嵯峨野文化通信第89号

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              〔嵯峨野文化通信〕 第89号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

                      ★VOL:89(2009/10/15)

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  ┃も┃┃く┃┃じ┃
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   ○【連】からのお知らせ ——-能「丹後物狂」への誘い
                  二条城お城まつり「ハイグローヴ植物画集展覧会」
                  余香祭が今年も行われます!
   ○(連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』—— 第五回
   ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———— 第五十四首
   ○[嵯峨野学藝倶楽部]10月・11月開講講座のお知らせ

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  15日に発行予定の本メルマガ89号ですが、予定を一日遅れての発行となりましたこ
 とをお詫びいたします。嵯峨野文化通信を心待ちにしておられる読者様におきましては、
 発行日にメルマガが届かないということで戸惑われたかと思います。
  申し訳ありませんでした。
  今後一層気をつけて編集して参りたいと思いますので、嵯峨野文化通信をよろしくお願
 いいたします。

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 【連】からのお知らせ
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 ○能「丹後物狂」への誘い

  世阿弥の子孫、26世観世宗家によって復曲上演される「丹後物狂」は、井阿弥(せいあ
 み)が作能し、世阿弥(ぜあみ)が大幅に改作した室町前期の作品です。天橋立が好きだ
 った足利義満のために世阿弥が書き下ろしたと言われており、室町時代に頻繁に上演され
 たお能の人気曲でしたが、舞を中心とする夢幻能が台頭してからは廃れてゆき、ついに江
 戸時代に廃曲してしまいました。この「丹後物狂」は世阿弥の伝書でも最も多く語られ、
 世阿弥のお気に入りの作品だったことが窺えます。
  このメルマガで、太田達が『丹後と京都』『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』など
 の連載において丹後の地を取り上げておりますので、過去のメルマガをもう一度ご覧にな
 ってみてください。
  能を見るのが初めての方でも、当日入手できるパンフレットや以下のホームページを見
 れば十分楽しめますので、ぜひこの機会にご覧になってみて下さい!!

  「丹後物狂」
  日時:10月24日(土) 13時30分会場
              14時30分開演
  場所:智恩寺
    (京丹後鉄道天橋立駅下車、徒歩5分)

  詳しくはコチラから
   http://www.amanohashidate.jp/nou/index.html

  あわせて、公演前日に現地で行われる「丹後物狂」のシンポジウムもご案内いたします。

 「丹後物狂」を十倍楽しむ講演会
 日にち:10月23日(金) 2部制/参加無料

  <第1部>「能『丹後物狂』への誘い」
  時間:14時30分〜16時40分 (開場/14時)
  会場:智恩寺方丈

  講座1「『丹後物狂』の魅力を大いに語る」
  講師:松岡 心平氏(東京大学大学院総合文化研究科 教授)
  講座2「物狂能としての『丹後物狂』」
   講師:天野 文雄氏(大阪大学大学院文学研究科 教授)
  鼎談「能『丹後物狂』への誘い」
   パネラー:松岡 心平氏、天野 文雄氏  進行:小林 健二氏(国文学研究資料館 教授)

  <第2部>「中世丹後と能楽 〜室町時代の文化と芸能〜」
  時間:19時30分〜21時40分 (開場/19時)
  会場:みやづ歴史の館(京丹後鉄道宮津駅下車、徒歩10分)

  講座3「室町時代の丹後と芸能」
   講師:小林 健二氏(国文学研究資料館 教授)
  ディスカッション「中世丹後と能楽〜室町時代の文化と芸能〜」
   パネラー:松岡心平氏、小林健二氏(日本芸能史・能楽史)
        伊藤俊一氏(名城大学教授/日本中世史)
        伊藤 太氏(府立山城郷土資料館)
        山下裕二氏(明治学院大学教授/日本美術史)
   進行:島尾 新氏(多摩美術大学教授)/ 吹田直子氏 (京都府立丹後郷土資料館)

  京都府立丹後郷土資料館HP
   http://www1.kyoto-be.ne.jp/tango-m/

 ○二条城お城まつり「ハイグローヴ植物画集展覧会」

  前号でもお知らせしました、「チャールズ英国皇太子チャリティ財団 ハイグローヴ植
 物画集展覧会」が10月9日から開催中です。【連】の活動に協力してくださっている方
 々が実行委員をされています。
  チャールズ英国皇太子所有の庭園の植物を描いた版画で、二の丸御殿台所を華やかに飾
 られます。普段、一般公開されていない二の丸御殿台所に入ることが出来るというのも魅
 力のひとつです! ぜひ、お越し下さい!

  日程:10月20日(火)まで
  時間:9時〜16時45分
  会場:二条城 二の丸御殿台所(重要文化財/京都市中京区二条通堀川西入二条城町541)
     (共催 ハイグローヴ植物画集展実行委員会)

  詳しくはコチラをご覧下さい。
   京都文化祭典’09:http://www.k-af.com/city/city04.html
   二条城:http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/index.html
   二条城お城まつり:http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/fes09-index.html

 ○余香祭が今年も行われます!

  北野天満宮において、今年も余香祭が行われます!
  この祭は、菅原道真が配流地の太宰府で、かつて重陽の宴で詠んだ詩に対し醍醐天皇
 から衣を賜ったことを追想して詩を詠んだ、という故事に因みます。毎年題を決め全国か
 ら献詠された和歌を神前で披露しますが、その選を行うのが【連】代表の濱崎加奈子です。
  今年の兼題は「道」です。どのような和歌が披露されるのでしょうか。
  祭は観覧自由ですので、ぜひお越し下さい!

