伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄) [嵯峨野文化通信] 第113号
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伝統文化プロデュース【連】は
日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です
嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します
毎月1日・15日(月2回)
■VOL:113(2010/10/15)
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■□■もくじ■□■
■【連】からのお知らせ —————- 企画展「花洛の鴻儒 皆川淇園の文人画」
オープンセミナー「伝統と先進の融和」
嵐山もみじ祭
■(連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』——- 第二十四回
■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』— 第十四回
■(連載)『ちょっとここらで 一休み』————— 第十回
■(連載)『北野の芸能と茶屋』———————– 第十七回
■[嵯峨野学藝倶楽部]11月開講講座のお知らせ
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□■【連】からのお知らせ■□
□企画展「花洛の鴻儒 皆川淇園の文人画」
皆川淇園(みながわきえん)は、江戸時代後期を代表する儒学者であり、難解な「開物
学」をいう学問を創始した学者でもあります。しかし同時に、淇園は漢詩や書画にもすぐ
れた風流人でした。
その淇園は晩年、学問所を創立し、弘道館と名付けました。今回、淇園とゆかり深い有
斐斎弘道館で、10月30日からの2週間、淇園が描いた文人画を集め、展覧会を開催し
ます。弘道館で本格的に淇園を取り上げるのは初めての試みです。
開催期間中、特別講演会や演奏会を行いますので、ぜひお越しください。
日程:10月30日(土)~11月13日(土)
時間:午前10時~18時(金曜日は、20時まで)
場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1)
費用:500円
★関連イベントのご案内
【講演会「皆川淇園と書画サロン」】
江戸時代、京の文人たちは、書画を寺院や料亭に持ち寄り展示しました。淇園が寛政四
年(1792)から7年間、春秋に開いた「書画会」はそのさきがけの一つであり、また
大規模なものでした。講演会では、専門の先生方が、淇園とその周辺の文人たちについて、
また書画会について、わかりやすく、楽しく解説します。展覧会がぐっと身近に、また深
く理解いただけることと思います。定員が100名程度となっていますので、お早めにお
申込ください。
講演「江戸時代の書画会と淇園」
講師:ロバート キャンベル(東京大学大学院教授)
鼎談 出演:ロバート キャンベル
松田 清(京都大学教授)
廣瀬 千紗子(同志社女子大学教授)
日程:10月31日(日)
時間:14時~16時(13時30分会場)
場所:京都府公館レセプションホール(上京区烏丸通一条下る龍前町590-1)
費用:無料(要申込/先着順)
※10月25日(月)までに下記までお申込ください。
先着順につき、定員になり次第締め切らせていただきます。
【篠笛演奏会~淇園に想う】
淇園の名の由来が「竹」にかかわることから、竹の楽器である「篠笛」の演奏会を企画
しました。演奏は、篠笛を通して、祭礼等の地域文化継承に尽力する「民の謡」の方々に
お越しいただきます。淇園の書画の前で聴く竹の音色をお楽しみください。ワークショッ
プも予定しています。
出演:篠笛奏者 森田玲(民の謡)
日程:11月6日(土)
時間:18時30分~20時
場所:弘道館
費用:2,500円(要申込/先着順)
お申込み・お問合せはコチラ
Tel:075-463-3050
Fax:075-463-3051
メール:info@kodo-kan.com
□オープンセミナー「伝統と先進の融和」
10月1日に工業技術センターと繊維技術センターが統合して、新たに京都市産業技術
研究所が誕生したことを記念し、「京都市産業技術研究所オープンセミナー」が開催され
ます。その講演のひとつで、【連】濱崎加奈子が講師を務めます。
ぜひ、ご講聴ください!!
日程:10月31日(日)
時間:10時30分~12時30分
場所:京都市産業技術研究所
(京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館南棟)
費用:無料
【オープンセミナー】
10時30分~11時30分
「伝統文化とその未来-伝統の知恵を生かす-」
講師:濱崎 加奈子(伝統文化プロデュース【連】)
11時40分~12時00分
「西陣織と京友禅を用いた炭素繊維バッグ」
講師:浜中 裕(京都市産業技術研究所 研究部長)
12時10分~12時30分
「天然醸造飲料『白い銀明水』」
講師:山本 佳宏(京都市産業技術研究所 主席研究員)
お申込はコチラ
※なお、お申込期間は10月27日(水)までとなっております。
京都いつでもコール
Tel:075-661-3755
Fax:075-661-5855
パソコン: http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000012821.html
詳しくはコチラ
京都市情報館HP
http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000088817.html
□嵐山もみじ祭
嵐山渡月橋の上流に、幾艘もの船が浮かび、その上では雅楽を奏で、今様や能を謡舞い、
平安時代の舟遊びを思わせる、優雅なお祭りです。
【連】が運営する今様・白拍子教室が関わる「今様船」も出ますので、ぜひお越しくだ
さい!
