嵯峨野文化通信 第158号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第158号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                       ■VOL:158(2012/9/1)

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                  ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ———–弘道館文化講座のお知らせ
                    「英語で茶道」第二回目のお知らせ
                    京都新聞「現代のことば」に太田達が
                                   登場します!
                    MBS放送「ポテトなじかん」に濱崎加奈子が
                                   出演します!
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』————————– 第七十五幕                    
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』———- 第五十七回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————– 第六十二回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]9月開講講座のお知らせ

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               □■【連】からのお知らせ■□

 ■弘道館文化講座のお知らせ

 「京都文化教養講座1~天皇からみる京都~」

 日 程:9月8日(土)
 テーマ:「亀山帝 後宇多帝」
 時 間:11時~12時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 
 連続講座「今様、白拍子、平家物語」

 日 程:9月8日(土)
 テーマ:「遊女の芸尽くし〈朗詠・今様・白拍子〉」
 時 間:14時~15時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:植木 朝子(白陵中・高等学校校長)
 参加費:1回2,000円

 「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を織る~」

 日 程:9月18日(火)
 テーマ:「金森宗和」
 時 間:13時~14時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 
 お申込み、お問合せはコチラ
 kouza@kodo-kan.com
 

 ■「英語で茶道」第二回目のお知らせ

  8月より始まりました、英語で伝統文化を広めていくことを目的とした講座です!
  英語や茶道がお好きな方はもちろん、英語も茶道も全く分からないけど興味が
 ある。といった方もぜひお越しください。
  第一回目の8月はとても和やかな雰囲気のもと行われました。
  第二回目は盆略点前を中心に学びます。英語の説明を聞きながら点前の動作を同
 時に行いますので、英語を耳で聞くだけよりも習得しやすいです。
  ご参加お待ちいたしております!

  日程:9月4日(火)
  時間:18時より(90分程度を予定)
  場所:有斐斎 弘道館
  講師:田中 朝子(翻訳通訳者、三壷庵茶道教室)
  費用:3,000円
  対象:海外渡航をひかえた社会人、大学生
      海外で日本文化を伝えることに関心のある方
      短時間でお茶のエッセンスを英語で習得したい方
      英語とお茶と、どちらも気軽に楽しんでみたいという方
      日本の伝統文化を体験してみたい留学生、外国の方

  詳細はコチラ
  http://kodo-kan.com/seminar.html

  お問合せ・お申込みはコチラ
  kouza@kodo-kan.com

 ■京都新聞「現代のことば」に太田達が登場します!

  京都新聞の夕刊に有職菓子御調進所老松の亭主、太田達が登場します。
  ぜひご覧くださいませ!

  京都新聞 夕刊2面「現代のことば」
  日時:9月7日(金) 
 
  ※携帯電話でもご覧いただけます。(有料)
  http://m.kyoto-np.jp/

  スマートフォンはコチラ
  http://www.kyoto-np.co.jp/kp/kyo_np/info/keitai/
 

 ■MBS放送「ポテトなじかん」に濱崎加奈子が出演します!

  MBS放送にて、関西で熱く頑張っているホットな人たちの「ホッとできる時間」を紹介
 する番組に[連】代表の濱崎加奈子が登場します!
  どんな「ホッ」なんでしょうね?とても素敵な内容となっております。
  番組の合間に注目して見てください!

  MBS放送「ポテトなじかん」
  日程:9月7日(金)
  時間:21時54分~22時00分

 
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                ■『ニッポン城郭物語』■
            ー第七十五幕ー  〜二条城の話 その2〜      
              
                                   梅原 和久

  江戸幕府の体制が磐石になると、「京の城」の重要性も低くなった。元禄12年(1
 699)には、将軍不在の間の城の管理のために設置された二条城代が廃止され、二条
 城には江戸から毎年4月に派遣される東西2組(1組50人)の二条在番が居るだけと
 なった。
  二条城は幕府の政庁としての機能を失い、落雷や火事で城の建物が失われても再建さ
 れることもなく、荒れるに任された。朝廷の監視や折衝を担当し、更には畿内近国8ケ
 国にわたる公事・訴訟・検断の機能をもつ、西日本の幕政の中枢とも言える機関は二条
 城の北にあった京都所司代であり、二条在番に任じられた役人達は、1年間の任期を終
 えるまでの単身赴任生活を、城内の見回りや警護、修理など、ただ城の管理だけをしな
 がら過ごしていた(※)。

  二条城が再び脚光を浴びるのは、3代将軍家光の上洛から約230年後の幕末。14
 代将軍家茂の上洛に備えて、大改修が行われることになった。ただ、幕府財政は逼迫し
 ており、しきりに経費節減の指示が出されている。結果、設計書まで作られていた二の
 丸御殿の大増築は実施されず、破損した箇所の修復にとどめられた。
  14代家茂は、文久3年(1863)と慶応元年(1865)の二度二条城に入るが、
 長州征伐の指揮を執るために移った大坂城において、わずか21歳の若さで病死してし
 まう。跡を継いだのが最後の将軍15代慶喜。慶応2年(1866)12月、慶喜は二
 条城で将軍拝命の宣旨を受けるが、その後もなぜか城には入らず、城の南にあった若狭
 小浜藩邸を居所としていた。ただ、その間に、二条城本丸には慶喜のための仮御殿が建
 設されている。
  なお、当時の記録では、二条城に「登営」するという言葉が散見される。これは幕府
 に登るという意味を踏まえており、将軍が在城する二条城は当時、まさに「幕府」その
 ものであった。
  さて、慶喜がようやく二条城に腰を落ち着けたのが慶応3年(1867)9月だが、
 翌10月には二の丸御殿大広間で大政奉還を宣言し、徳川幕府は終焉を迎えることにな
 る。しかし、二条城には、新政府から出された辞官納地の命令に激昂する兵約1万が、
 京都守護職の会津藩主松平容保や京都所司代の桑名藩主松平定敬と共に集結していた。
  12月、新政府との軍事衝突を避けるため、慶喜はこれらの兵を率いて西御門から二
 条城を退居し大坂城へ向かう。以後、慶喜が京都に戻ることはなかった。
  そして、主を失った二条城は皮肉にも、新政府の命を受けた徳川慶勝(御三家筆頭の
 旧尾張藩主で、松平容保と定敬兄弟の兄)に引き渡され、その役割を終えることになっ
 たのである。(続く)