  日程:10月29日(木)
  時間:14時〜14時50分
  場所:北野天満宮(京都市上京区馬喰町)

  詳しくは北野天満宮HPをご覧ください。
   http://www.kitanotenmangu.or.jp/top.html

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                  (連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』
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                   第五回

                                    太田 達

  皆さんは丹後の「浦島太郎伝説」をご存知だろうか。丹後半島には、2ヶ所の浦島神社
 が存在する。1ヶ所は与謝郡伊根町の本庄浜である。このような地名であるが、実はここ
 に存在する宇良神社、内陸山と里の境目のような場所に鎮座している。海とのつながりは、
 筒川という神域を流れる小川が日本海へ流れ込んでいるところである訳だが、古代この辺
 りが海浜であったとなかなか想像しにくい。

  この伝説は、この宮の縁起によると、当地筒川の領主一族である浦嶋子が21代雄略天
 皇の在位中である二十二年(478)、美婦に誘われ常世の國に行き、その後53代淳和
 天皇の時代、天長二年(825)に帰ってきた。これを聞いた天皇は、小野篁を勅使、浦
 嶋子を筒川大明神として此の地に鎮座させたというストーリーである。しかし、すでに七
 世紀に成立していたであろう『丹後国風土記』に興味深い記述がある。

  「ここに嶼子、前の日の期(ちぎり)を忘れて忽ちに玉厘を開きつ。忽ちの間に芳しき
 蘭のごとき体、風と雲とに率ひて蒼天に翻り飛びき。嶼子、すなわち期要にそむきて帰り
 ても復会ひ難きことを知り頸を廻らしてたたずまひ、涙に咽びて徘徊りき。ここに涙を拭
 ひて歌ひしく。 常世辺に 雲立ち渡る 水の江の 浦島の子が 言持ち渡る (神女、
 遥かに芳音を飛ばして歌ひしく) 大和辺に 風吹き上げて 雲離れ 退き居りともよ 
 吾を忘らすな(嶼子 更恋望に勝へずして歌ひしく) 娘らに恋ひ 朝戸を開き 吾が居
 れば 常世の浜の 波の音聞こゆ」

  この中に「芳し」という言葉がみえる。これは、水菓子の絶対条件であろう。杜の中、
 この杜は、海浜の近くになければならないのだが、岬な先のこんもりと円球に茂った杜を
 想像していただこう。海からの潮風をうける本州沿岸の杜は、多く暖流の影響で照葉樹で
 できている。椿が一般的なのであるが、常緑の中の小さな黄色の実、橘や橙の柑橘を見つ
 ける事がある。田道間守を祀る3神社近くの海岸がそうである。潮風に運ばれる柑橘系の
 香り、まさに「芳し」である。

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                     (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第五十四首

                                   田口 稔恵

 世の中よ道こそなけれ 思ひいる山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
 (藤原俊成 千載集 巻17)

  無常の世の中を逃れる道などないのだ。世を捨てようと、深く分け入った山の奥でも、
 妻を恋い慕う鹿の鳴く声がするのだから。

  「述懐の百首歌詠みはべりける時、鹿の歌とて詠める」と詞書がある。鹿は、秋になる
 と雄が雌を求めて鳴く。その様は、妻を慕う男の心情に重ねられ、古来秋の恋の歌に多く
 詠まれてきた。
  さまざまな想いを振り捨てて出家しようにも、逃げ込んだ山の中にさえ、恋に鳴く鹿が
 おり、俗世の捨てがたさを思い知らされる。

  俊成は千載集を撰進した際、27歳の時に作ったこの歌を入れたかったが、「道こそな
 けれ」が政治批判と取られかねないと危惧し、遠慮したところ、特に勅命があって入集さ
 せたという。
  鹿の意味合いを取り違えなければ、そのような誹りを受けることはあり得ない。ただ、
 当時は政治的に激動期だったこともあり、細やかに神経を使ったのかもしれない。

  激動の時代、偏屈の呼び声高い師・基俊につき、歌壇の勢力争いの中に身を置きながら、
 和歌を芸術として、学問として純度の高い成果を遺した俊成という人は、人間として優れ
 たバランス感覚を持っていたのではないか。27歳にして、このいぶし銀の味、さすが定
 家を産み出した人だと思わされる。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 10月・11月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:10月17日(土)
  時間:15時〜20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「京都歴史講座」
  日程:10月18日(日)
  時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「学校教科書に載った歴史の場所に建碑しよう!」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:10月21日(水)
  時間:13時〜18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:10月24日(土)
  時間:13時〜14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ★「うたことば研究会」
  日程:10月24日(土)
  時間:10時〜11時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せ下さい。

 ★「京文化を語ろう」
  日程:11月14日(土)
  時間:11時〜12時30分(90分)
  講師:太田 達
  テーマ:「宗教から京都を考える〜臨済宗〜」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  急に寒くなってきましたね。
  メルマガを読んでくださっている皆様は風邪など引かれていませんでしょうか?
  夏に引き続き、そろそろ本格的に新型インフルエンザが流行してきました。
  栄養・睡眠をとり、ウイルスに負けないようお過ごしください!

                                (まつだ)

     [次回は、11月1日(日)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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