伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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〔嵯峨野文化通信〕 第61号
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日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?
伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。
京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)
★VOL:61 (2008/8/15)
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○【連】からのお知らせ———————「浴衣の日」について
○(連載)『京都タイムトラベル』———– 第二十回 五山送り火 −橋上−
○(連載)『伝統文化と私』—————– 第三回
○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』— 第三十首
○[嵯峨野学藝倶楽部]8月・9月開講講座のお知らせ
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【連】からのお知らせ
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○「浴衣の日」について
第1回「浴衣の日」にご参加いただいた方、ありがとうございました!お陰さまで、盛
況で、参加者の皆さんにも大変好評でした。
この企画を担当した遠山さんに報告していただきます。
遠山 怜欧
8月9日に、「連の浴衣の日」と題した企画を行いました。講座に来てくださった方と
一緒に、スタッフも浴衣を着て一日を過ごしたのですが、実は僕、今年初めて浴衣を買い、
初めて浴衣を着たのです。浴衣を着るのは難しいのかな? と思っていたのですが、男性
の場合、帯も簡単で、すぐに覚えてしまいましたね。ただ、長く着ていると着崩れをする
のが難点であるとも感じたのですが、上手く着られるようになると、その崩れですら「粋」
な感じになるのでしょうか?
また、受講生の男性で、当日急遽浴衣に挑戦してくださったのですが、「涼しくてまた
着たくなった」という感想を聞かせてくださいました。昔の人はお風呂上りに汗がひくま
で着ていたという浴衣。さすがに通気性が違うんですね!
次回、9月6日に浴衣企画第二弾がありますが、そこでさらに浴衣の良さを体感してい
きたいと思っています。前回参加されなかった方も、是非またご参加ください!
では、第2回「浴衣の日」のご案内です。
日程:9月6日(土)
時間:今様・白拍子教室(午後1時〜2時)、茶道教室(午後3時〜8時)
会場:三壷庵
内容:浴衣姿で嵯峨野学藝倶楽部の講座を受講する
参加費:無料(講座に出られる場合は、各講座の受講料が必要です)
※ 浴衣で会場にお越しください。
浴衣をお持ちでない方で、希望される方はお貸しします。(事前申込要)
当日の着付けも可能です。「私も着付けができる」という方、是非お手伝いを
お願いします!
普段着での参加も勿論可能です!
お問い合わせは
伝統文化プロデュース連 info@ren-produce.com まで
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(連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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第二十回 五山送り火 −橋上−
太田 達
再度この『京都タイムトラベル』シリーズの内容を確認します。京都において、人の集
まる場所を歴史という時間を逍遥しながら考察しているつもりですのでよろしくお願いし
ます。と、自分にもいい聴かせつつ本題に入ります。
子供時代を北区で育った者にとって、人が多く集まる祇園祭は、あまり縁なく過ごした
といえよう。下鴨社の近く、「葵橋」より上流「賀茂川」の近くの住人にとっての大きな
イベントは、賀茂川の堤防(右岸)を中心に繰り広げられる葵祭、上御霊祭、そして、流
域住民がほぼ全員参加するのが、大文字の送り火であった。
八月十六日早朝、上賀茂橋のたもとの祖父の家から、千本閻魔堂(引接寺)まで、祖父
の漕ぐ自転車の荷台に横乗りし、お精霊(しょらい)さんを返しに、いや、送りにいった。
上賀茂橋の橋上を通るたびに、「ついこないだまで、川に流してたのに」と聞かされた。
しかし、そのころの私は、川に落ちないかと気が気でなく、上の空であった。当時の上賀
茂橋は、現在の橋より20メートル程上手にあり、欄干も簡単な鉄柵のようなもので、幅
