嵯峨野文化通信 第152号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第152号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                       ■VOL:152(2012/6/1)

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                  ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ————- 文化講座のご案内
                      NHKテレビ「京都で磨く ゆかた美人」で、
                               弘道館が登場します!
                     河原尚子「(仮称)I am your YUZEN」展
                                     のお知らせ
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』————————– 第七十二幕
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』———- 第五十二回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————– 第五十六回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]6月開講講座のお知らせ

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               □■【連】からのお知らせ■□

    
 ■文化講座のお知らせ

 「京都文化教養講座1~天皇からみる京都~」

 日 程:6月9日(土)
 テーマ:「後白河帝」
 時 間:11時~12時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 
 連続講座「今様、白拍子、平家物語」

 日 程:6月9日(土)
 テーマ:「鹿ヶ谷の陰謀」
 時 間:14時~15時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:斎藤 興哉(白陵中・高等学校校長)
 参加費:1回2,000円

「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を織る~」

 日 程:6月19日(火)
 テーマ:「古田 織部〜へうげたるもの〜」
 時 間:13時~14時30分(90分)
 場 所:有斐斎 弘道館 
 講 師:太田 達
 参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)
 
 詳細はコチラ
 http://kodo-kan.com/seminar.html
 
 お申込み、お問合せはコチラ
 kouza@kodo-kan.com

 ■NHKテレビ「京都で磨く ゆかた美人」で、弘道館が登場します!

  毎回さまざまな先生方が登場し、ゆかたの基礎から応用までを学ぶこちらの番組に弘道
 館が登場します!
  テキストやウェブと連携しながら学ぶ、大人のための趣味講座番組です。
  素敵なゆかた姿の夏川純さんが生徒で、ゆかたの基本的な選び方から帯の結び方まで幅
 広く放送されます!6月5日から7月にかけての放送なので、これからの季節に役立ちま
 すね。
  ぜひご覧ください!
 
 
 放 送 毎週火曜日  Eテレ 21時30分〜21時55分 
 再放送 毎週水曜日  総合  10時15分〜10時40分
     毎翌週火曜日 Eテレ 11時30分〜11時55分
 
 ※総合テレビの再放送は国会中継などにより休止することがあります。

 番組詳細はコチラ
 http://www.nhk.or.jp/kurashi/doraku/

 ■河原尚子「(仮称)I am your YUZEN」展のお知らせ

  陶芸家、河原尚子さんの陶磁器ブランド「sione」新作展覧会が弘道館にて開催され
 ます!
  斬新な中に女性らしさのある河原さんの作品はいつ見ても素敵です。
  期間中、河原さんによるお茶会も開催されます。ぜひご参加ください!
 
 期間:7月1日(日)〜7月9日(月)
 時間:10時〜17時
 ※お茶会の席入り時間については、後日お知らせいたします。

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                ■『ニッポン城郭物語』■
                      
               ー第七十二幕ー  ~岡城の話~

                                   梅原 和久

  前々回に取り上げたのは但馬竹田城だが、豊後にも竹田城がある。こちらは別名を岡城
 といい、作曲家瀧廉太郎が幼少期を過ごした地、大分県竹田市にある。彼の代表曲である
 「荒城の月」の舞台としても有名な城である。
  以前にもこのメルマガで何度か取り上げたが、ここは私の中でベスト3に入るほどお気
 に入りの城である。何しろ石垣がすごい。大手道からいきなり現れる、見上げるばかりの
 高石垣。二の丸の石垣は断崖絶壁の上にそびえている。急峻な山の上の広大な城域全体に
 延々と続く石垣は、全国一と言いたい壮大な規模なのだ。何度訪れても毎回圧倒されるす
 ごさなのだ。
  その岡城だが、竹田市によると入城者数が年々減っており、昨年はピーク時の半分程度
 となっているそうである。観光客を呼び込むための策として市が考えたのが、「駐車場と
 城内を結ぶエレベーターの整備」である。日本三堅城の筆頭とも言われるほどの岡城だけ
 に、城内に入るためには高低差約50メートルの石段や坂道を上らなくてはならない。「
 高齢者や身障者が十分に楽しめず、登城手段の確保を考えて欲しい」などの声が市民から
 上がっていることが、整備理由だそうである(※)。
  岡城は国史跡に指定されているために、城山を貫く大工事には文化庁の許可が当然必要
 となる。市は「ハードルは高いかもしれないが、可能な限り挑戦したい」と意気込んでい
 る、とのことだが。

  こんな計画に、まさか文化庁が許可を出すとは思えないが、どうなのよ竹田市、という
 感じである。観光客が減っているという現象と、それに対する施策の結びつきがあまりに
 安直ではないか。全国でも有数の山城である岡城の価値を本当に理解しているならば、「
 訪れにくいからエレベーター」などという発想にはならないはずである。必要ならば、何
 らかの輸送手段を充実させればいい。城の風情と両立させたいなら駕籠を出したり、時代
 は違うが人力車を走らすのもありだろう。
  とにかく、こういった城本来の価値を高めるという方向でない整備は、何とか立ち消え
 になってもらいたいものである。
 