日程:11月14日(土)
時間:10時30分~(午前の部)
13時~ (午後の部)
場所:嵐山渡月橋上流
費用:見学無料
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■『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』■
第二十四回
太田 達
「金花糖(きんかとう)」は、16世紀にポルトガルからもたらされた「有平糖」が日
本的に発展したものであろう。まず、白砂糖を練る。この状態を、「摺り蜜(すりみつ)」
ともいう。砂糖水を銅鍋に入れて煮詰め、火からおろして、擂粉木(すりこぎ)で白く固
まるまで摺る、洋菓子における「フォンダン」と同様な状態を作り出すのである。これを、
木型の合わせ型(木型2枚をあわせて1つの菓子をつくる型)に入れる。中を空洞にする
事が重要なポイントである。後は木型から取出し彩色をほどこして完成である。
江戸時代の菓子を知る上で重要な文献である『守貞謾稿』(喜田川守貞著、天保八年起
稿)には、どのように記載されているのであろうか。
「有平は、専ら種々の形を手づくりにするもの多し。然るに、近年京坂にてよう製にす
るものあり。白砂糖を練り、よう形を以て焼き、その後に筆刷毛等にて彩を施し鯛、鮒、
うど、竹の子、蓮根、其の他種々を製す。真物の如し。号けて金花糖と云。嘉永に至り
江戸に伝へ製す」
■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■
第十四回
荻田 みどり
『枕草子』には、分別を心得た好ましい文使いが描かれている。
関白道隆が法興院の関善寺という御堂で一切経の供養をされるのに併せて、娘である中
宮定子は里邸にお出ましになる。中宮と父関白殿が話をしていると、宮中から式部丞なに
がしという者が主上の文を持って参上する。
なかなか文を見ようとしない中宮に気をきかして、関白殿は文使いのために禄を準備し
ようと座を立つ。中宮はようやく文を見、紅梅の薄様に返事を書く。御召物の同じ色に映
り合っている細かい配慮はすばらしいものだが、その配慮に気づく人がいないのでは、と
思うと関白殿は残念に思う。
「今日はことさらに」とて、殿の御方より、禄は出ださせたまふ。女の装束に紅梅の
細長そへたり。
「今日は特別に」と、関白殿の方から文使いに禄を出される。女の装束に、紅梅の細長
を添える。中宮の配慮を文使いの禄からも気づかせようという父の思いやりが見える。
さかななどあれば、酔はさまほしけれど、「今日はいみじき事の行事にはべり。あが君、
ゆるさせたまへ」と、大納言殿にも申して立ちぬ。
肴などがあるので、関白殿は文使いを酔わせたいと思うけれど、御使いは、「今日は大
切な事の世話役であるため、どうぞ許してほしい」と断る。
中宮の父である関白殿は、主上からの文使いに対してさぞ歓待したいことだろう。しか
し、文使いは自分の今日の役目をわきまえている。
もてなされた酒を心ゆくまで飲むのも相手への誠意ではある。だが、相手の気分を害さ
ないよう、「あが君(我が君様、というような親愛をこめた呼びかけの言葉)」でもって、
関白からの酒を断るというのも、勇気のいることである。主上宛の返事の文だけでなく、
中宮の紅梅の配慮までも届けてくれそうな、好ましい姿である。
■『ちょっとここらで 一休み』■
第十回
戸谷 太一
お久しぶりです。『ちょっとここらで、一休み』、一か月程お休みを頂いておりました。
お待たせ致しました皆様、申し訳ありませんでした。一休さんも、なんだかんだ世間に雄
飛するのは30前後、20歳から30前にかけては充電期間、この一カ月も私にとっての
充電期間…すいません、言い訳くさいですね。というわけで(?)、今回も一休さんは師
の華叟宗曇(けそうそうどん)の下で充電中です。
しかし、ここにきて、苦悩多かった一休さんの人生に、一瞬の晴れ間が訪れます。晴れ
間が訪れる、というよりむしろ、自分の真上に広がる青空、そして曇り空にはじめて正面
切って目を向けた瞬間と言った方が正しいかもしれません。それは、一休さんにとっての
初めての悟りの瞬間でした・・・
一休さん25歳、この時、師の華叟宗曇より、「洞山三頓棒」という公案を与えられる。
公案は簡単に言えば、悟りを開くために師から与える問題の様なものである。『無門関』
という公案集に記された、「洞山三頓棒」の一部を、原文で記す。
雲門、因洞三参次、門問曰、近離甚処。山云、査渡。門曰、夏在甚処。山云、湖
南報慈。門曰、幾時離彼。山云、八月二十五。門曰、放汝三頓棒。山至明日却上
問訊。昨日蒙和尚放三頓棒。不知過在甚麼処。門曰、飯袋子、江西湖南便恁麼去。
山於此大悟。
以下、簡単に訳す。雲門という有名な禅師の下に洞三という僧がやってきた。雲門は、
洞三に向かって三つ簡単な質問をし、洞三はそれに正直に答えた。すると、雲門は「貴様
に三頓(六十回)棒を食らわせてやりたいわ!」と怒りの答えを返した。洞三は一晩考え
あぐね、翌日雲門に、私の何が悪かったのか分からない、と正直な心中を吐露した。
すると、また雲門は怒って、「このごくつぶしめ、お前は一体どこをうろついているの
か!」と言った。すると、洞三は感じ入る所があったようで、にわかに悟りを開いた。
正に禅問答であり、非論理的な話である。この公案を出され、一休さんもさぞや頭を悩
ませたことだろう。
「一体どこをうろついているのか!?」思えば一休さんの人生も、定まった目的なく、
行くあての無い旅のような物であった。うろつきうろつき、二十五年の歳月が流れ、琵琶
