスとは、
 やはり想像力であるようだ。

  逢うことが適わず噂に心を縛られ、物思いで死にそうな自分の身を、はかない露になぞ
 らえる技法はよく見られる。しかし、それにとどまらず、和歌を学ぶ際、必ず覚える表現
 技法が盛り込まれた、お手本のような和歌である。

  「音にのみきく」で「聞く」と「菊」を掛け、「噂でしか聞いていないあの人のこと」
 と「名高い菊」の意味をもたせる。さらに「夜はおきて」で「夜、私は起き」と「白露が
 置き」を掛け、「昼は消ぬべし」で、露と己の命の終わりを表現する。「菊」、「置き」、
 「ひ(日)」、「消ぬ」が縁語となっており、歌の中に一つのまとまった世界を構築する
 効果をもたらしている。

  さすがに、古今時代を代表する歌人、素性法師である。桓武天皇の孫・僧正遍昭の子で
 あり、三十六歌仙の一人、能書家としても知られた。

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 10月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:10月2、9、23日(いずれも、土)
  時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「京文化を語ろう~遷都1300年記念・京都のなかの奈良」
  日程:10月9日(土)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:太田 達
  テーマ:「吉野・北嶺を仰ぐ」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ■「今様・白拍子教室」
  日程:10月9、23日(いずれも、土)
  時間:13時~14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:10月13、20日(水)
  時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「京都歴史講座」
  日程:10月17日(日)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「豊臣期伏見城下町の構造」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ■「うたことば研究会」
  日程:10月23日(土)
  時間:10時~11時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■

  ひどい症状ではなかったのですが、先日頭痛がしたのでバファリンを服用しました。
  バファリンの半分は優しさでできているので安心していましたが、ちょっと効果が強す
 ぎたようです。痛みは変わらず、ぼうっと熱くなってしまいました。

  厳しさは優しさ、だとかコーヒーとの飲み合わせ、といったあまり関係のない言葉が、
 何となく頭の中を通り過ぎて行きました。

                                 (まつだ)

     [次回は、10月15日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。