も、多分、今の半分もなかったような気がする。そして、欄干に穴が空くたびに、アスフ
ァルトで何度も上塗りされていた。
夕方から、この橋のたもとに、2、3軒のほんとに小さな、小さな提灯屋が並んだ。確
か、それほど種類はなく、細い蝋燭を立て蛇腹をのばす形式であった。なぜか、これが欲
しくて皆にねだった記憶がある。19時30分ころまでに夕食を済まし、皆で橋に出かけ
る。子供たちは、浴衣に兵児帯。橋の中央、上賀茂寄りがベストポジション。後ろを振り
返ると大文字が、最初はうすい点で、徐々にはっきりとその姿を見せ始める。
20時をまわった。いよいよ、北正面に舟形が姿を表す。賀茂の人々にとって、通称「
船山」と呼ばれる万灯籠山が五山送り火の第一なのかも、と思う程、上賀茂橋の橋上はあ
ふれんばかりの人で埋まり、皆が歓声をあげ、船山に向かって手を合わせていた。慈覚大
師円仁が唐から帰朝の時、暴風雨にあい、「南無阿弥陀仏」の名号を唱えたところ、無事
到着できたという故事に因むと伝えられているが、あのころ、橋上にいた人たちはこんな
ことはほとんど知らなかったと思う。そうこうしているうちに、この場所からは西に左大
文字、東に妙が少しみえる。茄子の穴から送り火を覗くと眼病が治るとか、上七軒や先斗
町の花街風俗として盃に映った大の字を飲み干すなど、様々な民間の祈りの形を生んだ。
この五山送り火、大文字、妙法、舟形、左大文字、鳥居形そのどれもが、正確な起源が
判っていない。空海、義政、近衛信尹など様々な起源説が語られる。このことを少し考え
てみたい。
五山の内、鳥居以外は、それぞれの山麓にあり、またかつてあった寺院の檀家の世襲に
おいて保存継承されている。大文字は今も町名にその名を残す浄土院、左大文字は大北山
村であったころの法音寺、舟形は西方寺、それぞれ近くに葬送の地があり、念仏踊りが近
世まで確実に伝わっていた。松ヶ崎の妙法は、他と違い、ズバリ法華であり、京都におい
ての日蓮宗の牙城ともいえるエリアである。元々比叡山の山麓のため天台宗であったが、
日像の折伏により徳治2年(1307)に全村改宗した記録をもつ。記念の喜びの御題目
と村人の踊り狂うマスヒステリアスな姿が目に浮かぶような気がする。踊りには、様々な
風流燈籠がつきものである。彼らは、集落の背後の山を巨大な風流燈籠に創りあげたのか
もしれない。また、船山の実名を思い出して頂ければ、そう「万灯籠山」麓の西方寺の檀
家に今も六齋念仏踊りがのこっている。
なんとなく、この二山に、起源的なイメージを抱きつつ、次回へ。
(つづく)
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(連載)『伝統文化と私』
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第三回 京菓子から学ぶ「今」を大切にする姿勢
五島 優子
同じ形の、同じ名前の菓子が、ほんの1週間後にはその配色を変えていることをご存じ
だろうか。
私は以前、卒業制作の参考にと、1、2週間おきにデパ地下の京菓子(*1)コーナーを
見て回っていた時期がある。その時に、1番驚いたことが色彩の変化だった。「同じ名前
の菓子なのに、日によって色が変化している」・・・なぜ?!それまで菓子といえば、ケ
ーキにしても、饅頭や団子などにしても、写真で見る菓子と店頭に並ぶ現物が違うなんて
ことはありえなかったし、考えられなかった。だが、京菓子は違うのである。
「京菓子はその時々の四季を大切にし、表現する」と、大学の授業のゲストに来られた
京菓子職人さんは言った。季節の移ろいに合わせて、菓子の色も移り変わっていく。季節
を先取りしすぎることなく。かとって、引きずることもない。日々移り変わる自然の色ど
りを見つめながら、それに合わせるようにして、菓子の色も、日々作り変えていくという。
私はこの<1つ1つの変化を感じ取り、日々作品として表現していく>という部分が京
菓子の素晴らしいところだと考える。それぞれの瞬間、どんな時期のどんな姿も受け入れ、
その中にある良さを発見する。そんな京菓子に接している中で、自らの日常生活とも、リ
ンクする部分を得るようになった。
それまでの私は、つい飛躍したことや、先のことばかりを考えて、焦ってしまったり、
そうかと思えば、過去の輝きにすがってしまうことがあった。その結果「今」の状態を受
け入れたり認めたりすることが出来なくなってしまっていた。しかし、京菓子に触れてか
らは、まずありのままを受け入れ、どんな状態であってもどこか良いところがあるに違い
ないと思えるようになってきた。まずは「今」出来ることからやっていけばいい。以前に
くらべて、「今」を大切にするようになり、少し心にも余裕を持てるようになった。
このように今後も京菓子に学びながら、焦ることなく毎日を丁寧に大切に過ごしていき
たいと思う。
*1「有職儀式典礼」に用いる菓子、または、茶道における菓子と定義される。
参照:老松HP