湖湖畔の華叟宗曇の下に流れ着いたその身の上を、一休さんは思い返したことだろう。明
日も、来年も、その先もずっと、希望も目的も無く、このまま老い果ててしまうのだろう
か。違う! 自分の人生はそんな無意味な物ではないはずだ! 今までの人生に絶望する
自分と、それでも将来への希望を捨てることの出来ない自分。この公案は、一休さんの中
にいる二人の自分の葛藤を鮮明に呼び起こした。
自分の中で繰り広げられる、絶望と希望の対決に一休さんは苦しんだ。苦しみながらも
歩を進める一休さんの前に、一人の女性が現れる。それは、平家物語の「祇王」という白
拍子である。もちろん、直接現れるわけではないが、この祇王の登場で、一休さんの苦悩
に一つ大きな区切りがつく事となるのだが、その話は次回に譲ることとする…
■『北野の芸能と茶屋』■
第十七回
井上 年和
康和五年(1093)9月15日『殿暦』
「(前略)陰陽寮申云、神社不静之所致与、仍遣検非違使実検北野・平野・祇園邊
也、検非違使等還来申云、件四至等所加実検也、而北野・平野等近邊に不静事等極
多、進注文、件注文に社司等皆加判、五位藏人為隆所覧也、(後略)」
検非違使を遣わして北野社、平野社、祇園社等の周辺の不静が実検されており、特に北
野社と平野社近辺の不静が極めて多く、しかも社司も加判している(認めている?)と報
告され、五位藏人(令外官の官職。蔵人所の次官)も見に行ったようだ。
検非違使とは、平安時代初期に設置された検非違使庁の官人で「非違(非法、違法)を
検察する天皇の使者」の意である。京都の治安維持と民政を所管した。
その検非違使が報告した「不静」の内容については詳らかではないが、恐らく遊女が徘
徊していることや、賭博が境内で盛んに行われていること等であろうと推測される。
検非違使の役割として、治安維持も勿論大切なことではあるが、洛中の遊女に対する支
配は中世には確立されていた。また、遊女は平安期には「公庭之所属」と云われ、内教坊
という官司の統括下にあったと推定されている。内教坊の職掌は主に女性に対する舞踊・
音楽の教習であって、五節の舞の際には下仕に江口・神崎の遊女を呼び寄せて下見をして
選び仕立てたのである。
つまり、検非違使の不静検分とは遊女の物色である可能性もあるのだ。
「不静が極めて多いところですよ。(だから美人も多くて楽しそうなところですよ。)」
と括弧の中の続きを連想してしまうのは不静な想像力を逞しくする私だけであろうか・・・
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□■[嵯峨野学藝倶楽部] 11月開講講座のお知らせ■□
詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。
■「茶道教室(土曜日コース)」
日時:11月6、13、20日(いずれも、土)
時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「茶道教室(水曜日コース)」
日程:11月10、24日(水)
時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越しください)
講師:西村 宗靖・太田 宗達
※見学/体験も、随時受付けています。
■「京文化を語ろう~遷都1300年記念・京都のなかの奈良」
日程:11月13日(土)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:太田 達
テーマ:「東大寺・毘盧遮那仏」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
■「今様・白拍子教室」
日程:11月13日、27日(いずれも、土)
時間:13時~14時(60分)
講師:石原 さつき
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
*都合により、10月23日の通常稽古は、以下の日程に振り替えさせていただことに
なりました。通常稽古日程を変動してしまい、申し訳ありません。
振替日:11月27日(土)12時~13時
■「京都歴史講座」
日程:11月21日(日)
時間:11時~12時30分(90分)
講師:中村 武生
テーマ:「伏見城大名屋敷の復元」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、随時受付けています。
■「うたことば研究会」
日程:10月27日(土)
時間:10時~11時(60分)
監修:田口 稔恵
※資料代等が必要です。詳細はお問合せください。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com
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■□■ひとこと■□■
神無月、夏の暑さを残しつつも着実に秋へと向かうこの月を、お茶では、「名残月」
と言うそうです。
朝夕めっきり涼しくなり、温もりが恋しくなるこの時期にぴったりな呼び名だなぁ、
と思いました。
なごりづき、どこか寂しい響きに聞こえるのは私だけでしょうか・・・
(きしもと)
[次回は、11月1日(月)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
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