 (※)以前、落書きの話の中で触れたことがあるが、二条城には在番役人の暇つぶし
    の跡がいくつか残っている。
   http://archive.mag2.com/0000185716/20090501000000000.html
  

           ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■      
 
                   第五十七回       
                                  荻田 みどり

  暑さが収まる頃と言われる処暑を過ぎたといっても、まだまだ暑さは変わらない。そこ
 で、ひんやり冷たい氷の話をしよう。
  もちろん今のような冷凍庫などない平安時代の話である。当時は氷(ひ)を作るための
 池が設置され、冬にそこでできた氷を切り出して、氷室という貯蔵庫に保存されていた。
 取り出すことができるのは、4月~9月の間だけ。天皇以下に与えられる期間や量は、規
 則で細かく定められていた。それほど貴重なものだった。
  『枕草子』でも、「あてなるもの(高貴なもの)」として取り上げられている。

   あてなるもの (中略)削り氷(けづりひ)に甘葛(あまづら)入れて、あたらしき
  鋺(かなまり)に入れたる。水晶の数珠。藤の花。梅花に雪の降りかかりたる。いみじ
  ううつくしきちごのいちごなど食ひたる。

  「削り氷」とは今でいうかき氷。これに、「甘葛」を入れて、新しい金属製の碗に入れ
 てあるものが高貴だ、という。「甘葛」とは砂糖のない時代のポピュラー(といっても上
 流貴族に限る)な甘味料で、甘葛の葉や茎を煎じた汁のこと。かき氷にシロップをかける
 感覚と同じである。キンキンに冷えたかき氷を金属製の器に入れれば、器も冷えて気持ち
 いい。貴重な氷を金属製の器で食べる。暑い夏には、これ以上ないぜいたくだろう。  
  なお、これと並んで、「あてなるもの」の最後に、とってもかわいらしい幼児がいちご
 を食べている様子も挙げている。想像するだに顔がほころぶ。清少納言にとっては、「い
 みじううつくしき」というところがミソなのだろうが、高貴であることから食事する姿へ
 の連想は、特に『源氏物語』などでは見られない視点である。この「あて」に食べる姿を
 二つも絡ませてくるところが、清少納言ならではとも、随筆である『枕草子』の特質とも
 言えるだろう。

  
                ■『北野の芸能と茶屋』■           

                    第六十二回            
                                   井上 年和

  宝永八年(1711)3月25日
 「平野ゑひや・たいや、真盛町坂本屋源介、馬喰町花菱屋・吉田屋、今小路松川や、七
 本松三扇屋」
                           『北野天満宮史料 宮仕記録』

  紹育金銀遣方の茶屋、水茶屋の書き上げである。この紹育は北野社宮仕である能育の息
 子で当時17歳であったが、家から6貫目余りを隠し取って3月12日に家出し、あちこ
 ちで散財し、借金まで拵えながらも遊び倒していたのだ。

  北野社の中では、元禄頃から再三に亘り宮仕達が茶屋へ出入りすることを禁じていたが、
 その掟を破ってまでも遊び倒していたのである。右近馬場茶屋(馬喰町)の吉田屋市右衛
 門宅に衣類を預け、一緒に大坂まで遊びに行ったりもしていたようだ。なかなか見上げた
 ものである。

  紹育は帰ってきてから親の能育と一緒に公儀へ罷り出たが、その時七軒茶屋の連中や市
 右衛門の家主、馬喰町の平野屋、北野社の宮仕等々も引っ張り出され、吟味された。
  結局紹育は学堂へ放り込まれ、若衆6、7人を付けられた。手厚いお仕置きである。

  散財して遊んだ店の名前として平野にある「ゑひや」、「たいや」、真盛町の「坂本屋
 」、馬喰町の「花菱屋」、「吉田屋」、今小路の「松川屋」、七本松の「三扇屋」の7軒
 が挙げられている。
  この内平野の「ゑひや」、「たいや」は後日掲載する『洛陽勝覽』にも出てくる茶屋で、
 「海老屋」、「鯛屋」である。
  「坂本屋」は徳勝院の借屋であって、現在の歌舞練場北道から老松北野店の辺りにあっ
 たと考えられる。
  あとの4軒は具体的な場所はわからないが、各町に所在する茶屋の店名がわかって非常
 に面白い。

  とにもかくにも、紹育がさんざん散財してくれたおかげで、今日我々はかつて北野にあ
 った茶屋の名前を知りうることができたのである。
 

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 9月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:9月12、26日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:9月2日(日)8、15日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ■「今様・白拍子教室」
  日程:9月1、15日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時〜14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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                 ■□■ひとこと■□■
  
   最近は不安定なお天気が続いていますね。
   昨日は青い月の見える日だということで楽しみにしていたのですが、夕方から
   曇りだし見ることができませんでした。
   夏の日差しは厳しいですが、やはりお天気が良いものです。
                                   (いまむら)
  
      [次回は、9月15日(土)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。