http://www.oimatu.co.jp/9F4F77F7-74D9-4D3B-AC97-955A489BD77E.html
今回の内容では、きんとんなど上生菓子のことを指すとする。
−了−
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(連載)やまとのくには言の葉のくに
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第三十首
田口 稔恵
彎曲し火傷し爆心地のマラソン(金子兜太)
俳人・金子兜太の代表作と言われる。鑑賞文を書こうとすると、句の持つ力に押し返さ
れた。
爆心地とあるので、広島か長崎だろうと、予想がつく。マラソンをしているのだから、
戦後、爆心地で詠まれたものであろう、とも。彎曲、火傷、爆心地・・・それぞれの言葉
の持つ強さと、マラソンとの結びつきの巧妙さに圧倒される。通底しているのは「イメー
ジ」のみ。苦悶しながら走るランナーの背後に、なぜ、「彎曲し火傷し」た人々や爆心地
の情景を視ることができたのだろう。鑑賞文を書けなくても、そのイメージは強烈に読み
手の脳裏に伝わってくる。
作者は、「季語がなくても季題があれば俳句として成立する」との持論を持つと聞く。
思えば、鎌倉時代、詠題が極度に高度化し、詠題をいかに取り込むかに汲々とし始めたこ
とによって、和歌はその命を失おうとしていた。危機感を抱いた歌人たちによって取られ
た打開策は「題の心を詠む」ことであった。言葉そのものを取り込むよりも、その語の持
つ多様な背景の力を借りようということだと言える。
論理では説明できない、言葉の持つ重層的なイメージは、三十一文字の和歌にあってさ
え大きな要素である。まして十七音で宇宙を構成しようとする俳句においては、生命線だ。
言葉の持つ重層性とは、ある共同体における伝統的な価値観や経験の共有によって裏打
ちされるものだと言うことが、この句を読むと、ひしひしと感じられる。
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◆[嵯峨野学藝倶楽部]8月・9月開講講座のお知らせ ◆
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詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/から
★「京都史跡ものがたり〜三宅安兵衛の石碑をたずねて」
日程:8月17日(日)
時間:午前11時〜12時30分(90分)
テーマ:「太秦広隆寺と南禅寺金地院」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、受付けています。
★「京文化を語ろう」
日程:9月20日(土)
時間:午前11時〜12時30分(90分)
内容:「信仰」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、受付けています。
★「茶道教室(水曜日コース)」
日程:8月20日、9月3日、17日(いずれも水曜)
時間:午後1時〜6時(ご都合の良い時間にお越しください)
※見学/体験も、随時受付けています。
★「茶道教室(土曜日コース)」
日程:8月23日、9月6日、20日、27日(いずれも土曜)
時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越しください)
※見学/体験も、随時受付けています
★「今様・白拍子教室」
日程:8月30日、9月6日、27日(いずれも土曜)
時間:午後1時〜2時(60分)
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
源氏物語千年紀にちなんだ勉強会やイベントも予定しています。
★「うたことば研究会」
日程:9月27日(土)
時間:午後2時〜3時30分(90分)
参加費:今様・白拍子教室受講生は無料
一般 500円(資料代)
※月1回、今様・白拍子教室の後に開催しています。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com
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明日16日は五山の送り火がありますね。実は私、京都に住んでいながら一度も
大文字を見に行ったことがないのです。前々から行ってみたいと思ってはいたので
すが、今回の『京都タイムトラベル』を読んで、さらに大文字に惹かれました!
同じものを見るにしても、少し知識を持って見ると、凄く楽しめたりしますよね。
明日は、初大文字を見に行きたいと思います。
(きしもと)
[次回は、9月1日(月)に配信予定です! 次回もお楽しみに。]
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