 (※)このニュースの記事。
   http://www.oita-press.co.jp/localNews/2012_133644092563.html

  

           ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■      
 
                   第五十二回       
                                  荻田 みどり

  前回、若菜上巻の正月二十三日に行われた四十の賀において、「若菜」を献上される源
 氏の葛藤を見た。自分はまだ若いと思い、周囲もみずみずしさあふれる源氏の美しさを認
 めながらも、四十という翁の年齢を慶び、老いを痛感させられていく。その中で持ち上が
 った若干13、4歳の女三の宮降嫁は、源氏のコンプレックスをさらに刺激する。女三の
 宮が藤壺宮の姪にあたることが決め手とはなったが、源氏は紫の上という最愛の女性がい
 ながらも、自身の老いに抗うべく、若い皇女との縁談を断りきれなかった。
  そして、二月の十余日、六条院に女三の宮を迎え入れる。準備は万端である。

  若菜まゐりし西の放出(はなちいで)に、御張立てて、そなたの一二の対 渡殿かけて、
 女房の局々まで、こまかにしつらひ磨かせたまへり。

  正月二十三日に若菜を献上したあの部屋、「西の放出」(寝殿の母屋西面の部分)に御張
 台を立てて、一の対、二の対から渡殿にかけて、女房の部屋までを細かく入念に整えて飾り
 立てなさった。
  ここで、女三の宮を迎えるための部屋としてしつらえた「西の放出」の説明とし、わざ
 わざ「若菜まゐりし」と述べていることに注目したい。確かに、玉鬘が若菜を献上する場面
 に、「南の殿の西の放出に御座(おまし)よそふ。」とあった。女三の宮降嫁の場面は賀宴
 の直後である。しかし、賀宴を催した場所であることを敢えて読者に明示する必要も、賀宴
 の中でも「若菜」を献上したと述べずともよいのではないだろうか。
  ここにも、やはり「若菜」という若さの象徴を強調し、その部屋にうら若い女三の宮が降
 嫁してくる、という図式によって、それと対比される源氏の老いが印象づけられるのではな
 いだろうか。
  源氏は、三日間は続けて女三の宮のもとに通わねばならない。それ以降も朱雀院の手前、
 女三の宮を軽々しく扱うことはできない。これから先、源氏は女三の宮の部屋に入るたびに、
 自身の年を自覚させられる。そして、紫の上の若かりしときとは比べ物にならないほど幼く
 頼りない「若菜」、女三の宮と相対することになるである。

            
                ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第五十四回            
                                   井上 年和

  元禄十二年(1699)
  「中森茶屋鯛屋権右衛門・浅妻屋鹿之介詫証文
 一、中森茶屋鯛屋権右衛門・浅妻屋鹿之介両人今度不調法仕候ニ付、茶屋御取上ケ之上
 (中略)
            鯛屋 本人 権右衛門
            浅妻屋 同  鹿之介
            よしたや  市右衛門
            蛭子や   宇平
            さゝや   長左衛門
            大こくや  吉兵衛
            まるや   千太良
   目代松林坊様   ますや   新兵衛
      御内    立はなや  とよ
       仁右衛門殿」              『北野天満宮史料 古文書』

  中之森で茶屋を出店していた2名が不調法により茶屋を取り上げられようとしている。
 何をしたのか判らないが、出入り禁止になるような大事だったのだろう。
  中之森の茶屋の建物は北野天満宮史料の記事にも度々見られるが、掘立柱に葦簀の囲い
 を張り、屋根は板や木の皮を葺いただけで、常に中之森に建っているが、何年かに一回は
 建て替えられるような簡単な構造であった。茶屋を取りつぶすのも簡単にできているので
 ある。

  記事の続きを読むと、結局この2軒の茶屋は「段々侘言」を言って「御赦免」となった
 ようで、やはり北野社の宮仕は情けが深い。
  そして、他の茶屋も足を引っ張らずに侘状に名を連ね、不調法の茶屋を構おうとしてい
 ることが伺える。

  注目すべきは、連名人の名簿である。取りつぶされそうになった鯛屋や蛭子屋は平野の
 茶屋であるし、よしたや(吉田屋)は馬喰町、大こくや(大黒屋)は下七軒茶屋という下
 之森近辺(恐らく三軒町)に存在した茶屋である。他の茶屋の所在は判らないが、恐らく
 平野か中之森や下之森近辺の茶屋であろう。

  中之森では周辺の茶屋により仲間が結成され、常に出茶屋で埋め尽くされていたのだ。

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 6月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:6月20、27日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:6月3(日)、16、23日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:3、16日10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
     23日のみ 9時?12時、15時?19時
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ■「今様・白拍子教室」
  日程:6月9、23日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時~14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■
  
   さいきん自転車にはまっています。
   最初は慣れなくて筋肉痛になったりしておりましたが、近頃は気候も良いおかげで
   とても気持ちよく、電車に乗る気にもなりません!
   梅雨がくる前に遠出をしたいとおもう今日このごろです。

                                   (いまむら)
  
      [次回は、6月15日(金)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。