嵯峨野文化通信 第149号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第149号
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 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                     ■VOL:149(2012/4/15)

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                  ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ————- 「小さくて深い京菓子展」開催中です!
                          談山能へのいざない
                          今様パリ公演のお知らせ
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』———- 第四十九回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』—————————— 第五十三回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]4月開講講座のお知らせ

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               □■【連】からのお知らせ■□

 ■ 「小さくて深い京菓子展」開催中です!

  京菓子舗のショーケースをみていると、およそ二十四節季で菓子が替わることをご存じ
 ですか?有斐斎弘道館では、日本人として、旧暦のリズムを大切にしたい。そんな思いか
 ら節季ごとに京菓子を考える、ミニ展示を始めました。
  有斐斎弘道館の2階カフェギャラリースペースにおいて楽しめます。主菓子と抹茶がつ
 いて千円、邸内の見学もしていただけます。
  現在は旧暦「清明」です。老松スタッフによる、ちょっとマニアックな京菓子ならではの試
 みをご覧いただけます。

  日 程:4月20日(金)まで
  時 間:10時より16時まで
  場 所:有斐斎 弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524ー1)
      2階カフェギャラリースペース

  弘道館のHPはコチラ
  http://kodo-kan.com/index.html

  ■談山能へのいざない

  「談山能」とは、能楽を大成した観阿弥・世阿弥の本拠地として大切にされてきた、奈良
 県桜井市にある談山神社(旧・妙楽寺)において奉納される演能です。
  このたび、「談山能」としての奉納公演の第1回目として、神社所有の400年以上経た
 悪尉の画を使用し、観世宗家26世・観世清和氏による「恋重荷」の公演が実現する運び
 となりました。
  【連】も全面的に協力しております。
  歴史的な奉納の場に、ぜひご一緒にお立ち会いいただきたいと思います。
  ぜひ、お越しください!

  日程:5月10日(木)
  時間:13時30分開演(開場 13時より)
   ※公演修了は15時30頃を予定しています。
  場所:多武峰 談山神社 権殿内(旧多武峰妙楽寺 常行堂)
      (奈良県桜井市多武峰319)
  費用:15000円(全席自由、談山神社入山料を含みます)
  内容:1.修祓儀式
      2.玉串奉納
      3.宮司挨拶 長岡千尋宮司
      4.多武峰式「翁」
          翁=梅若玄祥   千歳=浦田保親
          後見=大江又三郎 山崎正道
          笛=藤田六郎兵衛   小鼓=荒木賀光 
          大鼓=山本哲也   太鼓=観世元伯
          地謡=片山九郎右衛門 分林道治 観世喜正 阪口貴信
      5.舞囃子「絵馬」
          天照大神=片山幽雪
          天鈿女=井上裕久   手力男=青木道喜
          笛=田六郎兵衛   小鼓=林吉兵衛
          大鼓=山本哲也   太鼓=観世元伯
          地謡=観世喜正 山崎正道 分林道治 林宗一郎
      6.能楽「恋重荷」
          山科荘司/荘司の亡霊=観世清和   女御=山階弥右衛門
          臣下=福王茂十郎   下人=茂山七五三
          後見=大江又三郎 井上裕久
          笛=赤井哲三   小鼓=大倉源次郎   大鼓=亀井忠雄 
          太鼓=三島元太郎
          地謡=梅若玄祥 片山九朗右衛門 観世喜正 山崎正道 阪口貴信
      7.閉会
   ※奉納公演終了後、権殿の解説と講話がございます。
  主催:多武峰談山能実行委員会

  お問合せ・お申込みはコチラ
   ダンスウエスト
   TEL:06-6447-1950

  「談山能」公演に関するHPはコチラ
  http://www.ren-produce.com/tanzan-noh.html
  ※このHP内より、「メールにてのご予約」という箇所をクリックしていただきますとメール
   にてお問合せ・お申込みをしていただくことができます。

  ■今様パリ公演のお知らせ

  日本今様謌舞楽会が、4月22日から28日にフランスのパリにおいて公演を行うことが
 決定しました!
  日本での公演とはまた違った雰囲気を感じられるのではないでしょうか。
  期間中、パリにいらっしゃる方はぜひ足をお運びください! また、パリにご在住のお知
 り合いがいらっしゃいましたら、ぜひお声掛けください!

  日程:4月22日(日)~28日(土)
  場所:アクリマタシオン公園(Le jardin d’acclimatation, Bois de Boulogne, 75116
                    Paris France)

  日本今様謌舞楽会のHPはコチラ
  http://imayou.jp/

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           ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■       

                   第四十九回       

                                  荻田 みどり

  東京からワシントンに桜が寄贈されて100年。今や、日本人だけでなく世界の人々の心
 を躍らせている。心躍るだけではない。芭蕉が「さまざまのこと思ひ出すさくらかな」と
 詠んだように、浮きも沈みもする。また、花見――「桜狩り」とも言うが――と言っても
 花を眺めて感じ入るだけではない。お弁当や、何よりお酒がつきものだ。今回は、花見が
 最初に描かれた『伊勢物語』の有名な章段を取り上げてみたい。
  惟喬親王(これたかのみこ)は、毎年桜の花盛りに水無瀬離宮にお出かけになる。右の
 馬の頭(うまのかみ)、つまり在原業平も常に同行させる。

   狩はねむごろにもせで、酒をのみ飲みつつ、やまと歌にかかれりけり。いま狩する交
   野の渚の家、その院の桜、ことにおもしろし。

  水無瀬の南にある交野へ鷹狩に出かけるが、狩りは熱心にするわけではない。酒ばか
 り飲みながら、和歌を詠むことにふけっていた。その院の桜が殊に情趣があるから、皆
 歌が詠みたくなるのだ。その中で、馬の頭が詠んだ歌。

   世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし

  いつ咲くだろうと待ち遠しく思い、咲けばすぐに散ってしまわないだろうかとはらはら見守
 る。こんなふうに人々の心を一喜一憂させる桜が世の中にまったくなかったならば、春を
 めでる心はどんなにのどかなことだろう。そう思いつつも、春になるとやはり桜前線が気
 になってしまう。満開の桜を吹き散らす雨を疎ましく思う。また別の人が詠む。

   散ればこそいとど桜はめでたけれ憂き世になにか久しかるべき

  散るからこそ桜は美しい。悩みのたえないこの世の中にどうして長くとどまっていること
 があるでしょうか。とどまっている必要などないでしょう?
  惟喬親王は文徳天皇の第一皇子でありながら、藤原氏の権勢に押され天皇になれな
 かった人である。在原業平も平城天皇の孫であり、時代の敗者である。そうした者同士
 が京を離れ、桜に酔い、酒に酔う。王権を象徴するとも言われる鷹狩もせず、桜を狩る。
 この桜は藤原氏を暗喩しているとも、この後の惟喬親王の出家を想起させているとも言
 われる。桜と酒の酔いが交ざり合い、より一層非日常空間に心酔していくのだろう。

                ■『北野の芸能と茶屋』■           

                   第五十三回            
                                   井上 年和  
 貞享五年(1688)6月26日
   「一、伝十郎儀社職ニつかす、町人ニなられ候事尤也、併銭売買被致候ニ、専茶屋
   へこられ候事不届ニ存候、然とも其段者其段者見のかしニ仕置候、其以後茶屋之娘
   を妻ニ被拵候事重々不届、能知・能隆とちなミをきられ候へハ、此段も構不申候、宮
   仕縁者ニ茶肆を被仕候而衆中之恥辱難申尽候、(後略)」                                      『北野天満宮史料 宮仕記録』

  北野社宮仕である能知の弟である伝十郎が、神職に就かず、町人になってしまった。専
 ら茶屋でアルバイトをし、遂に茶屋の娘を妻にしてしまったというのだ。

  天正頃の刀狩により、比較的流動性があった武士と百姓が分離され(兵農分離)、身分
 が代々固定されるようになり、江戸時代には士農工商の四民制度がより強固なものとなった
 ようであるが、実際には百姓は村単位で、町人は町単位で把握され、特に上下関係
 はなかったようである。また、百姓は「商」や「工」に属する海運業や手工業などで財を成
 したものも多く、「工」と「商」を区別する制度もなく、医師に対しては出自身分を問わない
 特権が認められており、農民や商人の子弟でも医学を学び領主の許可を得れば開業が
 可能で、能力が優れていれば幕府や藩に召し抱えられていたのである。

  ちなみに神職とはどのような身分だったかというと、松梅院などは北野社の燈籠にも「
 神事奉行」などと刻まれているから、「士」であったのだろう。
  伝十郎の場合は、宮仕の中でどの様な位だったか判らないが、立身出世を果たすべく
 前向きな身分変えした訳ではなさそうである。

  茶屋の娘を妻とするのは不届きで、宮仕の縁者に茶屋の者がいては衆中の恥辱である
 とはいかにも手厳しい。まわりからいろいろかばってもらっていたが、茶屋に住み込み、
 また説得されても真盛町の真ん中に逃げてしまい、遂に手を尽くす者もいなくなり、憐愍
 の力及ばず義絶まで命じられた。

  幼馴染みとの恋愛であったかもしれないし、胸がときめくような綺麗な舞妓か芸妓であ
 ったかもしれないが、見初めた女性との自由恋愛が罷り通らず、家を追い出され、結構
 かわいそうである。恋を貫き通した伝十郎は立派であったのか、ただ単に神職が嫌で金
 儲けがしたかったのか、当の伝十郎に会ってみて、当時の気持ちを聞いてみたいような
 気もする。

  しかし、『北野天満宮史料 宮司記録(続1)』をみると、半年後の元禄二年(1689)1
 月3日には、衆中の合議により、女房の離別も、伝十郎(伝兵衛と記載 解読違いか?)
 の不通も赦免され、忠兵衛という伝十郎の姉婿を保証人として預置の事となった。元禄
 七年(1694)11月20日には勘当も赦免されている。

  また、元禄二年(1689)1月4日には、能春の下女が茶屋の娘であったので、不届き
 につき暇を遣わし、衆中はそのための金を用意し、能春に貸している。宮仕の身と茶屋
 との関係をどのようにしていくのが良いか思い悩む様が散見できて非常に興味深いが、
 基本的に北野社の宮仕達はみな情け深かったようである。
                  

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       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 4月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:4月18日(水)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:4月21、28日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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               ■□■ひとこと■□■

  関西では、葉桜になってしまいました。
  毎年、入学式がある頃にはすでに桜は散っていた覚えがありますが、今年は開花が
 遅れましたね。
  どこかへ出かける時に、ふと電車の中から桜並木がみえると和みます。
                               (まつだ)

     [次回は、5月1日(火)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。